活動内容

2025年度 選定結果 末吉選定委員長による全体講評

今年も選定委員冥利に尽きる思いで数多くの意欲的な取組に出会うことができました。気候変動や地域課題に真正面から向き合い、金融の機能を通じて社会をより良い方向へ動かそうとする姿勢を示してくださったすべての金融関係者の皆様に、この場を借りて心よりの感謝と敬意を表します。

 

気候変動は場所と時を選ばず誰しもが被害を受け、時には、命の危険を感じる危機的領域に入ってしまいました。春の訪れに安堵する間もなく、これまでに経験したことのない猛暑が追いかけてきます。気象庁では、「夏日」では間に合わず「猛暑日」を設けましたが、その上をいく酷暑への対応を迫られているようです。豪雨や干ばつの同時多発、森林火災の報道も日常となりました。私たちは、もっと科学者の声に真摯に耳を傾け、この問題を将来の課題ではなく、現在進行形の危機として受け止めなければなりません。金融も例外ではなく、社会から預かったお金を社会のために流していく「公益」を胸に責任ある行動が求められています。

 

そうした問題意識を共有しながら、5名の委員で本年度の選定に当たりました。重視したポイントは大きく四つです。第一に、いわゆるメガソーラー問題が喚起した、地域や自然との共生の視点です。第二に、所属する金融機関の職員の枠を乗り越えて、「いち社会人」として、金融機能を使って日本や世界をより良くする意志と行動を重視しました。第三に、デジタル活用やDX(デジタル・トランスフォーメーション)の具体的な活用です。第四に、自治体や事業者等、外部ステークホルダーと連携し、総合力で社会を持続可能な方向へ導こうとする意欲的な取り組みです。

 

これまでにない難しい選定準でしたが、幸いにもこのようなテーマに沿う素晴らしい取組が数多く寄せられたのは幸いでした。その中から受賞された金融機関の皆様には改めてお祝いを申し上げると同時に多大なご努力にねぎらいの言葉を贈ります。皆様の挑戦が、今後さらに広がり、次の実践へとつながっていくことを期待してやみません。

 

21世紀金融行動原則は今年10月に15周年を迎えます。より意欲的で活力あるイニシアチブへと発展させるため、今後の方向性を検討するタスクフォースが立ち上がったとお聞きしました。その議論と挑戦が実りあるものとなり、本原則が、今後さらに進化し、より一層力強く社会を前進させていく存在となることを心より期待しております。そして次年度、さらに意欲的で挑戦的な取組が競い、私たち選定委員を驚かせ悩まさせてくださることを期待して、全体講評といたします。

 

2026年3月10日

 

21世紀金融行動原則 最優良取組事例選定委員会委員長

末吉 竹二郎