活動内容

2020年度 環境大臣賞 総合部門

日本における責任投資のパイオニアとして、すべての運用資産で重大なESG課題の解決に向けた取り組みを推進
─三菱UFJ信託銀行株式会社─

概要

  •  三菱UFJ信託銀行株式会社は、本邦運用機関として初めて、すべての運用資産でESGを組み込む方針(「MUFG AM責任投資ポリシー」)を策定し、同方針に基づき、弊社運用残高(38兆円)のすべてで責任投資に取り組んでいる。
  •  ”E”(環境)への取り組みとしては、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース、Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言に沿った情報開示拡充に取り組むとともに、投資先とのエンゲージメント強化による温室効果ガス排出量の削減や機会の創出に注力。気候変動だけでなく、生物多様性の影響の大きさにも着目し、世界の海洋生態系にプラスチック製マイクロファイバーの侵入を防ぐ協働エンゲージメントを2020年11月に全世界の投資家とともに創設した。
  •  年金基金向けESG戦略プロダクトのラインアップ拡充にも取り組む中、不動産では2018年に信託銀行として初めてGRESB(Global Real Estate Sustainability Benchmark)リアルエステイト評価に参加し、その後のGRESBの参加機関数の拡大に貢献するとともに、本邦運用機関で初めてAIによるESGテキストマイニング手法を開発し、ESG評価とエンゲージメントの質の向上に尽力、世界で展開するインデックス提供会社(STOXX社)とはESGへの取り組みを促進する独自株価指数シリーズを共同開発した。

 

実績

  • 責任投資残高:38兆円(すべての運用資産でESGの視点を組み込む)。
  • エンゲージメント件数:約880件(全体の約4割がESGに関するエンゲージメント)。
  • エンゲージメント実効性:課題解決に向けて「順調」な企業が増加。2020年6月時点のROEはコロナウィルスの影響もあり前年に比べ低下したが、「順調」な企業は相対的に高いROE(自己資本利益率)を維持。
  • ESG戦略プロダクトマップ:国内資産・海外資産、パッシブ運用・アクティブ運用のESG投資ソリューション(含む、債券・インパクト投資)を取り揃え、お客さまの多様なニーズに対応。

 

 

「21世紀金融行動原則」の7つの原則への対応とアピールポイント

原則(1)
  • 三菱UFJ信託銀行株式会社では、「MUFG AM責任投資ポリシー」に基づき、株式・債券等の伝統的な運用資産のみならず、不動産をはじめとするオルタナティブ資産の投資においてもESGの視点を考慮した取り組みを推進、外部委託ファンドに対してはESGの視点からの評価・モニタリングを徹底している。
  • すべての運用資産で組み込む「重大なESG課題」は、同社の責任投資への取り組みを進める「起点」の位置付けとなるため、2020年1月に同課題の特定プロセスを高度化、本邦運用機関として初めてマテリアリティ・マトリクス(縦軸:「社会における重要度」、横軸:「弊社運用における重要度」)を採用、「気候変動」、「健康と安全」、「コーポレートガバナンス」、「情報開示」の4つを「重大なESG課題」に特定した。
  • 「重大なESG課題」は、例えば、株式では同社独自ESGスコア(ESG 15項目の業種内比較により算出)にも反映し、企業価値評価に組み込んでいる。投資先企業とのエンゲージメントでは、同課題を企業価値向上のために対話すべき内容と位置付け、同課題の取り組みを働きかけている。
原則(2)
  • 三菱UFJ信託銀行株式会社では、お客さまからお預かりした資産価値を長期にわたって守り、その価値を高めていくために、お客さまに代わり、ESGの視点を考慮したエンゲージメントや議決権行使を行っている。
  • ESGの視点を組み込んだ様々な運用戦略を開発することにより、お客さまに責任投資のソリューションを提供するとともに、刻々と進化する責任投資業界の動向を情報発信していくことにより、日本における責任投資市場の活性化にも貢献したいと考えている。
原則(4)
  • 三菱UFJ信託銀行株式会社は、First Sentier Investors(欧豪亜を中心に責任投資に積極的に取り組む豪運用会社(弊社連結子会社))とともに英国NPO(Marine Conservation Society)と共同し、世界の海洋生態系にプラスチック製マイクロファイバーの侵入を防ぐ、投資家協働エンゲージメントを2020年11月に設立した。
  • 本イニシアティブは、2023年末迄にすべての新型洗濯機にプラスチック製マイクロファイバーフィルタを標準装備することを目指しており、SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」同14.1「あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する」と合致している。
  • 2020年12月現在、全世界の20を超える投資家が参加を表明しており、今後もPRIコラボレーション・プラットフォームなどを通じて、より多くの投資家との協働により、本イニシアティブの取り組みの強化を図っていく。

原則についての説明はこちら

 

選定理由
  • すべての運用資産にESGの視点を組み込み、運用残高(38兆円)のすべてで責任投資に取り組んでいる。
  • 取り組みを実施するにあたり、役員・幹部によるサステナビリティ委員会を通じて、社内での意識向上を体系的に推進している。
  • 海洋プラごみ問題や、生物多様性など、エンゲージメントにおける課題の特定を包括的に進めていることや、また、独自インデックスの開発など先進性においても評価できる。
  • 以上から、投資業界全体において、全社的なESG投資のモデルケースとなることを期待して、環境大臣賞として選定する。

 

参考資料および受賞機関によるリリースは以下からご覧ください。

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