グリーンATMによるカーボン・オフセットの取り組み
─株式会社 第四銀行─
概要
- 「使えば使うほど環境へ貢献できるATM」をコンセプトに『グリーンATM』の運行を開始。
- これは、省エネ・省スペース型ATMの新規設置拡大と合わせ、ATM稼働により排出されるCO2を新潟県内において認証されたクレジット(温室効果ガス排出削減・吸収量)を活用しカーボン・オフセットするもの。
- ATM利用1件につき20gのCO2をオフセットすることとし、お客さまがATMを利用すればするほどオフセット量が増加していくという仕組み。
- まず2014年8月に省エネ・省スペース型ATMを新設し、本事業をスタート。その後、10月・11月に各1台のATMを新設。
- 12月1日からは、省エネ・省スペース型の「グリーンATM」に加え、一部の既存ATMも対象とすることで、大幅に取り組みを拡大した。
- 12月1日からの取り組みについては、環境省のカーボン・オフセット認証を取得した取り組みとなっており、2015年11月までの取り組み期間で40t程度のCO2をオフセットする見込み。
- 今後更なる取り組み拡大を検討し、環境貢献度を高めて行く予定。
取組の効果や実績
- 銀行ATMによるカーボン・オフセットは全国初の取り組み。
- オフセットに使用するクレジットは新潟県内において認証されたものであり、本事業によって地元新潟の環境保全を図ることにもつながる取り組み。
- 「グリーンATM」は身近な金融サービスであるATMを通じて環境への関心を深め、気軽に環境貢献に参加できるプロジェクト。また、ATM利用件数に応じてオフセット量を増加させる仕組みとすることで、お客さまの環境に対する意識の向上と浸透を図り、お客さまと一体となった地域並びに環境貢献活動を目的としている。
- 新潟県は、国からクレジット認証を認可されている数少ない自治体の一つであり、カーボン・オフセット事業の普及促進を図ってきているが、今回当行が本事業に取り組むことにより、県内におけるカーボン・オフセット事業の普及促進にも寄与できるものと考えている。
選定理由
- 今年末にパリにて開催が予定されているCOP21に向けて、気候変動・温暖化対策に係る議論が進められる中、また、2020年の史上初のカーボンフリーの東京オリンピックに向けても、低炭素社会構築に資する金融界のさらなる取組が必要である。
- 銀行のATMは、預金者との主要なインターフェイスとして歴史的に設置が拡大し、現在、国内で約14万台まで普及しているといわれている。同行によると、ATMは一台当たりおおよそ7kWh/日の電力を消費するとのことであるが、そこに「グリーンATM」という新たな着想を取り入れることで、国内各地のグリーン電力の生産拡大とそのクレジット化に貢献し、もって、我が国のCO2削減に大きく寄与できるものと考えられる。加えて、本取組では他行への働きかけを行っているとともに、他の金融機関でも同様に取り組むことができると考えられることから、今後のさらなる広がりが期待される。
- また、ATMは預金者にとって身近な存在であり、使用の都度社会貢献が可能であるため、数多くのステークホルダーの意識改革を促すことが期待されることに加えて、カーボン・オフセットにおいて地元(新潟県)で認証されたクレジットを利用しているなど、地域への貢献も認められる。
- 以上の理由より、本事例を第3回グッドプラクティス最優良取組事例として選定した。
選定委員
- 委員長 末吉 竹二郎氏(UNEP FI 特別顧問)
- 委 員 小林 光氏 (慶応義塾大学環境情報学部教授)
- 委 員 水口 剛氏 (高崎経済大学経済学部教授)
- 委 員 大熊 一寛氏 (環境省 環境経済課長)