教育関係者とのパートナーシップによる、受講者の「自由な金融行動」実現のための金融経済教育
─株式会社 四国銀行─
概要
- 本取組は、成年年齢の引き下げ、高校家庭科での資産形成の授業開始等、これまで以上に金融経済教育の社会的意義が高まる中、地方が都市部に対して、比較劣位にある人的資本の形成に向けた投資、中でも金融経済に関わる分野への投資は、四国銀行にしかできない役割、パーパスであるということについて、再確認することから出発した。当行で伝統的に取組んできた、児童・生徒の学習機会の創出に加え、2021年からは、行内の人財育成効果という非財務的リターン=企業価値向上も狙い、教材を内製し、行員自らが授業を行うスタイルに転換。同時に、事業の目的を受講者の「自由な金融行動」の実現と定め、社会的インパクトと企業価値向上を両立する、アウトサイドイン、かつwin-win の取組として、再定義。
- 資産形成、銀行の役割・機能等、金融経済教育のスタンダードな内容だけではなく、地域のナリワイ形成につながるような学生アイディアソンの実施・助言、ESG/SDGs と地域の課題と資源といった、金融資本市場から見た環境・社会・経済の姿を、学生・生徒と一緒に考えるPBL(Project Based Learning)への参画等、取組の幅を拡大
- 中学・高校での公民、家庭科等、授業のコマを頂いての出前授業だけでなく、当行単独では不足しがちな人的資源を補うべく、教育委員会、地元大学が協働してのPBL への参画、高校に付属する公営塾との協働での株式投資ワークショップの実施等、学習機会提供の場についても、その幅を広げている。
実績
- 2021年度:高知大公募セミナー、県立室戸高校、山田高校、清水高校、町立久礼中学(119 名、10 コマ分)
- 2022年度:高知大公募セミナー、県立嶺北高校(同校寮)、大方高校、町立佐川中学、町立窪川中学、インターンシップ(約500名、26コマ分)
- いずれの学校も、県庁所在地や当行本店所在地である高知市から遠方、あるいは中山間、あるいは津波災害エリアであり、過疎・高齢という社会課題を、日々、肌身に感じながら、未来を担う子供たちへの教育に真剣に取組んでいる自治体に所在する。総合学習の時間に限らず、生徒個人が、自ら考え、行動する力を育むことの必要性や、「誰一人取り残さない」という理念に、肚から共感している教師・地域の協力者等のステークホルダー連携により、本事業が実現できている。
該当原則
原則1 原則3 原則4 原則5
(原則についての説明はこちら)
選定理由
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- 地域における人材育成強化を通じた「自由な金融行動の実現」を目指し、行員が主体となり教育委員会や地元大学等の多様なステークホルダーと連携することで着実に学習機会の提供の場を広げており、今後の更なる広がりが期待できる。
- 地域金融機関が果たすべき役割を、地域の将来世代の育成にまで広げるとともに、金融知識を学ぶ機会を提供するだけでなく、地域の活性化に向けて、地域資源を活用した課題解決や地域振興について考え・学ぶ独自のプログラムの提供等も実施しており、今後の地域発展とともに新たな事業創造や金融サービスの創出への発展等も期待される。
- 持続可能な社会の形成に向けて人的資本の重要性が高まるなか、地域金融機関が果たすべき責任と役割を踏まえ、将来世代の育成による社会価値創出と行内の人材育成を通じた企業価値向上の両立が期待できる好事例であり、運営委員長賞に選定する。