TCFD提言への賛同

TCFD提言への賛同

当社は、「エネルギー消費量・CO2排出量の削減(気候変動への取組み)」をマテリアリティ(重要課題)の一つとして特定しています。気候変動への取組を推進するため、当社の子会社であるケネディクス不動産投資顧問株式会社はTCFDへの賛同を表明するとともに、国内賛同企業による組織である「TCFDコンソーシアム」へ加入しました。また、TCFDの開示推奨項目に基づき、気候変動関連リスク及び機会に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」について開示を進めています。

マテリアリティ(重要課題)の設定とサステナビリティ方針の制定

当社は、ケネディクスグループがステークホルダーや社会とともに持続的に成長していくために、特に取り組んでいくべき5つの重要テーマと15のマテリアリティ(重要課題)を設定しました。

持続可能な環境への貢献 (SDGs: 6,7,12,13)
・エネルギー消費量・CO2排出量の削減
・水消費量・廃棄物量の削減
・環境配慮のためのテナントとの協働

多様な社会への貢献 (SDGs: 3,9,11,13)
・環境や社会に配慮した不動産の提供
・レジリエンス(災害等への適応力)の向上
・少子高齢化社会への対応

ステークホルダーへの責任 (SDGs: 11,16)
・顧客満足度の向上
・コミュニティへの貢献
・利益相反の防止

魅力ある職場の実現 (SDGs: 3,4,5,8,10)
・人材の確保・開発・維持
・従業員の健康と快適性
・ダイバーシティと機会均等

規律ある組織体制の構築 (SDGs: 16,17)
・コンプライアンス
・リスクマネジメント
・責任投資へのコミットメント

マテリアリティによる機会とリスクを認識し具体的な取組みを行っていくことで、事業活動と社会の両面における課題解決を目指します。また、マテリアリティへの対応を通じて、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献も目指します。

また、マテリアリティの設定を受け、従来の環境方針を改めESGに関してより包括的なサステナビリティ方針を制定しました。サステナビリティ方針のもと、ケネディクスグループが一体となってマテリアリティへの具体的な取組みを推進します。

持続可能な環境への貢献
運用物件の環境性能の向上という社会的使命に応え、エネルギー消費、CO2排出、水消費、廃棄物排出など運用物件が環境へ与える影響の継続的削減や有害物質の削減・適切な管理を通じて環境負荷を低減し、環境面での持続可能性に貢献します。

多様な社会への貢献
運用物件が社会へ与える影響を考慮し、多様な社会の実現に貢献します。テナントや地域コミュニティの安全・安心、健康と快適性、多様性の確保等に努めます。

ステークホルダーへの責任
管理会社との連携、投資家、テナント、取引先や地域コミュニティなど、運用物件やファンドに関わる様々なステークホルダーとの対話を重視し、不動産のアセットマネジメント会社として責任ある投資運用を目指します。

魅力ある職場の実現
従業員の活躍を支援する取組みや職場環境の整備等により、魅力ある働きやすい職場を目指します。研修などの教育・啓発活動を充実させ、従業員の能力を最大限に引き出すことに努めます。

規律ある組織体制の構築
コンプライアンスやリスクマネジメントの徹底を図ります。国際的なESGイニシアティブにもコミットし、また、ESGに関する情報開示を積極的に行うことで、規律ある組織による規律ある不動産の投資運用を目指します。

責任投資原則(PRI)への署名

当社は、「責任投資へのコミットメント」をマテリアリティ(重要課題)の一つとして特定しています。責任投資へのコミットメントのもと、グループが一丸となってサステナビリティへの取組みを推進し、持続的成長と社会的責任の両立に向けた経営基盤の強化を目指すべく、責任投資原則(PRI)へ署名を行いました。これらの実践を通じて、不動産アセットマネジメント会社としての責任ある投資運用を目指して参ります。

REITを通じた多様な物件への投資

当社がメインスポンサーとして運用に関わる3つの上場REIT及び私募REITは、いずれも特定の用途に特化した投資運用を行っています。各用途の特性に沿った専門的な運用により、透明性の高いアセットマネジメントを実現しています。それぞれのREITが環境や社会に配慮した投資運用を行うことで、まちの賑わい創出や生活利便性の向上、快適な職場環境、安心して暮らすことのできる住まいの提供といった様々な側面で環境や社会に貢献しています。

ケネディクス・オフィス投資法人
経済活動が高密度に集積し、高いテナント需要と厚みのあるストックがある東京経済圏の「中規模オフィスビル」を主な投資対象としています。

ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人
人が居住、滞在する空間である「居住用施設」「ヘルスケア施設」を主な投資対象としています。

ケネディクス商業リート投資法人
日常生活に必要な商品・サービスを提供し、住宅地又はロードサイド等、日常生活圏に立地している「生活密着型商業施設」及び「消費地配送型物流施設」を主な投資対象としています。

ケネディクス・プライベート投資法人
オフィスビルを中心に、物流施設等多様な用途の不動産へ投資しています。

外部評価の取得

GRESB リアルエステイト評価
GRESBは、2009 年に欧州の主要年金基金のグループを中心に創設された不動産セクターのサステナビリティ・パフォーマンスを測るベンチマークであり、有力な機関投資家が加盟、不動産投資運用のプロセスで GRESB を利用しています。
GRESBの評価は、機関投資家が投資先を選定する際などにGRESBのベンチマーク調査を活用することからその注目度は高く、GRESBの毎年の調査には世界で多数の不動産会社、REITや不動産私募ファンドが参加しています。
個々の環境不動産の認証制度は様々ありますが、不動産会社・ファンド単位のベンチマークとしては「GRESBリアルエステイト評価」が事実上唯一のものであり、総合スコアのグローバルでの相対評価による「GRESB レーティング」は、最上位となる5スターまでの5段階評価が付与されます。ケネディクス・オフィス投資法人、ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人、ケネディクス商業リート投資法人及びケネディクス・プライベート投資法人の評価は下記のとおりです(2022年10月18日時点)。

ケネディクス・オフィス投資法人: 5スター
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人: 3スター
ケネディクス商業リート投資法人: 4スター
ケネディクス・プライベート投資法人: 2スター

また、ESG推進のための方針や組織体制等を評価する「マネジメント・コンポーネント」と保有物件の環境パフォーマンスやテナントとの取組み等を評価する「パフォーマンス・コンポーネント」の双方において優れた取組みを行う参加者に与えられる「Green Star」評価を、いずれのREITも取得しています。

DBJ Green Building認証
DBJ Green Building認証制度とは、環境・社会への配慮がなされた不動産(“Green Building”)を支援するために、2011年4月に株式会社日本政策投資銀行(DBJ)が創設した認証制度です。対象物件の環境性能に加えて、防災やコミュニティへの配慮等を含む様々なステークホルダーへの対応を含めた総合的な評価に基づき、社会・経済に求められる不動産を評価・認証し、その取組みを支援するものです。
認証における評価ランクとしては、「国内トップクラスの卓越した『環境・社会への配慮』がなされたビル」(five stars)、「極めて優れた『環境・社会への配慮』がなされたビル」(four stars)、「非常に優れた『環境・社会への配慮』がなされたビル」(three stars)、「優れた『環境・社会への配慮』がなされたビル」(two stars)、「十分な『環境・社会への配慮』がなされたビル」(one star)の 5 段階があります。ケネディクス・オフィス投資法人、ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人、ケネディクス商業リート投資法人及びケネディクス・プライベート投資法人の認証取得物件数は下記のとおりです(2022年10月31日時点)。

ケネディクス・オフィス投資法人: 26物件
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人: 12物件
ケネディクス商業リート投資法人: 8物件
ケネディクス・プライベート投資法人: 1物件

CASBEE不動産評価認証
CASBEE とは国土交通省が主導して開発された建築物の環境性能評価システムで、建築物それ自体の環境品質・性能に関する評価と、建築物の外部に対する環境負荷に関する評価の両面から総合的な環境性能の評価を行う制度です。その内、CASBEE不動産評価認証は、既存建築物の環境評価の結果が不動産評価の際に活用されることを目的として開発されたCASBEE-不動産で評価された建築物について、その評価内容を審査し的確であることを第三者機関が認証する制度です。ケネディクス・オフィス投資法人、ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人、ケネディクス商業リート投資法人及びケネディクス・プライベート投資法人の認証取得物件数は下記のとおりです(2022年10月31日時点)。

ケネディクス・オフィス投資法人: 25物件
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人: 2物件
ケネディクス商業リート投資法人: 12物件
ケネディクス・プライベート投資法人: 1物件

BELS評価
BELS(建築物省エネルギー性能表示制度:Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)は、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」における省エネ性能の表示の努力義務に対応した、住宅・建築物を格付けする第三者認証制度です。国が定める建築物エネルギー消費性能基準に基づく一次エネルギー消費量から算出されるBEI(Building Energy Index)の値によって評価されます。
ケネディクス・オフィス投資法人の運用物件のうち、KDX御茶ノ水ビルが5段階評価のうち4つ星を、KDX武蔵小杉ビル、KDX飯田橋スクエア及びKDX浜松町プレイスが5段階評価の3つ星を、KDX新橋駅前ビルが2つ星を取得しています。なお、KDX武蔵小杉ビルは、J-REITが運用する物件として初めてBELS評価認証を取得しました。また、ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人の運用物件のうち、プレザングラン大田多摩川が5段階評価の3つ星を取得しています。また、ケネディクス商業リート投資法人の運用物件のうち、アピタテラス横浜綱島が5段階評価の5つ星を、イーアス春日井が2つ星を取得しています(2022年10月31日時点)。

非常災害等に備えた取組み

当社は「レジリエンス(災害等への適応力)の向上」をマテリアリティの一つとして認識しており、当社の運用物件において、テナント様、ご入居者様や地域コミュニティの皆様が安全・安心に過ごすことができるよう様々な施策を実施しています。

防災用品の設置
一部の運用物件において、防災用品を設置しています。
ケネディクス・オフィス投資法人の運用するオフィスビルでは、非常災害時や停電・故障によるエレベーターの緊急停止時等に備えて、エレベーター内に非常用品収納ボックスを設置しています。
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人の運用する賃貸住宅では、管理人室等の共有スペースにご入居者様向けの非常持出用防災セット(非常食、非常用飲料水等)を設置しています。
ケネディクス商業リート投資法人の運用する一部物件において、非常災害時に従業員向けの防災用品を設置しています。
ケネディクス・プライベート投資法人の運用する一部物件において、非常災害時や停電・故障によるエレベーターの緊急停止時等に備えて、エレベーター内に非常用品収納ボックスを設置しています。

Wi-Fi電波の無料開放
ケネディクス・オフィス投資法人は、事業継続性を意識し、災害時のインターネット環境を整備する目的で、一部の運用物件に「光ステーション」Wi-Fiルーターを設置しています。
災害発生時にはWi-Fiを無料開放し、テナント様の事業継続性をサポートします。また、平時も入居テナント様や来訪者様向けに一定時間無料で開放しています。

災害救援自販機の設置
ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人は、一部の賃貸住宅において災害救援自販機を設置しています。災害等で停電になった際には、自販機内の商品を救援飲料として無料提供することが可能です。

防災マップの掲示
一部の運用物件のエントランスや掲示板等に防災マップを掲示し、緊急時の避難場所等を示しています。

避難場所の提供
ケネディクス商業リート投資法人は、洪水等の災害が発生した場合に、施設を一時的な避難場所として提供する協定を吉川市、伊奈町、鴻巣市及び足利市と締結しています。

災害時対応マニュアルハンドブックの配布
ケネディクス・オフィス投資法人及びケネディクス商業リート投資法人は、大地震発生などの緊急時に備えて、持ち歩き可能なポケットサイズの災害時対応マニュアルハンドブックを作成しテナントに配布しています。
大地震・台風・大雨時の対応や応急救護の手順、AEDの使い方など緊急時に役立つ様々な情報を17頁にまとめて掲載しています。

グリーンボンドの発行、グリーンローンによる借入

野村不動産マスターファンド投資法人は、持続的社会の実現に向けた様々なESG活動を推進する一環として、グリーンファイナンス・フレームワークを策定(「JCRグリーンファイナンス・フレームワーク評価」の最上位評価「Green1(F)」を取得)し、2019年9月20日には本投資法人初となるグリーンボンド(発行額:30億円、利率:0.53%、年限:10年)を発行しました。2020年8月14日に、第二回目のグリーンボンド(発行額:70億円、利率:0.54%、年限:10年)を発行しました。また、2022年8月26日には本投資法人初となるグリーンローンによる借入(借入額:25億円、利率:0.78%、年借入期間:8年6ヵ月)を行いました。

【特徴】
グリーンファイナンス・フレームワーク
(1)調達資金の使途
グリーンファイナンスにより調達した資金を、以下の項目に該当する資金に充当します。
・ グリーン適格資産(※)の取得資金
・ グリーン適格資産の取得に要した借入金の借換資金
・ グリーン適格資産の取得に要した発行済の投資法人債の償還資金
(※)下記に記載する「 (2)適格クライテリア」を満たす既存又は新規の特定資産をいいます。以下同じです。

(2)適格クライテリアについて
以下のいずれかの有効なa.~c.の認証又は再認証を、グリーンファイナンスによる資金調達日から過去 36 ヶ月以内に取得済み、又は今後取得予定である資産をいいます。
a. DBJ Green Building認証における3つ星、4つ星、もしくは5つ星
b. BELS評価における3つ星、4つ星、もしくは5つ星
c. CASBEE不動産評価認証におけるB+、A、もしくはSランク

(3)プロジェクトの評価・選定のプロセス
適格クライテリアは、資産運用会社のサステナビリティ推進会議にて策定され、投資委員会にて決定されています。
グリーンファイナンスにより調達した資金の使途対象となるグリーン適格資産は、適格クライテリアに基づき評価・抽出し、資産運用会社の決裁権限規程に基づき決裁を経て選定されます。

(4)調達資金の管理
グリーン適格資産の帳簿価額の総額に、グリーンファイナンスによる資金調達時において算出可能な直近期末時点における総資産LTV(Loan to Value/総資産有利子負債比率)を乗じて算出された負債額(以下「グリーン適格負債額」といいます。)をグリーンファイナンスの残高の上限とします。
グリーンファイナンスの残高が、グリーン適格負債額を超過しないよう管理します。
また、グリーンファイナンスの残高が存在する限り、ポートフォリオ単位で充当済み資金を内部で追跡・管理します。

(5)レポーティング
a. 資金充当状況レポーティング
b. インパクト・レポーティング
グリーンファイナンスの残高が残存する限り、各年の2月末時点における以下の指標を公表します。
・ グリーン適格資産の物件数
・ 取得した各グリーン認証のレベル
・ グリーン適格資産(但し本投資法人が管理権限を有する物件又は部分を対象とする)の温室効果ガス
(GHG)の排出量、エネルギー使用量、水使用量

グリーンボンドの発行及びグリーンローンによる借入は、野村不動産マスターファンド投資法人の投資家層の更なる拡充及び安定的な資金調達手段の確保を通じて、ESGに配慮した投資運用をさらに推進することを企図したものです。

野村不動産マスターファンド投資法人のエコアクション21認証・登録

エコアクション21は、環境省が環境マネジメントシステムの一環として策定した「エコアクション21ガイドライン」に基づき、環境経営を推進する事業者を、第三者により認証・登録する制度です。野村不動産マスターファンド投資法人は、J-REITとして初めて、本制度の認証・登録を受けました。

【特徴】
REIT(不動産投資信託)ビジネスは、所有者(投資法人等)がアセットマネジメント業務(AM業務)、プロパティマネジメント業務(PM会社)、ビルマネジメント業務(BM会社)といった業務を委託し、他にも様々な関係会社が多数関わり組成されるビジネスです。エコアクション21は、通常、自らが入居し使用している1つの建物における環境負荷削減の取組を対象としますが、本取組みは、投資法人を対象としたポートフォリオの216物件(オフィス65物件、賃貸住宅151物件)にて、一斉に認証取得をすることとなりました。業界の先例となり他社へ取組みが広がることを想定し、環境省やエコアクション21中央事務局とREITが認証登録するための道筋とフレームワークを協議し、構築することが出来ました。
数多くの関係者を巻き込むため、継続して実施しているサステナビリティ推進活動の実績やGRESB(ファンド単位でESG推進活動の取組を測るベンチマークツール)への参加を通じて取得したノウハウを活用し、REIT業界初の取組みを実施しました。
認証取得にあたり、社内の限られた人員で取組みが継続できることを重点に考え、社内に定着してきたサステナビリティ推進活動の延長線上で、取り組めるように検証と検討を重ねました。2019年3月から6月までの期間を対象として、環境経営報告書の発行などエコアクション21の要求事項を加えたサステナビリティ推進活動のPDCAを展開し、2020年1月30日に認証を取得しました。

21世紀金融行動原則 最優良取組事例 環境大臣賞受賞

エコアクション21認証取得による、REIT業界のさらなる発展に寄与
~ 環境マネジメントシステムの第三者認証取得と開示の充実が、持続可能な社会へつなげていく ~

【選定された理由】
・ 我が国の不動産運用業界における初の取組として、環境マネジメントシステム(EMS)の第三者認証を取得し、運用対象に関する不動産物件の所有者やテナントを巻き込み、ボトムアップの形で既存の不動産ストックにおける省資源や省エネなどのグリーン化に取組んでいる点を大きく評価されました。
・ 中小事業者向けの環境マネジメントシステム「エコアクション21(EA21)」を活用しており、他のREIT(不動産投資信託)に関しても同様な取組が広がる可能性を期待。
・ 温室効果ガス排出ゼロという世界共通の目標達成に向けて、不動産業界からの貢献を考えると、省エネ・省資源の目標値をより高くすることを期待。
・ 以上から、不動産業界全体のグリーン化を推し進めることを期待され、環境大臣賞として選定されました。

野村不動産マスターファンド投資法人のTCFD (気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく...

当社は2020年7月にTCFD提言に賛同し、運用ファンドにおいて、TCFD提言に基づく情報開示に取り組んできました。社内に部門を横断するプロジェクトチームを組成し、経営陣や関連部署も巻き込みながら分析・検証を推進した結果、2021年2月に野村不動産マスターファンド投資法人のウェブサイトにおいて、TCFD提言に基づく定性情報の開示を実施しました。

【特徴】
J-REITでは日本で初めて、パリ協定に基づく温度シナリオ分析(4℃、2℃、1.5℃)による定性開示を行いました。各シナリオについて、2030年(中期的展望)及び2050年(長期的展望)における「移行リスク」「物理リスク」「機会」での影響を検証し、ヒートマップ形式で可視化しました。

野村不動産プライベート投資法人のエコアクション21認証・登録

エコアクション21は、環境省が環境マネジメントシステムの一環として策定した「エコアクション21ガイドライン」に基づき、環境経営を推進する事業者を、第三者により認証・登録する制度です。野村不動産プライベート投資法人は、2021年12月22日私募REITとして初めて、本制度の認証・登録を受けました。

【特徴】
REIT(不動産投資信託)ビジネスは、所有者(投資法人等)がアセットマネジメント業務(AM業務)、プロパティマネジメント業務(PM会社)、ビルマネジメント業務(BM会社)といった業務を委託し、他にも様々な関係会社が多数関わり組成されるビジネスです。エコアクション21は、通常、自らが入居し使用している1つの建物における環境負荷削減の取組を対象としますが、本取組みは、投資法人を対象とした、底地を除くポートフォリオ全物件にて、一斉に認証を取得いたしました。

令和3年度 気候変動アクション環境大臣表彰(普及・促進部門) 受賞

野村不動産マスターファンド投資法人、野村不動産プライベート投資法人における気候変動の「緩和」と「適応」の継続的な取組みが評価され、受賞しました。

【特徴】
「気候変動アクション環境大臣表彰」は、気候変動への取組みに関して、優れた功績のあった個人または団体に対して、環境省から表彰を行うものです。環境省では、地球温暖化対策の一環として、1998 年より「地球温暖化防止活動環境大臣表彰」を開始しましたが、昨今の社会における気候変動対策の動向等を踏まえ、2020 年より「気候変動アクション環境大臣表彰」にリニューアルされました。

第5回 エコプロアワード 優秀賞 受賞

野村不動産マスターファンド投資法人、野村不動産プライベート投資法人におけるESGの継続的な取組み、積極的な取組みによる業界への波及効果が評価され、受賞しました。

【特徴】
関係省庁(財務省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)では、事業者、消費者、投資家、市場関係者に評価が高く、優れた環境配慮が組み込まれた製品、サービス、技術、ソリューション、ビジネスモデルのさらなる開発・普及の促進を図り、持続可能な社会づくりに寄与することを目的として、2004年から「エコプロダクツ大賞」を実施してきました。そして2018年にリニューアルされ、「エコプロアワード」となり、今年で5回目の開催となります。

野村不動産マスターファンド投資法人の環境への取り組み

当社が運用する野村不動産マスターファンド投資法人は、保有物件において、以下の環境への取り組みを実施しています。

■ 気候変動に関する取り組み
・ 屋上を利用し、太陽光発電パネルによる再生可能エネルギーの生成に貢献しています。
(Landport浦安等、合計12物件、年開発電量約12百万kwh)
・ 照明のLED化を行い、エネルギー使用量の削減に取り組んでいます。(新宿野村ビル他)
・ 空調設備の更新を行い、エネルギー使用量の削減に取り組んでいます。(NMF芝公園ビル他)
・ 二重サッシの設置を行い、空調機とのバランスも検証しながらエネルギー使用量の削減に取り組んでい
ます。(札幌ノーズプラザ、野村不動産四ツ橋ビル他)
・ 省エネルギー診断を行うことで、エネルギー量削減余地の検討を行い、運用に役立てています。( Landport柏沼南I 他)
・ テナントとの問で締結する標準的な賃貸契約書に下記グリーンリース条項等を盛り込み、テナントと環境負荷の低減のために協力する取組みを進めています。
① 環境認証取得のための環境パフォーマンス向上に対する協働(節電、節水、廃棄物削減)
② エネルギー消費量等のデータ提供、および目標値の共有
・ 貸室内に専用のタブレットを設置し、電気使用量の見える化に取り組むことで、テナント企業のエコ意識向上を促しています。(一部のオフィスビル)
・ 新電力会社(PPS)を含む幅広い電力供給会社の中から、コストや安定供給面といった観点に加え、電源構成等に起因するCO2排出係数の観点を含めて電力会社の選定と見直しを行っています。
・ 消費電力の一部で環境負荷の低いバイオマス発電による電力を利用しています。(PMO芝公園他)
・ 屋上緑化や、リニューアルに伴う植栽の施工等、施設の緑化を積極的に行っています。(野村不動産四ツ橋ビル他)
・ 台風やゲリラ豪雨時の浸水対策として、防水板を設置し、施設内への海水・雨水の侵入防止策を行っています。(野村不動産天王洲ビル他)
・ 雪害対策として、北海道札幌市に所在する保有物件の敷地には保有物件のロードヒーティンゲを設置しています。また、雪庇落下による事故防止のため、屋上に雪庇防止策を実施しています。

■ 水資源に関する取り組み
・ トイレの衛生器具を節水型へ更新することで、使用水量削減に取り組んでいます。
・ 雨水をタンクに溜めて散水に利用する「スマート潅水設備の設置」により、使用する水道水量削減に取り組んでいます。
・ トイレ設備の節水化や雨水、井水の利用を通じて節水に取り組んでいます。

■ 廃棄物の削減
・ テナントと協働し生ごみ処理機を設置し、廃棄物量の削減に努めています。(一部の物件)

■ 汚染防止
・ 物件取得時において、対象土地にかかる環境リスク要因等を考慮し意思決定を行っています。原則として、建物状況調査報告書(エンジニアリング・レポート)において、有害物質の使用状況、管理状態に関する問題が指摘されていないこと等の基準を満たす物件のみを投資対象としています。

【特徴】
野村不動産マスターファンド投資法人は、以下の方針・目標を掲げ、上述の取り組みを推進しています。
・ 投資ポートフォリオのグリーン化:保有物件のグリーン認証取得割合を2030年度までに70 %まで向上させることを目指します。
・ 気候変動への対応:2050年までにカーボンニュートラルを目指します。ポートフォリオの温室効果ガス(GHG)における床面積当たり排出量(原単位)を2030年度までに40 %削減(2016年基準)することを目指します。

野村不動産マスターファンド投資法人の社会への取り組み

当社が運用する野村不動産マスターファンド投資法人は、以下の社会への取り組みを実施しています。

■ テナントの安心安全の確保/快適性向上
・ 新宿野村ビルでイノベーティブスペース「NEON(ネオン)」を開設しています。昨今の働き方改革などの社会的ニーズを受けて、オフィスワー力一 一人ひとりに寄り添い、その活躍や成長を引き出す新しいオフィスでの過ごし方を提案し、さらには、オフィスワー力ーの成長と活躍を後押しすることで、入居企業だけでなく街や社会の発展に貢献するようなオフィスサービスの提供に取り組んでいます。
・ テナント、入居者及び利用者の皆さまにご要望やご意見を伺うべく、顧客満足度調査を実施しています。
調査結果については、プロパティマネージャー、建物管理会社、ディベロッパー等と共有し、建物仕様、設備及びサービスの向上に繋げています。

■ 地域社会貢献への取り組み
・ 各種イベントを実施し、テナントや地域の方とのコミュニケーション活性化に取り組んでいます。
(新宿野村ビル他)

■ 健康と福祉への取組み
・ 保育所や医療機関を保有物件ヘテナントとして誘致することで、地域住民やワーカーの子育て支援や、健康と福祉に貢献しています。

■ 災害等からの復旧力(レジリエンス)への取り組み
・ 新宿野村ビルは、長周期地震動対策工事を実施することにより最先端の超高層ビルに匹敵する耐震性能を備えています。また、全フロアに設置した地震計から建物の変位を細やかに解析し、リアルタイムに安全状態のモニタリングが可能な「揺れモニ」を導入する等、災害・BCP対策の推進に取り組んでいます。
・ 地震発生後、一定レベル以上の地震について国立研究開発法人「防災科学技術研究所」の震度情報を基に、250mメッシュで保有物件・エリア毎の震度を推定し、建物の被害推定情報をメール受信、個別物件状況を早期に把握することで、迅速な初動対応を可能としています。
・ 行政機関などから収集した降水情報、標高データや排水能力情報等と、物件の位置情報(緯度経度)をもとに物件ごとの内水氾濫の発生を予測し、メール配信。氾濫に先立ち対策を講じやすくすることで、内水氾濫発生による被害を低減させることを目指しています。

【特徴】
野村不動産マスターファンド投資法人は、以下の方針・目標を掲げ、上述の取り組みを推進しています。
・ テナントの安心・安全の確保/快適性の向上:社会的ニーズの多様化に対応したリニューアル工事の実施とテナント支援サービスの拡充を通じたテナント満足度の向上を目指します。

ウェブサイトにおける情報開示の充実

当社および当社が運用する野村不動産マスターファンド投資法人及び野村不動産プライベート投資法人は、各々のウェブサイトにおいてサステナビリティに関する情報開示を行っています。

■ 当社のウェブサイト
http://www.nre-am.co.jp/sustainability/

■ 野村不動産マスターファンド投資法人のウェブサイト
https://www.nre-mf.co.jp/ja/esg/index.html
※ ESG Annual Report
https://www.nre-mf.co.jp/ja/esg/esg_framework.html

■ 野村不動産プライベート投資法人のウェブサイト
https://www.nre-pr.co.jp/sustainability/initiatives.html

【特徴】
野村不動産マスターファンド投資法人は、事業やパフォーマンスへのインパクトと、ステークホルダーからの期待・関心等を踏まえながら議論を重ね、特に重要性の高いESG課題(マテリアリティ)を設定し、ウェブサイトにおいて情報開示を行っています。また、国際的なESG開示のガイドラインであるGRIスタンダードやSASBスタンダードに基づき、情報開示を拡充しています。
なお、ステークホルダーの皆様に、野村不動産マスターファンド投資法人のESG活動へのご理解を深めていただくために、年に一度「ESG Annual Report」を発行しています。
野村不動産プライベート投資法人は、事業やパフォーマンスへのインパクトと、ステークホルダーからの期待・関心等を踏まえながら議論を重ね、①「5 missions for the SDGs (SDGs達成のための5つの使命)」、②GRESB評価の取得の目標を掲げ、ウェブサイトにおいて情報開示を行っています。

野村不動産マスターファンド投資法人の環境認証取得

当社が運用する野村不動産マスターファンド投資法人が保有する物件では、以下の環境認証を取得しています。

■ 環境認証取得
・ 合計78物件、延床面積約1,428千 m2(ポートフオリオ全体に占める比率約60%)
(DBJ Green Building認証:合計68物件、延床面積約1,319千 m2)
(BELS 評価:合計32物件、延床面積約650千 m2)
※2022年10月末時点の数値を記載しています。
※底地物件を除く保有物件を元に、該当物件の持分割合を乗じた面積、もしくは専有部分の面積を元に算出しています。

【特徴】
野村不動産マスターファンド投資法人は、保有物件のグリーン認証取得割合を2030年度までに70 %へ向上(延床面積ベース)させることを目標にしています。
※グリーン認証とは、DBJ Green Building認証3★以上又はBELS認証3★以上又はCASBEE不動産B+以上のいずれかの認証を指します。

GRESB(グローバル不動産サステナビリティ・ベンチマーク)への参加

■ GRESBリアルエステイト評価(2022)
野村不動産マスターファンド投資法人:アジアの総合型セクター(上場・非上場)参加者の41社中6位
野村不動産プライベート投資法人:アジアの総合型セクター(上場・非上場)参加者の41社中1位

当社が運用する野村不動産マスターファンド投資法人および野村不動産プライベート投資法人は、2022年評価において、環境配慮やサステナビリティ課題に関して「マネジメント・コンポーネント」および「パフォーマンス・コンポーネント」の両側面で優れた取り組みを実践している参加者に与えられる「Green Star」を取得しました。
また、総合スコアの順位により5段階で評価されるGRESBレーティングとしては、「5 Star」を取得し、また、それぞれ「セクターリーダーに選出されました。
さらに、野村不動産マスターファンド投資法人においては、環境配慮やサステナビリティの取組みに関する情報開示が優れていることが評価され、2017年より導入されたGRESB開示評価においても、5段階のうち最高水準となる「A」の評価を6年連続で取得しています。

【特徴】
当社は、投資運用業において高まるESGの重要性に対し運用会社として応えていく必要性に鑑み、国際的なイニシアティブのメンバー企業となり、ESG先進企業とのネットワーク、情報共有、日本における事例の紹介等の活動に参加することを通じて、サステナビリティ向上に取り組んでいます。

ESGに関する積極的な情報開示

当社およびOJRのESGに対する考え方や取組を、投資主をはじめとするステークホルダーの皆様に対してご報告することを目的として、ESGに関する積極的な情報開示を推進しています。
HP上でのESGへの取組の紹介や、ESGに関する考え方や取組を冊子に取りまとめたESGレポートの発行をしています。また、IR活動を通じて当社のESGへの考え方を投資家へ直接伝える機会を設けています。
さらに、各ステークホルダーの皆様からOJRのESG経営に対してご意見をいただく「ステークホルダーミーティング」を毎年開催し、そのディスカッション内容をESGレポートに掲載しています。

【特徴】
ESGレポートは2022年9月に2022年版(日本語版・英語版)を発行。GRIスタンダードの中核オプションに準拠しています。
esgreport-6e30cb5c9ede0bbaa000f663c9f52086e9753f37.pdf (orixjreit.com)

オリックス不動産投資法人(OJR)でのグリーンボンドの発行、及びポジティブ・インパクト・ファイナ...

OJRは以下の通り、これまで3回グリーンボンドを発行してきました。

2022年3月に、国連環境計画・金融イニシアティブ(以下「UNEP FI」)が提唱したポジティブ・インパクト金融原則及び同原則モデル・フレームワーク(資金使途を限定しない事業会社向けの投融資フレームワーク及び不動産投資フレームワーク)に即した「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の取組としての資金の借入を実施しました。ポジティブ・インパクト・ファイナンスは、サステナブルファイナンスの一種で、企業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響とネガティブな影響)を包括的に分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的とした融資です。企業の活動、製品、サービスによるSDGs達成への貢献度合いを評価指標として活用し、開示情報に基づきモニタリングを行い、エンゲージメントを通じて活動を支援していくことが最大の特徴です。

今後もグリーンボンドの発行がESGへ配慮した資産運用のさらなる推進につながるとともに、ESGに関心を持つ投資家層の拡大を通じて資産調達基盤の強化を図っていきたいと考えています。

【特徴】