リース・レンタルサービスは、お客様に貸し出した機器等が返却された後に3R処理を徹底することで資源の循環を促しており、「循環型産業」とも呼ばれています。ビオトープとはBio(生き物)とTopos(場所)の合成語で「生物の生息空間」を意味し、植物、小動物、昆虫、鳥、魚など多種多様な生きものが共生できる場所のことです。
私たちは、ビオトープを作る一連の経験を通じて、生きもの同士のつながりによる生態系の循環と、持続可能な生息環境の形成・維持について、子ども達が学ぶ場を提供しています。
子ども達は、ビオトープをつくる前に3回の授業の中で、周辺地域に生息する生きものの種類や体のつくり、生態などを学びます。そして生きものが住み着きやすいビオトープを子ども達自身が考えて設計し、話合い、協力して作ります。作った後の観察授業では、想定していた生きものが住みついたかどうかを確認して、どうすれば生きものが住みついてくれるかを考えて実践します。NECキャピタルソリューション及びグループ会社の社員はボランティアとして子ども達には難しい力仕事などをサポートします。最近では、近隣の住民や地域サポート組織、PTA等からのボランティア参加も増加しています。ビオトープ造成には専門知識が必要なためNPO法人アサザ基金と協働して行っています。
2007年からスタートし2019年3月までに延べ46のプロジェクトを実施し、ボランティア参加者も延べ200名を超えています。
実施事例 → https://www.necap.co.jp/company/biotop/index.html
【特徴】
子ども達が自発的に活動するためのきっかけになるよう、子ども達自身で考え、相談する過程を作るために、3回の事前学習と造成後のフォロー学習を行っています。
NPOとの協働活動であり、自治体や教育委員会とも連携しています。活動開始から10年を超え、PTAや地域住民がボランティアで参加したり、社員の子どもが通う小学校で実施する例もあり、プロジェクトごとに様々な拡がりを見せています
三井住友信託銀行は、2018年9月に海外市場において当社初となるユーロ建てグリーンボンドを発行しました。欧州のESG投資家、アセットマネージャー等を対象に償還期間2年の変動利付環境債として5億ユーロの調達を実施しました。グリーンボンドによって調達した資金の発行代わり金の使途は、風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギープロジェクト、環境不動産の取得などのグリーンプロジェクトに限定しており、それらは気候変動の緩和、適応に資するものとなります。本グリーンボンドは、国際資本市場協会(ICMA)の「グリーンボンド原則2018」および環境省の「グリーンボンドガイドライン2017年版」に準拠しています。また、近年顕著に増加しているESG投資家から当社のESGの取り組みに対して高い評価を受けていることも奏功し、順調に消化しました。
【特徴】
<発行概要>
発行体 三井住友信託銀行株式会社
通貨 ユーロ建て
発行金額 5 億ユーロ
発行日 2018 年9 月25 日 (条件決定日:2018 年9 月18 日)
期間 2 年 (償還期限:2020 年9 月25 日)
資金使途 一定の要件を満たすグリーンプロジェクトに対するファイナンス
利回り 3 ヶ月 Euribor + 0.25%
三井住友トラスト・ホールディングス株式会社は、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱し、2019年9月22日に発効した「責任銀行原則(PRB:Principles for Responsible Banking)」の発足書名機関となりました。
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【特徴】
「責任銀行原則」は、銀行業務を持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定に示されているような社会的目標に即したものにすることを目的に策定されたもので、銀行が社会と株主の双方の価値を創造することで 21 世紀における経済と社会の変化の機会を捉え、投資家、顧客、社員、社会との信頼関係を築くことを支援するものです。当社は2019年1月に国内銀行としては初めてとなる責任銀行原則への支持表明を行っていました。
サステナビリティ(持続可能性)を巡る環境・社会的な課題の解決に向けて、金融機関には主体的な役割の発揮が求められています。「ESG経営 国内金融機関No.1」を標榜する当グループは、サステナブル金融推進のための取り組みを一貫して追求し、気候変動問題、自然資本、環境不動産、サステナブル投資、超高齢社会問題を優先して取り組む5大テーマと位置付け、課題解決型の商品・サービスの開発にも注力してきました。「責任銀行原則」は、三井住友トラスト・グループの社会的責任に関する基本方針(サステナビリティ方針)にも合致するものです。
責任銀行原則への署名にあたり、下記のトップコミットメントを提出しています。
「SDGs やパリ協定が掲げる課題の解決には、多様なステークホルダーの連携が不可欠であり、とりわけ資金を最適に配分するサステナブル金融の役割は極めて大きいと言えます。三井住友トラスト・グループは、これまでも信託銀行の機能を活用して環境問題の解決に注力する Eco Trustution に注力してきましたが、今後さらにそうした取り組みを加速させ、銀行業界においてリーダーシップを発揮して行きたいと思います。」
責任銀行原則は「署名金融機関は、自らの活動、商品、サービスに起因する人間と環境へのネガティブ・インパクトを減らしながらポジティブ・インパクトを継続的に増やし、リスクを管理することと、そのために、金融機関が最も大きな影響を与える可能性のあるところに目標を設定し公表すること」としています。それに基づき、融資先の企業やプロジェクトが経済、社会、環境に及ぼすインパクトを包括的に分析し、社会に好影響を及ぼすことを金融で支援するポジティブ・インパクト・ファイナンスを提供しています。
2019年9月に発足した「責任銀行原則(PRB)」では、融資の意思決定において、融資先の企業やプロジェクトがSDGsやパリ協定の目標に対して、ポジティブ・インパクトを最大化し、ネガティブ・インパクトを最小化させているかを評価することを求めています。三井住友信託銀行は、2019年3月に世界初となるポジティブ・インパクト・ファイナンス(資金使途を特定しない事業会社向け融資タイプ)の契約を締結しました。こうした商品コンセプトが評価され、2020年2月、環境省第1回「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」の融資部門で金賞(環境大臣賞)を受賞しました。2019年3月の第1号以来、2020年9月末時点で12件の実績があります。
【特徴】
ポジティブ・インパクト・ファイナンスは、企業活動が環境・社会・経済にもたらすインパクト(ポジティブな影響とネガティブな影響)を包括的に分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的として融資を実行するものです。UNEPFIが定めたポジティブ・インパクト金融原則及び同実施ガイドラインに即した手続きを踏まえて実行するものであり、企業の活動、製品、サービスによるSDGs達成への貢献度合いを、評価指標(KPI)を活用して具体的に明示して開示することが最大の特徴です。
当社は、信託銀行の機能を活用し、当社のお取引先が経済、社会、環境に及ぼすポジティブ・インパクトの最大化を目指すことがステークホルダーとの共通価値の創造であると考えており、当社が直接的に社会にインパクトを及ぼすことと併せて、間接的にインパクトを及ぼすことに注力していきます。当社では、ポジティブ・インパクト・ファイナンスにより、SDGsの目標達成に資するお客様の事業活動を支援するとともに、お客様の中長期的な企業価値と社会価値の双方の向上を支援することを目指しています。
気候変動問題は、企業や金融市場にとって大きなリスクとなっています。気候変動は、大気中の二酸化炭素濃度が上昇することによって、気温上昇、海面上昇を原因とする風水害や熱波等の異常気象を引き起こします。それが、農業、漁業等の食糧問題、人の生活圏の土地利用への影響など様々な弊害を及ぼします。また、規制等の変更や技術革新を伴って社会システムに想定外の変更を余儀なくさせたり、普段使っている製品やサービスが使用できなくなり日常生活に大きな影響を及ぼします。そのような複雑な要因が絡まって気候変動が企業活動に大きな影響を及ぼします。TCFDはそのような気候変動に関連するリスクや機会が企業の財務状況に対してどのような影響を及ぼすのかを把握し公表を促す取り組みです。TCFDによって気候関連の情報を開示し、意思決定を誤らないようにするものです。
当社グループでは、2018年8月に三井住友トラスト・ホールディングスがTCFDに対する賛同表明した他、グループ会社の三井住友トラスト・アセットマネジメント、日興アセットマネジメントも賛同しています。また、金融庁、環境省、経済産業省が共同で主導するTCFDコンソーシアムの参画メンバーとなっています。
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当社では、2014年以来、年に一度ESGレポート・気候変動小冊子を発行してきました。2020年度からは「TCFDレポート」として改訂し、TCFD提言に沿った開示をしていきます。
https://www.smth.jp/csr/report/2020/tcfd_all.pdf
① 公益信託
公益信託は、個人が公益活動のために財産を提供しようという場合や、法人が利益の一部を社会に還元しようという場合などに、信託銀行に財産を信託し、信託銀行があらかじめ定められた目的に従って財産を管理・運用して公益活動を行う制度で、奨学金の支給や自然環境保護活動への助成、国際協力・国際交流促進など、幅広い分野で活用されています。三井住友信託銀行は、1977年に公益信託第1号を受託して以来、受託件数を着実に増加させており、2020年3月現在の公益信託受託は178件327億円となりました。
② 社会貢献寄付信託
三井住友信託銀行は、社会貢献に取り組む公益法人などへの寄付を目的とする「社会貢献寄付信託」(愛称:明日へのかけはし)を取り扱っています。本商品を通じ、お客さまは、三井住友信託銀行が提示する「寄附先一覧」(2019年8月現在13団体)から団体を選び、毎年1回、当初信託元本の5分の1を寄付することができます。寄付先からは、寄付金の活用実績や活動内容の報告書が送られます。
③ 特定寄附信託
三井住友信託銀行は「特定寄附信託」を取り扱っています。これは2011年度税制改正によって新たに創設された制度に基づく信託で、運用収益が非課税となり、信託元本と合わせて寄附することができます。寄附先は、三井住友信託銀行が提示する「寄附先一覧」以外の団体を指定することも可能で、ご指定いただいた寄附先に5年または10年にわたり定期的に寄附を行います。
④ 遺贈による寄付
三井住友信託銀行は、ご自身の財産を社会・公益に役立てたいというニーズに応えるため、遺言信託において、公益団体や大学などと遺贈による寄付に関する提携を行い、遺産寄付の支援サービスを提供しています。
⑤ 自己株式を活用した社会貢献スキーム
三井住友信託銀行は、自己株式(金庫株)を保有する企業が、社会貢献のために配当金を公益団体等に寄付する信託スキームを取り扱っています。委託された株式の議決権は三井住友信託銀行に帰属します。三井住友信託銀行は、2014年度よりトヨタ自動車さま(委託者)とトヨタ・モビリティ基金さま(受益者)との間で、本スキームの取り組みを開始しました。配当金は新興国・途上国でのモビリティ格差の解消、自動車産業の健全な発展に資する活動、先進国での最先端の技術・システムの研究等に活用されます。
⑥ 寄付株式管理信託
三井住友信託銀行は寄付株式管理信託を取り扱っています。これは信託を活用し、保有株式を公益団体等に無償で貸与していただき、その配当金を非課税扱いで借主が受領することで、継続的な支援を実現するスキームです。2014年度、三井住友信託銀行は、借主として京都大学iPS細胞研究所さまを指定する取り組みを開始しました。
三井住友信託銀行は環境専門のインターネット放送局Green TV ジャパン、SDGsに特化した動画をネット上で放映するSDGsTVとタイアップし、全国の支店においてナショナルトラストや地域の生態系保全活動、SDGsと関連した取り組みを題材とした教材(動画)を作成し、近隣の教育機関にて環境教育、SDGs教育の授業を提供しています。
2012 年からプログラムをスタートし、和歌山県の天神崎、神奈川県の鎌倉・御谷(おやつ)の森等、これまでに全国で計15回の環境教育授業を展開しています。2015年には、国連生物多様性の10年(UNDB-J)が主催する生物アクション大賞に入賞しました。
2020 年8月 愛知県下の小中高の教職員の皆さまを対象にオンライン開催した「ESD 推進指導者研修会」では約40人を対象に、県内の各学校にいる参加者と首都圏にいる講師をオンラインでつなぎ、ESD とSDGs を取り入れた授業の実践について、リモート形式の講義を受講してもらいました。オンライン上で開催されたワークショップでは、探求の時間にどのようにSDGsを反映させたらよいか等、活発なディスカッションが行われました。考えました。今回の研修会は、完全リモートで「講義→ディスカッション→共有→まとめ」を実施する本プロジェクト初の試みでしたが、参加者の教職員の皆さまには、ESD やSDGs をどのように教育現場に浸透させていくか、また新しい学習の形としてリモート形式の講義を体感してもらうことができました。
【特徴】
本プロジェクトでは、テーマにそってカスタマイズされた数分間の映像コンテンツを活用しながら、随所で受講者に考える時間を与えながら授業を進めます。映像コンテンツは、短時間の視聴でも活字よりも圧倒的に多い情報量を持っており、この視覚的効果を利用して、理解力促進と感性に訴えるメリハリのある授業展開が可能になっています。授業で使用した映像コンテンツは当日中にウェブ上で閲覧できるようにする仕組みを作りました。コンテンツは一度製作すれば、どこの学校・エリアでも何年先でも同じ授業を行うことが可能で、地域の環境保全の重要性について地域全体に訴求する効果が生まれている他、ネットに掲載すれば全世界に情報を発信できることも魅力の一つといえます。
三井住友信託銀行ホームページに専用のページを設けて、各プロジェクトの内容をテキストと映像で確認いただくことができます。https://www.smtb.jp/csr/esd/
三井住友信託は、全国各地の支店を中心に、地域社会に貢献し、地域の皆さまと強固な信頼関係を築くため、地域に根ざした社会貢献活動を展開しています。当社は、このような取り組みを“With You活動”と呼んでおり、環境・生きもの応援活動、サクセスフル・エイジング支援活動、地域・社会貢献活動の三つの活動を重視して推進しています。
三井住友信託銀行の支店では2019年8月、各地域コミュニティへSDGsを浸透させ地域活性化に繋げることを目的に、全国にある134支店全店が「私たちのSDGs宣言」を策定しました。「私たちのSDGs宣言」は、SDGsを共通言語に、全国の営業店部が最注力するWith You活動を「見える化」する施策です。SDGsの目標17と各店部が達成したいと考える目標1つの計2つの目標を達成するためのアクションを、各支店が自ら策定し、具体的な活動を展開しています。
当グループでは2019年、世界的な海洋汚染問題への具体的アクションとして、社員ひとりひとりがプラスチック製品の利用削減とリサイクルできないプラスチックごみの排出削減に取り組もうと、「三井住友トラスト・グループ プラごみゼロ宣言」を策定しました。これは、「2030年までにリサイクルされずに廃棄されるプラごみゼロを目指す」という内容です。本宣言に基づき、グループ各社において「社員がプラごみを出さない」、「お客さまにプラごみを出させない」ための具体的な取り組みを進めています。各支店では、With You活動やSDGs取り組み推進の一環として「プラごみ0宣言」に基づいた活動と周知活動を展開し、地域コミュニティへの浸透に注力しています。
ウェブサイト サステナビリティ活動のページにWith You支店ブログを開設し、運営しています。このブログは支店のWith You活動やイベント情報をタイムリーに発信し、積極的に地域との接点を増やすことを目的としています。全支店に専用のページを割り当て、各支店が随時更新できるようになっています。http://branchblog.smtb.jp/
【特徴】
全国で展開している取り組みの内容は、季刊小冊子“With You”(年4回発行)を通じて顧客に紹介しています。
With Youの取り組みは、内容に応じて活動ポイントを定めており、支店に対しては、期中の取り組みのポイントの合計が一定以上になるように指導しています。また他の支店の模範となる取り組みを実施した支店を表彰する制度も導入しています。
With You活動には特別予算を付与し、活動をバックアップしています。
私たち三井住友トラスト・グループは、「三井住友トラスト・グループの社会的責任に関する基本方針(サステナビリティ方針)」に基づき、「CSR調達方針」を制定し、調達における環境・社会配慮を推進しています。
【特徴】
三井住友信託銀行はグループ全体でCSR調達を推進していますが、CSR調達の対象として選定した商品の中から、まず、業務において大量に使用・廃棄する紙の調達における環境・社会配慮を開始しました。コピー用紙については、熱帯雨林の違法伐採による生物多様性の棄損や地球温暖化へ影響が大きな問題となっています。調達を所管する総務部と経営企画部CSR 推進室が製紙メーカーや販売店に商品の環境・社会配慮の状況を聞き取り調査しました。調査の結果を受けて、違法伐採等の問題となっている用紙の購入を禁止し、サプライヤー、調達品を変更しました。また、名刺については、山林の管理から製造、販売まで一貫して環境・社会配慮をするFSC認証紙を採用しています。今後はCSR調達の推進品目を印刷物などに順次拡大していく計画です。
また、三井住友信託銀行は、紙の原料調達のために熱帯雨林の伐採や生態系の破壊が進むことを問題と考えており、同様の懸念を共有する紙のユーザー企業やWWFジャパン(公益財団法人世界自然保護基金ジャパン)とともに「持続可能な紙利用のためのコンソーシアム」に参画しています。2016年7月には、サプライヤーの企業や業界団体を招いてシンポジウムを開催し、課題の共有や取り組みの協働について活発な議論を行いました。各企業の取り組み状況を共有するとともに、サプライヤーに対してはより環境・社会に配慮した紙の供給を要請して、持続可能な紙利用の社会全体への浸透を目指します。
当グループでは、お客さまへお渡しする物に極力プラスチックを使わず、環境にやさしい素材を使うよう努めています。2019年より、お客さまへお送りする郵便物(窓あき封筒)の窓部分の素材を、分別せずに廃棄可能なパルプ素材「グラファン」に切り替えていくことにしました。この取り組みは関係会社各社でも展開していきます。また、お客さまへお渡しする粗品も、キャンペーンをご利用のお客さまにはエコバッグを配布するなど、環境にやさしい商品に切り替えられるよう準備中です。
当社は、責任銀行原則(PRB)および責任投資原則(PRI)署名機関として、サステナブルファイナンス、ESG投資を推進しており、サステナビリティ方針に掲げる「事業を通じた環境問題の解決への貢献」と「環境負荷の低減」を両立させる責任があります。新たに「三井住友信託銀行のCO2排出量を、2019年度を基準として、2030年度までに50%削減、2050年度までにゼロとする」という中長期目標を設定しました。
【特徴】
中長期目標は、2050年度に世界の共通目標であるゼロエミッションを達成することを目指すとともに、パリ協定の目標達成に向けた国際的な削減目標の基準とされているSBT(Science Based Targets)が、1.5℃目標を達成する削減率として4.2%/年以上の削減を求めていることを参考として、マイルストーンとなる2030年度に直近の2019年度の排出量を基準として、50%の削減を目指すこととしました。
三井住友信託銀行のCO2排出量の約8割が購入電力に、約1割が自家発電による都市ガスの燃焼に起因することから、主に電力関連の対策によって50%の削減を目指します。省エネなどの当社の自助努力による取り組みと再生可能エネルギーの普及などの社会全体の取り組みへの貢献によって、目標達成を目指します。
(1) 業務効率化の推進、高効率機器の導入による省エネの推進
業務効率化(主に時間外削減)、電算センターでの高効率機器の導入(サーバーや空調の更新、クラウド化等)、本店ビルや店舗の床面積の削減等によって、概ね10%程度の削減を見込んでいます。
(2) 再生可能エネルギーの普及による電力排出係数の低減への貢献
国内の電力において再生可能エネルギーが普及すると、電力の低炭素化が促進され、日本全体で電力排出係数を低減することができます。当グループでは信託、金融の機能を生かし再生可能エネルギーの普及に貢献することで、結果として当社のCO2排出量の低減を図ることができます。このような社会全体での取り組みで、10%程度の削減が見込まれます。
(3)当社自身による再生可能エネルギーの導入
三井住友信託銀行の購入電力を再生可能エネルギー由来の電力に切り替えることで、30%程度以上のCO2排出量の削減を見込むことができます。
自然資本の枯渇や汚染による資源調達リスク、生物資源の不足や不公正な取引、絶滅危惧種の増大による生物多様性の毀損など、経済活動や生活の基盤となる自然資本の問題が増大しています。当グループでは信託銀行グループの機能とスキルを生かした付加価値の高いソリューション事業を推進し、自然資本リスクの低い経済社会システムの構築と生物多様性の保全と自然資本のサステナブルな利用の促進に貢献します。
【特徴】
① 自然資本の取り組みにおいて目標とするSDGsゴール
地球環境は、あらゆる生きものの生命維持基盤であり、太陽の恵みのもと、水、大気、土、そしてそこで育まれる海や陸の動植物といった自然資本によって構成されています。人間もまた自然資本に依存しており、それを糧に社会システムを構築し経済を発展させてきましたが、その過程で大きな影響も与えてきました。自然資本は無尽蔵ではありません。依存と影響を的確に把握し管理しなければ、早晩使い果たしてしまうリスクがあります。このことは人間の日々の活動に密接に絡みます。それゆえにSDGsの全てのゴールが自然資本と関連しますが、当グループでは主に企業活動の視点から事業の基盤を置く国内、原料・部品調達の多くを依拠する海外の自然資本に注目し、その適切な依存と管理に資するテーマを目標として選定しました。
② 自然資本ファイナンス・アライアンス(旧:自然資本宣言)
三井住友トラスト・ホールディングスは、2012年6月にリオデジャネイロで開催された「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」において国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「自然資本宣言(The Natural Capital Declaration)」に署名しました。三井住友トラスト・ホールディングスは国内で唯一の当初からの署名金融機関です。なお、自然資本宣言は「自然資本ファイナンス・アライアンス(Natural Capital Finance Alliance)」と組織を発展的に改組して取り組みを拡大しています。
③ 自然資本研究会
当グループは、2013年4月に企業、政府、自治体、学者、研究機関、NGOなどが参加する自然資本研究(委員長 佐藤正弘東北大学 大学院国際文化研究科准教授)を立ち上げ、定期的に会合を持ち、各メンバーの研究内容をテーマにさまざまな角度から議論を重ねています。2018年4月には21世紀金融行動原則との共催で開催した第17回研究会において、自然資本の普及を目的に組成された自然資本コアリション(Natural Capital Coalition)エグゼクティブ・ディレクターのマーク・ゴーフ氏をお招きし、公表を翌週に控えた自然資本プロトコル・金融セクター補足書の内容を踏まえ「自然資本と金融」というテーマでご講演いただき、その後活発な議論を行いました。
④ 自然資本に関わる商品・サービス
当グループにおける自然資本に関わる商品開発の狙いとしては、投融資を通じ、企業、特に多くの資源を海外からの調達に頼る日本企業のサプライチェーンにおける自然資本への配慮の向上に貢献すること、陸域の自然資本の基盤は土地であることを踏まえ、山間部から都市部までそのエリアに即した生態系の回復に努め、エコロジカル・ネットワークの形成に貢献することがあげられます。
・自然資本評価型環境格付融資
企業が事業を継続するためには、資源としての自然資本の持続可能な利用が重要です。グローバル・サプライチェーンにおける、自然資本に関する調達リスクの管理が経営戦略上不可欠だという認識が高まってきました。三井住友信託銀行は、2013年4月、企業の環境に対する取り組みを評価する環境格付の評価プロセスに、自然資本に対する影響や、取り組みを評価する考え方を組み込んだ「自然資本評価型環境格付融資」を開始しました。自然資本の評価を融資基準に組み入れるという取り組みは、世界初の試みで、我が国の環境白書や欧州委員会の報告書等で先進的な事例として取り上げられました。
・生態系、生物多様性に配慮する建築コンサルティング
建物の環境性能を評価認証する「CASBEE-不動産」と敷地の生物多様性を評価する「JHEP(ハビタット評価認証制度)」を併用することにより、不動産の多様な環境性能を高め、総合的な不動産価値の向上を図ることができます。三井住友信託銀行の建築コンサルティングのメニューでは生物多様性への配慮を取り入れています。
・森林信託
日本の国土の約3分の2は森林です。これらの森林資源は戦後造成された人工林が中心で本格的な利用期を迎えていますが、実際はその多くが放置されている状況です。その理由として、森林所有者の経営意欲が低いことが挙げられる一方、意欲のある林業経営者が規模を拡大したくても、「事業地獲得が困難」「路網未整備」「資本装備(林業機械)更新が困難」などがネックになっています。三井住友信託銀行では、林業経営や山林の維持管理における担い手不足、相続問題、施業放棄、所有者不明森林などの社会問題を解決する一手段として、森林信託のスキームを開発し、2020年8月に、本邦初の商事信託として、岡山県西粟倉村に個人の方が所有する森林を信託受託しました。当社は所有者の方に代わって林業事業体への経営の委託、収入の管理などを行い、間伐収益などによる配当を行っていきます。森林信託は、林業再生や地域の活性化を進める「信託ならでは」のSDGsへの取り組みです。
・公益信託
公益信託は、個人や法人が財産を拠出し、公益活動に元利金を提供する仕組みで、信託銀行は、あらかじめ定められた目的に従って財産を管理・運用しています。三井住友信託銀行は、1977年に公益信託第1号を受託して以来、受託件数を着実に増加させています。さまざまな公益分野で助成事業を行っており、国内の自然保護やエコロジカル・ネットワーク構築に貢献するものも含まれています。
⑤ 融資における自然資本リスクマネジメント
三井住友信託銀行は、プロジェクトファイナンス等の融資にあたり、プロジェクト実施者に対して自然環境や地域社会に及ぼす影響に十分配慮することを求める民間金融機関の国際的ガイドラインである「赤道原則」に署名しています。また、環境・社会への影響が大きい事業活動を推進するセクターに関するセクターポリシーを定め、負の影響を及ぼす企業やプロジェクトへの投融資を抑制しています。2020年3月、森林、パーム油など、熱帯雨林の違法伐採が懸念されるセクターについて、ポリシーを策定しました。
https://www.smth.jp/news/2020/200331.pdf
⑥ 投資(資産運用)における自然資本リスクマネジメント
三井住友トラスト・アセットマネジメント(SMTAM)および日興アセットマネジメント(NAM)は、機関投資家が投資の意思決定に際してESG(環境、社会、ガバナンス)に配慮することを求め2006年に制定された「責任投資原則」に署名しています。両社とも、投資先に対しエンゲージメントを通じ、サプライチェーンを含めた自然資本の活用状況やリスクについてのガイドラインやポリシーを求め、長期的観点からリスクコントロールを行うことを要請しています。
⑦ 自然資本レポートの作成
当グループは、情報開示の一環で自然資本に関する取り組みをまとめた報告書を毎年作成し、ESGレポートの別冊版という形で発行しています。今年度の「自然資本レポート」は、生物多様性を中心テーマとし、日本生態系協会監修のもと作成しました。
https://www.smth.jp/csr/report/2020/nc_all.pdf
経済社会の発展に伴って、建築物のエネルギー消費に伴う地球温暖化が進行し、都市域が拡大することに伴って生物多様性の毀損などの環境破壊が拡大しています。当グループでは、エネルギー効率性、資源効率性の高い都市や建築物、生産効率改善に貢献する建築物といった環境配慮不動産の普及拡大を目指します。高い環境性能などがもたらす収益の向上やリスクの低減によって不動産の価値向上に資する取り組みを推進していきます。
【特徴】
① 環境不動産の取り組みにおいて目標とするSDGsゴール
建物の建設・運用に関するCO2排出量は、間接排出分も含めると日本全体の約4割に及ぶともいわれています。また人間は屋内で過ごす時間が長いことから、その屋内環境は当然、滞在者の健康や生産性にも影響します。このように不動産は環境、社会、経済の三側面に大きな影響を及ぼしていることから、SDGs達成に向けた統合的取り組みはこれら三側面の持続可能性(サステナビリティ)向上に大きな効果をもたらすものと考えられます。当グループでは、エネルギー効率性、資源効率性の高い都市や建築物、生産効率改善に貢献する建築物といった環境配慮不動産の普及拡大を目指します。高い環境性能などがもたらす収益の向上やリスクの低減によって不動産の価値向上に資する取り組みを推進していきます。
② 環境不動産に関する三井住友信託銀行の取り組み
・三井住友信託銀行は、信託銀行としての幅広い取引基盤を生かし、不動産仲介や証券化、コンサルティング、鑑定評価から投資事業まで、グループの総合力を生かし、専門性の高い事業を幅広く展開しています。
・環境不動産に関しては2005年、環境不動産のもたらす付加価値に関する論文の発表を皮切りに、「環境性能」とそれに伴う「付加価値」を分かりやすく示すことを中心に、多くの提言を行ってきました。
・2010年には国内金融機関として初めて、環境不動産の専担組織を設置しました。不動産事業の高度なビジネス基盤に加え、環境不動産のパイオニアとしての取り組みを通じて、環境不動産の普及に向けたビジネスを展開しています。
④自然資本に関わる商品・サービス
・CASBEE-不動産認証申請支援コンサルティング
三井住友信託銀行は、CASBEE-不動産の認証申請を支援するコンサルティング業務を展開しています。認証申請を行う不動産の選定などを支援するとともに、CASBEE不動産評価員の有資格者が不動産の環境性能評価を実施し、認証機関への認証申請をサポートします。また、 三井住友信託銀行は、CASBEE-不動産の評価と合わせて、環境性能の向上に向けた課題の発見や、その改善に向けた取り組みに関する提言も行っています。
・「CASBEE-ウェルネスオフィス」認証申請支援コンサルティング
三井住友信託銀行は、国土交通省「ESG投資の普及促進に向けた勉強会」および「スマートウェルネスオフィス研究会」を通じてCASBEE-ウェルネスオフィスの開発に関与しており、CASBEE-ウェルネスオフィスによる評価や認証申請手続きに関する助言、審査対応等の支援業務を行っています。
・「CASBEE-街区」認証申請支援コンサルティング
CASBEE-街区は、CASBEE®のさまざまなツールの中でも、住宅地や商業地などの面的な開発(街づくり)を対象とした環境性能評価です。 環境・社会・経済の三つの側面からみた環境品質とともに、環境負荷の低減が評価されます。 持続可能な開発目標(SDGs)や環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する取り組みを示しやすい評価項目の構成となっています。三井住友信託銀行は、CASBEE-街区による環境性能の評価や、認証申請手続きに関する助言、審査対応支援等の支援業務を行っています。
・建築時における環境配慮に向けたお手伝い
三井住友信託銀行は、我が国初の土地信託を1980年代に商品化し、ビルやマンションなど多くの不動産開発や運営に携わっており、それらの経験を生かした建築コンサルティングのサービスを提供しています。この建築コンサルティングのサービスにおいて、お客さまのご希望に応じてビルなどへの省エネシステム導入、景観や生態系への配慮、建物長寿命化、リサイクルシステムの採用など、環境配慮に関するアドバイスも行っています。環境問題に対する関心の高まりから、最近ではCASBEE®の認証や自主評価を目指す案件も多くなってきました。また、国土交通省「サステナブル建築物等先導事業」(旧住宅・建築物省CO2先導事業)や経済産業省「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業」に採択された事業もあります。
・スマートタウン・スマートシティの価値「見える化」と構想策定支援
近年、「電気の有効利用に加え、熱や未利用エネルギーも含めたエネルギーの『面的利用』や、地域の交通システム、市民のライフスタイルの変革などを複合的に組み合わせたエリア単位での次世代の社会システムである『スマートコミュニティ』のシステムを取り入れたスマートタウン・スマートシティの実現が、地域開発にあたっての重要なポイントとなっています。スマートタウン・スマートシティ実現のためには、基本構想段階から環境面・社会面・ガバナンス面(ESG)における街の目標を明確に定めるとともに、コストアップに応じた経済的な付加価値を実現させる必要があります。三井住友信託銀行はスマートタウン・スマートシティのプロジェクトに関して、環境貢献などのさまざまな取り組みを経済的な付加価値に結び付けるフレームワークの構築や、事業構想の策定をお手伝いさせていただくほか、住宅ローンなどの金融機能の提供を通じて事業の実現をサポートしています。
⑤ グリーン合同運用指定金銭信託の組成
三井住友信託銀行では、環境不動産への取り組みが有利な資金調達につながるよう、グリーンファイナンスの商品化を進めています。2018年9月にグリーンビルディングの新規取得およびリファイナンスに資金使途を限定した貸付金で運用する合同運用指定金銭信託「グリーントラスト」を組成しました。投資家からの信託金はJ-REITへの貸付を通じてCASBEE-不動産の認証等を受けたグリーンビルディングに振り向けられ、J-REIT市場における環境不動産の普及拡大に資するものです。本グリーントラストはグリーンボンド原則に準拠し、株式会社日本格付研究所(JCR)のJCRグリーンボンド評価において最高位である「Green1」の評価を取得しています。これは、合同運用指定金銭信託として国内初の取り組みとなります。また、本グリーントラストからの貸付金に関しても、グリーンローン原則に準拠しJCRグリーンローン評価で最高位の「Green1」の評価を取得しています。
⑥ 環境不動産レポートの作成
当グループは、情報開示の一環で環境不動産に関する取り組みをまとめた報告書を毎年作成し、サステナビリティレポートの別冊版という形で発行しています。
https://www.smth.jp/csr/report/2020/efp_all.pdf
超高齢社会の到来によって、年金や社会保障などの生活を支える経済社会システムの脆弱化や、認知症等の高齢者に対する適正な金融サービスの対応の需要の高まりなど、安全で安心な人生設計にも変化が求められています。当グループでは、信託の力を中核とした信託銀行グループの機能とスキルを生かしたソリューション事業を推進することで、下記の実現を目指しています。
? お客さま本位の金融サービスの提供やさまざまな情報提供を通じた、自分の人生は最後まで自分で決めるプロダクティブ・エイジングの支援
? 認知症についての社員のリテラシーの向上、業界連携の促進、財産管理サービスの拡充を通じた、認知症になっても可能な限り本人の思いを尊重する意思決定支援の推進
? 資産・負債両面にわたる人生設計の総合コンサルティング(バランスシートコンサルティング)を通じた、住まいを含めた資産の形成・管理や、次世代への円滑な資産移転サポートの推進
? QOL(生活の質)の維持につながる住まいの整備への貢献とお客さまへの選択肢のご提供を通じた、自分らしい暮らしが継続して営める住まいや支援体制の整備(地域づくり)
【特徴】
① 人生100年応援信託<100年パスポート>
人生100年時代となり、今後多くのお客さまに起こることとなる判断能力の低下に対する備えとして有効な機能群をワンパッケージにした、お客さまに安心して豊かな人生を楽しんでいただくための信託商品です。
ワンパッケージの4つの機能
1.まかせる支払機能
認知症や健康の不安に備え、支払い手続きをまかせる方をあらかじめ指定できます(3親等内の親族、弁護士、司法書士を指定いただけます)。
認知症や健康が不安な期間において
毎月の生活費等の受け取り(毎月20万円まで)ができます。年1回増額(20万円まで)が可能です。
金額が大きくなりがちな医療費、介護費、住居費のお支払いも可能です(あらかじめ払戻しの同意者を定めることもできます)
2.防犯あんしん機能
年間16,000件にのぼる特殊詐欺などに備え、あらかじめ払戻しの同意者を定めることができます。
3.ねんきん受取機能
毎月の生活費を定期的に受け取れます。充実した暮らしのための支出や生前贈与にも活用できます。
4.おもいやり承継機能
ご相続発生時に、あらかじめご指定いただいた相続人に500万円までをスムーズにお支払いします。
② 安心サポート信託(金銭信託型)(ファンドラップ型)
お客さま自身とご家族などの方々のために、大切な財産をオーダーメードかつ中長期の一般社団法人安心サポートと連携し、財産や身の回りのことに対する不安を軽減する「信託銀行」ならではの商品です(ご契約内容はお客さまの資産形成・管理の方針をお聞きした上で、ご一緒に設計致します)。
またファンドラップ型については、お客さまが資産運されている部分は継続しつつ、必要に応じて取り崩しができるよう、三井住友信託ファンドラップによる運用を継続しながら、必要に応じて換金の上、生活費や医療・介護費等をお支払いし、換金・支払いは、信託契約であらかじめ条件を設定いただけるほか、緊急時など必要な場合については当社の判断により実施します。
③ 特定贈与信託
特定贈与信託とは、特定障がい者の方の将来にわたる生活の安定に資する目的で贈与されたご資金を、三井住友信託銀行が合同運用金銭信託等で安定的な運用を行い、お客さまに代わって特定障がい者の方にお渡しする商品です。
受益者となる「特定障がい者」は、障がいの程度によって「特別障がい者」と「特別障がい者以外の特定障がい者」に分けられており、「特別障がい者」の方は6,000万円、「特別障がい者以外の特定障がい者」の方は3,000万円まで非課税で、生活費や医療費等に充てる資金として定期的にお支払いします。
④ 家族おもいやり信託(一時金型)
相続が発生した場合、「葬儀の段取り」「相続関係の手続き」など、のこされたご家族の方には、さまざまな手続きが待っています。「家族おもいやり信託(一時金型)」は、お客さまに相続が発生した際、あらかじめ法定相続人の中からご指定いただいたお受取人に対し、お預かりしている信託財産を当面の必要資金や葬儀費用としてお支払いする商品です。
⑤ おひとりさま信託<金銭信託型><生命保険型>
葬儀、納骨、遺品整理、訃報連絡などの終活を支援する、実現型のエンディングノートサービスです。三井住友信託銀行が母体となって設立した一般社団法人安心サポートによる死後事務業務と、安心の信託による分別管理機能をべースに、スマートフォンでも更新できる実現型エンディングノートに基づいて、お客さまのご希望に則った死後事務を実現するサービスです。
⑥ 家族信託の支援
三井住友信託銀行は、信託の仕組みを利用してご家族の財産を管理・承継する、家族信託(民事信託)を希望されるお客さまについても、円滑な運営が図られるよう支援しています。具体的には、家族信託の組成コンサルティングや契約書作成支援を行った法律・税務の専門家と連携し、家族信託の受託者に対して、信託口預金口座(信託のために使う口座)をはじめとする金融・信託等の商品・サービスをご提供しています。
⑦リバースモーゲージ
三井住友信託銀行は2005年3月、自宅を担保に老後のゆとり資金を融資する「リバースモーゲージ」の取り扱いを始めました。年金のように毎年一定額を受け取る方法と、設定した枠内で随時受け取る方法があります。
「認知症」とは高齢者に顕著に見られる病気の一つです。代表的なアルツハイマー型をはじめとして認知症は、脳の機能が低下することによって、記憶・判断力の障がいなどが起こり、社会生活や対人関係に支障が出ます。認知症の罹患者は2025年には700万人を超えるとの推計値が発表されています。これは、65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症に罹患することを意味します。三井住友信託銀行では、お客さまのリテラシーの向上や大切な財産をお守りするための信託商品の開発を進めています。
【特徴】
・意思決定支援に向けたCOLTEMとの連携
三井住友信託銀行の認知症に関する取り組みは、文科省傘下の科学技術振興機構が助成するCOLTEM(高齢者の地域生活を健康時から認知症に至るまで途切れなく法学、工学、医学を統合した社会技術開発拠点)およびその研究リーダーの京都府立医科大学大学院(成本迅医学研究科精神機能病態学教授)と連携を取りながら推進しています。2017年9月に出版した「認知症の人にやさしい金融ガイド」もその成果の一つです。また、金融と認知症に焦点を当てたシンポジウムの開催を主導するなど、金融業界全体の認知症対応力の向上に貢献してきました。本連携を通じて培った知見は、三井住友信託銀行自身の商品・サービスの開発等にも大きく役立っています。
・営業店における対応能力・リテラシー向上
三井住友信託銀行では、国の認知症高齢者にやさしい地域づくり政策「新オレンジプラン」に基づき、認知症の人と家族の応援者である「認知症サポーター」養成を推進し、指導者層である営業店の課長に対し日本応用老年学会の「ジェロントロジー・コンシェルジュ」認定資格の取得を義務づけています。
また、全営業店に「認知症の人にやさしい金融ガイド」を配備のうえ読み合わせ勉強会を実施するなど、より実務的な対応力を強化しています。あわせて、対応スキルの修得を示す資格として、2021年1月に創設される「銀行ジェロントロジスト」認定資格を、営業店の全社員が取得する予定です。
・地域包括ケアシステムへの参画
認知症問題は金融機関だけの問題ではなく、地域全体で対応して行く必要があります。こうした観点から当社は国が推進する地域包括ケアシステムに参画し、その中で独自の役割を果たして行くべきと考えています。こうした考えに基づき、全国の支店ではまず近隣の地域包括支援センター(地域包括ケアの中核組織)とのコンタクトを取り、連携のベースを築く取り組みを行っています。
・認知症のお客さまの財産管理における対応力の強化
認知症などの理由で判断能力が不十分になると、預貯金の管理やさまざまな契約を自分で行うことが難しくなり、振り込め詐欺や悪徳商法の被害に遭うおそれが高まります。財産管理において、まず優先すべきは言うまでもなく「守り」です。次に必要なことは財産管理における「日常生活支援」です。生きていくために年金を受け取ったり、税金や公共料金の払い込みや、買物の代金の支払いなど日常生活のお金の管理をサポートすることが必要です。「想いをつなぐ」ためのサポートも重要です。認知症になって意思(想い)の伝達が難しくなっても、やりたいこと、やってほしいことに変わりはありません。ただ、それを支援者の配慮に頼るには限界があり、特に契約など法律行為が伴うことは、判断能力があるうちに私的な契約で「想いをつなぐ」ための手立てを講じておくことが必要です。当社では、シニア世代応援レポート「認知症を考える」を作成し、成年後見制度やその他の公的な支援の仕組み、およびそれらを補完する金融商品・サービスを分かりやすく整理し、ご提案しています。
① 後見制度支援信託
法定後見制度による支援を受ける人の財産のうち、日常的な支払いをするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し、通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みです。本信託を利用すると、信託財産を払い戻したり、信託契約を解約したりするにはあらかじめ家庭裁判所が発行する指示書が必要となります。財産を信託する信託銀行等や信託財産の額などについては、原則として弁護士、司法書士等の専門職後見人がご本人に代わって決めた上、家庭裁判所の指示を受けて、信託銀行との間で信託契約を締結することになります。これにより、成年後見人がご本人の財産を不正に使ってしまわないように適切に保護されます。
② 任意後見制度支援信託
任意後見制度支援信託は、任意後見制度をご利用される方の財産を信託で管理することで、任意後見制度をサポートするための信託です。任意後見契約が発効した後は、お預け入れいただいた金銭信託からの払い戻しには任意後見監督人の同意が必要となりますので、安全・確実に財産の保護を図ることができます。また、日々の生活に必要な資金などを定期的にお受け取りいただくこともできますので、任意後見人が担う財産管理のご負担も軽減することができます。
③ 人生100年応援信託<100年パスポート>(再掲)
人生100年応援信託は、認知症など判断能力の低下時に直面する、「預貯金の引き出しなどの困りごと」に対する備えとして有効な機能群をそろえた金銭信託です。成年後見制度とタイアップしたソリューションのご提供も含め、幅広くお客さまの立場に立ったコンサルティングを行う、人生100年時代のお供に、最適の信託商品です。
④ セキュリティ型信託
振り込め詐欺など高齢者を狙った犯罪が増加・巧妙化しているなか、お客さまご自身や離れて暮らすお子さまの不安が増大しています。こうした金融犯罪からご資産をお守りする商品が「セキュリティ型信託」です。本商品は、お預け入れいただいたご資金を払い出す際に、あらかじめご指定いただいた同意者(お客さまの3親等内のご親族)の方の同意を得た上でご資金をお支払いする仕組みです。定時定額払い方式の併用も可能です。
「共通価値の創造(CSV: Creating Shared Value)」とは、企業が社会のニーズや問題に取り組むことで社会的価値を創造し、同時に自らの経済的価値を創造していくという考え方です。当グループが目指す「共通価値の創造」は、「存在意義(パーパス)」「経営理念(ミッション)」、「目指す姿(ビジョン)」、「行動規範(バリュー)」、および当グループの社会的責任に関する基本方針である「サステナビリティ方針」に基づいたものです。これらのポリシーには、経営の根幹に据えた「社会的価値創出と経済的価値創出の両立」に取り組む姿勢が明示されています。
また、当グループは、国際的な企業行動原則である「国連グローバル・コンパクト」や、国内金融機関の自主原則「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則(21世紀金融行動原則)」等に署名しており、これらの原則・行動指針を尊重しながら、共通価値の創造を目指しています。
【特徴】
当グループは、「三井住友トラスト・グループの社会的責任に関する基本方針(サステナビリティ方針)」の下、事業を通じて環境問題の解決に資する商品・サービスを提供し、当グループの事業活動に起因する環境負荷を低減することを目的として「環境方針」を制定しています。また、グローバルに重要な二大環境問題への取組推進のために「気候変動対応行動指針」「生物多様性保全行動指針」を制定し、さまざまなステークホルダーと対話・協働して対応に努めています。社会的な課題に関しては、個人の人権や多様な価値観を尊重し、不当な差別行為を排除することを目的として、「人権方針」を制定し投融資先が人権に与える負の影響について情報収集し、法規範等に反する場合等には必要な対策を講じることを定めています。
また、資産運用に関して、グループの三井住友トラスト・アセットマネジメント、日興アセットマネジメントは「責任ある機関投資家」として、「ESGガイドライン」を制定しています。本ガイドラインは、国際的な企業行動規範である「国連グローバル・コンパクト」を踏まえた内容としており、投資先企業には環境への影響の最小化や国際的な労働権利の順守、雇用における差別の禁止、児童労働の禁止や強制労働の根絶、強要と贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗の防止などを期待することなどを明記しています。
三井住友信託銀行は、プロジェクトファイナンス等の融資にあたり、プロジェクト実施者に対して自然環境や地域社会に及ぼす影響に十分配慮することを求める民間金融機関の国際的ガイドラインである「赤道原則」に署名しています。また2020年3月には、海運業界の気候変動リスクに対する金融機関の取り組みとして設立された「ポセイドン原則」に、アジア諸国の金融機関として初めて署名しました。融資の意思決定に際しては、プロジェクトの環境・社会への影響をレビューし、総合的なリスク判断を行います。
当グループはサステナビリティ方針の下、共通価値創造のためのマテリアリティ(重要課題)・マネジメントの推進、事業におけるサステナビリティの取り組み、コミュニティへの価値提供を3本柱として具体的な取り組みを進めています(詳細は下記)
これらはSDGs(持続可能な開発目標)とも密接に関係しています。SDGsが目指す持続可能な社会の構築には、その社会に適合したお金の流れを作ることが不可欠であり、このことは金融機関の本質的な役割であると考えられます。こうした観点から当グループは、お客さまと共にお客さま自身の社会ニーズへの対応とそれに即した金融の仕組みを考えていきます。当グループは、超高齢社会問題の解決に資する事業、また環境問題の解決に資する事業はエコ・トラステューションとして、トータルソリューションのラインアップを拡充してきました。今後もこうしたサステナビリティ事業を推進し、SDGsの個別目標については、ご提供する商品・サービスの社会的価値の妥当性を検証する基準として活用するだけでなく、当グループが目標実現にポジティブな影響(インパクト)を及ぼすよう運営・管理・情報開示のレベルを引き上げていきます。
企業が価値を創造する最終的な目的は、健全で持続可能な社会の構築への貢献です。社会の構成要素であるコミュニティへの価値提供は、事業基盤を健全に維持することにつながることから、事業を行う上で必要な社会的ライセンスと考えられます。当グループはこうした観点からSDGsの視点も取り入れながらさまざまな形でコミュニティへの価値のご提供を実践しています。また、当グループでは関連会社や支店が自主的にさまざまな社会貢献・地域貢献の取り組みを行っています。
【特徴】
① 共通価値創造のためのマテリアリティ(重要課題)・マネジメントの推進
当グループがステークホルダーとの共通価値を創造し成長を遂げていく上で、サステナビリティの視点は不可欠です。当グループは、経営基盤を形成するものとしてESG(環境・社会・ガバナンス)を重視しており、利益成長においても持続性を期待する長期投資家の評価軸を取り込んだマテリアリティ・マネジメントを推進します。
② 事業におけるサステナビリティの取り組み
当グループは専業信託銀行グループの機能を生かし、お客さまが直面する社会的な課題に対しトータルソリューションをご提供することで、お客さまとともに持続可能な社会の構築を目指します。SDGs(持続可能な開発目標)はご提供する商品・サービスが創造する社会的価値を把握する(妥当性を検証する)基準として活用します。
③ コミュニティへの価値提供
社会の構成要素であるコミュニティへの価値提供は、事業基盤を健全に維持することにつながることから、事業を行う上で必要な社会的ライセンスと考えられます。当グループはこうした観点からSDGsの視点も取り入れながらさまざまな形でコミュニティへの価値のご提供を実践しています。
マテリアリティ(重要課題)とは、企業の価値創造プロセスに実質的な影響を与える事象です。当グループは、中長期的な視点から優先的に取り組むべき課題としてマテリアリティを特定し、経営のトップレベルで対応するマテリアリティ・マネジメントを推進しています。
環境・社会問題が深刻化する中、リスク管理、収益機会の両面からサステナビリティを経営課題に取り込む企業が増えています。当社のマテリアリティは、当グループの中長期的な企業価値に与える影響と当グループがステークホルダーとの関係を通じ社会へ与える影響の両面から特定されています。この過程で、ガバナンスを含む経営基盤に関わるテーマや、社員やコミュニティとの関係性を含む社会的なテーマ、資源やエネルギー問題とも直結する環境的なテーマが考慮されることから、当グループではマテリアリティをESG(環境・社会・ガバナンス)と重なり合うものと認識しています。
【特徴】
当グループは、2015年にマテリアリティを特定し、2019年にマテリアリティの見直しを実施しています。2019年の見直しでは、財務的視点の重要項目であるトップリスクと非財務的視点の従来マテリアリティを整理統合し、財務・非財務の両方の視点をもつマテリアリティを取締役会で決議しました。
当社はマテリアリティ項目を経営の課題と考えて対応しています。取締役会では、当グループのコーポレートガバナンス基本方針(第3条‐4)に記載された「取締役会が取り組むべきサステナビリティをめぐる環境・社会的な課題」に対応するものとマテリアリティを位置付け、マテリアリティの高いテーマを中心に多面的な議論を行い、当グループが進むべき方針を決定しています。
① リスク委員会
当社は、会社法により設置が求められる指名・報酬・監査の3つの委員会に加え、取締役会の諮問機関として独立社外取締役が参画するリスク委員会を設置し、コーポレートガバナンスの実効性を確保するとともに、当グループのビジネスモデルの健全性および信頼性、ならびに経営の透明性をより一層高めています。リスク委員会は、当グループの経営を取り巻く環境、マテリアリティに関する事項に関して、取締役会からの諮問を受けて、その適切性等について検討し、答申を行います。
② インターナル・エンゲージメント
インターナル・エンゲージメントとは、経営企画部サステナビリティ推進部が「擬似投資家」となってマテリアリティの高い業務の担当部署と行う対話(エンゲージメント)のことです。外部の機関投資家やステークホルダーと直接対話を行うことが少ない部署が投資家視点での課題を認識し、具体的な対応を検討するきっかけを創出します。インターナル・エンゲージメントの結果は、年に一度、取締役会に報告しています。
地球温暖化を原因とする生態系や食糧生産への影響、異常気象によるインフラ機能の停止、水不足や高温による健康被害などに対応するために、温暖化の緩和策と影響を低減する適応策の双方に貢献することが金融機関に求められています。当グループでは信託銀行グループの機能とスキルを生かした付加価値の高いソリューション事業を推進し、省エネ投資の促進や再生可能エネルギーの導入拡大などによって化石燃料依存社会から脱炭素社会への転換を図ることに貢献します。
【特徴】
① 気候変動の取り組みにおいて目標とするSDGsゴール
今、世界で最も深刻な環境問題は気候変動問題です。気候変動は異常気象や海面の上昇等を通じて既に人の生活や経済活動にさまざまな影響を及ぼしています。また、その影響は途上国や弱者に対してより悪影響を及ぼし、格差や貧困等の社会的課題の原因となっています。一方で、気候変動に対する緩和や適応の対策は、自然資本を豊かにすることにより、人に対する生態系サービスの向上につながります。また、投資の促進や技術革新による社会システムの移行は、経済的な成長を生み出します。地球の持続可能性はCO2排出量実質ゼロの社会をいかに早く達成するかにかかっています。気候変動に対してレジリエントな社会を追求する過程は、貧困撲滅と不公平の是正を通じて、持続可能な社会の構築に通じるものと期待されます。
② 気候変動ガバナンス
当グループでは、気候変動問題への対応が、当グループの企業価値と持続可能な社会の構築との双方にとって重要な課題であると認識しており、気候変動問題の解決に資するソリューション事業を展開していきます。また、気候変動問題に対して、信託の機能を活用して解決に貢献することで当グループのビジネス機会を拡大することも重要課題として認識しています。
③ 気候変動リスクマネジメント
当グループは気候変動対応行動指針を制定し、気候変動に関するリスク管理を徹底しています。また、金融安定理事会が結成した気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の勧告を支持しており、その提言に沿った取り組みを推進していきます。
◎Climate Action 100+への参画
三井住友トラスト・アセットマネジメント(SMTAM)、日興アセットマネジメント(NAM)は、2017年12月の気候変動サミット(One Planet Summit)においてPRIと世界各地の機関投資家団体が主導して設立した「Climate Action 100+」に参画しています。この枠組みのもと、世界で温室効果ガス排出量の多い100社をリストアップし、各機関が協働してエンゲージメントを実施しています。SMTAMは、2020年4月アジア地域を代表してステアリング・コミッティ(運営委員会)メンバーとなりました。
◎石炭火力発電に対するプロジェクトファイナンス
三井住友信託銀行は、国際社会の重要な課題である気候変動問題において相対的にCO2の排出量が多い石炭火力発電プロジェクト案件に関しては、従来から発電効率や環境負荷等へ一定の社内基準を定め、慎重に取組判断を行ってきました。先進国における低炭素社会の実現に向けた取り組みは金融機関にとっても重要な経営課題であることから、2018年3月に定めた石炭火力発電のポリシーを改訂し、「新設の石炭火力発電所へのファイナンスは原則として取り組みません」(例外条項なし)としました。
④ ビジネス機会の追求(再生可能エネルギーの取り組み)
電気自動車や自動運転などのモビリティ変革、コンピューターに依存する人工知能やFinTechの普及、サービス産業のデジタル化などによって、社会構造が大きく変わろうとしています。また、日本政府の「2050年温暖化ガス排出ネットゼロ」宣言を受けて、環境イノベーション金融政策が強力に推進されることが予想されます。それらに伴って膨大に使用量が増大する電力の脱炭素化は、化石燃料の使用量削減と再生可能エネルギーの活用によって実現可能となります。当グループでは、さまざまな種類の再生可能エネルギーの普及・拡大をサポートするため、プロジェクトファイナンス、ファンド、リース、リフォームローンなど多様な形態のファイナンスを提供しています。
⑤ 再生可能エネルギー発電プロジェクトへのプロジェクトファイナンス債権を裏付けとする自己信託受益権の販売
三井住友信託銀行は、2018年9月に再生可能エネルギー発電プロジェクトへのプロジェクトファイナンス債権を裏付けとする自己信託受益権を発行し、当該受益権を販売するスキームを組成しました。気候変動対策として再生可能エネルギーに対するプロジェクトファイナンスが拡大する一方で、プロジェクトファイナンス債権のセカンダリーマーケットでの流動性を確保し、ESG投資家に対して新たな投資機会を提供することが課題でした。三井住友信託銀行では、委託者が自ら受託者となり信託目的達成に必要な行為等(本件では債権回収等)を公正証書等で設定する自己信託を活用することとしました。太陽光発電プロジェクトを対象としたプロジェクトファイナンス債権を自己信託し、当該信託受益権にグリーンファイナンス評価を取得することで、ESG投資に積極的な投資家からのアクセスを容易にしました。なお、本件自己信託受益権はグリーンボンド原則に準拠し、JCRグリーンボンド評価において最高位の「Green1」を取得しています。
⑥ 機関投資家向け国内再生可能エネルギー事業投資ファンド設立
三井住友信託銀行は、稼働済みの日本国内の太陽光発電事業の匿名組合出資等に投資するファンド「三井住友信託銀行(信託口再生可能エネルギー・ブラウン1号)」を、国内で初めて信託を活用して設立しました。再生可能エネルギー電力の固定価格買取制度により長期・安定的な売電収入に裏付けられた安定的なキャッシュフローに依拠した運用商品を信託受益権(金銭以外の信託)として投資家に提供します。マイナス金利等の厳しい資産運用状況下においても、経済情勢に左右されない安定的なインカムゲインを期待する投資家のニーズに応えるものです。2018年4月に信託設定し、6~8案件のプロジェクトを組み込むことによって1年間で総額150億円の組成を予定しています。三井住友信託銀行が設立・運営する再生可能エネルギーファンドの案件に対する出資も対象としています。また、組成金額の10%程度内を三井住友信託銀行もセームボート投資する予定です。
⑦ TCFDレポートの開示
当グループは、情報開示の一環で気候変動問題に関する取り組みをまとめた報告書(気候変動小冊子)を毎年、ESGレポートとともに発行していましたが、今年度からはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿い、「TCFDレポート」を開示しています。
https://www.smth.jp/csr/report/2020/tcfd_all.pdf
三井住友銀行は大規模災害被災地への支援をはじめ、新興国におけるCSR活動、COVID-19への迅速な対応など、目下の環境に応じた社会貢献活動に取り組んでいます。
大規模災害被災地へは、融資を通じた復興支援や返済条件変更による生活再建支援など、本業を通じた被災者支援活動のほか、義援金の寄付や役職員による支援活動も実施しています。2011年以降2019年度末までで、のべ1,451名のSMBCグループ役職員やその家族が、災害被災地でのボランティア活動に参加しています。
インドネシアやミャンマーなどの新興国へは、教育支援活動を行っています。インドネシアでは国や地方政府レベルで職業訓練学校のプログラムが推進されており、現地法人のBTPNと連携した教育プログラム改善支援などを行っています。ミャンマーでは日本ユニセフ協会と覚書を締結し、現地の教職員に対する研修プログラムへの支援を実施しております。本活動に関し、2018年に内閣府より紺綬褒章を受勲しました。
COVID-19への対応として、テレワーク・スプリット運営の推進などを通して従業員の健康・安全を確保しながら、国内全支店・ATMの営業を継続し、社会インフラとしての機能を維持しました。個人のお客さまへは特別金利や当初1年間無利息等でのローン提供、法人のお客さまへは日銀による特別オペレーションを活用した支援など、緊急の資金需要へも迅速に対応しました。
≪社会貢献活動(コミュニティ)≫
https://www.smfg.co.jp/sustainability/contribution/community/
三井住友銀行は、大規模なプロジェクト向け融資を実行する際に、環境・社会への影響を十分検討することを社会に約束する「エクエーター原則(Equator Principles, EP)」を2005年に採択し、国際環境室において環境社会リスク評価を行っています。
エクエーター原則は、世界銀行グループの国際金融公社(IFC)が制定する環境・社会配慮に関する基準・ガイドラインに基づいており、環境社会影響評価の実施プロセスや、公害防止、地域コミュニティへの配慮、自然環境への配慮など多岐にわたります。
当行は、同原則に基づいた当行独自の「環境社会リスク評価手続」を制定の上、2006年6月より運用を開始しており、現在では、環境スクリーニング、環境レビュー、環境モニタリングといった3つのプロセスにより環境社会リスク評価を行っています。
また、上記プロジェクト向け融資以外でも与信業務の普遍的かつ基本的な理念・指針・規範を明示した「クレジットポリシー」の中でも与信環境リスクを明記し、環境に著しく悪影響を与える懸念のある融資等は行わないことを謳っています。さらに、事業別融資方針を導入し、リスク管理体制の強化を図っています。
≪環境リスクへの対応≫
https://www.smfg.co.jp/sustainability/materiality/environment/risk/
【特徴】
・当行はエクエーター原則を採択した金融機関で構成される各種Working Groupのうち、新興国等へのエクエーター原則の普及活動を行うOutreach Working Groupのメンバーに加わっており、最近ではエクエーター原則の一貫性のある適用方法を検討するConsistency Working Groupにも参加しました。また、エクエーター原則の長期的な戦略を検討する議論に参加する等、エクエーター原則のさらなる向上に向けた取り組みにも注力しています。