以下は2022年6月に改定される前の前文と7つの原則です。
2011年10月に作成したパンフレットのダウンロードはこちら
前 文
持続可能な社会の基本は、明日を不安に思うことなく今日一日が生きられることにあると考える。とすれば現在世代は、自らはもとより将来世代の為にも人と地球を取り巻く様々な問題の解決に真摯に取り組み、自然と共生する安全で安心できる生活を目指していかねばならない。
元来、社会の基盤の一つはお金を媒介とした経済活動にある。社会を持続可能なものに変えていくにはお金の流れをそれに適合したものに変える必要がある。これこそ社会が必要とするところにお金を回すことで、社会の発展に寄与してきた金融本来の役割に他ならない。換言すれば、多様な金融サービスが効果的に提供されることで「社会の様々な資源が経済主体間や地域間、世代間をつないで最適に配分され、その結果、社会の持続可能性が高まる」と考える。
地球規模の問題解決において金融業界が連携を始めたのは1992年の国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)の設立に遡る。爾来、その活動は環境問題から社会問題、企業統治問題(いわゆる「ESG問題」)へと広がり、2006年には国連責任投資原則(PRI)の制定を主導した。また、プロジェクトファイナンスの分野でも、2003年にエクエーター原則(赤道原則)が制定された。
このような動きを具体的な活動につなげ取組みを加速させて欲しい、これが金融業界を取り巻く社会の声である。そうした地球社会の要請に対し日本の金融業界はどのように応えていくべきか。世界有数の経済大国における金融部門としての責任は極めて大きい。
日本の金融業界の役割は二つある。第一は、日本自身を持続可能な社会に変えることへの貢献である。そのためには、生活基盤の安全を確保するための災害対応はもちろん、地域や国内産業が持続可能性を高め競争力を強めていくことをサポートする必要がある。第二は、グローバル社会の一員として地球規模で社会の持続可能性を高めることへの貢献である。そのためには、UNEP FI などの国際的なイニシアティブと連携し、世界の環境・社会問題の解決に取り組んでいかなければならない。
こうした役割を果たす上で「予防的アプローチ」の視点に立つことは重要である。不確実性を含んだ科学的知見であっても、環境や社会に重大な影響を及ぼす可能性が高いと考えられる場合は、率直に耳を傾け、事業活動にも慎重な姿勢で臨むことが望ましい。これは将来予測の難しさが一層増してくる21世紀社会におけるリスク対応の基本となるべき考え方であり、それに基づくリスク管理の機能は金融サービスの新しい事業機会にもつながる。また、環境や社会に配慮する取組みが経済的な価値を生み出すような新たな市場の構築にも、金融業界は自らのこととして積極的に貢献すべきだと考える。
本原則は、地球の未来を憂い、持続可能な社会の形成のために必要な責任と役割を果たしたいと考える金融機関の行動指針として策定された。また本原則は、業態、規模、地域などに制約されることなく、志を同じくする金融機関が協働する出発点となるように策定された。署名金融機関は、自らの業務内容を踏まえ可能な限り、以下の「原則」に基づく取組みを実践する。
原 則
【原則1】 |
自らが果たすべき責任と役割を認識し、予防的アプローチの視点も踏まえ、それぞれの事業を通じ持続可能な社会の形成に向けた最善の取組みを推進する。
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【原則2】 |
環境産業に代表される「持続可能な社会の形成に寄与する産業」の発展と競争力の向上に資する金融商品・サービスの開発・提供を通じ、持続可能なグローバル社会の形成に貢献する。
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【原則3】 |
地域の振興と持続可能性の向上の視点に立ち、中小企業などの環境配慮や市民の環境意識の向上、災害への備えやコミュニティ活動をサポートする。
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【原則4】 |
持続可能な社会の形成には、多様なステークホルダーが連携することが重要と認識し、かかる取組みに自ら参画するだけでなく主体的な役割を担うよう努める。
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【原則5】 |
環境関連法規の遵守にとどまらず、省資源・省エネルギー等の環境負荷の軽減に積極的に取り組み、サプライヤーにも働き掛けるように努める。
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【原則6】 |
社会の持続可能性を高める活動が経営的な課題であると認識するとともに、取組みの情報開示に努める。
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【原則7】 | 上記の取組みを日常業務において積極的に実践するために、環境や社会の問題に対する自社の役職員の意識向上を図る。 |
以 上