活動内容

2025年度 環境大臣賞2

本邦金融機関初となる「中信グリーン&スタートアップ預金」の取扱い
─京都中央信用金庫─

概要

  • 京都中央信用金庫は2025年1月、本邦金融機関として初めて、環境課題や社会課題の解決に資する事業、スタートアップ企業への出資等に充当する定期預金「中信グリーン&スタートアップ預金」の取扱いを開始。本預金は、顧客から預かった預金を環境・社会課題の解決に資する投融資だけでなく、金融包摂の観点から資金獲得に困難性を有するスタートアップ企業への出資をも充当先とすることで、顧客に預金を通じたESG/SDGsへの貢献機会を中長期的に提供するとともに、間接金融と直接金融の橋渡しとなる預金商品である。
  • SDGsの理念である「誰一人取り残さない(leave no one behind)」に基づき、「より多くのお客様に」「間接金融と直接金融の橋渡し」「金融包摂」および「グリーンウォッシュの排除」をコンセプトとし、資金運用面で環境・社会課題対策だけでなく、地域経済の活性化に資するスタートアップ企業への支援にも貢献できる預金商品を開発した。
  • 本預金は「中信グリーン&スタートアップ預金フレームワーク」を策定し、株式会社日本格付研究所(以下、JCR)から第三者意見書を取得している。また、当金庫ウェブサイトにおいて、本預金の充当状況(レポーティング)を毎年度開示することによって、適格性・透明性を確保している。
  • 2020年4月、「役職員の意識改革」と「リーダーとなれる人材の創出」を2本柱とする「リーダー育成プロジェクト」を開始し、役職員が自ら考え行動し、変革する組織風土が浸透している。本商品は中堅職員2名の発案により、庫内関係部署に加え、中信ベンチャーキャピタル株式会社(当金庫グループ会社)およびJCRの協力を得ながら、開発・取扱開始に至った。

 

実績

  • 本預金の預入額は143億1,200万円と当初の募集金額100億円を早期に達成し、募集期限での2025年12月末を待たず、同年3月31日をもって前倒しで取扱いを終了した。また、法人で当金庫ホームページへの掲載希望があった先は40社に上り、資金運用先の一つとしてサステナビリティが選好されることが示唆された。

 

 

「21世紀金融行動原則」の7つの原則への対応とアピールポイント

原則(1)
  • 当金庫では金融機関の主要業務である融資・預金業務のうち、融資については、「京都ゼロカーボン・フレームワーク」に基づくサステナビリティ・リンク・ローン、ポジティブ・インパクト・ファイナンス、グリーローン、ソーシャルローンなど、多様な商品を擁しており、2030年度末までにサステナブルファイナンス融資実行額を1兆円以上と定めている。一方で、預金については、ESG/SDGsに資する商品がなかったため、預金業務におけるサステナビリティへのベストプラクティスとして、本預金の開発に着手した。

原則(3)
  • 2022年3月、金融業界として初めて、産業競争力強化法に基づくエネルギー利用環境負荷低減事業適応計画の認定を取得し、同年4月に信用金庫で初となるTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明。更には、自然資本の保護に向けて2024年6月に同じく信用金庫で初となるTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フォーラムへ参画し、サステナビリティ分野において業界を牽引している。また、2025年10月には、TCFD提言への賛同時に定めたサステナブルファイナンス実行額目標(2030年度までに5,000億円)を1兆円へと上方修正した。

原則(4)
  • 2020年4月より、「役職員の意識改革」と「リーダーとなれる人材の創出」を2本柱とする「リーダー育成プロジェクト」を開始。「格段の成長」による人的資本経営の高度化に取組み、役職員が自ら考え行動し、変革する組織風土が浸透している。意欲ある職員が活躍できる環境が組織的に整備されており、一人ひとりの挑戦を支援しともに成長する企業として一層の発展を目指している。

     

原則についての説明はこちら

 

選定理由
  • 環境・社会課題解決に資する投融資およびスタートアップ企業への出資に充当する定期預金は国内でも稀少であり、先進的な取組と評価できる。預金を通じてESG/SDGsへの貢献機会を提供するとともに、間接金融と直接金融の橋渡しを行う仕組みを構築し、金融がイノベーション創出に果たし得る役割を具体化した。
  • 「誰一人取り残さない」という理念のもと、金融包摂の観点から資金獲得に困難性を有するスタートアップ企業を充当対象に含めた点は、預金者の意思と地域経済活性化を結びつける設計として評価できる。金利のある環境下においても、地元や社会のために預金する意義を明確に提示した点に意義がある。
  • 本商品が中堅職員の発案を起点に開発・取扱開始へと至ったことは、職位にかかわらずアイデアを組織として支援し、実現につなげる文化が形成されていることを示す一例である。あわせて、金融機関の組織づくりにおいては、個々人の意識と行動が重要であることを物語っており、他の金融機関への波及も期待される。

 

 

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