サステナビリティ・リンク・ローンを通じた取り組み

サステナビリティ・リンク・ローンを通じた取り組み

環境的・社会的に実現可能な経済活動および経済成長の促進、支援することを目指し、資金使途を限定せず、ESG関連の目標の達成状況に応じて金利が変動するサステナビリティ・リンク・ローン原則に準拠したスキームを開発。2019年11月には本邦初の契約締結となり、2020年度までで国内では計6件の実績。お客さまのESGの取り組みを支援し、事業を通じた環境・社会課題の解決に貢献しています。

(第1号案件についてのプレスリリース)
https://www.bk.mufg.jp/houjin/info/pdf/nyk_seiyaku.pdf

【特徴】
サステナビリティ・リンク・ローン原則では、借り手のCSR戦略に規定されているサステナビリティ目標と連携したサステナビリティ・パフォーマンスターゲット(以下SPT)を設定し、金利などの貸付条件とSPTに対する借り手のパフォーマンスを連動させ、SPT達成への動機付けを与えることで、環境的・社会的に持続可能な経済活動および経済成長を促進し、支援することを目指します。

『DBJ BCM格付』

DBJ が開発したスクリーニングシステムにより、企業の防災および事業継続対策への取り組みを総合的に評点化し、優れた企業を選定し、その評価に応じて格付を認証するという、「BCM 格付」の手法を使った融資メニューです。

融資メニュー開始以来累計実績 3968件5,177億円(2021年3月末実績、防災格付含む)

https://www.dbj-sustainability-rating.jp/bcm/

【特徴】
・コベナンツの締結により、融資期間にわたって長期のモニタリングが可能となっています。
・「DBJ BCM 格付」により第三者から客観的に評価されることで、自社の事業継続への取り組みの強み・弱みが明確となり、事業継続マネジメントを高度化することができます。

リスクファイナンス分野における融資と保険の融合 損害保険ジャパン日本興亜(株)との連携

DBJ グループの(株)日本経済研究所、および損害保険ジャパン日本興亜(株)と同じSOMPOホールディングス傘下のSOMPOリスクマネジメント(株)が連携し、リスクマネジメント強化等を希望する企業に対して、BCPの策定、既存BCPの見直し、BCM(事業継続マネジメント)コンサルティング等のサービスを提供するものです。

「DBJ BCM格付」利用企業に対し、損害保険ジャパン日本興亜の「企業総合補償保険(費用・利益補償条項)」の割引と被災設備修復サービスを提供しています。

https://www.dbj-sustainability-rating.jp/bcm/rmservice.html
http://www.dbj.jp/ja/topics/dbj_news/2011/html/0000008762.html

【特徴】
上記①はリスクコントロール面での強化、また、上記②はリスクファイナンス面での強化として、企業のリスクマネジメントを総合的に支援することが可能です。

『DBJ健康経営格付』

DBJ が開発したスクリーニングシステムにより、従業員の健康配慮への取り組みが優れた企業を評価・選定し、その評価に応じて格付を認証するという、「健康経営格付」の専門手法を導入した世界で初めての融資メニューです(2012年3月運用開始)

融資メニュー開始以来実績 234件 3,120億円(2021年3月末実績)

https://www.dbj-sustainability-rating.jp/health/

【特徴】
・コベナンツの締結により、融資期間にわたって長期のモニタリングが可能となっています。
・対面でのインタビューを通じ、「健康管理」と「健康経営」の2つのパートから従業員の健康や働き方への配慮に関する取り組みについて伺い、従業員の健康、さらには持続可能な企業や社会づくりに向けて貢献する企業を支援します。

DBJ-対話型サステナビリティ・リンク・ローン

DBJは、2020年に新しいファイナンスソリューションとして、DBJ-対話型SLLの取扱いを開始しました。DBJ-対話型SLLとは、Loan Market Association等が策定した「サステナビリティ・リンク・ローン原則(SLLP)」および環境省が策定した「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン(環境省ガイドライン)」に基づき、DBJが対話を通じて、企業のサステナビリティ経営の高度化に資する適切なESG関連目標(サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット/SPTs)の設定とその目標達成に向けたご支援をする融資メニューです。
実績 2件350億円(2021年3月末実績)

【特徴】
DBJ-対話型SLLは、DBJサステナビリティ評価認証融資等で長年培ってきたサステナビリティ分野でのノウハウや最新のサステナビリティ動向を踏まえたお客様との「対話」に重点を置いたプロセスを構築しています。「対話」では、お客様の事業戦略やサステナビリティ戦略を踏まえ、最適なSPTsの設定に向け数回のディスカッションの機会を設けるなど、プロセス全体を通じお客様の非財務面の伴走者として、お客様のサステナビリティ戦略の高度化や対外的なPRを支援しています。

「ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)」や「ソーシャルローン、サステナビリティローン」の取組

SMBCグループでは、社会的課題の解決を目的とした新たな官民連携スキームである「ソーシャル・インパクト・ボンド(以下「SIB」)」の取組を開始しています。第一号案件では、神戸市が導入する「糖尿病性腎症等重症化予防プログラム」に対して、日本で初となる本格的なSIBをアレンジしました。

SIBは、社会的インパクト投資の1つとして2010年に英国で始まり、今後は日本国内でも拡大が見込まれております。神戸市の案件の他、2019年には豊中市が導入する「とよなか卒煙プロジェクト」に係る世界初の禁煙SIBを取組み、2021年には法務省が委託した「再犯防止分野における学習支援」において、国が主体となって取り組む初めてのSIB事業に資金提供者として参画しました。また、2020年10月より開催されている「ソーシャル・インパクト・ボンドに関する研究会(特定非営利活動法人ソーシャルバリュージャパン主催)」に特別協賛しており、SIBの普及を通じて社会課題解決の取組を促進する活動に貢献しています。

2018年度からは、資金使途を社会課題の解決を目的とした事業に特定した、ソーシャルローン、サステナビリティローンの取組も開始しています。詳細は、以下URLをご参照ください。

≪「ソーシャル・インパクト・ボンド≫
https://www.smfg.co.jp/sustainability/sdgs/

≪SDGsグリーン/ソーシャル/サステナビリティローン≫
https://www.smbc.co.jp/hojin/financing/sdgs_loan/

【特徴】
・SIBは、民間の資金提供者から調達する資金を使い、行政機関などから委託を受けた民間事業者が公的サービスを実施し、成果に応じて資金提供者に利益を還元する仕組。
・行政機関にとっては民間の資金やノウハウを活用でき、民間企業にとっては事業機会及び社会貢献機会を得られ、また社会的課題解決に関心を持つ個人投資家らの投資機会にも繋がる。

環境マネジメントシステムに則った環境への取組み

SMBCグループでは、環境問題を重要な経営課題のひとつとして認識し、「グループ環境方針」に基づいて、地球環境の保全と企業活動の調和に取り組んでいます。また、「環境負荷軽減」「環境リスク対応」「環境ビジネス」を環境活動の3本柱として掲げ、毎年度、ISO14001の要求事項に対応した独自の環境マネジメントシステムに則ったPDCAサイクルを展開しています。1998年、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001の認証を銀行として取得しました。2019年度からは、社内独自の環境マネジメントシステムに切り替え、自主EMSとして継続しています。

≪マネジメントアプローチ -環境-≫
https://www.smfg.co.jp/sustainability/materiality/environment/manage_environment/

【特徴】
三井住友銀行(旧さくら銀行)は1998年に邦銀初のISO14001認証取得し、EMSをグループ全体に拡充。2019年度からは自主EMSに切り替えて運用を継続。

トランジション・ローン

DBJ は、2021年9月に、本邦初となるシンジケーション方式トランジション・ローンを組成しました。トランジション・ローンとは、パリ協定が目指す脱炭素社会の実現に向け、長期的な移行(トランジション)戦略に則った温室効果ガス削減に取り組んでいる企業を支援することを目的とした融資の枠組みです。
また、本ローンは、本邦で初めてトランジション・ローンとして、経済産業省のクライメート・トランジション・ファイナンスモデル事業に採択されました、

実績:株式会社商船三井様 シンジケーション方式トランジション・ローン(2021年9月)
https://www.dbj.jp/upload/dbj_news/docs/20c454e2115dbd0b01acc417bebd2037.pdf

環境ビジネスの推進を通じた環境問題への取組み

三井住友銀行では環境ビジネスを「本業としてのビジネスを追求しつつ地球環境の維持や改善に貢献するための取組」と位置付け、活動を展開しています。具体的な事例としては、グリーンボンドで調達した資金(発行代わり金)を原資として、国内外で太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー事業等に対するプロジェクトファイナンスを実施し、年度毎に取組みした再生可能エネルギー案件によるCO2削減量を公開しています。その他、環境配慮評価型融資や、グリーンローン等に加え、お客さまからお預かりする預金を再生可能エネルギー等の環境に配慮したプロジェクトに充当することで、ESG/SDGs分野での取組機会を提供する「グリーン預金」(国内初)などの取組を実施しています。ESG/SDGsを切り口とした様々な商品については、下記URLをご参照ください。

≪ESG/SDGsに関連したSMBCグループの主な商品・サービス≫
https://www.smfg.co.jp/sustainability/materiality/environment/business/

2020年度は計76件(前年比+8件)の再生可能エネルギープロジェクトに取り組み、約30百万トン(前年比+約13百万トン)相当のCO2排出削減に貢献しました。組成実績では世界4位(IJ誌)の実績で、プロジェクトファイナンスの有力な業界紙から歴代最多記録となる6度目の「Global Bank of the Year」を受賞しております。

また、SMBCグループでは、国内外の債券市場において定期的にグリーンボンドを発行しており、グリーンボンドの主要な発行体の一つとなっております。
これまでの発行実績としては、2015年10月に、本邦民間金融機関として初となる米ドル建てグリーンボンドを発行して以降、国内外の債券市場において定期的にグリーンボンドを発行しており、2021年3月末時点で発行残高は、6件合計23億ユーロ相当となっております。詳細は下記URLをご参照ください。

≪SMBCグループグリーンボンド≫
https://www.smfg.co.jp/sustainability/materiality/environment/procurement/

SMBCグループは2020年4月に「SMBCグループ サステナビリティ宣言」を策定し、それに基づく具体的な長期計画として「SMBC Group GREEN×GLOBE 2030」を発表しております。その中に「2029年度までに10兆円のグリーンファイナンスを実行する」との目標を掲げておりましたが、2021年5月、これを「2029年度までに30兆円のグリーンファイナンス及びサステナビリティに資するファイナンスを実行する」と上方修正した上で、目標達成に向け積極的に取り組んでいます。

【特徴】
・環境ビジネスの推進は三井住友銀行だけでなく、SMBCグループとして様々なプロダクトを提供。
・再生可能エネルギーへのプロジェクトファイナンスではリーグテーブル等で世界トップランクの実績を誇り、業界をけん引。

エクエーター原則の採択とクレジットポリシーにおける環境リスクの認識

三井住友銀行は、大規模なプロジェクト向け融資を実行する際に、環境・社会への影響を十分検討することを社会に約束する「エクエーター原則(Equator Principles, EP)」を2005年に採択し、国際環境室において環境社会リスク評価を行っています。

エクエーター原則は、世界銀行グループの国際金融公社(IFC)が制定する環境・社会配慮に関する基準・ガイドラインに基づいており、環境社会影響評価の実施プロセスや、公害防止、地域コミュニティへの配慮、自然環境への配慮など多岐にわたります。
当行は、同原則に基づいた当行独自の「環境社会リスク評価手続」を制定の上、2006年6月より運用を開始しており、現在では、環境スクリーニング、環境レビュー、環境モニタリングといった3つのプロセスにより環境社会リスク評価を行っています。

また、上記プロジェクト向け融資以外でも、与信業務の普遍的かつ基本的な理念・指針・規範を明示した「クレジットポリシー」の中で、公共性・社会性の観点から問題となる与信を行わないという基本原則とともに、地球環境に著しく悪影響を与える懸念のある与信を行わないことを謳っています。また、環境や社会へ大きな影響を与える可能性が高いセクター・事業については方針をそれぞれ明確化しており、SMBCグループ各社のビジネスに沿う形で本方針を導入しながら、さらなるリスク管理体制の強化を図っています。

≪環境リスクへの対応≫
https://www.smfg.co.jp/sustainability/materiality/environment/risk/

【特徴】
・2021 年 11 月 、当行はエクエーター原則を採択した金融機関で構成されているエクエーター原則協会の運営委員会メンバーとなりました。 エクエーター原則協会の運営委員会はエクエーター原則を採択している金融機関を代表してエクエーター原則の管理、運営、発展に貢献しています。 当行は運営委員会の一員として、エクエーター原則のさらなる発展に向けた取り組みに注力してまいります。

TCFD提言及び気候変動問題への取組み

SMBCグループではTCFD(※1)への賛同を2017年12月にパリで開催されたOne Planet Summitで表明しました。グループの中核企業である三井住友銀行にて気候変動に関するシナリオ分析を実施し、気候変動に伴う財務的影響を定量的に試算しています(2019年、G-SIBsとして世界で初めて公表)。また、シナリオ分析の結果を含めて、TCFD が提言する 4 つの開示基礎項目である「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」ごとに、当社における気候変動に対する考え方を開示しており、2021年8月に最新の「SMBCグループ TCFDレポート 2021」を公表しています。

SMBC グループは、2050 年カーボンニュートラルに向けた気候変動対策の長期行動計画を「気候変動対策ロードマップ」と称すると共に、現中期経営計画期間中に着手、実行する具体的な施策パッケージを「アクションプラン STEP1」とし、気候変動対策を加速させています。また、「SMBCグループ TCFDレポート 2021」の冒頭CEOメッセージにて、パリ協定の目標に沿い、2050年までに投融資ポートフォリオ全体でのGHG排出量ネットゼロの実現をコミットしました。2021年10月には、同コミットメントを実現するための国際的なイニシアティブである「NetZero Banking Alliance」へも加盟しました。

SMBCグループは、気候変動問題への取組や開示の強化を通じ、パリ協定の目標に沿った環境課題の解決に貢献していきます。

≪気候変動への対応≫
https://www.smfg.co.jp/sustainability/materiality/environment/climate/

※1 Task Force on Climate related Financial Disclosuresの略。2015年4月の金融安定理事会(FSB)によって設立された、気候関連財務情報開示タスクフォース。気候変動の影響を個々の企業が財務報告において公表することを求めるもの

環境・社会課題に取り組むコミュニティ「GREEN×GLOBE Partners」の展開

SMBCグループは、環境・社会課題といった単独での解決が困難な問題について、同じ志を持つ仲間を集め、課題解決に向けて共に行動することを目的としたコミュニティ「GREEN×GLOBE Partners(以下「GGP」)」を展開しています。現在、我々を取り巻く社会は大きな課題に直面し、持続的かつ強靭な社会への移行のために、早急かつ大胆な行動と社会の変革が求められています。SMBCグループは2020年4月より策定した「SMBCグループ サステナビリティ宣言」において、「ステークホルダーと共に行動することでより良い社会の実現へ貢献する」ことを掲げており、そのための取組として、2020年7月にGGPを設立しました。

現在、専用ウェブサイトにて、環境・社会課題に関する情報発信やイベントの告知を行っております。今後、中堅・中小企業のお客さまをメインターゲットに、同じ課題認識を持つ企業を集めてのプロジェクト組成支援といった貌で、お客さまとともに社会課題解決に取り組んで参ります。

GGPは上述の取組などを通じ、『環境・社会課題解決の「意識」と「機会」を流通させる』ために活動していきます。その結果、これらの「意識」と「機会」が世の中に行き渡り、サステナブルなアクションの起点となることを目指していきます。

≪プレスリリース≫
https://www.smfg.co.jp/news/j110270_01.html

≪ウェブサイト≫
https://ggpartners.jp/

【特徴】
・情報発信や幅広いネットワーク作り、共創の場となるプラットフォームを設立。環境・社会課題に関する意識醸成・理解度向上、事業機会・事業活動促進の支援を行うことで、お客さまと共によりよい社会の実現に貢献して参ります。

SMBCグループの社会貢献活動

三井住友銀行をはじめとするSMBCグループは、植樹や環境教育を展開する富良野自然塾の支援をはじめ、役職員が参加するボランティア基金の展開、新たな感染症に対する支援など、各種の社会貢献活動に取り組んでいます。

作家、倉本聰氏が主宰する富良野自然塾は、閉鎖されたゴルフ場に2006年春から植樹をして元の森に還す「自然返還事業」と、そのフィールドを使った「環境教育プログラム」を行っています。三井住友銀行は、倉本聰氏の考えに賛同し、『SMBC 環境教育プログラム NPO法人C・C・C富良野自然塾』として当塾の活動を支援し、大学生向け環境教育プログラムへの協賛などを実施しています。。

また、SMBCグループは、寄付を通じて国内外の様々な社会課題の解決につなげる取組として、グループの有志役職員が自身の給与から毎月天引きで積立募金に参加できる「SMBCグループライジング基金」を展開しています。足許約8,000名の役職員が加入しており、役職員自身が寄付先の推薦を行いながら、2020年度は15百万円超の寄付を実施しました。。

COVID-19への対応としては、お客さまの安全・安心を確保しながら社会のインフラとして必要な業務を継続するため、SMBCグループの役職員およびその家族の健康を守ることが重要と考えています。窓口等では飛沫感染防止用のアクリル板を設置するほか、従業員を2チーム以上に分ける「スプリット・オペレーション」も導入しながら、業務に継続的に取り組めるよう努めています。加えて、SMBCグループとして本感染症対策に総額15億円の寄付を行っており、例えば、新たな感染症に対する有効な治療法確立に向けたウイルスの挙動や特性を解明する研究を支援すべく、「京都大学iPS細胞研究所」に5億円の寄付を実施しました。

≪社会貢献活動(環境)≫
https://www.smfg.co.jp/sustainability/contribution/environment/
≪社会貢献活動(コミュニティ)≫
https://www.smfg.co.jp/sustainability/contribution/community/
≪社会貢献活動(次世代)≫
https://www.smfg.co.jp/sustainability/contribution/next_generation/

「SMBC Group GREEN Innovator」の展開

日本政府の 2050 年カーボンニュートラル宣言以降、2021年 4 月には2030 年における温室効果ガスの46%削減目標が設定されるなど、脱炭素社会への移行をはじめとするサステナビリティへの取組みが加速しています。

今後、脱炭素を始めとするサステナビリティに関するお客さまのニーズが多様化、高度化すると見込まれる中、SMBC グループは、お客さまのニーズに対するグループ一体となった対応力の強化と、グローバルに展開する金融グループとして、社会のサステナビリティの実現に向けた自社のノウハウの蓄積が必要であると考えています。また、多様化するお客さまのニーズや 求められるノウハウは、金融分野にとどまらず、脱炭素関連分野やエネルギー分野といった非金融分野にまで広がることから、他業種との協業が必要になると認識しています。

こうした認識のもと SMBC グループは、サステナビリティ関連のソリューションの提供及び新たなサービス開発やノウハウ蓄積の活動・取組を総称した「SMBC Group GREEN Innovator」を展開しています。「SMBC Group GREEN Innovator」のもと、グループ全体のサステナビリティに関するノウハウ、情報を集約することで、他業種との協業を円滑にし、またサービス開発力を強化することで、お客さまにより高度なソリューションを提供していきます。

2021年11月現在、「SMBC Group GREEN Innovator」のもと、お客さまに適したサステナビリティに関する優先課題の候補等を導出する「SMBCサステナビリティ優先課題特定ツール」、環境配慮型住宅(ZEH)の建築資金を対象としたローン等について特別な金利を提供する取組、また企業の温室効果ガス排出量の可視化クラウドサービス「Sustana(サスタナ)」等を創出しています。

≪プレスリリース、SMBCサステナビリティ優先課題特定ツール≫
https://www.smfg.co.jp/news/j110319_01.html

≪環境配慮型住宅(ZEH)等を対象とした個人向けローンの特別金利取扱開始について≫
https://www.smbc.co.jp/news/j602397_01.html

≪温室効果ガス排出量の算定・可視化クラウドサービス「Sustana」の開発等について≫
https://www.smbc.co.jp/news/j602435_01.html

サステナビリティ方針の制定

「共通価値の創造(CSV: Creating Shared Value)」とは、企業が社会のニーズや問題に取り組むことで社会的価値を創造し、同時に自らの経済的価値を創造していくという考え方です。当グループが目指す「共通価値の創造」は、「存在意義(パーパス)」「経営理念(ミッション)」、「目指す姿(ビジョン)」、「行動規範(バリュー)」、および当グループの社会的責任に関する基本方針である「サステナビリティ方針」に基づいたものです。これらのポリシーには、経営の根幹に据えた「社会的価値創出と経済的価値創出の両立」に取り組む姿勢が明示されています。
また、当グループは、国際的な企業行動原則である「国連グローバル・コンパクト」や、国内金融機関の自主原則「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則(21世紀金融行動原則)」等に署名しており、これらの原則・行動指針を尊重しながら、共通価値の創造を目指しています。

【特徴】
当グループは、「三井住友トラスト・グループの社会的責任に関する基本方針(サステナビリティ方針)」の下、事業を通じて環境問題の解決に資する商品・サービスを提供し、当グループの事業活動に起因する環境負荷を低減することを目的として「環境方針」を制定しています。また、グローバルに重要な二大環境問題への取組推進のために「気候変動対応行動指針」「生物多様性保全行動指針」を制定し、さまざまなステークホルダーと対話・協働して対応に努めています。社会的な課題に関しては、個人の人権や多様な価値観を尊重し、不当な差別行為を排除することを目的として、「人権方針」を制定し投融資先が人権に与える負の影響について情報収集し、法規範等に反する場合等には必要な対策を講じることを定めています。

また、資産運用に関して、グループの三井住友トラスト・アセットマネジメント、日興アセットマネジメントは「責任ある機関投資家」として、「ESGガイドライン」を制定しています。本ガイドラインは、国際的な企業行動規範である「国連グローバル・コンパクト」を踏まえた内容としており、投資先企業には環境への影響の最小化や国際的な労働権利の順守、雇用における差別の禁止、児童労働の禁止や強制労働の根絶、強要と贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗の防止などを期待することなどを明記しています。

三井住友信託銀行は、プロジェクトファイナンス等の融資にあたり、プロジェクト実施者に対して自然環境や地域社会に及ぼす影響に十分配慮することを求める民間金融機関の国際的ガイドラインである「赤道原則」に署名しています。また2020年3月には、海運業界の気候変動リスクに対する金融機関の取り組みとして設立された「ポセイドン原則」に、アジア諸国の金融機関として初めて署名しました。融資の意思決定に際しては、プロジェクトの環境・社会への影響をレビューし、総合的なリスク判断を行います。

サステナビリティについての取り組み(SDGsとの関連性)

当グループはサステナビリティ方針の下、共通価値創造のためのマテリアリティ(重要課題)・マネジメントの推進、事業におけるサステナビリティの取り組み、コミュニティへの価値提供を3本柱として具体的な取り組みを進めています(詳細は下記)
これらはSDGs(持続可能な開発目標)とも密接に関係しています。SDGsが目指す持続可能な社会の構築には、その社会に適合したお金の流れを作ることが不可欠であり、このことは金融機関の本質的な役割であると考えられます。こうした観点から当グループは、お客さまと共にお客さま自身の社会ニーズへの対応とそれに即した金融の仕組みを考えていきます。当グループは、超高齢社会問題の解決に資する事業、また環境問題の解決に資する事業はエコ・トラステューションとして、トータルソリューションのラインアップを拡充してきました。今後もこうしたサステナビリティ事業を推進し、SDGsの個別目標については、ご提供する商品・サービスの社会的価値の妥当性を検証する基準として活用するだけでなく、当グループが目標実現にポジティブな影響(インパクト)を及ぼすよう運営・管理・情報開示のレベルを引き上げていきます。
企業が価値を創造する最終的な目的は、健全で持続可能な社会の構築への貢献です。社会の構成要素であるコミュニティへの価値提供は、事業基盤を健全に維持することにつながることから、事業を行う上で必要な社会的ライセンスと考えられます。当グループはこうした観点からSDGsの視点も取り入れながらさまざまな形でコミュニティへの価値のご提供を実践しています。また、当グループでは関連会社や支店が自主的にさまざまな社会貢献・地域貢献の取り組みを行っています。

【特徴】
共通価値創造のためのマテリアリティ(重要課題)・マネジメントの推進
当グループがステークホルダーとの共通価値を創造し成長を遂げていく上で、サステナビリティの視点は不可欠です。当グループは、経営基盤を形成するものとしてESG(環境・社会・ガバナンス)を重視しており、利益成長においても持続性を期待する長期投資家の評価軸を取り込んだマテリアリティ・マネジメントを推進します。

事業におけるサステナビリティの取り組み
当グループは専業信託銀行グループの機能を生かし、お客さまが直面する社会的な課題に対しトータルソリューションをご提供することで、お客さまとともに持続可能な社会の構築を目指します。SDGs(持続可能な開発目標)はご提供する商品・サービスが創造する社会的価値を把握する(妥当性を検証する)基準として活用します。

コミュニティへの価値提供
社会の構成要素であるコミュニティへの価値提供は、事業基盤を健全に維持することにつながることから、事業を行う上で必要な社会的ライセンスと考えられます。当グループはこうした観点からSDGsの視点も取り入れながらさまざまな形でコミュニティへの価値のご提供を実践しています。

共通価値創造のためのマテリアリティ(重要課題)・マネジメントの推進

マテリアリティ(重要課題)とは、企業の価値創造プロセスに実質的な影響を与える事象です。当グループは、中長期的な視点から優先的に取り組むべき課題としてマテリアリティを特定し、経営のトップレベルで対応するマテリアリティ・マネジメントを推進しています。
環境・社会問題が深刻化する中、リスク管理、収益機会の両面からサステナビリティを経営課題に取り込む企業が増えています。当社のマテリアリティは、当グループの中長期的な企業価値に与える影響と当グループがステークホルダーとの関係を通じ社会へ与える影響の両面から特定されています。この過程で、ガバナンスを含む経営基盤に関わるテーマや、社員やコミュニティとの関係性を含む社会的なテーマ、資源やエネルギー問題とも直結する環境的なテーマが考慮されることから、当グループではマテリアリティをESG(環境・社会・ガバナンス)と重なり合うものと認識しています。

【特徴】
当グループは、2015年にマテリアリティを特定し、2019年にマテリアリティの見直しを実施しています。2019年の見直しでは、財務的視点の重要項目であるトップリスクと非財務的視点の従来マテリアリティを整理統合し、財務・非財務の両方の視点をもつマテリアリティを取締役会で決議しました。
当社はマテリアリティ項目を経営の課題と考えて対応しています。取締役会では、当グループのコーポレートガバナンス基本方針(第3条‐4)に記載された「取締役会が取り組むべきサステナビリティをめぐる環境・社会的な課題」に対応するものとマテリアリティを位置付け、マテリアリティの高いテーマを中心に多面的な議論を行い、当グループが進むべき方針を決定しています。

リスク委員会
当社は、会社法により設置が求められる指名・報酬・監査の3つの委員会に加え、取締役会の諮問機関として独立社外取締役が参画するリスク委員会を設置し、コーポレートガバナンスの実効性を確保するとともに、当グループのビジネスモデルの健全性および信頼性、ならびに経営の透明性をより一層高めています。リスク委員会は、当グループの経営を取り巻く環境、マテリアリティに関する事項に関して、取締役会からの諮問を受けて、その適切性等について検討し、答申を行います。

インターナル・エンゲージメント
インターナル・エンゲージメントとは、経営企画部サステナビリティ推進部が「擬似投資家」となってマテリアリティの高い業務の担当部署および担当役員と行う対話(エンゲージメント)のことです。外部の機関投資家やステークホルダーと直接対話を行うことが少ない部署が投資家視点での課題を認識し、具体的な対応を検討するきっかけを創出します。インターナル・エンゲージメントの結果は、年に一度、取締役会に報告しています。

金融機能を生かした気候変動問題への対応

地球温暖化を原因とする生態系や食糧生産への影響、異常気象によるインフラ機能の停止、水不足や高温による健康被害などに対応するために、温暖化の緩和策と影響を低減する適応策の双方に貢献することが金融機関に求められています。当グループでは信託銀行グループの機能とスキルを生かした付加価値の高いソリューション事業を推進し、省エネ投資の促進や再生可能エネルギーの導入拡大などによって化石燃料依存社会から脱炭素社会への転換を図ることに貢献します。

【特徴】
気候変動の取り組みにおいて目標とするSDGsゴール
今、世界で最も深刻な環境問題は気候変動問題です。気候変動は異常気象や海面の上昇等を通じて既に人の生活や経済活動にさまざまな影響を及ぼしています。また、その影響は途上国や弱者に対してより悪影響を及ぼし、格差や貧困等の社会的課題の原因となっています。一方で、気候変動に対する緩和や適応の対策は、自然資本を豊かにすることにより、人に対する生態系サービスの向上につながります。また、投資の促進や技術革新による社会システムの移行は、経済的な成長を生み出します。地球の持続可能性はCO2排出量実質ゼロの社会をいかに早く達成するかにかかっています。気候変動に対してレジリエントな社会を追求する過程は、貧困撲滅と不公平の是正を通じて、持続可能な社会の構築に通じるものと期待されます。

気候変動ガバナンス
当グループでは、気候変動問題への対応が、当グループの企業価値と持続可能な社会の構築との双方にとって重要な課題であると認識しており、気候変動問題の解決に資するソリューション事業を展開していきます。また、気候変動問題に対して、信託の機能を活用して解決に貢献することで当グループのビジネス機会を拡大することも重要課題として認識しています。

気候変動リスクマネジメント
当グループは気候変動対応行動指針を制定し、気候変動に関するリスク管理を徹底しています。また、金融安定理事会が結成した気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の勧告を支持しており、その提言に沿った取り組みを推進していきます。

◎Climate Action 100+への参画
三井住友トラスト・アセットマネジメント(SMTAM)、日興アセットマネジメント(NAM)は、2017年12月の気候変動サミット(One Planet Summit)においてPRIと世界各地の機関投資家団体が主導して設立した「Climate Action 100+」に参画しています。この枠組みのもと、世界で温室効果ガス排出量の多い100社をリストアップし、各機関が協働してエンゲージメントを実施しています。SMTAMは、2020年4月アジア地域を代表してステアリング・コミッティ(運営委員会)メンバーとなりました。

◎石炭火力発電に対するプロジェクトファイナンス
三井住友信託銀行は、国際社会の重要な課題である気候変動問題において相対的にCO2の排出量が多い石炭火力発電プロジェクト案件に関しては、従来から発電効率や環境負荷等へ一定の社内基準を定め、慎重に取組判断を行ってきました。先進国における低炭素社会の実現に向けた取り組みは金融機関にとっても重要な経営課題であることから、2018年3月に定めた石炭火力発電のポリシーを改訂し、「新設の石炭火力発電所へのファイナンスは原則として取り組みません」(例外条項なし)としました。

ビジネス機会の追求(再生可能エネルギーの取り組み)
電気自動車や自動運転などのモビリティ変革、コンピューターに依存する人工知能やFinTechの普及、サービス産業のデジタル化などによって、社会構造が大きく変わろうとしています。また、日本政府の「2050年温暖化ガス排出ネットゼロ」宣言を受けて、環境イノベーション金融政策が強力に推進されることが予想されます。それらに伴って膨大に使用量が増大する電力の脱炭素化は、化石燃料の使用量削減と再生可能エネルギーの活用によって実現可能となります。当グループでは、さまざまな種類の再生可能エネルギーの普及・拡大をサポートするため、プロジェクトファイナンス、ファンド、リース、リフォームローンなど多様な形態のファイナンスを提供しています。

再生可能エネルギー発電プロジェクトへのプロジェクトファイナンス債権を裏付けとする自己信託受益権の販売
三井住友信託銀行は、2018年9月に再生可能エネルギー発電プロジェクトへのプロジェクトファイナンス債権を裏付けとする自己信託受益権を発行し、当該受益権を販売するスキームを組成しました。気候変動対策として再生可能エネルギーに対するプロジェクトファイナンスが拡大する一方で、プロジェクトファイナンス債権のセカンダリーマーケットでの流動性を確保し、ESG投資家に対して新たな投資機会を提供することが課題でした。三井住友信託銀行では、委託者が自ら受託者となり信託目的達成に必要な行為等(本件では債権回収等)を公正証書等で設定する自己信託を活用することとしました。太陽光発電プロジェクトを対象としたプロジェクトファイナンス債権を自己信託し、当該信託受益権にグリーンファイナンス評価を取得することで、ESG投資に積極的な投資家からのアクセスを容易にしました。なお、本件自己信託受益権はグリーンボンド原則に準拠し、JCRグリーンボンド評価において最高位の「Green1」を取得しています。

機関投資家向け国内再生可能エネルギー事業投資ファンド設立
三井住友信託銀行は、稼働済みの日本国内の太陽光発電事業の匿名組合出資等に投資するファンド「三井住友信託銀行(信託口再生可能エネルギー・ブラウン1号)」を、国内で初めて信託を活用して設立しました。再生可能エネルギー電力の固定価格買取制度により長期・安定的な売電収入に裏付けられた安定的なキャッシュフローに依拠した運用商品を信託受益権(金銭以外の信託)として投資家に提供します。マイナス金利等の厳しい資産運用状況下においても、経済情勢に左右されない安定的なインカムゲインを期待する投資家のニーズに応えるものです。2018年4月に信託設定し、6~8案件のプロジェクトを組み込むことによって1年間で総額150億円の組成を予定しています。三井住友信託銀行が設立・運営する再生可能エネルギーファンドの案件に対する出資も対象としています。また、組成金額の10%程度内を三井住友信託銀行もセームボート投資する予定です。

TCFDレポートの開示
当グループは、情報開示の一環で気候変動問題に関する取り組みをまとめた報告書(気候変動小冊子)を毎年、ESGレポートとともに発行していましたが、2020年度からはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿い、「TCFDレポート」を開示しています。
https://www.smth.jp/csr/report/2020/tcfd_all.pdf

金融機能を生かした自然資本に関する取り組み

自然資本の枯渇や汚染による資源調達リスク、生物資源の不足や不公正な取引、絶滅危惧種の増大による生物多様性の毀損など、経済活動や生活の基盤となる自然資本の問題が増大しています。当グループでは信託銀行グループの機能とスキルを生かした付加価値の高いソリューション事業を推進し、自然資本リスクの低い経済社会システムの構築と生物多様性の保全と自然資本のサステナブルな利用の促進に貢献します。

【特徴】
自然資本の取り組みにおいて目標とするSDGsゴール
地球環境は、あらゆる生きものの生命維持基盤であり、太陽の恵みのもと、水、大気、土、そしてそこで育まれる海や陸の動植物といった自然資本によって構成されています。人間もまた自然資本に依存しており、それを糧に社会システムを構築し経済を発展させてきましたが、その過程で大きな影響も与えてきました。自然資本は無尽蔵ではありません。依存と影響を的確に把握し管理しなければ、早晩使い果たしてしまうリスクがあります。このことは人間の日々の活動に密接に絡みます。それゆえにSDGsの全てのゴールが自然資本と関連しますが、当グループでは主に企業活動の視点から事業の基盤を置く国内、原料・部品調達の多くを依拠する海外の自然資本に注目し、その適切な依存と管理に資するテーマを目標として選定しました。

自然資本ファイナンス・アライアンス(旧:自然資本宣言)
三井住友トラスト・ホールディングスは、2012年6月にリオデジャネイロで開催された「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」において国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「自然資本宣言(The Natural Capital Declaration)」に署名しました。三井住友トラスト・ホールディングスは国内で唯一の当初からの署名金融機関です。なお、自然資本宣言は「自然資本ファイナンス・アライアンス(Natural Capital Finance Alliance)」と組織を発展的に改組して取り組みを拡大しています。

自然資本研究会
当グループは、2013年4月に企業、政府、自治体、学者、研究機関、NGOなどが参加する自然資本研究(委員長 佐藤正弘東北大学 大学院国際文化研究科准教授)を立ち上げ、定期的に会合を持ち、各メンバーの研究内容をテーマにさまざまな角度から議論を重ねています。2018年4月には21世紀金融行動原則との共催で開催した第17回研究会において、自然資本の普及を目的に組成された自然資本コアリション(Natural Capital Coalition)エグゼクティブ・ディレクターのマーク・ゴーフ氏をお招きし、公表を翌週に控えた自然資本プロトコル・金融セクター補足書の内容を踏まえ「自然資本と金融」というテーマでご講演いただき、その後活発な議論を行いました。

自然資本に関わる商品・サービス
当グループにおける自然資本に関わる商品開発の狙いとしては、投融資を通じ、企業、特に多くの資源を海外からの調達に頼る日本企業のサプライチェーンにおける自然資本への配慮の向上に貢献すること、陸域の自然資本の基盤は土地であることを踏まえ、山間部から都市部までそのエリアに即した生態系の回復に努め、エコロジカル・ネットワークの形成に貢献することがあげられます。

・自然資本評価型環境格付融資
企業が事業を継続するためには、資源としての自然資本の持続可能な利用が重要です。グローバル・サプライチェーンにおける、自然資本に関する調達リスクの管理が経営戦略上不可欠だという認識が高まってきました。三井住友信託銀行は、2013年4月、企業の環境に対する取り組みを評価する環境格付の評価プロセスに、自然資本に対する影響や、取り組みを評価する考え方を組み込んだ「自然資本評価型環境格付融資」を開始しました。自然資本の評価を融資基準に組み入れるという取り組みは、世界初の試みで、我が国の環境白書や欧州委員会の報告書等で先進的な事例として取り上げられました。

・生態系、生物多様性に配慮する建築コンサルティング
建物の環境性能を評価認証する「CASBEE-不動産」と敷地の生物多様性を評価する「JHEP(ハビタット評価認証制度)」を併用することにより、不動産の多様な環境性能を高め、総合的な不動産価値の向上を図ることができます。三井住友信託銀行の建築コンサルティングのメニューでは生物多様性への配慮を取り入れています。

・森林信託
日本の国土の約3分の2は森林です。これらの森林資源は戦後造成された人工林が中心で本格的な利用期を迎えていますが、実際はその多くが放置されている状況です。その理由として、森林所有者の経営意欲が低いことが挙げられる一方、意欲のある林業経営者が規模を拡大したくても、「事業地獲得が困難」「路網未整備」「資本装備(林業機械)更新が困難」などがネックになっています。三井住友信託銀行では、林業経営や山林の維持管理における担い手不足、相続問題、施業放棄、所有者不明森林などの社会問題を解決する一手段として、森林信託のスキームを開発し、2020年8月に、本邦初の商事信託として、岡山県西粟倉村に個人の方が所有する森林を信託受託しました。当社は所有者の方に代わって林業事業体への経営の委託、収入の管理などを行い、間伐収益などによる配当を行っていきます。森林信託は、林業再生や地域の活性化を進める「信託ならでは」のSDGsへの取り組みです。なお、森林信託は2021年10月に開催された「第9回プラチナ大賞」において最上位である大賞・経済産業大臣賞を受賞しました。

・公益信託
公益信託は、個人や法人が財産を拠出し、公益活動に元利金を提供する仕組みで、信託銀行は、あらかじめ定められた目的に従って財産を管理・運用しています。三井住友信託銀行は、1977年に公益信託第1号を受託して以来、受託件数を着実に増加させています。さまざまな公益分野で助成事業を行っており、国内の自然保護やエコロジカル・ネットワーク構築に貢献するものも含まれています。

融資における自然資本リスクマネジメント
三井住友信託銀行は、プロジェクトファイナンス等の融資にあたり、プロジェクト実施者に対して自然環境や地域社会に及ぼす影響に十分配慮することを求める民間金融機関の国際的ガイドラインである「赤道原則」に署名しています。また、環境・社会への影響が大きい事業活動を推進するセクターに関するセクターポリシーを定め、負の影響を及ぼす企業やプロジェクトへの投融資を抑制しています。2020年3月、森林、パーム油など、熱帯雨林の違法伐採が懸念されるセクターについて、ポリシーを策定しました。
https://www.smth.jp/news/2020/200331.pdf

投資(資産運用)における自然資本リスクマネジメント
三井住友トラスト・アセットマネジメント(SMTAM)および日興アセットマネジメント(NAM)は、機関投資家が投資の意思決定に際してESG(環境、社会、ガバナンス)に配慮することを求め2006年に制定された「責任投資原則」に署名しています。両社とも、投資先に対しエンゲージメントを通じ、サプライチェーンを含めた自然資本の活用状況やリスクについてのガイドラインやポリシーを求め、長期的観点からリスクコントロールを行うことを要請しています。

自然資本レポートの作成
当グループは、情報開示の一環で自然資本に関する取り組みをまとめた報告書を毎年作成し、ESGレポートの別冊版という形で発行しています。2020年度の「自然資本レポート」は、生物多様性を中心テーマとし、日本生態系協会監修のもと作成しました。
https://www.smth.jp/csr/report/2020/nc_all.pdf

環境不動産業務に関する取り組み

経済社会の発展に伴って、建築物のエネルギー消費に伴う地球温暖化が進行し、都市域が拡大することに伴って生物多様性の毀損などの環境破壊が拡大しています。当グループでは、エネルギー効率性、資源効率性の高い都市や建築物、生産効率改善に貢献する建築物といった環境配慮不動産の普及拡大を目指します。高い環境性能などがもたらす収益の向上やリスクの低減によって不動産の価値向上に資する取り組みを推進していきます。

【特徴】
環境不動産の取り組みにおいて目標とするSDGsゴール
建物の建設・運用に関するCO2排出量は、間接排出分も含めると日本全体の約4割に及ぶともいわれています。また人間は屋内で過ごす時間が長いことから、その屋内環境は当然、滞在者の健康や生産性にも影響します。このように不動産は環境、社会、経済の三側面に大きな影響を及ぼしていることから、SDGs達成に向けた統合的取り組みはこれら三側面の持続可能性(サステナビリティ)向上に大きな効果をもたらすものと考えられます。当グループでは、エネルギー効率性、資源効率性の高い都市や建築物、生産効率改善に貢献する建築物といった環境配慮不動産の普及拡大を目指します。高い環境性能などがもたらす収益の向上やリスクの低減によって不動産の価値向上に資する取り組みを推進していきます。

環境不動産に関する三井住友信託銀行の取り組み
・三井住友信託銀行は、信託銀行としての幅広い取引基盤を生かし、不動産仲介や証券化、コンサルティング、鑑定評価から投資事業まで、グループの総合力を生かし、専門性の高い事業を幅広く展開しています。
・環境不動産に関しては2005年、環境不動産のもたらす付加価値に関する論文の発表を皮切りに、「環境性能」とそれに伴う「付加価値」を分かりやすく示すことを中心に、多くの提言を行ってきました。
・2010年には国内金融機関として初めて、環境不動産の専担組織を設置しました。不動産事業の高度なビジネス基盤に加え、環境不動産のパイオニアとしての取り組みを通じて、環境不動産の普及に向けたビジネスを展開しています。

自然資本に関わる商品・サービス
・CASBEE-不動産認証申請支援コンサルティング
三井住友信託銀行は、CASBEE-不動産の認証申請を支援するコンサルティング業務を展開しています。認証申請を行う不動産の選定などを支援するとともに、CASBEE不動産評価員の有資格者が不動産の環境性能評価を実施し、認証機関への認証申請をサポートします。また、 三井住友信託銀行は、CASBEE-不動産の評価と合わせて、環境性能の向上に向けた課題の発見や、その改善に向けた取り組みに関する提言も行っています。

・「CASBEE-ウェルネスオフィス」認証申請支援コンサルティング
三井住友信託銀行は、国土交通省「ESG投資の普及促進に向けた勉強会」および「スマートウェルネスオフィス研究会」を通じてCASBEE-ウェルネスオフィスの開発に関与しており、CASBEE-ウェルネスオフィスによる評価や認証申請手続きに関する助言、審査対応等の支援業務を行っています。

・「CASBEE-街区」認証申請支援コンサルティング
CASBEE-街区は、CASBEE®のさまざまなツールの中でも、住宅地や商業地などの面的な開発(街づくり)を対象とした環境性能評価です。 環境・社会・経済の三つの側面からみた環境品質とともに、環境負荷の低減が評価されます。 持続可能な開発目標(SDGs)や環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する取り組みを示しやすい評価項目の構成となっています。三井住友信託銀行は、CASBEE-街区による環境性能の評価や、認証申請手続きに関する助言、審査対応支援等の支援業務を行っています。

・建築時における環境配慮に向けたお手伝い
三井住友信託銀行は、我が国初の土地信託を1980年代に商品化し、ビルやマンションなど多くの不動産開発や運営に携わっており、それらの経験を生かした建築コンサルティングのサービスを提供しています。この建築コンサルティングのサービスにおいて、お客さまのご希望に応じてビルなどへの省エネシステム導入、景観や生態系への配慮、建物長寿命化、リサイクルシステムの採用など、環境配慮に関するアドバイスも行っています。環境問題に対する関心の高まりから、最近ではCASBEE®の認証や自主評価を目指す案件も多くなってきました。また、国土交通省「サステナブル建築物等先導事業」(旧住宅・建築物省CO2先導事業)や経済産業省「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業」に採択された事業もあります。

・スマートタウン・スマートシティの価値「見える化」と構想策定支援
近年、「電気の有効利用に加え、熱や未利用エネルギーも含めたエネルギーの『面的利用』や、地域の交通システム、市民のライフスタイルの変革などを複合的に組み合わせたエリア単位での次世代の社会システムである『スマートコミュニティ』のシステムを取り入れたスマートタウン・スマートシティの実現が、地域開発にあたっての重要なポイントとなっています。スマートタウン・スマートシティ実現のためには、基本構想段階から環境面・社会面・ガバナンス面(ESG)における街の目標を明確に定めるとともに、コストアップに応じた経済的な付加価値を実現させる必要があります。三井住友信託銀行はスマートタウン・スマートシティのプロジェクトに関して、環境貢献などのさまざまな取り組みを経済的な付加価値に結び付けるフレームワークの構築や、事業構想の策定をお手伝いさせていただくほか、住宅ローンなどの金融機能の提供を通じて事業の実現をサポートしています。

グリーン合同運用指定金銭信託の組成
三井住友信託銀行では、環境不動産への取り組みが有利な資金調達につながるよう、グリーンファイナンスの商品化を進めています。2018年9月にグリーンビルディングの新規取得およびリファイナンスに資金使途を限定した貸付金で運用する合同運用指定金銭信託「グリーントラスト」を組成しました。投資家からの信託金はJ-REITへの貸付を通じてCASBEE-不動産の認証等を受けたグリーンビルディングに振り向けられ、J-REIT市場における環境不動産の普及拡大に資するものです。本グリーントラストはグリーンボンド原則に準拠し、株式会社日本格付研究所(JCR)のJCRグリーンボンド評価において最高位である「Green1」の評価を取得しています。これは、合同運用指定金銭信託として国内初の取り組みとなります。また、本グリーントラストからの貸付金に関しても、グリーンローン原則に準拠しJCRグリーンローン評価で最高位の「Green1」の評価を取得しています。

環境不動産レポートの作成
当グループは、情報開示の一環で環境不動産に関する取り組みをまとめた報告書を毎年作成し、サステナビリティレポートの別冊版という形で発行しています。
https://www.smth.jp/csr/report/2020/efp_all.pdf