活動内容

2022年度 選定結果 末吉選定委員長による全体講評

 今年も数多くの意欲的な取り組みに接することができました。改めて応募機関に感謝申し上げます。

 

 選定を通じて、21世紀金融行動原則の署名金融機関の皆様が過去10年にわたって着実に進めてこられた取組が、日本にサステナブル金融を根付かせつつあるとの実感を強く持った次第です。

 

 とは言え、目を内外に向けますと、気候変動の劣化、生物多様性の喪失、資源の枯渇、人権侵害、などなどの世界的課題に加えて、我が国は高齢少子化、地域社会の衰退など、これまで経験したことのない「縮む日本」という難題に直面しています。無論、自治体や企業が脱炭素など持続可能な社会の実現に向けた取組を加速し、若者世代も小学生からSDGsを学び、サステナビリティに高い感度を持つなど、社会の変化が始まっていますが、本当の社会転換は、社会の基礎的インフラである金融機関が本来の役割を果たしてこそ実現します。金融が変わらぬ社会ではサステナブル社会の実現は難しいのです。世界では、社会的役割を自覚しサステナブル金融に取組む機関が生き残り、それができない先は自ずと淘汰されるサバイバルゲームが始まっています。

 

 最優良取組事例の選定委員会はこうした認識の下、2050年のカーボンニュートラルの実現へ向けての取組をスピードアップと共にレベルアップしていかねば、問題解決に間に合わないだけでなく、世界との競争に於いて日本が置いてけぼりを喰いかねないという危機意識を委員全員で共有して選定作業に当たりました。

 

 最後になりましたが、選定委員会から、日本の金融機関への期待として、以下を申し上げておきます。

  • 短期と中長期のバランスの取れた金融サービス
  • 課題を抱えながらも社会の基盤を支える地域や中小企業などへの長期的支援
  • 女性や若年層、更には、障がい者など、社会的弱者への配慮
  • 個別の金融商品レベルにとどまることなく、経営の在り方自体を見直す本質的な転換

 

 「3・11」が生んだともいえる21世紀金融行動原則は、その意味合いを益々深めています。署名機関の皆さまの社会的責任ある金融サービスで、内外の課題解決が一層進むことを願ってやみません。

2023年3月8日

21世紀金融行動原則 最優良取組事例選定委員会委員長

末吉 竹二郎