資 料

株式会社東京リアルティ・インベストメント・マネジメント
ESG課題に対する目標の改定

(2024年3月作成、4月公表)

背景・目的

株式会社東京リアルティ・インベストメント・マネジメント(TRIM)は、東京建物グループのJ-REIT資産運用会社である。同社は、日本プライムリアルティ投資法人(JPR)(オフィスと都市型商業施設等による複合型J-REIT)の資産運用を受託している。JPRでは、気候変動がテナントやサプライチェーンの活動など、事業に大きな影響を与えるものと認識しており、GHG(温室効果ガス)排出量削減等に積極的に貢献する方針を掲げている。

 

概要

TRIM及びJPRは、マテリアリティとして「気候変動への対応」を特定し、課題解決に向けた取組を推進している。世界各国における気候変動対策が加速する中、新たなCO2排出量削減目標として「CO2排出量を2050年までにネットゼロ」を設定した。さらにJPRでは、科学的根拠に基づく中長期目標について、旧来は、2017年比で、2030年CO2排出削減を原単位ベースで30%減を掲げていたが、現在は2019年のGHG排出(74,931t-CO2)比で、2030年GHG総排出量46.2%削減を設定している(スコープ1、2、3を対象とする)。

 

実績

JPRは、上記のGHG排出削減目標達成のため、エネルギー調達の見直し(電力会社の見直し、再生可能エネルギーの導入)、設備改修による取組(高効率空調設備への更新、LED照明への更新、人感センサー付き照明への更新)、建物の運用改善を推進している。

 

取組を実施するにあたっての組織の方針や体制

TRIMは、サステナビリティに係る取組を継続的・組織的に推進するため、代表取締役社長を委員長としマネジメントクラスで構成される「サステナビリティ委員会」を設置している。サステナビリティ委員会では、サステナビリティ目標の設定、活動のモニタリングと評価、役職員への啓蒙などの活動を実施。なお、サステナビリティ専門部署(サステナビリティ推進グループ(4名で構成))を設置し、同委員会の運営や各マテリアリティの推進に取組んでいる。なお、サステナビリティの取組を適切に推進していくためには、社外からの客観的な視点が重要と考え、サステナビリティ委員会に外部の有識者を招聘した。その結果、経営層が最新の知見を習得する機会を得るとともに、同委員会の議論の活性化にも寄与した。

 

取組の今後の計画・広がりについて

JPRは、掲げた2050年ネットゼロ目標の実現に向けて、エネルギー消費原単位の高い物件を選定し、エネルギー削減に向けた投資戦略を開始し、さらに既存のオフィスビルでの太陽光パネル設置等の施策を検討している。

 

また、業務委託しているプロパティマネジャー(PM)や工事業者とのエンゲージメントも推進している。これは、JPRのGHG排出のうちScope3が約80%を占めており、サプライチェーンへのインセンティブやリテラシー向上が重要になっているためである。

 

なお、Scope3の中でも特に排出が多いのがリース資産(下流)である。

 

課題と課題解決のヒント、工夫した点、苦労した点

TRIMが資産運用しているJPRは、都市型のオフィス・商業施設を運用しているため、発電施設を設置する余地が限定されることから、外部からの自然エネルギーの調達が重要になる。一方、投資法人の特性としてコストの増加が分配金に直接影響を及ぼすため、再生可能エネルギーの調達コストに対するリターンを見極めつつ、同コストを適正に管理することが難しいと感じている。

 

参考にしたWEBサイト等