資 料

しんきん証券株式会社
「しんきんESG低炭素フォーカス日本株ファンド」の設定・販売

(2024年3月作成、4月公表)

背景・目的

全国の信金の有価証券運用は、信金によってばらつきがあり、ESG投資への取組も緒についた段階である。しかし、地域コミュニティに立脚する信金の資金運用に占めるESG要因のウエイトは高いと判断し、しんきん証券株式会社では、ESG投資を目指す各信金に安定的な投資対象として「しんきんESG低炭素フォーカス日本株ファンド」を2020年8月から提供開始した。

 

同ファンドは、全国の信金が、投資を通じてESGそのものへの理解及び必要性を深めることで、信金自身のみならず、地域コミュニティとの共生または取引先企業への適切な対応が図られていくことが環境整備に繋がっていくとの考えに基づき、設定されたものである。

 

概要

同ファンドは、「S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数」を投資対象とした、(信金以外の機関投資家も対象とした)適格機関投資家向け私募投資信託である。「S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数」とは、 東証株価指数(TOPIX)を構成する銘柄を対象とし、環境情報の開示を十分に行っている企業や炭素効率性の高い企業への構成比率を高めたものである。 本指数を投資対象とすることで、上場企業の環境に対する取組や環境情報の開示を促すことを目指している。

 

実績

同ファンドには、多くの投資家から関心が示されている(同ファンドは、適格機関投資家向け私募投資信託のため、詳細は非公開)。

 

取組を実施するにあたっての組織の方針や体制

しんきん証券株式会社では、同ファンド設定にあたり、従来の特段の社内体制、方針の設立・変更は特にない。

 

この他、SDGs(持続可能な開発目標)の推進に当たり、同社では、外部講師や社内所管部門における勉強会等を実施している。

 

取組の今後の計画・広がりについて

同社では、同ファンド以外にもESG関連ファンドを設定しており、ESG投資を通じた長期的なリターン確保の可能性と併せ、社会貢献を推進している。また、いわゆるグリーンウォッシュやSDGsウォッシュの防止が課題となる中、同社では「ESG関連商品の取扱方針」を定め、商品ごとに厳格に審査している。

 

同社を含めた信金中央金庫グループでは、2019年に「信金中央金庫グループSDGs宣言」を発表し、SDGsを踏まえ、協同組織の理念に則り、「地域」、「人々」および「環境」の3つを重要なテーマとし、 全国の信金とともに、持続可能な社会の実現に向けた活動に取組んでいる。今後においても、投資家ニーズまたは投資戦略上必要と考えられるファンドの組成を検討しつつ、SDGsの推進を行う予定である。

 

課題と課題解決のヒント、工夫した点、苦労した点

設定当初は、SDGsの必要性に対する認識も薄かったことから、本ファンドのパフォーマンスが東証株価指数(TOPIX)とほぼ変わらない商品性により、あえて本ファンドへ投資する有効性の説明及び販売に苦慮した。しかしながら、時間の経過とともにSDGsへの必要性に対する理解が深まってきた中で、短期的な超過収益の確保を求めるものではなく、環境問題や社会問題等の影響が資本市場に与える負の影響を減らすことで長期的なリターン改善効果があると考えられることなどを説明し、多くの投資や関心を得ることにつながっている。

 

参考にしたWEBサイト等