21世紀金融行動原則とは

業務別ガイドライン

運用・証券・投資銀行業務ガイドライン  保険業務ガイドライン  預金・貸出・リース業務ガイドライン

 

 

運用・証券・投資銀行業務ガイドライン

1.事業側面と持続可能な社会実現

  • 運用・証券・投資銀行業界は、金融商品市場の担い手として、資本市場の健全な発展に向けた社会的役割が期待されている。その一環として、企業価値に影響を及ぼしうる環境・社会・企業統治に関する課題(以下ESG課題)を適切に考慮することが、地球環境保護や資本市場の健全な育成・発展等につながるなど、持続可能な社会の形成に寄与するものと考える。
  • 銀行・保険・資産運用会社等は、運用業務において、機関投資家として、長期的視点に立ち、受益者のために最大限の利益を追求する義務がある。例えば、投資判断を行う際、受託者責任に反しない範囲内で、ESG課題を投資判断要素として考慮し、投資対象企業に対して積極的に働きかけを行うことを通じて、投資対象企業のESG課題への意識を高め、取組みを進展させることができる。また、投資対象となりうる全ての企業に対して、必要に応じて適切なESG関連の情報の開示を求めることが期待される。これらを達成するために、関連するステークホルダーと共に、ESG情報の分析・活用手法の高度化、レベルアップを求めることが期待される。
  • 証券会社は、証券業務において、投資者保護の観点から、投資者に対し金融商品販売を行うにあたって適切な情報を提供し、適切な判断が行われるよう促す責任を有している。この観点から、法令・諸規則等に従いつつ、金融商品・有価証券等の投資判断に必要と考えられるESGに関する情報を、投資家等へ伝えることで、持続可能な社会の形成に寄与していくことが求められる。例えば、リサーチサービスにおいては、投資家におけるニーズに対応しつつ、ESGに関する必要な情報を提供することが期待され、また投資家へのセールスにおいては、こうしたリサーチ情報等を踏まえ、必要なESG情報を顧客に説明することが期待される。
  • 投資銀行は、引受け・証券化商品の組成等の投資銀行業務において、適切な金融商品を資本市場に提供するゲートキーパーとしての役割が期待されている。またM&Aアドバイザリー業務等いわゆるエージェントビジネス(代理人業務)では、顧客企業の依頼に基づいて業務運営を行う必要がある。こうした業務を行ううえでは、法令・諸規則等に従いつつ、対象となる取引における必要性や重要性等に応じてESG要素に関する情報を収集、分析し、業務へ反映していくことによって、持続可能な社会の形成に寄与していくことが期待される。

 

 

2.具体的な取組み

上記課題に対応し、具体的な取組みを検討するにあたり、以下に掲げる業態共通または業態固有の既存の基準類を参考にする。

 

【全業態共通基準】
  • ISO26000社会的責任規格(2010年11月)
  • 日本経団連「企業行動憲章実行手引き」(2010年9月改定)

 

【業態独自基準】
  • 金融庁「企業内容等開示ガイドライン等」
  • 金融商品取引所の適時開示規則
  • 金融商品取引所の「コーポレートガバナンスに関する報告書」記載要領
  • 中央環境審議会総合政策部会「環境と金融に関する専門委員会報告書」(2010年6月)
  • 国連責任投資原則(PRI)
  • 責任ある不動産投資(RPI)
  • 日本証券業協会「自主規制規則(定款・諸規則等)」
  • 投資信託協会「自主規制規則(定款・諸規則等)」
  • 日本証券投資顧問業協会「自主規制規則(定款・諸規則等)」
  • 日本証券業協会「証券業界における社会貢献活動への取組みに当たって(基本的考え方)」(2009年9月)
  • 日本証券業協会「証券業界の環境問題に関する行動計画」(2008年2月)
  • 生命保険協会行動規範(2011年改定)
  • 日本損害保険協会行動規範(2005年3月改定)

 

運用・証券・投資銀行業務ガイドライン(PDFファイル 27KB)ダウンロード

 

 

 

保険業務ガイドライン

1.事業側面と持続可能な社会実現

  • 保険業界は、リスクを経済的価値により評価し、管理し、保有するリスクファイナンスの提供や、膨大な損害データを使った損害防止や防災などのリスクソリューションサービスの提供、予防医療・健康情報の蓄積や医療機関ネットワークなど、他の金融セクターのなかでも、リスクに特化した特徴的な機能役割をもっている。
  • 一方、新たな社会的課題(またはESG課題)は、気候変動の緩和・適応、資源・エネルギー・食料問題、貧困問題、社会的疎外、少子高齢化・地域の過疎化、医療・年金・介護・健康問題、安全・防災、人権など、幅広くかつ複雑である。それらの解決に、上記の保険業界の機能・役割を活かすことが可能である。例えば、気候変動における適応やマイクロインシュアランスに関して、世界的に保険の役割が注目されている。また国内でも、高齢化社会の進行により、医療・年金・介護など社会保障制度を補完する保険業界の役割はますます高まっている。
  • また、投融資などの他の金融機能との組み合わせや、政策との連動、国際機関やNGO/NPOとの連携など、さまざまなセクターと連携することで、より効果的な役割の発揮が可能となる。
  • これらにより、保険業界は、長期的にリスクを軽減し、インクルーシブ(包摂的)で持続可能なグローバル社会、安全・安心で活力あふれる地域社会の形成に寄与していくことが求められる。

 

 

2.具体的な取組み

上記課題に対応し、具体的な取り組みを検討するにあたり、以下に掲げる業態共通または業態固有の既存の基準類を参考にする。

 

【全業態共通基準】
  • ISO26000社会的責任規格(2010年11月)
  • 日本経団連「企業行動憲章実行手引き」(2010年9月改定)

 

【業態独自基準】
  • UNEPFI(国連環境計画)のPSI(持続可能な保険原則)(2012年6月)
  • 生命保険協会行動規範(2011年改定)
  • 生命保険業界の環境問題における行動指針(2006年11月)
  • 生命保険業界の低炭素社会実行計画(2011年2月)
  • 日本損害保険協会行動規範(2005年3月改定)
  • 日本損害保険協会環境方針(2006年6月)
  • 損害保険業界の環境保全に関する行動計画(2006年3月)
  • 日本損害保険協会環境部会の活動の方針及び計画

 

 

3.具体的事例の参考文献

  • UNEP FIのPSIケーススタディ集: The Principles in action — Case studies fromaround the world(2011年3月)
  • UNFCCC事務局への提言:Input from the United Nations Environment Programmeand the United Nations
  • Environment Programme Finance Initiative(2011年2月)
  • CERESレポート保険会社の気候変動への取組み~リスクからチャンスへ~:A CeresReport From Risk to Opportunity 2008 : Insurer Response to Climate Change(2009年9月)
  • 金融庁のCSRアンケート結果:金融機関のCSR実態調査結果の概要(2006年2月)
  • 損保協会および生保協会ホームページ・各社CSR報告書等に記載された活動例

 

 

4.取組事例の主な切り口

署名会社は、以下それぞれの切り口で主体的に取り組むことが推奨される。

 

(1) 本業の商品・サービスの開発において環境・社会への配慮を組み込む
  • 環境技術の開発にともなうリスク、新しい環境ビジネスに関連したリスクを軽減するような保険の普及と、それを促進する政策の提言に努める
  • 現状の保険引受、料率算定プロセスとESG課題との関係性を評価するリスク・脆弱性の評価、ロスプリベンション、ロスコントロールサービス、BCM(事業継続マネジメント)といったリスクソリューションサービスとESGリスクを関連付ける

 

(2) 業務プロセスに環境・社会への配慮を組み込む
  • 申込書、約款、証券、マニュアル等、会社や代理店がお客さまに適切な説明を行うための保険契約関係書類をはじめ、バリューチェーン全体で使う紙などの持続可能な資源使用を推進する
  • オフィスや社有車、人の移動・物流などから排出されるCO2の削減計画を立案、実践する

 

(3) 社会へ情報を発信し、さまざまなステークホルダーに働きかける
  • CSR報告書を発行するなど、自社の取組みについての情報開示を行う
  • 保険にかかわる国際的イニシアティブに参加する
  • 植林活動、地域の自然保護活動、生物多様性の保全活動など、社員参加型の社会貢献活動を推進する
  • 防災分野を担う人材育成、地震保険等の一層の普及啓発(学校教育・消費者教育など)を推進する
  • 損保業界におけるエコ安全ドライブを推進する
  • 損保業界におけるリサイクル部品活用推進に取り組む
  • 医療・介護分野を担う人材育成・支援および医療・介護保険等の一層の普及啓発(医療機関等への支援、学校・消費者教育等)に努める
  •  病気予防・検診の普及啓発(研究・医療機関への支援・情報提供、学校教育・消費者教育等)に努める

 

保険業務ガイドライン(PDFファイル 27KB)ダウンロード

 

 

 

預金・貸出・リース業務ガイドライン

1.事業側面と持続可能な社会実現

  • 預金・貸出・リース業務に携わる金融機関には、本業を通じて、環境・社会問題の解決に貢献することが期待されている。その役割は、業務内容や顧客特性に応じて多岐に亘るが、各署名会社が社会の持続可能性に配慮した金融仲介機能(情報生産機能、リスク負担機能)の発揮に努めることにより、資金の出し手、受け手双方に様々な好影響をもたらすことが期待出来る。
  • 環境対策を始め、社会の持続可能性に資する分野において生じる新たな資金需要に応えるための仕組みの開発、リスク分析能力を活かしたプロジェクトの適切な誘導、あるいは、リース機能を活用したエコプロダクツの普及促進など、持続可能な社会実現に向けた対応は、文字通り預金・貸出・リース業務にとって、本業の遂行のなかで追求しうる課題である。

 

 

2.具体的な取組み

上記課題に対応し、具体的な取組みを検討するにあたり、以下に掲げる業態共通または業態固有の既存の基準類を参考にする。

 

【全業態共通基準】
  • ISO26000社会的責任規格(2010年11月)
  • 日本経団連「企業行動憲章実行手引き」(2010年9月改定)

 

【業態独自基準】
  • 全国銀行協会「行動憲章」(2005年11月)
  • 全国銀行協会「銀行業界の環境問題に関する行動計画」(2001年9月)
  • 全国信用金庫協会「信用金庫業界の環境問題に関する行動計画」(2007年7月)
  • 全国信用金庫協会「信用金庫の環境問題への取組みに関する指針」(2010年11月)
  • 全国信用組合中央協会「信用組合業界の環境問題に関する行動計画」(2007年10月)

 

 

3.取組事例の主な切り口

署名会社は、以下に例示されるような切り口で主体的に取り組むことが推奨される。

 

(1) 本業の商品・サービスの開発において持続可能性への配慮を組み込む
  • 融資先企業の環境・社会に配慮した経営手法や設備の導入、関連ビジネスの競争力強化の取組みを支援する
  • 環境リスクの高まりが、取引先企業の経営等に与える影響の把握に努める
  • 大規模な開発案件への融資については、そのプロジェクトが社会・環境に与える影響を評価し、影響が著しい場合には融資先に対して対策を求めるなど必要な措置を講ずる
  • 様々なステークホルダーと連携し、地域における資金循環の確保に努める
  • 環境関連インフラの整備など、持続可能な社会の構築に重要な分野における新たな資金需要に応えるための金融の仕組みを提供する
  • エコ預金など、持続可能な社会形成に資する金融商品を開発・普及促進する
  • リース業務においては、リースの持つ金融機能と設備調達機能を活用し、環境性能の高い機器・設備の普及や、省エネルギー・省資源化の取組み支援、リース終了後の物件の3Rと適正処理の推進などにより、持続可能な社会に寄与する

 

(2) 業務プロセスに持続可能性への配慮を組み込む
  • 申込書、約款、証券、マニュアル等、バリューチェーン全体で使う紙などの資源について、グリーン調達に留意し、使用量削減や再資源化に取り組む
  • オフィスや社用車、人の移動・物流などから排出されるCO2の削減計画を立案、実践する
  • 店舗、備品等の調達に際し、資源の循環利用に留意するなど、設備投資における環境性能を考慮する

 

(3) 社会へ情報を発信し、さまざまなステークホルダーに働きかける
  • 環境関連商品の目的や効果についての適切な表示・開示を行う
  • お客様と協力し、店舗の節電や帳票のペーパーレス化など、環境負荷低減に取り組む
  • 環境問題に関する普及啓発活動(学校教育・消費者教育など)に努める
  • 地域の自然保護活動、生物多様性の保全活動など、社員参加型の社会貢献活動を推進する
  • 環境に関する情報を企業間で仲介することにより、環境産業の発展に資するよう努め

 

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