資 料

株式会社T&Dホールディングス
グループ長期ビジョンでの非財務KPI

(2024年3月作成、4月公表)

背景・目的

株式会社T&Dホールディングスでは、4つのサステナビリティ重点テーマを設定している。
 重点テーマ1 すべての人の健康で豊かな暮らしの実現
 重点テーマ2 すべての人が活躍できる働く場づくり
 重点テーマ3 気候変動の緩和と適応への貢献
 重点テーマ4 投資を通じた持続可能な社会への貢献

 

上記重点テーマ3と4に関連する非財務KPI(Key Performance Indicator 重要業績評価指標)として、グループ全体のCO2排出削減目標を設定している。

 

自社排出(Scope 1・2)
 2025年度:40%削減(2013年度比)
 2050年度:ネットゼロ

 

投融資先(Scope3、カテゴリー15)
 2030年度:40%削減(2020年度比)
 ※対象は国内上場企業の株式、社債、融資
 2050年度:ネットゼロ

 

概要

T&D保険グループは、環境負荷軽減の目標として、「CO2削減目標」「電力使用量」「事務用紙使用量」「グリーン購入比率」の4つのKPI指標を設定しており、その中の「CO2削減目標」はグループ長期ビジョンの「非財務KPI」としても位置づけられている。

 

自社排出(Scope 1・2)

自社排出に関しては、その9割以上が使用電力に由来していることから、電力使用量の削減目標の設定によるエネルギー使用量の抑制と、再生可能エネルギーの導入推進により、CO2排出量の削減に努めている。

 

投融資先の排出(Scope 3)
T&Dホールディングス社は、投融資先の排出についてもネットゼロ目標の対象としている。

 

投融資における方針については、「T&D保険グループESG投資方針」に定め、公表しているほか、責任投資原則(PRI)には同グループの太陽生命、大同生命、T&Dアセットマネジメントの3社が署名している。

 

投融資先の排出量の削減、ネットゼロの実現へ向けては、エンゲージメントを継続し、脱炭素へ向けた投資等を資金使途とするファイナンス案件への取組を通じて投融資先の脱炭素を資金面から後押ししている。

 

エンゲージメントでは、CO2排出量上位の投融資先を対象に、排出量の削減目標や目標達成に向けた工程表(ロードマップ)の公表など、情報開示の充実を要請しているほか、排出量削減に向けた投融資先の取組や進捗に関する意見交換を行い、認識の共有を図ることで、投融資先の長期的な取組を支援している。

 

また、脱炭素に向けた投資等を資金使途とする「グリーンボンド」「トランジション・ファイナンス」などのテーマ型投融資に積極的に取組んでいる。

 

なお、ネガティブスクリーニングとして、同社グループは、石炭火力発電事業や石炭採掘事業への新規の投融資を実施しない方針を採用しているほか、気候変動や生態系への影響が大きい北極圏(北緯66度33分以北の地域)における石油・ガス採掘事業や、伝統的な石油と比較して抽出・精製時の環境負荷の大きいオイルサンド採掘事業についても、新規投融資を実施しない方針としている。

 

実績

2022年度末の投融資先ポートフォリオ(太陽生命、大同生命が保有する、国内上場企業発行の株式・債券・貸付が対象)を基準としたCO2排出量は、198.9万トンとなっている。

 

ネットゼロに向けた中間目標の対象である原単位ベースでは、0.76トン/百万円となり、2020年度比33.3%の削減となっている。

 

取組を実施するにあたっての組織の方針や体制

T&D保険グループでは、グループ各社のサステナビリティ・CSR担当役員(企画担当・CSR担当)などを構成メンバーとする「グループSDGs委員会」を設置している。

 

これにより、グループ各社がそれぞれの業務のなかで主体的にサステナビリティ推進に取組むとともに、同委員会でのグループ横断的な方針や施策などの議論を通じてサステナビリティ推進体制を強化している。サステナビリティ推進のグループ内連携を一層図り、グループ一体となって取組を進めていくことを目的に、取締役会の下部機関として設置されている。SDGsおよびCSR活動の基本方針と重点テーマを定め、年間計画を策定し、その実施状況を定期的に確認する。委員長はT&Dホールディングス社長(代表取締役、取締役会議長)、副委員長はT&Dホールディングスサステナビリティ推進部担当執行役員が務める。

 

2020年度には、気候変動の課題に積極的に対応するため、グループSDGs委員会の下部機関として「気候変動リスク対応専門部会」「ESG投資専門委員会(2023年よりESG投資専門部会)」を設置した。

 

気候変動リスク対応専門部会は、ホールディングスならびにグループ生保の企画部門、リスク統括部門、資産運用部門の実務担当者の他、検討テーマによって部会長が指名する者が参加する形で12名程度にて開催される。ESG投資専門部会は、検討テーマに応じて部会長が指名しており、投資関連が中心の場合は生保の運用企画部門、サステナビリティ全般の取組に関わる場合は、グループ生保の企画部門が参加する形で通常8名程度にて開催される。いずれの専門部会もT&Dホールディングスサステナビリティ推進部長が部会長を務めている。

 

取組の今後の計画・広がりについて

グループ全体としての目標投融資額は、テーマ型案件の組成状況や、他の資産と比較した収益性の優劣などの影響を受けるため、事前に目標金額を設定することは馴染まないと考え、設定していない。一方で、投資を通じた社会課題の解決への貢献は、重要な責務と捉え積極的に取組んでいく方針である。

 

テーマ型投融資については、投資を通じて創出したESG面の成果やインパクトの把握、対外的な説明の重要性・責任が増していると捉えている。そのため、調達資金のプロジェクトへの充当状況、成果などの開示が不十分な投資先に対しては、対話を通じた改善要請が必要と考えている。インパクト投資については、想定している経済的リターン獲得とESGインパクト創出の両立が図れているのか継続したモニタリングを行っていく方針である。

 

課題と課題解決のヒント、工夫した点、苦労した点

エンゲージメントでは、投資先企業の運用担当者に加え、ESG推進担当者をエンゲージメントに同席させることで、対話の質的向上を図っている。また、グループの生命保険会社と資産運用会社で重複する投資先がある場合、可能な範囲で協働エンゲージメントを行うことで、投資家サイドとしての発信力が高まるよう工夫している。

 

また、T&DホールディングスのサステナビリティならびにESG投資方針に合致し、機関投資家としての社会的責務を果たす場合で重要性が高い場合には、各イニシアチブにも参加している。
例えば、太陽生命、大同生命、T&Dアセットマネジメントは、PRIが発足した人権に関するエンゲージメントイニシアティブ「advance」や、気候変動問題に対応するイニシアチブ「Climate Action 100+」などへの参加を通じて、グローバル企業や政策立案者に対する協働エンゲージメントの取組を支持・賛同している。

 

なお、生命保険協会では、上場企業を対象とした気候変動や株主還元、ESG情報開示等をテーマとした協働エンゲージメントを行っており、太陽生命、大同生命がその取組に参加している。

 

参考にしたWEBサイト等