活動内容

2021年度 環境大臣賞 地域部門

風力発電事業の産業化および脱炭素社会実現に向けた北都銀行の挑戦
─株式会社 北都銀行─

概要

  • 株式会社北都銀行は、生産年齢人口の減少や地域内需要の縮小が懸念される秋田県において、地域資源を生かした風力発電事業を産業化させるため、本邦金融機関初の風力発電事業専門会社を設立(フィデアグループとして出資)し、秋田県内を中心に風力発電所開発をファイナンス面から積極的に支援している 。2020年5月には、国内最大規模となる22基66MWの風力発電所「秋田潟上ウインドファーム」を運転開始。メガバンクが中心であったプロジェクトファイナンスのアレンジャーを担い、事業を主導。
  • 2013年に秋田風力発電コンソーシアムを共同設立し、自治体をはじめ県外メーカーや地元製造業、金融機関など、様々な業種が参集し、メイド・イン秋田の発電機(風車)の製造や、風力発電に親和性の高い産業の育成を目指し活動を続けている。
  • 2021年1月、地方銀行及び秋田県内企業として初めて、『再エネ100宣言 RE Action』に参画。2050年までに使用電力を100%、地産地消の再生可能エネルギーで賄うべく、地域の発電所の電力への切替を実施。
  • 地域金融機関として秋田県全体の脱炭素化に向けた行動連鎖を喚起するため、「北都グリーンアクション」を策定。県内の再生可能エネルギー需要を掘り起こし、再エネを軸とした新しい産業創出を目指し取組を続けている。
    第1弾:『再エネ100宣言 RE Action』に参画(2021年1月)※全国地銀初
    第2弾:ほくとグリーン私募債取扱開始(2021年4月)
    第3弾:風力発電分野における産学金連携協定を締結(2021年5月)
    第4弾:環境省「地域ESG融資促進利子補給事業」指定金融機関に採択(2021年7月)
    第5弾:環境省「令和3年度ESG地域金融促進事業」に採択(2021年7月)
    第6弾:洋上風力発電事業の国内サプライチェーン・産業基盤の新規創出、地域経済の活性化に関する共同検討協定締結 (2021年8月)
    第7弾:産学金連携による国際教養大学への寄付講座の開設(2021年9月)
    第8弾:「<ほくと>SDGs/ESG経営支援サービス」の開始(2021年9月)
    第9弾:CO2排出量・削減量簡易算定支援サービスの開始(2021年12月)

 

実績

  • 地域金融機関として、地方創生の観点で秋田県内の再生可能エネルギー事業へ積極的に融資を拡大し、 2021年3月末の再エネ向け融資残高は、617億円(同行事業性融資の15%)。
  • 国内最大規模の風力発電所、秋田潟上ウインドファームの開発においては、プロジェクトファイナンスのアレンジャーとして金融組成を主導。本事業により、地元業者 35 社、のべ労働者数 13,568 人(建設、保守点検)等の雇用効果を創出。昨今の脱炭素社会への潮流変化を背景に、地域金融機関の新しいビジネスモデルを示した。
  • 『再エネ100宣言 RE Action』参画後は、「第1回国・地方脱炭素実現会議」への臨席や「第2期秋田県新エネルギー産業戦略」改定検討会のメンバーに選出されるなど、直接中央及び地域の政策への提言ができる機会を得ている。また、再エネ開発投融資やエネルギー関連補助金を巡って県内外の企業からの連携依頼や相談が、再エネ導入を希望する県内企業からの相談も増加。

「再エネ100宣言RE Action」のスキームイメージ ~再エネ電力の地産地消を推進~

「21世紀金融行動原則」の7つの原則への対応とアピールポイント

原則(1)
  • 地域の再エネ導入拡大に向けた支援《秋田潟上ウインドファーム》

    秋田県が保有する保安林(約6 ㎞)を活用した県の公募事業。ウェンティ・ジャパンが三菱商事エネジーソリューションズ、シーテックとタッグを組み、 2020年5月に運転開始。GE(ゼネラル・エレクトリック)社製 3.2MW 風車を 22 基設置 国内でも最大規模の風力発電所。同行がプロジェクトファイナンスのアレンジャーを務め金融支援 。本事業により、地元業者 35 社、のべ労働者数 13,568 人(建設、保守点検)等の雇用効果を創出 。

原則(2)
  • 北都グリーンアクションの実践(脱炭素社会の実現に向けた取組)

    ①地域 ESG 金融の推進:これまで注力してきた再生可能エネルギー事業向け貸出に加え、秋田県内の取引先企業に対し、脱炭素化に寄与する再生可能エネルギー及び省エネルギー設備導入等の環境負荷低減に向けた提案を積極的に実施。

    ②風力発電の産業集積及び再生可能エネルギーの地産地消を促進。

原則(4)
  • 地方銀行及び秋田県内企業として初の『再エネ100宣言 RE Action』に参画。

    再生可能エネルギーの地産地消を先導者として県内企業に勧め、同宣言の参画を県内企業・自治体に呼び掛けている。特にグローバルに再エネへのシフトが求められる大企業および同系列の製造業への提案に注力中。

    同宣言を実行するため、“再エネ電力の地産地消”をコンセプトに、下記2つの電源を活用。

    A.秋田県の水力発電所の電力

    B.秋田潟上ウインドファーム (みんな電力のブロックチェーン技術を活用)

 

原則についての説明はこちら

 

選定理由
  • 山積する地域課題の解決を図る必要がある一方、世界的な脱炭素の潮流の中で、地域金融機関として早くから地域の豊富な再生エネルギー資源に着目し、取組を始め、実績を積み上げている。
  • 秋田風力発電コンソーシアムにおいて、産・官・学・民の様々なステークホルダーを巻き込み、プラットフォームを形成している。
  • 風力発電事業専門会社を設立し、地域金融機関でありながらメガバンクが担うことが多い大規模電力事業におけるプロジェクトファイナンスのアレンジャーを担うなど、風力発電をビジネスの柱に成長させ、また今後拡大が予想される洋上風力発電事業にも取組み始めている。
  • このような取組は日本各地、どこにでも広げることが可能であり、他機関の行動を促す取組として環境大臣賞に選定する。

 

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