活動内容

2020年度 環境大臣賞 地域部門

地元企業ビジネスマッチングを通じて地域に広げるSDGsの輪
─浜松磐田信用金庫─

概要

浜松磐田信用金庫は地域におけるSDGsのハブとなるべく、パートナーシップの構築に取り組んでいる。信用金庫は地域と運命共同体であるとの認識を強く持っており、地方創生および持続可能な地域社会の形成に対して本気で取り組む必要があるからである。具体的取組としては、まず一人一人の職員が顧客とのコミュニケーションを大切にし、事業性評価により企業の事業内容の理解、強みや課題を把握している。このプロセスを実践した後は事業性評価シートに落とし込む等して、支店と本部で情報を共有し、本部と自治体等との連携ネットワークを利用し、80店舗に渡る支店網を駆使して、金庫一体で企業交流やマッチングを実践している。

 

実績

「浜松市SDGs推進プラットフォーム」会員企業同士を仲介し、SDGs推進につながるビジネスマッチングを成立させた。取引先「特定非営利活動法人せきれい」(森林エコ活動に協力している就労継続支援B型作業所)が地元天竜産木材で作成した額縁を、同じく取引先「株式会社丸源竹内組」(建設・土木工事)が購入。

 

「せきれい」では地元産木材(間伐材・端材)の天竜杉・桧を加工した割り箸を製造販売しているが、昨今の新型コロナウイルスの影響により、受注が減少(飲食需要)。当法人でも販路拡大に取り組んでいるが、なかなか情報発信ができず、新規開拓に苦慮していた。このため浜松磐田信用金庫では、SDGs活動及び地域貢献、地方創生の観点からマッチング先を探すサポートを開始し、「丸源竹内組」を紹介。「丸源竹内組」は環境対策等のSDGs活動に熱心な企業で、パートナーシップを重要視しており、同社の遮熱塗装を導入した企業にカーボンオフセット証明書を発行している。同社は「せきれい」の事業内容に共感し証明書の額縁製造を発注し、マッチングに至った。

 

本取組は地元山林の保全(環境対策)と障がい者の活躍の場の創出(雇用)に寄与する、地域のSDGsを推進する企業の好事例であるためプレスリリースを行い、静岡新聞に取組が掲載された。額縁には天竜材の使用と「せきれい」の名称が入り、両社は今後一緒にSDGs活動を推進していこうとの意志を共有し、本件マッチング後も「せきれい」は「丸源竹内組」から新たな事業主紹介を受け、「丸源竹内組」は新聞報道が遮熱塗装のアピールになり新規取引に繋がる等、営業活動にプラスになっている。

 

<天竜産木材で作成した額縁>

 

「21世紀金融行動原則」の7つの原則への対応とアピールポイント

原則(1)
  • 本取組では、地域金融機関としての重要な役割である金融仲介機能を発揮し、「せきれい」「丸源竹内組」両社のE・S・Gの特徴的な部分をマッチングにより融合させた。地元産間伐材×障がい者雇用×遮熱塗装技術により、森林保護、林業支援、地方創生、ダイバーシティ、環境対策等を含んだ新たな価値を創出するだけでなく、このマッチングを発端とした更なる両社の繋がり・発展が期待されるものとなった。本件のような取組を活発に実施することは、SDGsの目標達成と持続可能な地域社会の形成に資するものである。

原則(3)
  • 新型コロナの影響による販路拡大に苦慮する「せきれい」に新たな受注が生まれたことは、単にモノが売れたということにとどまらず、そこで働く障がい者の活躍やモチベーションアップ、地元山間部の振興や地場産業の発展等にも繋がった。また本件マッチングをプレスリリースし新聞報道されたことにより、環境意識が市民や事業者に広く啓発され、企業の新規取引に繋がるなど、地域全体の環境意識向上と地域経済の好循環に寄与するものとなった。

原則(4)
  • 地域社会の持続可能性を追求する上で、浜松磐田信用金庫では多様なステークホルダーとのパートナーシップ構築を重要視している。その具現策として主体的に取り組むビジネスマッチングにおいて、新たな価値や可能性、広がりを生み出すことに挑戦している。より効果的なマッチングを主体的に実現させるために、当金庫ではBMS(ビジネスマッチングシステム)を導入しビジネスマッチングのDX(デジタルトランスフォーメーション)化を実現し、課題解決機能の強化を図っている。

 

原則についての説明はこちら

 

選定理由
  • SDGs未来都市である浜松市が推進する「浜松市SDGs推進プラットフォーム」の枠組みを活かし、地域のNPO法人と企業のマッチングを実現したことは、自治体と地域金融機関の間の連携のモデル事例として期待できる。
  • 森林保全や林業支援による環境面、障がい者雇用による社会面といった、地域に横たわる複数の課題解決につながる取組として評価できる。
  • 以上から、地域資源に目を向けて地域を活性化しようとする組織的な取組事例が、全国の地域金融機関にも広がって欲しいという期待を込めて、本事例を最優良取組事例 環境大臣賞に選定する。

 

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