グローバルインパクト投資ファンドによる気候変動問題の課題解決に向けた取組
─りそなアセットマネジメント株式会社─
概要
- りそなアセットマネジメント株式会社は、自社のパーパス(存在意義)を「将来世代に対しても豊かさ、幸せを提供」とし、投資先企業だけでなく、企業活動の基盤である社会・環境がサステナブルであることが、お客さまからの受託資産を守り、お客さまのサステナビリティを支えることにつながると位置づけている。
- 持続的な社会生活を継続する上で最大の課題である気候変動問題に取組むことは、将来世代の豊かさ、幸せを実現する上で不可欠だという認識のもと、グローバルインパクト投資ファンド(気候変動)を運営し、「気候変動およびその影響により、誰一人として生命や健康を損なうことのない持続可能な世界」の実現を目標に掲げ、課題解決に貢献する投資先企業の活動に長期伴走するとしている。
- グローバルインパクト投資ファンド(気候変動)の運営にあたっては、株式運用部のインパクトチームがコアとなり、責任投資部、運用戦略部との協働のもと、経済価値と社会価値の両義性と両価値の見える化を目指している。
実績
- <緩和:再エネ由来の電力供給力強化>
再エネ由来の電力供給力強化を通じたインパクト創出の把握のために、①再エネ発電容量拡大、②再エネ発電効率向上、③再エネボトルネック解消の3つのインパクトパスを設定し、定量的、定性的な評価を実施した。うち定量的評価としては、直近年度における当領域の企業によるGHG削減貢献量を合計約2,559万トンCO₂eと試算している。 - <緩和:既存発電事業の低炭素化>
既存発電事業の低炭素化を通じたインパクト創出の把握のために、①既存インフラのアップグレード、②水素活用による低炭素化、③カーボンキャプチャーによる既存発電事業の低炭素化という3つのインパクトパスを設定し、定量的、定性的な評価を実施した。うち定量的評価としては、直近年度における当領域の企業によるGHG削減貢献量を約70万トンCO₂eと試算している。 - <緩和:利用エネルギーの電化>
利用エネルギーの電化を通じたインパクト創出の把握のために、①動力源の電化、②熱源等の電化、③効率化による電力消費削減の3つのインパクトパスを設定し、定量的、定性的な評価を実施した。うち定量的評価としては、直近年度における当領域の企業によるGHG削減貢献量を合計約4万トンCO₂eと試算している。 - <緩和:電化以外の削減策・省エネ化>
電化以外の削減策・省エネ化を通じたインパクト創出の把握のために、①熱/動力用途の化石燃料代替、②原料用途の化石燃料代替、③省エネ化推進の3つのインパクトパスを設定し、定量的、定性的な評価を実施した。うち定量的評価としては、直近年度における当領域の企業によるGHG削減貢献量を合計約568万トンCO₂eと試算している。 - <緩和:農林業分野等での炭素削減・吸収>
農林業分野等での炭素削減・吸収を通じたインパクト創出の把握のために、①農業分野での削減、②林業・土地改良促進、③炭素除去技術の活用の3つのインパクトパスを設定し、定量的、定性的な評価を実施した。うち定量的評価としては、直近年度における当領域の企業によるGHG削減貢献量を合計約3,628万トンCO₂eと試算している。 - <適応:災害レジリエンス力の向上>
災害レジリエンス力の向上を通じたインパクト創出の把握のために、①災害対策の効率性向上、②革新技術による防災機能の向上、③復旧・復興力強化の3つのインパクトパスを設定し、定量的、定性的な評価を実施した。技研製作所は直近年度において約5,740億円の防災効果を生み出したと試算している。
「21世紀金融行動原則」の7つの原則への対応とアピールポイント
原則(1)
- 持続的な社会の上で最大の課題である気候変動問題への解決は、将来世代の豊かさ、幸せを実現する上で不可欠。課題解決する企業活動に長期伴走し、パーパス実現を目指し、社会全体の幸せを追求する。
原則(2)
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今世紀最大の課題である気候変動問題が、私たちの生活を脅かしていること、その脅威が拡大していることに危機感を持ち、投資先企業と同じ目線で、同じゴールを目指して、伴走するインパクト投資を組成している。
原則(7)
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インパクト評価は、目標の実現状況や、対象とする課題の解決の状況など進捗が可能な定量的な指標の設定に加え、定性的な評価や事例の紹介なども交えて、定点観測し、定期開示し、不断の改善を決意する。
選定理由
- グローバルインパクト投資ファンドという組成の構想に、将来世代をステークホルダーとして捉え、世の中を変えようという強い決意と情熱を感じる。
- イノベーションの力で有効なソリューションを提供する企業への長期投資により、気候変動という複雑な構造をもつ課題解決を後押しすると同時に、成長の果実として高いリターンの獲得を実現しようという姿勢が感じられる。
- アセットオーナーの世界でインパクト・ファイナンスの重要性が高まる中、実践に伴う様々な課題を乗り越えようとする姿勢を示す取組として、インパクトを生み出す先駆者としての姿勢を評価したい。
- 本ファンド独自の純資産総額は 2023年2月末時点で4.40億円の実績だが、今後のESG投資家への訴求による拡大に期待し、環境大臣賞に選定する。