J-クレジットを活用した取引先の環境経営の実践と企業価値向上支援
─株式会社山陰合同銀行─
概要
- 株式会社山陰合同銀行は、2010年に鳥取県と連携し全国初となる「J-VER地域コーディネーター制度」(現「J-クレジット地域コーディネーター制度」)の創設を支援。同県認定の第1号「地域コーディネーター」として、J-クレジット販売仲介支援活動(県と環境貢献意識の高い取引先企業・団体等をつなぐ活動)を開始。
- 同制度はその後、J-クレジットを保有する県内外の自治体、行政外郭団体等でも採用されることとなり、また参画する地域コーディネーターも着実に増加するなど、面的な拡大を実現。
- 現在同行は、鳥取県をはじめとした地元自治体や団体、民間企業など計8先のJ-クレジット保有者とコーディネーター契約を締結し、本部と営業店が連携して温室効果ガス排出量の見える化やJ-クレジットの販売仲介含めたカーボン・オフセットのサポートを行うなど、取引先企業の環境経営の実践とそれによる企業価値向上を支援中。
- 2006年より継続している同行役職員の地域支援活動(森林保全活動や環境活動を実施する団体のネットワーク支援)の中で直面した、地域の自然環境保全のための資金確保という課題解決の糸口ともなる取組。
実績
- 販売仲介の実績は、2021年11月末時点で累計仲介数量:6,320t-CO2、累計購入先数(延べ):158件。特に2021年度は、4~11月の8か月間で2,025t-CO2(64件)を仲介支援。
- 近時は、地元自治体からのJ-クレジットの新規創出や取引先からのJ-クレジット購入に関する問い合わせ、また他地域金融機関からも本取組に関する照会が増加しており、同行がこれまで蓄積した知見・ノウハウを積極的に提供中。
該当原則
原則1 原則2 原則3 原則4 原則5 原則6 原則7
(原則についての説明はこちら)
選定理由
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- J-クレジットが認証・発行される適正管理された森林を保有する鳥取県の地域性を活かした官民連携の取組であり、地域金融機関が果たすべき責任と役割を認識し、地域課題に取組んでいる。
- 鳥取県とともに創設した当該制度は、仲介業務を当該行に限定せず、多くの関係者の参画を促し、 J-クレジット制度の普及促進、森林への資金還流と環境保全を実現している。
- 2010年から開始した取組であるが、2021年度は仲介支援実績が急増(64件)。現在、J-クレジット制度も柔軟な運用へ向けた制度改定等が見受けられ、今後利用者の拡大が見込まれる中、本取組はJ-クレジットを金融機関が活用する好事例で、他行のロールモデルとなる点から運営委員長賞に選定する。