トランジション・ローン

トランジション・ローン

DBJ は、2021年9月に、本邦初となるシンジケーション方式トランジション・ローンを組成しました。トランジション・ローンとは、パリ協定が目指す脱炭素社会の実現に向け、長期的な移行(トランジション)戦略に則った温室効果ガス削減に取り組んでいる企業を支援することを目的とした融資の枠組みです。
また、本ローンは、本邦で初めてトランジション・ローンとして、経済産業省のクライメート・トランジション・ファイナンスモデル事業に採択されました、

実績:株式会社商船三井様 シンジケーション方式トランジション・ローン(2021年9月)
https://www.dbj.jp/upload/dbj_news/docs/20c454e2115dbd0b01acc417bebd2037.pdf

環境ビジネスの推進を通じた環境問題への取組み

三井住友銀行では環境ビジネスを「本業としてのビジネスを追求しつつ地球環境の維持や改善に貢献するための取組」と位置付け、活動を展開しています。具体的な事例としては、グリーンボンドで調達した資金(発行代わり金)を原資として、国内外で太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー事業等に対するプロジェクトファイナンスを実施し、年度毎に取組みした再生可能エネルギー案件によるCO2削減量を公開しています。その他、環境配慮評価型融資や、グリーンローン等に加え、お客さまからお預かりする預金を再生可能エネルギー等の環境に配慮したプロジェクトに充当することで、ESG/SDGs分野での取組機会を提供する「グリーン預金」(国内初)などの取組を実施しています。ESG/SDGsを切り口とした様々な商品については、下記URLをご参照ください。

≪ESG/SDGsに関連したSMBCグループの主な商品・サービス≫
https://www.smfg.co.jp/sustainability/materiality/environment/business/

2020年度は計76件(前年比+8件)の再生可能エネルギープロジェクトに取り組み、約30百万トン(前年比+約13百万トン)相当のCO2排出削減に貢献しました。組成実績では世界4位(IJ誌)の実績で、プロジェクトファイナンスの有力な業界紙から歴代最多記録となる6度目の「Global Bank of the Year」を受賞しております。

また、SMBCグループでは、国内外の債券市場において定期的にグリーンボンドを発行しており、グリーンボンドの主要な発行体の一つとなっております。
これまでの発行実績としては、2015年10月に、本邦民間金融機関として初となる米ドル建てグリーンボンドを発行して以降、国内外の債券市場において定期的にグリーンボンドを発行しており、2021年3月末時点で発行残高は、6件合計23億ユーロ相当となっております。詳細は下記URLをご参照ください。

≪SMBCグループグリーンボンド≫
https://www.smfg.co.jp/sustainability/materiality/environment/procurement/

SMBCグループは2020年4月に「SMBCグループ サステナビリティ宣言」を策定し、それに基づく具体的な長期計画として「SMBC Group GREEN×GLOBE 2030」を発表しております。その中に「2029年度までに10兆円のグリーンファイナンスを実行する」との目標を掲げておりましたが、2021年5月、これを「2029年度までに30兆円のグリーンファイナンス及びサステナビリティに資するファイナンスを実行する」と上方修正した上で、目標達成に向け積極的に取り組んでいます。

【特徴】
・環境ビジネスの推進は三井住友銀行だけでなく、SMBCグループとして様々なプロダクトを提供。
・再生可能エネルギーへのプロジェクトファイナンスではリーグテーブル等で世界トップランクの実績を誇り、業界をけん引。

「ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)」や「ソーシャルローン、サステナビリティローン」の取組

SMBCグループでは、社会的課題の解決を目的とした新たな官民連携スキームである「ソーシャル・インパクト・ボンド(以下「SIB」)」の取組を開始しています。第一号案件では、神戸市が導入する「糖尿病性腎症等重症化予防プログラム」に対して、日本で初となる本格的なSIBをアレンジしました。

SIBは、社会的インパクト投資の1つとして2010年に英国で始まり、今後は日本国内でも拡大が見込まれております。神戸市の案件の他、2019年には豊中市が導入する「とよなか卒煙プロジェクト」に係る世界初の禁煙SIBを取組み、2021年には法務省が委託した「再犯防止分野における学習支援」において、国が主体となって取り組む初めてのSIB事業に資金提供者として参画しました。また、2020年10月より開催されている「ソーシャル・インパクト・ボンドに関する研究会(特定非営利活動法人ソーシャルバリュージャパン主催)」に特別協賛しており、SIBの普及を通じて社会課題解決の取組を促進する活動に貢献しています。

2018年度からは、資金使途を社会課題の解決を目的とした事業に特定した、ソーシャルローン、サステナビリティローンの取組も開始しています。詳細は、以下URLをご参照ください。

≪「ソーシャル・インパクト・ボンド≫
https://www.smfg.co.jp/sustainability/sdgs/

≪SDGsグリーン/ソーシャル/サステナビリティローン≫
https://www.smbc.co.jp/hojin/financing/sdgs_loan/

【特徴】
・SIBは、民間の資金提供者から調達する資金を使い、行政機関などから委託を受けた民間事業者が公的サービスを実施し、成果に応じて資金提供者に利益を還元する仕組。
・行政機関にとっては民間の資金やノウハウを活用でき、民間企業にとっては事業機会及び社会貢献機会を得られ、また社会的課題解決に関心を持つ個人投資家らの投資機会にも繋がる。

環境マネジメントシステムに則った環境への取組み

SMBCグループでは、環境問題を重要な経営課題のひとつとして認識し、「グループ環境方針」に基づいて、地球環境の保全と企業活動の調和に取り組んでいます。また、「環境負荷軽減」「環境リスク対応」「環境ビジネス」を環境活動の3本柱として掲げ、毎年度、ISO14001の要求事項に対応した独自の環境マネジメントシステムに則ったPDCAサイクルを展開しています。1998年、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001の認証を銀行として取得しました。2019年度からは、社内独自の環境マネジメントシステムに切り替え、自主EMSとして継続しています。

≪マネジメントアプローチ -環境-≫
https://www.smfg.co.jp/sustainability/materiality/environment/manage_environment/

【特徴】
三井住友銀行(旧さくら銀行)は1998年に邦銀初のISO14001認証取得し、EMSをグループ全体に拡充。2019年度からは自主EMSに切り替えて運用を継続。

エクエーター原則の採択とクレジットポリシーにおける環境リスクの認識

三井住友銀行は、大規模なプロジェクト向け融資を実行する際に、環境・社会への影響を十分検討することを社会に約束する「エクエーター原則(Equator Principles, EP)」を2005年に採択し、国際環境室において環境社会リスク評価を行っています。

エクエーター原則は、世界銀行グループの国際金融公社(IFC)が制定する環境・社会配慮に関する基準・ガイドラインに基づいており、環境社会影響評価の実施プロセスや、公害防止、地域コミュニティへの配慮、自然環境への配慮など多岐にわたります。
当行は、同原則に基づいた当行独自の「環境社会リスク評価手続」を制定の上、2006年6月より運用を開始しており、現在では、環境スクリーニング、環境レビュー、環境モニタリングといった3つのプロセスにより環境社会リスク評価を行っています。

また、上記プロジェクト向け融資以外でも、与信業務の普遍的かつ基本的な理念・指針・規範を明示した「クレジットポリシー」の中で、公共性・社会性の観点から問題となる与信を行わないという基本原則とともに、地球環境に著しく悪影響を与える懸念のある与信を行わないことを謳っています。また、環境や社会へ大きな影響を与える可能性が高いセクター・事業については方針をそれぞれ明確化しており、SMBCグループ各社のビジネスに沿う形で本方針を導入しながら、さらなるリスク管理体制の強化を図っています。

≪環境リスクへの対応≫
https://www.smfg.co.jp/sustainability/materiality/environment/risk/

【特徴】
・2021 年 11 月 、当行はエクエーター原則を採択した金融機関で構成されているエクエーター原則協会の運営委員会メンバーとなりました。 エクエーター原則協会の運営委員会はエクエーター原則を採択している金融機関を代表してエクエーター原則の管理、運営、発展に貢献しています。 当行は運営委員会の一員として、エクエーター原則のさらなる発展に向けた取り組みに注力してまいります。

TCFD提言及び気候変動問題への取組み

SMBCグループではTCFD(※1)への賛同を2017年12月にパリで開催されたOne Planet Summitで表明しました。グループの中核企業である三井住友銀行にて気候変動に関するシナリオ分析を実施し、気候変動に伴う財務的影響を定量的に試算しています(2019年、G-SIBsとして世界で初めて公表)。また、シナリオ分析の結果を含めて、TCFD が提言する 4 つの開示基礎項目である「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」ごとに、当社における気候変動に対する考え方を開示しており、2021年8月に最新の「SMBCグループ TCFDレポート 2021」を公表しています。

SMBC グループは、2050 年カーボンニュートラルに向けた気候変動対策の長期行動計画を「気候変動対策ロードマップ」と称すると共に、現中期経営計画期間中に着手、実行する具体的な施策パッケージを「アクションプラン STEP1」とし、気候変動対策を加速させています。また、「SMBCグループ TCFDレポート 2021」の冒頭CEOメッセージにて、パリ協定の目標に沿い、2050年までに投融資ポートフォリオ全体でのGHG排出量ネットゼロの実現をコミットしました。2021年10月には、同コミットメントを実現するための国際的なイニシアティブである「NetZero Banking Alliance」へも加盟しました。

SMBCグループは、気候変動問題への取組や開示の強化を通じ、パリ協定の目標に沿った環境課題の解決に貢献していきます。

≪気候変動への対応≫
https://www.smfg.co.jp/sustainability/materiality/environment/climate/

※1 Task Force on Climate related Financial Disclosuresの略。2015年4月の金融安定理事会(FSB)によって設立された、気候関連財務情報開示タスクフォース。気候変動の影響を個々の企業が財務報告において公表することを求めるもの

環境・社会課題に取り組むコミュニティ「GREEN×GLOBE Partners」の展開

SMBCグループは、環境・社会課題といった単独での解決が困難な問題について、同じ志を持つ仲間を集め、課題解決に向けて共に行動することを目的としたコミュニティ「GREEN×GLOBE Partners(以下「GGP」)」を展開しています。現在、我々を取り巻く社会は大きな課題に直面し、持続的かつ強靭な社会への移行のために、早急かつ大胆な行動と社会の変革が求められています。SMBCグループは2020年4月より策定した「SMBCグループ サステナビリティ宣言」において、「ステークホルダーと共に行動することでより良い社会の実現へ貢献する」ことを掲げており、そのための取組として、2020年7月にGGPを設立しました。

現在、専用ウェブサイトにて、環境・社会課題に関する情報発信やイベントの告知を行っております。今後、中堅・中小企業のお客さまをメインターゲットに、同じ課題認識を持つ企業を集めてのプロジェクト組成支援といった貌で、お客さまとともに社会課題解決に取り組んで参ります。

GGPは上述の取組などを通じ、『環境・社会課題解決の「意識」と「機会」を流通させる』ために活動していきます。その結果、これらの「意識」と「機会」が世の中に行き渡り、サステナブルなアクションの起点となることを目指していきます。

≪プレスリリース≫
https://www.smfg.co.jp/news/j110270_01.html

≪ウェブサイト≫
https://ggpartners.jp/

【特徴】
・情報発信や幅広いネットワーク作り、共創の場となるプラットフォームを設立。環境・社会課題に関する意識醸成・理解度向上、事業機会・事業活動促進の支援を行うことで、お客さまと共によりよい社会の実現に貢献して参ります。

SMBCグループの社会貢献活動

三井住友銀行をはじめとするSMBCグループは、植樹や環境教育を展開する富良野自然塾の支援をはじめ、役職員が参加するボランティア基金の展開、新たな感染症に対する支援など、各種の社会貢献活動に取り組んでいます。

作家、倉本聰氏が主宰する富良野自然塾は、閉鎖されたゴルフ場に2006年春から植樹をして元の森に還す「自然返還事業」と、そのフィールドを使った「環境教育プログラム」を行っています。三井住友銀行は、倉本聰氏の考えに賛同し、『SMBC 環境教育プログラム NPO法人C・C・C富良野自然塾』として当塾の活動を支援し、大学生向け環境教育プログラムへの協賛などを実施しています。。

また、SMBCグループは、寄付を通じて国内外の様々な社会課題の解決につなげる取組として、グループの有志役職員が自身の給与から毎月天引きで積立募金に参加できる「SMBCグループライジング基金」を展開しています。足許約8,000名の役職員が加入しており、役職員自身が寄付先の推薦を行いながら、2020年度は15百万円超の寄付を実施しました。。

COVID-19への対応としては、お客さまの安全・安心を確保しながら社会のインフラとして必要な業務を継続するため、SMBCグループの役職員およびその家族の健康を守ることが重要と考えています。窓口等では飛沫感染防止用のアクリル板を設置するほか、従業員を2チーム以上に分ける「スプリット・オペレーション」も導入しながら、業務に継続的に取り組めるよう努めています。加えて、SMBCグループとして本感染症対策に総額15億円の寄付を行っており、例えば、新たな感染症に対する有効な治療法確立に向けたウイルスの挙動や特性を解明する研究を支援すべく、「京都大学iPS細胞研究所」に5億円の寄付を実施しました。

≪社会貢献活動(環境)≫
https://www.smfg.co.jp/sustainability/contribution/environment/
≪社会貢献活動(コミュニティ)≫
https://www.smfg.co.jp/sustainability/contribution/community/
≪社会貢献活動(次世代)≫
https://www.smfg.co.jp/sustainability/contribution/next_generation/

「SMBC Group GREEN Innovator」の展開

日本政府の 2050 年カーボンニュートラル宣言以降、2021年 4 月には2030 年における温室効果ガスの46%削減目標が設定されるなど、脱炭素社会への移行をはじめとするサステナビリティへの取組みが加速しています。

今後、脱炭素を始めとするサステナビリティに関するお客さまのニーズが多様化、高度化すると見込まれる中、SMBC グループは、お客さまのニーズに対するグループ一体となった対応力の強化と、グローバルに展開する金融グループとして、社会のサステナビリティの実現に向けた自社のノウハウの蓄積が必要であると考えています。また、多様化するお客さまのニーズや 求められるノウハウは、金融分野にとどまらず、脱炭素関連分野やエネルギー分野といった非金融分野にまで広がることから、他業種との協業が必要になると認識しています。

こうした認識のもと SMBC グループは、サステナビリティ関連のソリューションの提供及び新たなサービス開発やノウハウ蓄積の活動・取組を総称した「SMBC Group GREEN Innovator」を展開しています。「SMBC Group GREEN Innovator」のもと、グループ全体のサステナビリティに関するノウハウ、情報を集約することで、他業種との協業を円滑にし、またサービス開発力を強化することで、お客さまにより高度なソリューションを提供していきます。

2021年11月現在、「SMBC Group GREEN Innovator」のもと、お客さまに適したサステナビリティに関する優先課題の候補等を導出する「SMBCサステナビリティ優先課題特定ツール」、環境配慮型住宅(ZEH)の建築資金を対象としたローン等について特別な金利を提供する取組、また企業の温室効果ガス排出量の可視化クラウドサービス「Sustana(サスタナ)」等を創出しています。

≪プレスリリース、SMBCサステナビリティ優先課題特定ツール≫
https://www.smfg.co.jp/news/j110319_01.html

≪環境配慮型住宅(ZEH)等を対象とした個人向けローンの特別金利取扱開始について≫
https://www.smbc.co.jp/news/j602397_01.html

≪温室効果ガス排出量の算定・可視化クラウドサービス「Sustana」の開発等について≫
https://www.smbc.co.jp/news/j602435_01.html

サステナビリティ方針の制定

「共通価値の創造(CSV: Creating Shared Value)」とは、企業が社会のニーズや問題に取り組むことで社会的価値を創造し、同時に自らの経済的価値を創造していくという考え方です。当グループが目指す「共通価値の創造」は、「存在意義(パーパス)」「経営理念(ミッション)」、「目指す姿(ビジョン)」、「行動規範(バリュー)」、および当グループの社会的責任に関する基本方針である「サステナビリティ方針」に基づいたものです。これらのポリシーには、経営の根幹に据えた「社会的価値創出と経済的価値創出の両立」に取り組む姿勢が明示されています。
また、当グループは、国際的な企業行動原則である「国連グローバル・コンパクト」や、国内金融機関の自主原則「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則(21世紀金融行動原則)」等に署名しており、これらの原則・行動指針を尊重しながら、共通価値の創造を目指しています。

【特徴】
当グループは、「三井住友トラスト・グループの社会的責任に関する基本方針(サステナビリティ方針)」の下、事業を通じて環境問題の解決に資する商品・サービスを提供し、当グループの事業活動に起因する環境負荷を低減することを目的として「環境方針」を制定しています。また、グローバルに重要な二大環境問題への取組推進のために「気候変動対応行動指針」「生物多様性保全行動指針」を制定し、さまざまなステークホルダーと対話・協働して対応に努めています。社会的な課題に関しては、個人の人権や多様な価値観を尊重し、不当な差別行為を排除することを目的として、「人権方針」を制定し投融資先が人権に与える負の影響について情報収集し、法規範等に反する場合等には必要な対策を講じることを定めています。

また、資産運用に関して、グループの三井住友トラスト・アセットマネジメント、日興アセットマネジメントは「責任ある機関投資家」として、「ESGガイドライン」を制定しています。本ガイドラインは、国際的な企業行動規範である「国連グローバル・コンパクト」を踏まえた内容としており、投資先企業には環境への影響の最小化や国際的な労働権利の順守、雇用における差別の禁止、児童労働の禁止や強制労働の根絶、強要と贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗の防止などを期待することなどを明記しています。

三井住友信託銀行は、プロジェクトファイナンス等の融資にあたり、プロジェクト実施者に対して自然環境や地域社会に及ぼす影響に十分配慮することを求める民間金融機関の国際的ガイドラインである「赤道原則」に署名しています。また2020年3月には、海運業界の気候変動リスクに対する金融機関の取り組みとして設立された「ポセイドン原則」に、アジア諸国の金融機関として初めて署名しました。融資の意思決定に際しては、プロジェクトの環境・社会への影響をレビューし、総合的なリスク判断を行います。

サステナビリティについての取り組み(SDGsとの関連性)

当グループはサステナビリティ方針の下、共通価値創造のためのマテリアリティ(重要課題)・マネジメントの推進、事業におけるサステナビリティの取り組み、コミュニティへの価値提供を3本柱として具体的な取り組みを進めています(詳細は下記)
これらはSDGs(持続可能な開発目標)とも密接に関係しています。SDGsが目指す持続可能な社会の構築には、その社会に適合したお金の流れを作ることが不可欠であり、このことは金融機関の本質的な役割であると考えられます。こうした観点から当グループは、お客さまと共にお客さま自身の社会ニーズへの対応とそれに即した金融の仕組みを考えていきます。当グループは、超高齢社会問題の解決に資する事業、また環境問題の解決に資する事業はエコ・トラステューションとして、トータルソリューションのラインアップを拡充してきました。今後もこうしたサステナビリティ事業を推進し、SDGsの個別目標については、ご提供する商品・サービスの社会的価値の妥当性を検証する基準として活用するだけでなく、当グループが目標実現にポジティブな影響(インパクト)を及ぼすよう運営・管理・情報開示のレベルを引き上げていきます。
企業が価値を創造する最終的な目的は、健全で持続可能な社会の構築への貢献です。社会の構成要素であるコミュニティへの価値提供は、事業基盤を健全に維持することにつながることから、事業を行う上で必要な社会的ライセンスと考えられます。当グループはこうした観点からSDGsの視点も取り入れながらさまざまな形でコミュニティへの価値のご提供を実践しています。また、当グループでは関連会社や支店が自主的にさまざまな社会貢献・地域貢献の取り組みを行っています。

【特徴】
共通価値創造のためのマテリアリティ(重要課題)・マネジメントの推進
当グループがステークホルダーとの共通価値を創造し成長を遂げていく上で、サステナビリティの視点は不可欠です。当グループは、経営基盤を形成するものとしてESG(環境・社会・ガバナンス)を重視しており、利益成長においても持続性を期待する長期投資家の評価軸を取り込んだマテリアリティ・マネジメントを推進します。

事業におけるサステナビリティの取り組み
当グループは専業信託銀行グループの機能を生かし、お客さまが直面する社会的な課題に対しトータルソリューションをご提供することで、お客さまとともに持続可能な社会の構築を目指します。SDGs(持続可能な開発目標)はご提供する商品・サービスが創造する社会的価値を把握する(妥当性を検証する)基準として活用します。

コミュニティへの価値提供
社会の構成要素であるコミュニティへの価値提供は、事業基盤を健全に維持することにつながることから、事業を行う上で必要な社会的ライセンスと考えられます。当グループはこうした観点からSDGsの視点も取り入れながらさまざまな形でコミュニティへの価値のご提供を実践しています。

共通価値創造のためのマテリアリティ(重要課題)・マネジメントの推進

マテリアリティ(重要課題)とは、企業の価値創造プロセスに実質的な影響を与える事象です。当グループは、中長期的な視点から優先的に取り組むべき課題としてマテリアリティを特定し、経営のトップレベルで対応するマテリアリティ・マネジメントを推進しています。
環境・社会問題が深刻化する中、リスク管理、収益機会の両面からサステナビリティを経営課題に取り込む企業が増えています。当社のマテリアリティは、当グループの中長期的な企業価値に与える影響と当グループがステークホルダーとの関係を通じ社会へ与える影響の両面から特定されています。この過程で、ガバナンスを含む経営基盤に関わるテーマや、社員やコミュニティとの関係性を含む社会的なテーマ、資源やエネルギー問題とも直結する環境的なテーマが考慮されることから、当グループではマテリアリティをESG(環境・社会・ガバナンス)と重なり合うものと認識しています。

【特徴】
当グループは、2015年にマテリアリティを特定し、2019年にマテリアリティの見直しを実施しています。2019年の見直しでは、財務的視点の重要項目であるトップリスクと非財務的視点の従来マテリアリティを整理統合し、財務・非財務の両方の視点をもつマテリアリティを取締役会で決議しました。
当社はマテリアリティ項目を経営の課題と考えて対応しています。取締役会では、当グループのコーポレートガバナンス基本方針(第3条‐4)に記載された「取締役会が取り組むべきサステナビリティをめぐる環境・社会的な課題」に対応するものとマテリアリティを位置付け、マテリアリティの高いテーマを中心に多面的な議論を行い、当グループが進むべき方針を決定しています。

リスク委員会
当社は、会社法により設置が求められる指名・報酬・監査の3つの委員会に加え、取締役会の諮問機関として独立社外取締役が参画するリスク委員会を設置し、コーポレートガバナンスの実効性を確保するとともに、当グループのビジネスモデルの健全性および信頼性、ならびに経営の透明性をより一層高めています。リスク委員会は、当グループの経営を取り巻く環境、マテリアリティに関する事項に関して、取締役会からの諮問を受けて、その適切性等について検討し、答申を行います。

インターナル・エンゲージメント
インターナル・エンゲージメントとは、経営企画部サステナビリティ推進部が「擬似投資家」となってマテリアリティの高い業務の担当部署および担当役員と行う対話(エンゲージメント)のことです。外部の機関投資家やステークホルダーと直接対話を行うことが少ない部署が投資家視点での課題を認識し、具体的な対応を検討するきっかけを創出します。インターナル・エンゲージメントの結果は、年に一度、取締役会に報告しています。

超高齢社会において老後の安心を高める商品・サービスの提供

超高齢社会の到来によって、年金や社会保障などの生活を支える経済社会システムや、認知症等の高齢者に対する適正な金融サービスに対して、安全で安心な人生設計にも変化が求められています。当グループでは、信託の力を中核とした信託銀行グループの機能とスキルを生かしたソリューション提供を推進することで、下記の実現を目指しています。

• お客さま本位の金融サービスの提供やさまざまな情報提供を通じた、自分の人生は最後まで自分で決めるプロダクティブ・エイジングの支援

• 認知症についての社員のリテラシーの向上、業界連携の促進、財産管理サービスの拡充を通じた、認知症になっても可能な限り本人の思いを尊重する意思決定支援の推進

• 資産・負債両面にわたる人生設計の総合コンサルティング(バランスシートコンサルティング)を通じた、住まいを含めた資産の形成・管理や、次世代への円滑な資産移転サポートの推進

• QOL(生活の質)の維持につながる住まいの整備への貢献とお客さまへの選択肢のご提供を通じた、自分らしい暮らしが継続して営める住まいや支援体制の整備(地域づくり)

【特徴】
人生100年応援信託<100年パスポート>
人生100年時代となり、今後多くのお客さまに起こることとなる判断能力の低下に対する備えなど、機能をワンパッケージにした、お客さまに安心して豊かな人生を楽しんでいただくための信託商品です。

ワンパッケージの4つの機能
1.まかせる支払機能
認知症や健康の不安に備え、支払い手続きをまかせる方をあらかじめ指定できます(3親等内の親族、弁護士、司法書士を指定いただけます)。
認知症や健康が不安な期間において
毎月の生活費等の受け取り(毎月20万円まで)ができます。年1回増額(20万円まで)が可能です。
金額が大きくなりがちな医療費、介護費、住居費のお支払いも可能です(あらかじめ払戻しの同意者を定めることもできます)

2.防犯あんしん機能
年間16,000件にのぼる特殊詐欺などに備え、あらかじめ払戻しの同意者を定めることができます。

3.ねんきん受取機能
毎月の生活費を定期的に受け取れます。充実した暮らしのための支出や生前贈与にも活用できます。

4.おもいやり承継機能
ご相続発生時に、あらかじめご指定いただいた相続人に500万円までをスムーズにお支払いします。

安心サポート信託(金銭信託型)(ファンドラップ型)
お客さま自身とご家族などの方々のために、大切な財産をオーダーメードで、財産や身の回りのことに対する不安を軽減する「信託銀行」ならではの商品です(ご契約内容はお客さまの資産形成・管理の方針をお聞きした上で、ご一緒に設計致します)。
またファンドラップ型は、お客さまが三井住友信託ファンドラップによる運用を継続しながら、必要に応じて生活費や医療・介護費等に必要な資金を換金します。信託契約であらかじめ換金の条件を設定いただけます。

特定贈与信託
特定贈与信託とは、特定障がい者の方の将来にわたる生活の安定に資する目的で贈与されたご資金を、三井住友信託銀行が合同運用金銭信託等で安定的な運用を行い、お客さまに代わって特定障がい者の方に生活費や医療費の資金としてお渡しする商品です。
受益者となる「特定障がい者」は、障がいの程度によって「特別障がい者」と「特別障がい者以外の特定障がい者」に分けられており、「特別障がい者」の方は6,000万円、「特別障がい者以外の特定障がい者」の方は3,000万円まで非課税です。

家族おもいやり信託(一時金型)
相続が発生した場合、「葬儀の段取り」「相続関係の手続き」など、のこされたご家族の方には、さまざまな手続きが待っています。「家族おもいやり信託(一時金型)」は、お客さまに相続が発生した際、あらかじめ法定相続人の中からご指定いただいたお受取人に対し、お預かりしている信託財産を当面の必要資金や葬儀費用としてお支払いする商品です。

おひとりさま信託<金銭信託型><生命保険型>
単身者やお子さまと離れて暮らす方など、おひとりさまのために、万が一の時の身の回りのこと(死後事務)をトータルでサポートします。三井住友信託銀行が母体となって設立した一般社団法人安心サポートによる死後事務業務と、安心の信託による分別管理機能をべースに、スマートフォンでも更新できるエンディングノートに基づいて、葬儀、納骨、遺品整理、訃報連絡など、お客さまのご希望に則った死後事務を実現するサービスです。

民事信託
三井住友信託銀行は、信託の仕組みを利用してご家族の財産を管理・承継する、民事信託を希望されるお客さまについても、円滑な運営が図られるよう支援しています。具体的には、民事信託の組成コンサルティングや契約書作成支援を行った法律・税務の専門家と連携し、家族信託の受託者に対して、信託口預金口座(信託のために使う口座)をはじめとする金融・信託等の商品・サービスをご提供しています。

リバースモーゲージ
自宅を担保に老後のゆとり資金を融資する仕組みで、住み慣れたご自宅や所有不動産を手放すことなく、不動産価値を有効活用してお借入れいただけます。ご自宅は一戸建て、マンション、いずれも対象となります。年金のように毎年一定額を受け取る方法と、設定した枠内で随時受け取る方法があります。

金融機能を生かした気候変動問題への対応

地球温暖化を原因とする生態系や食糧生産への影響、異常気象によるインフラ機能の停止、水不足や高温による健康被害などに対応するために、温暖化の緩和策と影響を低減する適応策の双方に貢献することが金融機関に求められています。当グループでは信託銀行グループの機能とスキルを生かした付加価値の高いソリューション事業を推進し、省エネ投資の促進や再生可能エネルギーの導入拡大などによって化石燃料依存社会から脱炭素社会への転換を図ることに貢献します。

【特徴】
気候変動の取り組みにおいて目標とするSDGsゴール
今、世界で最も深刻な環境問題は気候変動問題です。気候変動は異常気象や海面の上昇等を通じて既に人の生活や経済活動にさまざまな影響を及ぼしています。また、その影響は途上国や弱者に対してより悪影響を及ぼし、格差や貧困等の社会的課題の原因となっています。一方で、気候変動に対する緩和や適応の対策は、自然資本を豊かにすることにより、人に対する生態系サービスの向上につながります。また、投資の促進や技術革新による社会システムの移行は、経済的な成長を生み出します。地球の持続可能性はCO2排出量実質ゼロの社会をいかに早く達成するかにかかっています。気候変動に対してレジリエントな社会を追求する過程は、貧困撲滅と不公平の是正を通じて、持続可能な社会の構築に通じるものと期待されます。

気候変動ガバナンス
当グループでは、気候変動問題への対応が、当グループの企業価値と持続可能な社会の構築との双方にとって重要な課題であると認識しており、気候変動問題の解決に資するソリューション事業を展開していきます。また、気候変動問題に対して、信託の機能を活用して解決に貢献することで当グループのビジネス機会を拡大することも重要課題として認識しています。

気候変動リスクマネジメント
当グループは気候変動対応行動指針を制定し、気候変動に関するリスク管理を徹底しています。また、金融安定理事会が結成した気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の勧告を支持しており、その提言に沿った取り組みを推進していきます。

◎Climate Action 100+への参画
三井住友トラスト・アセットマネジメント(SMTAM)、日興アセットマネジメント(NAM)は、2017年12月の気候変動サミット(One Planet Summit)においてPRIと世界各地の機関投資家団体が主導して設立した「Climate Action 100+」に参画しています。この枠組みのもと、世界で温室効果ガス排出量の多い100社をリストアップし、各機関が協働してエンゲージメントを実施しています。SMTAMは、2020年4月アジア地域を代表してステアリング・コミッティ(運営委員会)メンバーとなりました。

◎石炭火力発電に対するプロジェクトファイナンス
三井住友信託銀行は、国際社会の重要な課題である気候変動問題において相対的にCO2の排出量が多い石炭火力発電プロジェクト案件に関しては、従来から発電効率や環境負荷等へ一定の社内基準を定め、慎重に取組判断を行ってきました。先進国における低炭素社会の実現に向けた取り組みは金融機関にとっても重要な経営課題であることから、2018年3月に定めた石炭火力発電のポリシーを改訂し、「新設の石炭火力発電所へのファイナンスは原則として取り組みません」(例外条項なし)としました。

ビジネス機会の追求(再生可能エネルギーの取り組み)
電気自動車や自動運転などのモビリティ変革、コンピューターに依存する人工知能やFinTechの普及、サービス産業のデジタル化などによって、社会構造が大きく変わろうとしています。また、日本政府の「2050年温暖化ガス排出ネットゼロ」宣言を受けて、環境イノベーション金融政策が強力に推進されることが予想されます。それらに伴って膨大に使用量が増大する電力の脱炭素化は、化石燃料の使用量削減と再生可能エネルギーの活用によって実現可能となります。当グループでは、さまざまな種類の再生可能エネルギーの普及・拡大をサポートするため、プロジェクトファイナンス、ファンド、リース、リフォームローンなど多様な形態のファイナンスを提供しています。

再生可能エネルギー発電プロジェクトへのプロジェクトファイナンス債権を裏付けとする自己信託受益権の販売
三井住友信託銀行は、2018年9月に再生可能エネルギー発電プロジェクトへのプロジェクトファイナンス債権を裏付けとする自己信託受益権を発行し、当該受益権を販売するスキームを組成しました。気候変動対策として再生可能エネルギーに対するプロジェクトファイナンスが拡大する一方で、プロジェクトファイナンス債権のセカンダリーマーケットでの流動性を確保し、ESG投資家に対して新たな投資機会を提供することが課題でした。三井住友信託銀行では、委託者が自ら受託者となり信託目的達成に必要な行為等(本件では債権回収等)を公正証書等で設定する自己信託を活用することとしました。太陽光発電プロジェクトを対象としたプロジェクトファイナンス債権を自己信託し、当該信託受益権にグリーンファイナンス評価を取得することで、ESG投資に積極的な投資家からのアクセスを容易にしました。なお、本件自己信託受益権はグリーンボンド原則に準拠し、JCRグリーンボンド評価において最高位の「Green1」を取得しています。

機関投資家向け国内再生可能エネルギー事業投資ファンド設立
三井住友信託銀行は、稼働済みの日本国内の太陽光発電事業の匿名組合出資等に投資するファンド「三井住友信託銀行(信託口再生可能エネルギー・ブラウン1号)」を、国内で初めて信託を活用して設立しました。再生可能エネルギー電力の固定価格買取制度により長期・安定的な売電収入に裏付けられた安定的なキャッシュフローに依拠した運用商品を信託受益権(金銭以外の信託)として投資家に提供します。マイナス金利等の厳しい資産運用状況下においても、経済情勢に左右されない安定的なインカムゲインを期待する投資家のニーズに応えるものです。2018年4月に信託設定し、6~8案件のプロジェクトを組み込むことによって1年間で総額150億円の組成を予定しています。三井住友信託銀行が設立・運営する再生可能エネルギーファンドの案件に対する出資も対象としています。また、組成金額の10%程度内を三井住友信託銀行もセームボート投資する予定です。

TCFDレポートの開示
当グループは、情報開示の一環で気候変動問題に関する取り組みをまとめた報告書(気候変動小冊子)を毎年、ESGレポートとともに発行していましたが、2020年度からはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿い、「TCFDレポート」を開示しています。
https://www.smth.jp/csr/report/2020/tcfd_all.pdf

金融機能を生かした自然資本に関する取り組み

自然資本の枯渇や汚染による資源調達リスク、生物資源の不足や不公正な取引、絶滅危惧種の増大による生物多様性の毀損など、経済活動や生活の基盤となる自然資本の問題が増大しています。当グループでは信託銀行グループの機能とスキルを生かした付加価値の高いソリューション事業を推進し、自然資本リスクの低い経済社会システムの構築と生物多様性の保全と自然資本のサステナブルな利用の促進に貢献します。

【特徴】
自然資本の取り組みにおいて目標とするSDGsゴール
地球環境は、あらゆる生きものの生命維持基盤であり、太陽の恵みのもと、水、大気、土、そしてそこで育まれる海や陸の動植物といった自然資本によって構成されています。人間もまた自然資本に依存しており、それを糧に社会システムを構築し経済を発展させてきましたが、その過程で大きな影響も与えてきました。自然資本は無尽蔵ではありません。依存と影響を的確に把握し管理しなければ、早晩使い果たしてしまうリスクがあります。このことは人間の日々の活動に密接に絡みます。それゆえにSDGsの全てのゴールが自然資本と関連しますが、当グループでは主に企業活動の視点から事業の基盤を置く国内、原料・部品調達の多くを依拠する海外の自然資本に注目し、その適切な依存と管理に資するテーマを目標として選定しました。

自然資本ファイナンス・アライアンス(旧:自然資本宣言)
三井住友トラスト・ホールディングスは、2012年6月にリオデジャネイロで開催された「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」において国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「自然資本宣言(The Natural Capital Declaration)」に署名しました。三井住友トラスト・ホールディングスは国内で唯一の当初からの署名金融機関です。なお、自然資本宣言は「自然資本ファイナンス・アライアンス(Natural Capital Finance Alliance)」と組織を発展的に改組して取り組みを拡大しています。

自然資本研究会
当グループは、2013年4月に企業、政府、自治体、学者、研究機関、NGOなどが参加する自然資本研究(委員長 佐藤正弘東北大学 大学院国際文化研究科准教授)を立ち上げ、定期的に会合を持ち、各メンバーの研究内容をテーマにさまざまな角度から議論を重ねています。2018年4月には21世紀金融行動原則との共催で開催した第17回研究会において、自然資本の普及を目的に組成された自然資本コアリション(Natural Capital Coalition)エグゼクティブ・ディレクターのマーク・ゴーフ氏をお招きし、公表を翌週に控えた自然資本プロトコル・金融セクター補足書の内容を踏まえ「自然資本と金融」というテーマでご講演いただき、その後活発な議論を行いました。

自然資本に関わる商品・サービス
当グループにおける自然資本に関わる商品開発の狙いとしては、投融資を通じ、企業、特に多くの資源を海外からの調達に頼る日本企業のサプライチェーンにおける自然資本への配慮の向上に貢献すること、陸域の自然資本の基盤は土地であることを踏まえ、山間部から都市部までそのエリアに即した生態系の回復に努め、エコロジカル・ネットワークの形成に貢献することがあげられます。

・自然資本評価型環境格付融資
企業が事業を継続するためには、資源としての自然資本の持続可能な利用が重要です。グローバル・サプライチェーンにおける、自然資本に関する調達リスクの管理が経営戦略上不可欠だという認識が高まってきました。三井住友信託銀行は、2013年4月、企業の環境に対する取り組みを評価する環境格付の評価プロセスに、自然資本に対する影響や、取り組みを評価する考え方を組み込んだ「自然資本評価型環境格付融資」を開始しました。自然資本の評価を融資基準に組み入れるという取り組みは、世界初の試みで、我が国の環境白書や欧州委員会の報告書等で先進的な事例として取り上げられました。

・生態系、生物多様性に配慮する建築コンサルティング
建物の環境性能を評価認証する「CASBEE-不動産」と敷地の生物多様性を評価する「JHEP(ハビタット評価認証制度)」を併用することにより、不動産の多様な環境性能を高め、総合的な不動産価値の向上を図ることができます。三井住友信託銀行の建築コンサルティングのメニューでは生物多様性への配慮を取り入れています。

・森林信託
日本の国土の約3分の2は森林です。これらの森林資源は戦後造成された人工林が中心で本格的な利用期を迎えていますが、実際はその多くが放置されている状況です。その理由として、森林所有者の経営意欲が低いことが挙げられる一方、意欲のある林業経営者が規模を拡大したくても、「事業地獲得が困難」「路網未整備」「資本装備(林業機械)更新が困難」などがネックになっています。三井住友信託銀行では、林業経営や山林の維持管理における担い手不足、相続問題、施業放棄、所有者不明森林などの社会問題を解決する一手段として、森林信託のスキームを開発し、2020年8月に、本邦初の商事信託として、岡山県西粟倉村に個人の方が所有する森林を信託受託しました。当社は所有者の方に代わって林業事業体への経営の委託、収入の管理などを行い、間伐収益などによる配当を行っていきます。森林信託は、林業再生や地域の活性化を進める「信託ならでは」のSDGsへの取り組みです。なお、森林信託は2021年10月に開催された「第9回プラチナ大賞」において最上位である大賞・経済産業大臣賞を受賞しました。

・公益信託
公益信託は、個人や法人が財産を拠出し、公益活動に元利金を提供する仕組みで、信託銀行は、あらかじめ定められた目的に従って財産を管理・運用しています。三井住友信託銀行は、1977年に公益信託第1号を受託して以来、受託件数を着実に増加させています。さまざまな公益分野で助成事業を行っており、国内の自然保護やエコロジカル・ネットワーク構築に貢献するものも含まれています。

融資における自然資本リスクマネジメント
三井住友信託銀行は、プロジェクトファイナンス等の融資にあたり、プロジェクト実施者に対して自然環境や地域社会に及ぼす影響に十分配慮することを求める民間金融機関の国際的ガイドラインである「赤道原則」に署名しています。また、環境・社会への影響が大きい事業活動を推進するセクターに関するセクターポリシーを定め、負の影響を及ぼす企業やプロジェクトへの投融資を抑制しています。2020年3月、森林、パーム油など、熱帯雨林の違法伐採が懸念されるセクターについて、ポリシーを策定しました。
https://www.smth.jp/news/2020/200331.pdf

投資(資産運用)における自然資本リスクマネジメント
三井住友トラスト・アセットマネジメント(SMTAM)および日興アセットマネジメント(NAM)は、機関投資家が投資の意思決定に際してESG(環境、社会、ガバナンス)に配慮することを求め2006年に制定された「責任投資原則」に署名しています。両社とも、投資先に対しエンゲージメントを通じ、サプライチェーンを含めた自然資本の活用状況やリスクについてのガイドラインやポリシーを求め、長期的観点からリスクコントロールを行うことを要請しています。

自然資本レポートの作成
当グループは、情報開示の一環で自然資本に関する取り組みをまとめた報告書を毎年作成し、ESGレポートの別冊版という形で発行しています。2020年度の「自然資本レポート」は、生物多様性を中心テーマとし、日本生態系協会監修のもと作成しました。
https://www.smth.jp/csr/report/2020/nc_all.pdf

環境不動産業務に関する取り組み

経済社会の発展に伴って、建築物のエネルギー消費に伴う地球温暖化が進行し、都市域が拡大することに伴って生物多様性の毀損などの環境破壊が拡大しています。当グループでは、エネルギー効率性、資源効率性の高い都市や建築物、生産効率改善に貢献する建築物といった環境配慮不動産の普及拡大を目指します。高い環境性能などがもたらす収益の向上やリスクの低減によって不動産の価値向上に資する取り組みを推進していきます。

【特徴】
環境不動産の取り組みにおいて目標とするSDGsゴール
建物の建設・運用に関するCO2排出量は、間接排出分も含めると日本全体の約4割に及ぶともいわれています。また人間は屋内で過ごす時間が長いことから、その屋内環境は当然、滞在者の健康や生産性にも影響します。このように不動産は環境、社会、経済の三側面に大きな影響を及ぼしていることから、SDGs達成に向けた統合的取り組みはこれら三側面の持続可能性(サステナビリティ)向上に大きな効果をもたらすものと考えられます。当グループでは、エネルギー効率性、資源効率性の高い都市や建築物、生産効率改善に貢献する建築物といった環境配慮不動産の普及拡大を目指します。高い環境性能などがもたらす収益の向上やリスクの低減によって不動産の価値向上に資する取り組みを推進していきます。

環境不動産に関する三井住友信託銀行の取り組み
・三井住友信託銀行は、信託銀行としての幅広い取引基盤を生かし、不動産仲介や証券化、コンサルティング、鑑定評価から投資事業まで、グループの総合力を生かし、専門性の高い事業を幅広く展開しています。
・環境不動産に関しては2005年、環境不動産のもたらす付加価値に関する論文の発表を皮切りに、「環境性能」とそれに伴う「付加価値」を分かりやすく示すことを中心に、多くの提言を行ってきました。
・2010年には国内金融機関として初めて、環境不動産の専担組織を設置しました。不動産事業の高度なビジネス基盤に加え、環境不動産のパイオニアとしての取り組みを通じて、環境不動産の普及に向けたビジネスを展開しています。

自然資本に関わる商品・サービス
・CASBEE-不動産認証申請支援コンサルティング
三井住友信託銀行は、CASBEE-不動産の認証申請を支援するコンサルティング業務を展開しています。認証申請を行う不動産の選定などを支援するとともに、CASBEE不動産評価員の有資格者が不動産の環境性能評価を実施し、認証機関への認証申請をサポートします。また、 三井住友信託銀行は、CASBEE-不動産の評価と合わせて、環境性能の向上に向けた課題の発見や、その改善に向けた取り組みに関する提言も行っています。

・「CASBEE-ウェルネスオフィス」認証申請支援コンサルティング
三井住友信託銀行は、国土交通省「ESG投資の普及促進に向けた勉強会」および「スマートウェルネスオフィス研究会」を通じてCASBEE-ウェルネスオフィスの開発に関与しており、CASBEE-ウェルネスオフィスによる評価や認証申請手続きに関する助言、審査対応等の支援業務を行っています。

・「CASBEE-街区」認証申請支援コンサルティング
CASBEE-街区は、CASBEE®のさまざまなツールの中でも、住宅地や商業地などの面的な開発(街づくり)を対象とした環境性能評価です。 環境・社会・経済の三つの側面からみた環境品質とともに、環境負荷の低減が評価されます。 持続可能な開発目標(SDGs)や環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する取り組みを示しやすい評価項目の構成となっています。三井住友信託銀行は、CASBEE-街区による環境性能の評価や、認証申請手続きに関する助言、審査対応支援等の支援業務を行っています。

・建築時における環境配慮に向けたお手伝い
三井住友信託銀行は、我が国初の土地信託を1980年代に商品化し、ビルやマンションなど多くの不動産開発や運営に携わっており、それらの経験を生かした建築コンサルティングのサービスを提供しています。この建築コンサルティングのサービスにおいて、お客さまのご希望に応じてビルなどへの省エネシステム導入、景観や生態系への配慮、建物長寿命化、リサイクルシステムの採用など、環境配慮に関するアドバイスも行っています。環境問題に対する関心の高まりから、最近ではCASBEE®の認証や自主評価を目指す案件も多くなってきました。また、国土交通省「サステナブル建築物等先導事業」(旧住宅・建築物省CO2先導事業)や経済産業省「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業」に採択された事業もあります。

・スマートタウン・スマートシティの価値「見える化」と構想策定支援
近年、「電気の有効利用に加え、熱や未利用エネルギーも含めたエネルギーの『面的利用』や、地域の交通システム、市民のライフスタイルの変革などを複合的に組み合わせたエリア単位での次世代の社会システムである『スマートコミュニティ』のシステムを取り入れたスマートタウン・スマートシティの実現が、地域開発にあたっての重要なポイントとなっています。スマートタウン・スマートシティ実現のためには、基本構想段階から環境面・社会面・ガバナンス面(ESG)における街の目標を明確に定めるとともに、コストアップに応じた経済的な付加価値を実現させる必要があります。三井住友信託銀行はスマートタウン・スマートシティのプロジェクトに関して、環境貢献などのさまざまな取り組みを経済的な付加価値に結び付けるフレームワークの構築や、事業構想の策定をお手伝いさせていただくほか、住宅ローンなどの金融機能の提供を通じて事業の実現をサポートしています。

グリーン合同運用指定金銭信託の組成
三井住友信託銀行では、環境不動産への取り組みが有利な資金調達につながるよう、グリーンファイナンスの商品化を進めています。2018年9月にグリーンビルディングの新規取得およびリファイナンスに資金使途を限定した貸付金で運用する合同運用指定金銭信託「グリーントラスト」を組成しました。投資家からの信託金はJ-REITへの貸付を通じてCASBEE-不動産の認証等を受けたグリーンビルディングに振り向けられ、J-REIT市場における環境不動産の普及拡大に資するものです。本グリーントラストはグリーンボンド原則に準拠し、株式会社日本格付研究所(JCR)のJCRグリーンボンド評価において最高位である「Green1」の評価を取得しています。これは、合同運用指定金銭信託として国内初の取り組みとなります。また、本グリーントラストからの貸付金に関しても、グリーンローン原則に準拠しJCRグリーンローン評価で最高位の「Green1」の評価を取得しています。

環境不動産レポートの作成
当グループは、情報開示の一環で環境不動産に関する取り組みをまとめた報告書を毎年作成し、サステナビリティレポートの別冊版という形で発行しています。
https://www.smth.jp/csr/report/2020/efp_all.pdf

認知症問題への取り組み

「認知症」とは高齢者に顕著に見られる病気の一つです。代表的なアルツハイマー型をはじめとして認知症は、脳の機能が低下することによって、記憶・判断力の障がいなどが起こり、社会生活や対人関係に支障が出ます。認知症の罹患者は2025年には700万人を超えるとの推計値が発表されています。これは、65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症に罹患することを意味します。三井住友信託銀行では、お客さまのリテラシーの向上や大切な財産をお守りするための信託商品の開発を進めています。

【特徴】
・意思決定支援に向けたCOLTEMとの連携
三井住友信託銀行の認知症に関する取り組みは、文科省傘下の科学技術振興機構が助成するCOLTEM(高齢者の地域生活を健康時から認知症に至るまで途切れなく法学、工学、医学を統合した社会技術開発拠点)およびその研究リーダーの京都府立医科大学大学院(成本迅医学研究科精神機能病態学教授)と連携を取りながら推進しています。2017年9月に出版した「認知症の人にやさしい金融ガイド」もその成果の一つです。また、金融と認知症に焦点を当てたシンポジウムの開催を主導するなど、金融業界全体の認知症対応力の向上に貢献してきました。本連携を通じて培った知見は、三井住友信託銀行自身の商品・サービスの開発等にも大きく役立っています。

・営業店における対応能力・リテラシー向上
三井住友信託銀行では、国の認知症高齢者にやさしい地域づくり政策「新オレンジプラン」に基づき、認知症の人と家族の応援者である「認知症サポーター」養成を推進し、指導者層である営業店の課長に対し日本応用老年学会の「ジェロントロジー・コンシェルジュ」認定資格の取得を義務づけています。
また、全営業店に「認知症の人にやさしい金融ガイド」を配備のうえ読み合わせ勉強会を実施するなど、より実務的な対応力を強化しています。あわせて、対応スキルの修得を示す資格として、2021年1月に創設された「銀行ジェロントロジスト」認定資格を、営業店の全社員が取得する予定です。

・地域包括ケアシステムへの参画
認知症問題は金融機関だけの問題ではなく、地域全体で対応して行く必要があります。こうした観点から当社は国が推進する地域包括ケアシステムに参画し、その中で独自の役割を果たして行くべきと考えています。こうした考えに基づき、全国の支店ではまず近隣の地域包括支援センター(地域包括ケアの中核組織)とのコンタクトを取り、連携のベースを築く取り組みを行っています。

・認知症のお客さまの財産管理における対応力の強化
認知症などの理由で判断能力が不十分になると、預貯金の管理やさまざまな契約を自分で行うことが難しくなり、振り込め詐欺や悪徳商法の被害に遭うおそれが高まります。財産管理において、まず優先すべきは言うまでもなく「守り」です。次に必要なことは財産管理における「日常生活支援」です。生きていくために年金を受け取ったり、税金や公共料金の払い込みや、買物の代金の支払いなど日常生活のお金の管理をサポートすることが必要です。「想いをつなぐ」ためのサポートも重要です。認知症になって意思(想い)の伝達が難しくなっても、やりたいこと、やってほしいことに変わりはありません。ただ、それを支援者の配慮に頼るには限界があり、特に契約など法律行為が伴うことは、判断能力があるうちに私的な契約で「想いをつなぐ」ための手立てを講じておくことが必要です。当社では、シニア世代応援レポート「認知症を考える」を作成し、成年後見制度やその他の公的な支援の仕組み、およびそれらを補完する金融商品・サービスを分かりやすく整理し、ご提案しています。

後見制度支援信託
法定後見制度による支援を受ける人の財産のうち、日常的な支払いをするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し、通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みです。財産を信託する信託銀行等や信託財産の額などについては、原則として弁護士、司法書士等の専門職後見人がご本人に代わって決めた上、家庭裁判所の指示を受けて、信託銀行との間で信託契約を締結することになります。これにより、信託財産を払い戻したり、信託契約を解約したりするにはあらかじめ家庭裁判所が発行する指示書が必要となるため、成年後見人がご本人の財産を不正に使ってしまわないように適切に保護されます。

任意後見制度支援信託
任意後見制度支援信託は、任意後見制度をご利用される方の財産を信託で管理することで、任意後見制度をサポートするための信託です。任意後見契約が発効した後は、お預け入れいただいた金銭信託からの払い戻しには任意後見監督人の同意が必要となりますので、安全・確実に財産の保護を図ることができます。また、日々の生活に必要な資金などを定期的にお受け取りいただくこともできますので、任意後見人が担う財産管理のご負担も軽減することができます。

人生100年応援信託<100年パスポート>(再掲)
人生100年応援信託は、認知症など判断能力の低下時に直面する、「預貯金の引き出しなどの困りごと」に対する備えなど、複数の機能をそろえた金銭信託です。成年後見制度とタイアップしたソリューションのご提供も含め、幅広くお客さまの立場に立ったコンサルティングを行う、人生100年時代のお供に、最適の信託商品です。

セキュリティ型信託
振り込め詐欺など高齢者を狙った犯罪が増加・巧妙化しているなか、お客さまご自身や離れて暮らすお子さまの不安が増大しています。こうした金融犯罪からご資産をお守りする商品が「セキュリティ型信託」です。本商品は、お預け入れいただいたご資金を払い出す際に、あらかじめご指定いただいた同意者(お客さまの3親等内のご親族)の方の同意を得た上でご資金をお支払いする仕組みです。定時定額払い方式の併用も可能です。

寄付ニーズに対応する商品・サービスの提供

公益信託
公益信託は、個人が公益活動のために財産を提供しようという場合や、法人が利益の一部を社会に還元しようという場合などに、信託銀行に財産を信託し、信託銀行があらかじめ定められた目的に従って財産を管理・運用して公益活動を行う制度で、奨学金の支給や自然環境保護活動への助成、国際協力・国際交流促進など、幅広い分野で活用されています。三井住友信託銀行は、1977年に公益信託第1号を受託して以来、受託件数を着実に増加させており、2020年3月現在の公益信託受託は178件327億円となりました。

社会貢献寄付信託
三井住友信託銀行は、社会貢献に取り組む公益法人などへの寄付を目的とする「社会貢献寄付信託」(愛称:明日へのかけはし)を取り扱っています。本商品を通じ、お客さまは、三井住友信託銀行が提示する「寄附先一覧」(2019年8月現在13団体)から団体を選び、毎年1回、当初信託元本の5分の1を寄付することができます。寄付先からは、寄付金の活用実績や活動内容の報告書が送られます。

特定寄附信託
三井住友信託銀行は「特定寄附信託」を取り扱っています。これは2011年度税制改正によって新たに創設された制度に基づく信託で、運用収益が非課税となり、信託元本と合わせて寄附することができます。寄附先は、三井住友信託銀行が提示する「寄附先一覧」以外の団体を指定することも可能で、ご指定いただいた寄附先に5年または10年にわたり定期的に寄附を行います。

遺贈による寄付
三井住友信託銀行は、ご自身の財産を社会・公益に役立てたいというニーズに応えるため、遺言信託において、公益団体や大学などと遺贈による寄付に関する提携を行い、遺産寄付の支援サービスを提供しています。

自己株式を活用した社会貢献スキーム
三井住友信託銀行は、自己株式(金庫株)を保有する企業が、社会貢献のために配当金を公益団体等に寄付する信託スキームを取り扱っています。委託された株式の議決権は三井住友信託銀行に帰属します。三井住友信託銀行は、2014年度よりトヨタ自動車さま(委託者)とトヨタ・モビリティ基金さま(受益者)との間で、本スキームの取り組みを開始しました。配当金は新興国・途上国でのモビリティ格差の解消、自動車産業の健全な発展に資する活動、先進国での最先端の技術・システムの研究等に活用されます。

寄付株式管理信託
三井住友信託銀行は寄付株式管理信託を取り扱っています。これは信託を活用し、保有株式を公益団体等に無償で貸与していただき、その配当金を非課税扱いで借主が受領することで、継続的な支援を実現するスキームです。2014年度、三井住友信託銀行は、借主として京都大学iPS細胞研究所さまを指定する取り組みを開始しました。

ESDプロジェクト (ESD:Education for Sustainable Develop...

三井住友信託銀行は環境専門のインターネット放送局Green TV ジャパン、SDGsに特化した動画をネット上で放映するSDGs.TVとタイアップし、全国においてナショナル・トラストや地域の生態系保全活動、SDGsと関連した取り組みをテーマとした教材(動画)を作成、近隣の教育機関にて環境教育・SDGs教育の授業を提供しています。

2012 年からスタートしたESDプロジェクトは、和歌山県の天神崎、神奈川県の鎌倉・御谷(おやつ)の森等、これまでに全国で計19回のオリジナルプログラムを展開しています。2015年には、国連生物多様性の10年(UNDB-J)が主催する生物アクション大賞に入賞しました。

2020年9~10月、学校法人鎮西敬愛学園 敬愛小学校4年生46人に向けて、「地球とわたしたちの10年後を想像したSDGs映像オンライン授業」を提供しました。これは、SDGs未来都市 北九州市から「小学校におけるICT教育」のモデル授業を発信することを目指した企画です。当日は、緊急事態宣言下で在宅学習となった生徒たちが、オンライン上で食品廃棄やプラスチック問題をテーマにした短いオリジナル映像を視聴しました。生徒たちは、製作者である映像監督とのオンライン対話を通じて、映像に込められた想いやメッセージをより深く聴くとともにメディアリテラシーについても学びました。この授業で学んだ成果は後日、「10年後の未来に向けて 今 伝えたいこと」として生徒たちが自主制作した動画とともに、保護者向けプレゼンテーション発表会にて披露されました。

【特徴】
本プロジェクトでは、テーマにそってカスタマイズされた数分間の映像コンテンツを活用しながら、随所で受講者に考える時間を与えながら授業を進めます。映像コンテンツは、短時間の視聴でも活字よりも圧倒的に多い情報量を持っており、この視覚的効果を利用して、理解力促進と感性に訴えるメリハリのある授業展開が可能になっています。コンテンツは一度製作すれば、どこの学校・エリアでも何年先でも同じ授業を行うことが可能で、各回のテーマの重要性について地域全体に訴求する効果が生まれている他、ネットに掲載すれば全世界に情報を発信できることも魅力の一つといえます。

三井住友信託銀行ホームページに専用のページを設けて、各プロジェクトの内容をテキストと映像で確認いただくことができます。
https://www.smtb.jp/about/sustainability/esd

With You活動の展開

三井住友信託銀行は、全国各地の店部を中心に、地域社会に貢献し、地域の皆さまと強固な信頼関係を築くため、地域に根ざしたサステナビリティ活動を展開しています。当社は、このような取り組みに“With You活動”と愛称をつけ、SDGs17の目標達成に紐づく活動を推進しています。

2019年8月、各地域コミュニティへSDGsを浸透させ地域活性化に繋げることを目的に、全国にある134点部全店が「私たちのSDGs宣言」を策定しました。「私たちのSDGs宣言」とは、SDGsを共通言語に、全国の営業店部が最注力するWith You活動を「見える化」する施策です。SDGsの目標17と各店部が達成したいと考える目標1つの計2つの目標を達成するためのアクションを、各店部が自ら策定し、具体的な取り組みを展開しています。

当グループでは2019年、世界的な海洋汚染問題への具体的アクションとして、社員ひとりひとりがプラスチック製品の利用削減とリサイクルできないプラスチックごみの排出削減に取り組もうと、「三井住友トラスト・グループ プラごみゼロ宣言」を策定しました。これは、「2030年までにリサイクルされずに廃棄されるプラごみゼロを目指す」という内容です。本宣言に基づき、グループ各社において「社員がプラごみを出さない」、「お客さまにプラごみを出させない」ための具体的な取り組みを進めています。各店部では、With You活動やSDGs取り組み推進の一環として「プラごみ0宣言」に基づいた活動とロビー展をはじめとした普及啓発活動を展開し、地域コミュニティへの浸透に注力しています。2020年8月に実施した「プラスチックとの付き合い方」オンライン社内勉強会には、社員約500名が参加しました。

ウェブサイト サステナビリティ活動のページにWith You支店ブログを開設し、運営しています。このブログは支店のWith You活動やイベント情報をタイムリーに発信し、積極的に地域との接点を増やすことを目的としています。全店部に専用のページを割り当て、随時更新できるようになっています。2021年度上期には海外拠点2支店(香港・ニューヨーク)のページも新設しました。
https://branchblog.smtb.jp/

【特徴】
全国で展開している取り組みの内容は、季刊小冊子“With You”(年4回発行)を通じて顧客に紹介しています。

With Youの取り組みは、内容に応じて活動ポイントを定めており、各店部に対して、期中の取り組みのポイントの合計が一定以上になるように指導しています。また他の模範となる取り組みを実施した店部を表彰する制度も導入しています。

With You活動には特別予算を付与し、活動をバックアップしています。