活動内容

2023年度 環境大臣賞 地域部門

地域企業の脱炭素化支援 ─株式会社 十六銀行─

概要

    • 取引先企業において脱炭素経営に関心を持つ企業が増えている一方で、自社の温室効果ガス排出量を把握できておらず、何から取組めばよいかわからないという企業が多いことを受けて、株式会社十六銀行は、金融機関として資金を提供するだけでは取組 拡大につながらないという課題に直面し、脱炭素に向けたコンサルティングを自行のビジネスとすることにより取引先企業の脱炭素への取組を促進しようと、商品開発や体制整備を始めることとした。
    • 2021年8月、取引先企業の脱炭素経営を支援するコンサルティングサービス「カーボンニュートラルナビゲーター Supported by WasteBox」の取扱いを開始し、以下のとおりカーボンマネジメントの支援を実施。
      1. ① 温室効果ガス排出量の把握
      2. ② 削減目標の設定
      3. ③ 取組内容の開示と削減策の実行
        サービスを利用した企業が希望する場合には、SBT認定(中小企業版)の申請も支援

2023年度 環境大臣賞 地域部門 十六銀行

  • 2023年2月、脱炭素コンサルティングサービスを高度化し、脱炭素経営移行計画の作成支援を行う「脱炭素経営移行計画レビュー」の取扱いを開始、以下のサービスを提供。
    1. ① 2年目以降の温室効果ガス排出量算定フォロー
    2. ② 削減量の確認・削減認定証の交付
    3. ③ 移行計画策定・進捗レビュー
  • 2023年8月、脱炭素コンサルティングサービスを利用した企業に対し、継続的に正確な温室効果ガス排出量算定を可能とするためのシステム環境を提供するサービス「トリアネットゼロ」の取扱いを開始。取引先企業が使用量を入力することにより排出量が算定され、その結果をScope別、拠点別、エネルギー別などの観点でグラフ化表示する機能などを備えるもの。
  • 脱炭素コンサルティングサービスの開発にあたり、取引先企業と外部専門事業者をビジネスマッチングするのではなく“自らサービスを提供する”という方針を明確にした。
  • 本部行員6名が、業務提携した専門事業者から研修を受け、専門知識やノウハウを習得し、行内で取引先企業の温室効果ガス排出量の算定や削減目標の設定を支援できる体制を整えた。
  • そのうえで、営業店担当者が取引先企業の脱炭素への取組状況などを聴取し、関心の高い企業に本部行員と同行するという形でサービスの提供を開始した。
  • この営業体制を構築したことで、より深度あるエンゲージメントを実施できるようになった。また、結果的に営業店担当者のOJTにもなり、脱炭素に関する行内全体の理解促進や提案スキル向上につながっている。

 

実績

  • 脱炭素コンサルティングサービス契約件数:179件(2023年9月までの実績)
  • SBT認定(中小企業版)申請支援件数:98件(2023年9月までの実績)
    ※2023年9月までにSBT認定(中小企業版)を受けている国内企業435社のうち、支援した企業は98社(全体の22.5%)(株式会社十六銀行調べ)
  • ポジティブインパクトファイナンスの実績: 2021年度1件/1,000百万円、
    2022年度41件/5,213百万円、2023年度(9月まで)18件/1,838百万円

 

「21世紀金融行動原則」の7つの原則への対応とアピールポイント

原則(1)
  • 環境課題として重要な位置付けにある気候変動に対し、サステナブル・ファイナンスを通じて取引先企業の取組を促進するという金融機関として果たすべき役割を認識し、その基盤作りとして必要となる脱炭素経営支援をビジネスとして構築している。

原則(2)
  • 取引先企業の脱炭素経営を支援するコンサルティングに他の金融機関に先行して取組み、また専門事業者への紹介にとどまらず行員自らが実施する体制を構築した点において、先進性や独自性があると認識している。この結果、SBT認定(中小企業版)を受けた国内企業の2割以上が自行の支援企業となっている。

原則(6)
  • 脱炭素に向けた取組の必要性についての啓蒙活動や脱炭素コンサルティングサービスの提供を通じて、取引先企業との深度あるエンゲージメントを実施し、地域の脱炭素化や持続可能な地域社会の形成に貢献している。

 

原則についての説明はこちら

 

選定理由
  • 脱炭素支援に取組む地域金融機関では外部連携による取組が多い中、自行内で脱炭素コンサルタントを育成し内製化するという思い切った方針と、行内全体で脱炭素化に向けた支援を実施する姿勢を高く評価する。
  • 地域事業者の資金面のニーズに加えて、脱炭素についてのニーズに応えるため、トランジションの支援で融資先とつながるという金融業界の王道となるような事業モデルといえる。
  • 本取組とあわせ、ファイナンスド・エミッション算定によるエンゲージメントや、サステナブル・ファイナンスの推進など複合的な取組にも波及しており、脱炭素経営を実施する地域金融機関の模範的な取組として、環境大臣賞に選定する。

 

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