活動内容

平成30年度(2018年度)環境大臣賞 地域部門

「しがぎんSDGs宣言」を起点とした、社会的課題解決に向けたビジネスモデル創出支援の取組
─株式会社滋賀銀行─

概要

  • 滋賀銀行は、近江商人の「三方よし」の精神を継承する銀行として、かねてより「環境」「福祉」「文化」を3本柱とするCSR経営を実践している。国連でSDGs(持続可能な開発目標)が採択されたことを機に、改めて当行の取組を見直し、CSR経営とSDGsの方向性が軌を一にすることを認識。2017年11月に地方銀行として初となる「しがぎんSDGs宣言」を表明した。
  • 「しがぎんSDGs宣言」では、SDGsを企業行動につなげ、CSR経営をさらに深化させることで、持続可能な社会の実現に貢献することを表明。そこで、「金融」を通じて、SDGsのアウトサイド・インの考え方を活用した新たなビジネスモデルを創出していくことで、地域の社会的課題を解決し、地域の魅力を育み、人と街が成長する豊かな地域経済を創出することを目指す取組を展開している。
  • 「しがぎんSDGs宣言」以降、アウトサイド・インのビジネスモデルの創出を支援するため、「ビジネスプラン立案~資金調達~販路拡大」などを支援するSDGsを活用した一連の取組を開始。
    1. 2018年2月、ビジネス奨励制度に、社会課題解決を起点とした優れたビジネスプランを表彰する特別賞「SDGs賞」を新設。
    2. 2018年3月、SDGsに貢献する新規ビジネスに優遇金利で融資を行う「ニュービジネスサポート資金(SDGsプラン)」の取扱開始。
    3. 2018年7月、環境ビジネス商談会「エコビジネスマッチングフェア」で、SDGsを活用した商談活性化の取組を実施。
    4. 2018年9月、SDGs私募債「つながり」の取扱開始。私募債発行を通じて地域の課題解決に取組む非営利活動を支援。
    5. 2018年10月、アウトサイド・イン ビジネスの実践支援機関「滋賀SDGs×イノベーションハブ」を、産官金連携で立ち上げ。
    6. SDGsに貢献する新規ビジネスなどに挑戦する取引先をマスコミに紹介。連載企画などで紹介いただくことで、地域のキラリと輝く優良企業として知名度向上。

 

 

実績

  • ニュービジネスサポート資金(SDGsプラン)の取扱実績累計は15件/2億8400万円(2018年11月末時点)。

 

「21世紀金融行動原則」の7つの原則への対応とアピールポイント

原則(1)
  • お金の流れを通じて、持続可能な社会の形成に向けたお取引先の取組を促していくことは地域金融機関の使命である。気候変動などが社会に与える影響を考慮し、早期に取組を進めていくことで、リスクをチャンスに変え、社会の課題解決と企業成長を両立する共有価値の創造につながる。

 

原則(2)
  • 当該取組は、社会的課題解決を起点として持続可能な社会の実現に貢献する新規事業に取組まれるお取引先を応援するもの。まさに金融商品・サービスの提供を通じ、持続可能なグローバル社会の形成に貢献する取組と考える。

 

原則(3)
  • アウトサイド・インのビジネスモデルは、従来のマーケットインの発想よりもさらに広い社会課題からビジネスを創出する考え方であり、中小企業に新たなビジネスチャンスをもたらす。地域の課題解決に資するビジネスを支援・育成することは地域の振興と持続可能性につながる。

 

原則についての説明はこちら

 

選定理由
  • 2017年11月に地方銀行で初めて行ったSDGs宣言を軸に、ビジネス奨励制度から本業である融資商品「ニュービジネスサポート資金(SDGsプラン)」及び産官金連携の「滋賀SDGs×イノベーションハブ」を立ち上げる等、新規性は言うまでもなく、組織全体により本気でSDGsに取組んでおり、評価できる。
  • 「ニュービジネスサポート資金(SDGsプラン)」については、着実にその結果が積み上がってきており、事業性評価の本質を捉えるとともに、非財務情報を見極める「目利き力」の向上につながっており、融資先企業の新規ビジネス拡大に貢献している事例が出てきている。まさに地域に根ざした、持続可能な社会の形成を目指す地方銀行のお手本として、評価できる。
  • 加えて、UNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)への署名参加やTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同を表明する等先進的な海外の情報や動きを取り入れようとする姿勢、また統合報告書を発行するなど、その積極的な姿勢は評価できる。
  • 以上の理由に加え、我が国におけるさらなる同種の取組への期待を込めて、本事例を最優良取組事例に選定した。

 

 

 

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