21世紀金融行動原則とは

原則改定(2022年)の経緯や改定のポイントなど

改定の経緯

2011年の原則策定から10年が経過する中、国内外の環境金融をめぐる動向が著しく進展していることを受け、運営委員会等において原則の見直しを検討するタイミングではないかという議論が出ました。このような背景を踏まえ、2021年度第1回運営委員会において、改定の有無を含め現行の原則を改めて見直すための「原則棚卸タスクフォース(TF)」の設置が合意されました。この合意を受けて、署名金融機関等の立候補により以下メンバーによる原則棚卸TFが2021年7月に始動し、2022年5月までおよそ10か月、13回にわたり議論が行われました。

 

その結果、改定案第1版を2022年3月に公表し、署名金融機関及び関係する団体等からの意見募集を行いました。意見募集を踏まえて2022年度第1回運営委員会でまとめた改定案第2版を、2022年度第1回臨時総会(2022年6月7日~6月22日)に提案、全会一致で承認され、新たな原則(7つの原則と前文)が策定されました。2022年度には、ワーキンググループごとに業務別ガイドラインの改定を行っていく予定です。

 

TF第1回(2021年7月14日)

原則起草メンバーからの経緯や思いの共有、改定目的について議論

TF第2回(2021年8月5日)

PFA21のあり方(特徴、意義、めざすところ)について意見交換

TF第3回(2021年8月27日)

原則1及び原則2について議論

TF第4回(2021年9月7日)

原則1、2座長案(初版)について議論

TF第5回(2021年9月30日)

原則1、2座長案(2版)の提示/原則3に入れたいキーワード/原則4、5、6について議論

TF第6回(2021年10月22日)

原則3、4、6座長案の提示/原則5の位置づけと入れたいキーワード/原則7について議論

TF第7回(2021年11月11日)

原則5、7座長案及び原則2、4、6仮置き案について議論

TF特別回(2021年11月25日)

原則起草メンバーに最新案の説明・意見交換

TF第8回(2021年12月8日)

TFメンバー各機関からのフィードバックの共有/前文改定案の説明/原則2、4、6の標題について議論

TF第9回(2021年12月23日)

原則1、2、4、6/前文修正案について議論

TF第10回(2022年1月14日)

原則1、2、4、6/前文修正案について確認

TF第11回(2022年1月28日)

TF最終案について確認

2021年度第3回運営委員会(2022年2月8日)

TF最終案について議論

TF第12回(2022年2月)

2021年度第3回運営委員会からの意見を踏まえたTFによる最終案について確認と合意

第11回定時総会(2022年3月2日)

原則及び前文改定案第1版の公表、署名金融機関等からの意見募集開始

2022年5月6日

意見募集終了

TF第13回(2022年5月メールベース)

意見の集約と対応の検討、原則改定案第2版の合意

2022年度第1回運営委員会(2022年5月31日)

意見への対応を踏まえた原則改定案第2版の承認

臨時総会(2022年6月22日)

原則改定案を議案として決議、新原則として決定

2022年度内

ワーキンググループごとに業務別ガイドラインの改定

 

原則棚卸TF参加者一覧

(敬称略、2022年3月時点、機関名での50音順、★はTF座長)

メンバー

ヴォンエルフ(不動産WG座長機関)

似内 志朗/シニアアドバイザー

愛媛銀行(署名機関)

村上 陽一/企画広報部SDGs企画室 主任

京都信用金庫(監事機関)

仲谷 俊之/経営企画部主任

CSRデザイン環境投資顧問
(不動産WG座長機関)

堀江 隆一/代表取締役社長

西武信用金庫(署名機関)

小暮 剛/事業支援部推進役

★損害保険ジャパン(運営委員長機関/保険WG座長機関)

金井 圭/サステナビリティ推進部課長

SOMPOアセットマネジメント(運用WG座長機関)

角田 成宏/運用企画部責任投資推進室長

第一勧業信用組合(署名機関)

境 裕治/調査部長

栃木銀行(署名機関)

山本 治/経営戦略室主任調査役

日本政策投資銀行(運営委員機関/預貸WG座長機関)

八矢 舞子/サステナブルソリューション部課長、
佐藤 友理/サステナブルソリューション部副調査役

野村総合研究所(署名機関)

新美 雄太郎/コンサルティング事業本部サステナビリティ事業コンサルティング部副主任コンサルタント

八十二銀行(運営委員機関/預貸WG座長機関)

小林 弘幸/企画部サステナビリティ統括室

北陸銀行(署名機関)

島田 善朗/経営企画部

★三井住友銀行(運営委員長機関)

西垣 正司/経営企画部サステナビリティ推進室副室長

リコーリース(運営委員機関/総会議長機関)

大塚 武志/経営企画部サステナビリティ推進室長

アドバイザー(起草委員会メンバー)

日本政策投資銀行(運営委員機関/預貸WG座長機関)

竹ケ原啓介/設備投資研究所 エグゼクティブフェロー

三井住友トラスト・ホールディングス(運営委員機関/地域支援WG座長機関)

金井司/フェロー役員 、チーフ・サステナビリティ・オフィサー

 

改定案第1版への意見への対応

2022年3月に公表した改定案(第1版)に対する意見募集についてはこちらを参照ください。

 

改定の対象文書

原則棚卸TFでは、今回の改定の対象とする文書を以下のように整理しました。

・7つの原則:見直し対象

・はじめに:本原則の普遍的な内容であるため、2011年作成として現行のまま残す

・前文:見直し対象

・業務別ガイドライン:7つの原則を改定後に業務別WGごとに見直しを検討する

・ESG金融大国となるためのアクションリスト:策定されたのは2019年で、2022年現在、短期目標期間中のため見直し対象としない

 

改定のポイント

原則棚卸TFでの見直し作業におけるポイントを以下にまとめます。

 

全体を通じた改定ポイント

  • 7つの原則の位置づけを明確に伝えるため、標題をつける。
  • 今後10年以上にわたって通用するような普遍的な内容を、キーワードで示す。
  • 環境に偏らず、人権等の社会課題を含めて対象範囲を広くとる。
  • ESG問題に日ごろ接していない人でも、理解し実践できる内容にする。
  • 持続可能な社会づくりに対する日本の金融機関の意気込みを示すため、能動的な言葉を使う。
  • 人材育成についての原則を、7番目から4番目に移動した。

 

原則ごとの改定ポイント

改定前

改定後

【原則1】

【原則1】基本姿勢

自らが果たすべき責任と役割を認識し、予防的アプローチの視点も踏まえ、それぞれの事業を通じ持続可能な社会の形成に向けた最善の取組みを推進する。

持続可能な社会の形成のために、私たち金融機関自らが果たす責任と役割を認識の上、環境・社会・経済へのポジティブインパクトの創出や、ネガティブインパクトの緩和を目指し、それぞれの事業を通じて最善の取組みを率先して実践する。

(主な改定のポイント)

・「ポジティブインパクトの創出とネガティブインパクトの緩和」を追加し、「予防的アプローチ」は前文に残す。

・「率先して実践する」と記載することで、より前向き感を出す。

・自らの果たす責任の対象を分かりやすくするために「持続可能な社会の形成に向けて」を冒頭に挿入。

【原則2】

【原則2】持続可能なグローバル社会への貢献

環境産業に代表される「持続可能な社会の形成に寄与する産業」の発展と競争力の向上に資する金融商品・サービスの開発・提供を通じ、持続可能なグローバル社会の形成に貢献する。

社会の着実で公正なトランジションに向けて、イノベーションを通じた産業や事業の創出・発展に資する金融商品やサービスを開発・提供し、持続可能なグローバル社会の形成をリードする。

・持続可能な社会づくりの過程における「着実で公正なトランジション」の重要性を明記。

・社会変革における手段としての「イノベーション」の重要性を明記。

・あらゆる産業・事業で持続可能性が求められるため、「環境産業」を「産業や事業」に変更。

【原則3】

【原則3】持続可能な地域社会形成への貢献

地域の振興と持続可能性の向上の視点に立ち、中小企業などの環境配慮や市民の環境意識の向上、災害への備えやコミュニティ活動をサポートする。

地域特性を踏まえた環境・社会・経済における課題解決をサポートし、地域の包摂性とレジリエンスの向上を通じて、持続可能な地域社会の形成をリードする。

・原則2の「グローバル社会」に対し、原則3は「地域社会」への対応と位置付けている。

・地域の課題解決への貢献を金融機関の担うべき役割と認識。

・「包摂性」「レジリエンス」を不可欠な視点として位置付けている。

【原則7】

【原則4】人材育成

上記の取組みを日常業務において積極的に実践するために、環境や社会の問題に対する自社の役職員の意識向上を図る。

金融機関における人的資本の重要性を認識し、環境や社会の問題に対して自ら考え、行動を起こすことのできる人材の育成を行う。

・金融機関が持つ資本として「人的資本」の重要性を明記。

・社会課題に対して意識向上で終わらず、一歩進んで能動的に動くことのできる人材の育成を打ち出した。

【原則4】

【原則5】多様なステークホルダーとの連携

持続可能な社会の形成には、多様なステークホルダーが連携することが重要と認識し、かかる取組みに自ら参画するだけでなく主体的な役割を担うよう努める。

持続可能な社会の形成には、私たち金融機関をはじめ、多様なステークホルダーが連携することが重要と認識し、かかる取組みに参画するだけでなく主体的な役割を担う。

・ステークホルダーに、「金融機関」を加え、金融機関の間の連携の重要性を認識。

・「主体的な役割を担う」と記載することで、より前向き感を出す。

【原則5】

【原則6】持続可能なサプライチェーン構築

環境関連法規の遵守にとどまらず、省資源・省エネルギー等の環境負荷の軽減に積極的に取り組み、サプライヤーにも働き掛けるように努める。

気候変動・生物多様性等の環境問題や人権をはじめとする社会課題に積極的に取り組むとともに、投融資先を含む取引先等との建設的なエンゲージメントを通じて、持続可能なサプライチェーンの構築を図る。

・持続可能性の課題の中で環境問題だけでなく人権等の社会課題を取り込んだ。

・「気候変動」「生物多様性」など具体的な課題を例示。

・金融機関にとってのサプライチェーンを明示するため「投融資先を含む取引先等」を挿入。

・「エンゲージメント(対話)」の重要性を認識。

【原則6】

【原則7】情報開示

社会の持続可能性を高める活動が経営的な課題であると認識するとともに、取組みの情報開示に努める。

社会の持続可能性を高める活動が経営的な課題であると認識し、国内外の動向と開示フレームワークを踏まえ、取組みを広くステークホルダーに情報開示するとともに不断の改善を行う。

・情報開示は当然の行為として受け止められつつあるが、国内外の動向と開示フレームワークを踏まえ、「不断の改善」が求められているという観点を明記。