21世紀金融行動原則とは

業務別ガイドライン

運用・証券・投資銀行業務ガイドライン

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1.課題認識

運用・証券・投資銀行業界は、金融商品市場の担い手として、資本市場の健全な発展に向けた社会的役割が期待されている。その一環として、企業価値に影響を及ぼしうる環境・社会・企業統治に関する課題(以下ESG課題)を適切に考慮することが資本市場の健全な育成・発展等につながるとともに持続可能な社会の形成に寄与するものと考える。

 

2.取組事例の主な切り口

上記の課題認識に基づき、7つの原則に即した取組を進める上で推奨される切り口として、以下のようなものが考えられる。

 

(1)金融機能全般への期待の認識とこれに基づく業態別の対応の検討・実践【原則1】

署名機関は、持続可能な社会の実現に向けて金融機能に期待される役割の全体像を理解し、その基盤の上に各業態に則した取組を構築し、主体的に実践することが期待される。自らが担うべきポジティブインパクトの創出やネガティブインパクトの緩和の何たるかは、この理解と実践を通じて追求される課題である。

 

(2)本業の商品・サービスを通じた持続可能性の追求【原則2】【原則3】

<運用業務>

銀行・保険・資産運用会社等は、長期的視点に立ち、受益者の利益を追求することを目的としている。例えば、投資判断を行う際、ESG課題を投資判断要素として考慮し、投資対象企業に対して積極的に働きかけを行うことを通じて、投資対象企業のESG課題への意識を高め、取組を進展させることができる。また、銀行・保険・資産運用会社等は、投資対象となりうる全ての企業に対して、必要に応じて適切なESGに関する情報の開示を求める。これらを達成するために、銀行・保険・資産運用会社等は関連するステークホルダーとともに、ESGに関する情報の分析・活用手法の高度化、レベルアップを図る。

 

また、資産運用会社等は、最終投資家保護の観点から、投資家に対し運用商品提供を行うにあたって適切な情報を提供し、適切な判断が行われるよう促す責任を有している。この観点から、法令・諸規則等に従いつつ、持続可能な社会の形成に寄与していくため、金融商品・有価証券等の投資判断に必要と考えられるESGに関する情報を、投資家等へ伝える。

 

<証券/投資銀行業務>

証券会社は、証券業務において、投資家保護の観点から、投資家に対し金融商品販売を行うにあたって適切な情報を提供し、適切な判断が行われるよう促す責任を有している。この観点から、法令・諸規則等に従いつつ、持続可能な社会の形成に寄与していくため、金融商品・有価証券等の投資判断に必要と考えられるESGに関する情報を、投資家等へ伝える。例えば、情報提供に際しては、多様化している投資家のニーズや金融リテラシーの水準を踏まえたうえで、ESGに関する情報を提供もしくは説明することが期待される。

 

投資銀行は、引受け・証券化商品の組成等の投資銀行業務において、適切な金融商品を資本市場に提供するゲートキーパーとしての役割が期待されている。またM&Aアドバイザリー業務等いわゆるエージェントビジネス(代理人業務)では、顧客企業の依頼に基づいて業務運営を行う必要がある。こうした業務を行ううえでは、法令・諸規則等に従いつつ、持続可能な社会の形成に寄与していくため、対象となる取引における必要性や重要性等に応じて ESGに関する情報を収集、分析し、業務へ反映していく。

 

(3)全ての基盤となる人的資本の充実【原則4】

<運用業務>

銀行・保険・資産運用会社等は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべく研鑽を積む

 

<証券/投資銀行業務>

証券会社は、証券業務において、投資判断に資するESGに関する情報を投資家へ適切に提供するための実力や情報提供業務を行うにあたって必要となるESGに関する知見等を備えるべく研鑽を積む。

 

(4)取引先企業の事業に関する深い理解とこれに基づく高質な対話【原則5】【原則6】

銀行・保険・資産運用会社等は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握する。また、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めることが必要である。さらに、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権の行使が単なる形式的な判断に陥ることなく、投資先企業の持続的成長に資することを考慮して適切に判断を行う。

 

(5)情報発信【原則7】

<運用業務>

銀行・保険・資産運用会社等は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表することならびにスチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表する。

 

また、銀行・保険・資産運用会社等は、議決権行使を含むエンゲージメント活動やスチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行う。

 

<証券/投資銀行業務>

証券会社は、持続可能な社会の形成に貢献する製品・サービスを提供する事業会社に関する的確なリサーチ情報を適切なタイミングで発信する。また、発行体と投資家が行うエンゲージメント活動の内容について情報発信を行うことで、インベストメントチェーンが潤滑に回ることを支える。

 

3.参照できる基準

別表にまとめ、事務局が随時更新することとする(年1回程度)。

 

保険業務ガイドライン

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1.課題認識

保険業界は、リスクを計測・評価・管理し、保有・移転するリスクファイナンス機能の提供や、膨大な損害データを使った防災・減災、事故防止・軽減などのリスクソリューションサービスの提供、予防医療・健康情報の蓄積や医療機関ネットワークなど、他の金融セクターのなかでも、リスクに特化した特徴的な機能・役割をもっている。また、保険業界は幅広い顧客基盤を有している。一方、解決すべき社会的課題は、気候変動や生物多様性、人権問題など、幅広くかつ複雑であり、それらの解決には、上記の保険業界の機能・役割を最大限に活かしていかなければならない。また、投融資などの他の金融機能との組み合わせや、政策との連動、国際機関や市民社会組織との連携など、さまざまなセクターと連携することで、よりポジティブなインパクトの創出が可能となる。これらにより、保険業界は、長期的にお客さまや社会のリスクを軽減し、インクルーシブ(包摂的)で持続可能なグローバル社会、安心・安全で活力あふれる地域社会の形成に寄与していくことが求められる。

 

2.取組事例の主な切り口

上記の課題認識に基づき、7つの原則に即した取組を進める上で推奨される切り口として、以下のようなものが考えられる。

 

(1)金融機能全般への期待の認識とこれに基づく業態別の対応の検討・実践【原則1】

署名機関は、持続可能な社会の実現に向けて金融・保険機能に期待される役割の全体像を理解し、その基盤の上に保険業態に則した取組を構築し、主体的に実践することが期待される。自らが担うべきポジティブインパクトの創出やネガティブインパクトの緩和の何たるかは、この検討と実践を通じて追求される課題である。

 

(2)本業の商品・サービス等を通じた、お客さまや社会の持続可能性(サステナビリティ)の追求【原則2】【原則3】

補償対象とするリスクの性質や取引先およびそれを取り巻く環境に関する深い理解に基づき、お客さまや社会のリスクの回避・防止・軽減や機会の追求に役立つ保険商品・サービス(投融資を含む、以下同様)の開発に取り組むとともに、高品質な保険金の支払いやサービスの提供を通じて、お客さまが安心・安全で健康な人生を送ることのできる持続可能な社会の実現に貢献していく。また、気候変動の緩和と適応、脱炭素社会へのトランジションや環境技術の開発にともなうリスク、新しい環境ビジネスに関連したリスクを軽減し、機会を追求するような保険商品・サービスの開発・提供に取り組む。

 

さらに、署名機関は、業務プロセスを環境・社会課題の解決につながるものに変革するべく努める。また、社員参加型の社会貢献活動や一般市民向けの様々な普及啓発活動を推進する。

 

(3)全ての基盤となる人的資本の充実【原則4】

持続可能な社会の実現に向けた取組の全ての基盤は人であるとの認識の下、すべての役員、従業員、派遣社員等に対し、社内での教育・研修制度に加えて、本業による価値提供および地域社会での貢献活動を積極的に推奨することを通じて、様々な社会的課題への理解と解決に向けて、自ら考え実践することのできる人材を育成する。

 

(4)取引先企業の事業やリスクに関する深い理解とこれらに基づく高質な対話【原則5】【原則6】

投融資先を含む取引先の事業やリスクに対する深い分析と理解による高質で建設的な対話(エンゲージメント)および適切な保険商品・サービス等の提供を通じて、取引先の企業価値向上および社会価値創出をサポ―トする。また、地域特性に応じた社会課題(防災・減災、医療・介護等)を認識し、多様なステークホルダーとの建設的な対話・連携を通じて地域の包摂性およびレジリエンスに資する取組を実践する。

 

(5)積極的な情報発信とこれに基づく取組の継続的改善【原則7】

国内外の環境・社会関連基準やその動向を踏まえ、自らのサステナビリティに関する情報を積極的且つ適切に開示し、ステークホルダーとの対話を通じて自らが期待されている役割を正しく認識することで、取組の継続的な改善および新たなポジティブインパクトの創出等につなげていく。

 

3.参照できる基準

別表にまとめ、事務局が随時更新することとする(年1回程度)。

 

預金・貸出・リース業務ガイドライン

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1.課題認識

預金・貸出・リース業務に携わる金融機関等の役割は多岐にわたるが、署名機関に共通して期待されるのは、社会の持続可能性に資する形で金融仲介機能(情報生産機能、リスク負担機能)の発揮に努め、資金の出し手、受け手双方に様々な好影響をもたらす姿勢である。社会の持続可能性を追求する過程で生じる様々な資金需要に応える仕組みの開発・提供、リスク評価能力を活かしたプロジェクト等の適切な誘導など、預金・貸出・リース業務に携わる署名機関が実践する持続可能な社会実現に向けた取組は、文字通り、本業を通じたポジティブインパクトの追求に他ならない。

 

2.取組事例の主な切り口

上記の課題認識に基づき、7つの原則に即した取組を進める上で推奨される切り口として、以下のようなものが考えられる。

 

(1)金融機能全般への期待の認識とこれに基づく業態別の対応の検討・実践【原則1】

署名機関は、持続可能な社会の実現に向けて金融機能に期待される役割の全体像を理解し、その基盤の上に各業態に則した取組を構築し、主体的に実践することが期待される。自らが担うべきポジティブインパクトの創出やネガティブインパクトの緩和の何たるかは、この理解と実践を通じて追求される課題である。

 

(2)本業の商品・サービスを通じた持続可能性の追求【原則2】【原則3】

リスクと機会の両面から融資先企業の長期的な成長を支える金融商品・サービスの開発・提供に取り組む。不確実性を伴う長期の社会課題を認識し、その解決と融資先企業の成長を同期させるには、着実で公正なトランジションに向けた、イノベーションを通じた新たな産業創出を目指すグローバルな視点と、地域経済の特性を踏まえた包摂性のあるローカルな視点の双方を併せ持ち、自らの業態と顧客の特性に応じたスキーム構築と適切なサポートの提供が必要である。

 

(3)全ての基盤となる人的資本の充実【原則4】

持続可能な社会の実現に向けて期待される役割を果たす基盤は人であるとの認識の下、優れた金融商品・サービスの開発、取引先企業の課題への深い理解に基づく提案を担える人材の育成に取り組むことが求められる。

 

(4)取引先企業の事業に関する深い理解とこれに基づく高質な対話【原則5】【原則6】

適切な金融商品・サービスを開発・提供するには、取引先企業の事業に対する深い分析や理解と、これを踏まえた質の高い対話(エンゲージメント)が必要である。気候変動や自然資本、人権問題など、産業界が直面する多様なリスクと機会を踏まえた対話に至るには、サプライチェーンを含めた広い視点からの分析が不可欠であり、このためにも広範なステークホルダーとの連携が重要である。

 

(5)情報発信【原則7】

期待される役割を正しく認識し、これを本業の金融商品・サービスを通じて実践していることを適切に開示することは、自らの企業価値に影響するだけでなく、広範なステークホルダーと好事例を共有することを通じてポジティブインパクトを社会全体にもたらす重要な取組である。

 

3.参照できる基準

別表にまとめ、事務局が随時更新することとする(年1回程度)。