PCAFは、2023年10月現在、世界で約440の金融機関(運用資産:94.6兆米ドル)が参加し、投融資先のGHG排出(スコープ3-カテゴリー15)の算定・報告方法を開発するイニシアティブです。日本からは大手銀行、地域金融機関(九州FG、山陰合同銀行、コンコルディアFG、千葉銀行、静岡FG、十六FG、八十二銀行)、生損保、証券会社、アセットマネジメント会社など合計26の金融機関が参加しています。
弊社は2022年4月に日本事務局に就任し、新規参加機関向けのオンボーディング対応、ヘルプデスク対応、ガイダンス公表時の展開・説明、PCAFに関する勉強会・研修等を実施しています。また、21世紀金融行動原則 預貸WGと共催で、6月と8月の2回にわたりPCAF及びファイナンスド・エミッションに関するセミナーを実施しました。
【特徴】
日本事務局として、グローバルや日本の金融機関(PCAF Japan coalition)との連携体制を構築・支援、日本の金融機関同士の連携サポート、さらにPCAF Japan coalition(議長:みずほフィナンシャルグループ)の活動サポートを行っています。
日興アセットマネジメントは、2014年5月30日に日本版スチュワードシップ・コードの受け入れを表明し、「日興アセットマネジメントのスチュワードシップ方針」を発表、スチュワードシップ活動への注力を一層強めました。その後、2023年1月の同方針の改訂では、日本の上場株式以外の投資資産、特に国内社債投資についても日本版スチュワードシップ・コードの理念を受け入れ、スチュワードシップ活動を推進している旨を反映しました。
当初の公表以来、複数回の改訂を経た現在の同方針は、日本版スチュワードシップ・コード改訂にて追記されたサステナビリティの考慮や情報開示の強化などに対応し、また当社のエンゲージメント活動等の説明強化も反映を完了した内容となっております。
日興アセットマネジメントのスチュワードシップ方針
https://www.nikkoam.com/about/stewardshipcode/policy
日興アセットマネジメントグループ エンゲージメント&スチュワードシップ戦略
https://www.nikkoam.com/files/pages/about/pdf/esg/global_engagement_and_stewardship_strategy_J.pdf
1999年に日本初の社会的責任投資(SRI)ファンドを設定するなど、日興アセットマネジメントはアジアにおけるESG投資のパイオニアとなっています。20年以上にわたり、当社の日本外の各運用チームは、ESG原則およびサステナビリティを投資プロセスに取り入れる努力を続け、今では全ての投資戦略においてESGを考慮した運用商品を提供しています。ESG要素はお客様のために将来にわたって価値を生み出していく上で重要な役割を果たすと確信しています。
【グローバル株式】
グローバル株式運用チームは、高い資本利益率を達成できる目的重視型の「フューチャー・クオリティ」銘柄を発掘します。社会の諸問題を解決する企業の株式には市場の資金が集まり、相対的に高いリターンをもたらす可能性が高いと考えられます。
https://www.nikkoam.com/sustainability/investment-management/global-equity
【日本株式】
日本株式運用チームでは、企業の財務面のみならずESG要素を含む非財務面の情報を分析し、超過収益獲得を追求します。優れた運用プロセスは企業の将来の収益や競争力強化につながるESG要素に着目すべきだと信じています。
https://www.nikkoam.com/sustainability/investment-management/japan-equity
【アジア株式】
アジア株式運用チームでは、好収益を維持できる企業や根本的に変化できる企業を探求します。収益の持続性や根本的な変化の可否を精査するのにESGは不可欠な要素です。よって、当チームは株主還元に影響するESG課題に注目します。
https://www.nikkoam.com/sustainability/investment-management/asian-equity
【グローバル債券】
ESGはグローバル債券運用チームの全ての戦略にわたって考慮している重要な要素であり、スクリーニング&リサーチとポートフォリオ構築の段階で適用されます。
https://www.nikkoam.com/sustainability/investment-management/global-fixed-income
【日本債券】
日本債券運用チームでは、定量リスクのみならず、財務分析では捉えることができない定性リスクも分析することが重要だと考えます。ESGの観点は、定性分析の中での重要な要素と位置付けています。
https://www.nikkoam.com/sustainability/investment-management/japan-fixed-income
【アジア債券】
アジア債券運用チームが運用する社内格付けモデルにおいては、幅広いESG要素やリスクを取り入られています。ESGの観点は長期の価値創造には不可欠との信念のもと、ESGのリサーチと評価はクレジット分析の主要要素の一つと捉えています。
https://www.nikkoam.com/sustainability/investment-management/asian-fixed-income
日興アセットマネジメントでは、当社が運用する投資信託において、信託報酬の一部を寄付する活動を行なっています。
「世銀債ファンド(ワールドサポーター)」は、相対的に利回りの高い、新興国通貨建て世界銀行債券に投資する投資信託です。寄付先である国際開発協会(IDA)は、世界銀行の名で知られる国際復興開発銀行(IBRD)の姉妹機関で、世界の貧困削減をめざし、途上国における経済成長の促進や不平等是正、生活水準向上のためのプロジェクトに長期で無利子の融資や贈与を行なっています。日興アセットマネジメントは、当ファンド設定の2007 年以降、継続して寄付を実施しております。
また、「グローバル全生物ゲノム株式ファンド(1年決算型)/(年2回決算型)」では、2019年より、難病・希少疾患分野の研究機関や治療現場、支援団体への寄贈を行っております。
日興アセットマネジメントは、今後も持続可能な社会の形成に役立つ取組みを行なって参ります。
日興アセットマネジメントは、2022年度におけるサステナビリティ活動をまとめ、四度目のサステナビリティレポートを発行しました。レポートでは、グローバルな資産運用会社として、ESGを考慮した運用および自社の様々な取り組みについて紹介しています。当社の経営理念の最高位に位置付けるフィデューシャリー・ESG原則に沿った運用プロセスや投資家の皆さまの利益の最大化を図る商品開発、コーポレート・ガバナンス体制の更なる強化に向けた取り組み、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、そして社員が有志で参加する国内外拠点の社内サステナビリティ・グループの活動などについてお伝えしています。
日興アセットマネジメントでは、人事評価制度にサステナビリティへの取り組み目標を設けています。すべての社員に対してそれぞれの職務や会社での役割において、持続可能な社会に貢献する資産運用会社の一員として、受益者、社会、そして会社にとってプラスの影響をもたらすための取り組みを実践できたかを評価観点の一つとして盛り込むことで、社員が日々の業務遂行にサステナビリティの意識を取り入れ、更に、どのようにサステナビリティの実践を成し遂げられるかを上司と掘り下げて議論するきっかけとなっていることが期待されます。
当社は責任投資ファンドを通じて投資家や企業とのコミュニケーションを実施しています。
当社では、毎年、企業に対してアンケートを実施し、環境経営度や社会的責任活動等の調査を行い、約500社に評価を付与しています。また、回答をいただいた企業にはアンケート結果の分析をお送りしています。この調査及びアンケート結果分析は【ぶなの森】、【未来のちから】、【SNAM 日本 ESG 投資ファンド(適格機関投資家専用)】、【みんなのチカラ】等のファンドの銘柄選択に反映されています。
【ぶなの森】では、投資家向けレポート「月次運用レポート」において組入れ企業の環境への取組みを、四半期ごとに発行している「ぶなの森ニュース」では「ECO トレンド・ECO インフォメーション・ECO ワード」と最新の環境 トピックスを紹介しています。また、毎年決算時には組入全銘柄の「環境への取組状況」を公表しています。このように【ぶなの森】では投資家や企業に対する環境関連情報の提供に力を入れています。尚、20年以上にわたる【ぶなの森】の高パフォーマンス運用が表彰され、2018年度、21世紀金融行動原則のグッドプラクティスとして環境大臣賞 総合部門 特別賞に選定されました。2023年4月には、株式会社格付投資情報センター(R&I)主催の「R&I ファンド?賞 2023」の投資信託20年/国内株式ESG 最優秀ファンド賞および投資信託/国内株式ESG 最優秀ファンド賞を受賞しています。
【未来のちから】の月次運用レポートでは組入銘柄の「環境・社会・ガバナンス」への取組みを紹介、【損保ジャパン・エコ・オープン(配当利回り重視型)】では環境コメントを掲載するなど、その他の責任投資ファンドにおいても同様の取組みを拡大しています。
【SNAM 日本 ESG 投資ファンド(適格機関投資家専用)】では、同ファンドに採用した企業などに対し、SOMPOリスクマネジメントと協働で ESG 評価を送付しています。ESG 評価には送付先企業のスコアのほか評価平均値などを記載し、企業の参考情報として活用いただいています。
【みんなのチカラ】では、当社から見た企業の人的資本に対する取組み等の姿勢について、全組入れ企業を対象に、HP上にて掲載しています。当該ファンドではファンド紹介動画も作成しております。
https://www.sompo-am.co.jp/dat/fund/0978/power_everyone_video.html
その他、当社では他にも「30年のESG投資取組み」および「エコファンドの草分け「ぶなの森」の20年とこれから」と題して動画を掲載しております。
30年のESG投資取組み:https://www.sompo-am.co.jp/dat/fund/0878/SOMPO_ESG.html
「ぶなの森」の20年とこれから」:
https://www.sompo-am.co.jp/dat/fund/0878/SOMPO_buna.html
SOMPOホールディングスの中期経営計画では、グループ全体で事業を通じた社会課題解決による経済価値と社会価値の創出に取り組む「SDGs経営」を経営基盤の1つに位置付けています。その実践のために、7つのマテリアリティと各々のマテリアリティにKPIを設定することで、進捗状況の可視化や課題把握を行うなど、実効性の高いPDCAサイクルを構築しています。
社員参加型ボランティア活動では、さまざまな情報を社内のイントラネットに掲載し、全役職員が各々関心のある活動に参加しています。認定NPO 法人等への各種寄付活動(手帳、カレンダー、古切手、使い捨てコンタクトケース等)を案内することで、社員の自主的な活動を促進しています。
日興アセットマネジメントは、2050 年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ(ネットゼロ)とすることを目指す資産運用会社によるグローバルなイニシアティブ「Net Zero Asset Managers initiative」の趣旨に賛同し、2021年10月に同イニシアティブに参画しました。
「Net Zero Asset Managers initiative」は、産業革命以前対比で世界の平均気温の上昇を摂氏 1.5℃以内に抑えるための世界的な取り組みに沿って、2050 年までに温室効果ガス排出量をネットゼロにするという目標を掲げるイニシアティブです。
同イニシアティブに参画する資産運用会社は、2030年を達成時期とする中間目標の設定が義務となっており、当社は、運用資産の43%を対象として、そのカーボンフットプリントを2019年比で50%削減する目標を掲げました(同イニシアティブのHPにて公開)。まずは、保有する株式からネットゼロ目標への取組みを開始しましたが、分析手法やデータカバレッジの進展に則して、対象資産の追加を検討していく計画です。
日興アセットマネジメントは、2022年9月に英国スチュワードシップ・コードの署名機関となりました。アジアの運用会社として初めて同コードが求める高い基準を満たした一社となりました。同コードの署名機関となることは、投資手法や投資プロセスへの ESG の組み込み、優れたガバナンス、議決権行使、エンゲージメントといった課題に対する資産運用会社としての取り組みと実績を示すものとみなされます。また、当社のスチュワードシップの実践がグローバル市場の水準を満たしていることを示すものでもあります。
英国の財務報告協議会(FRC)は、英国スチュワードシップ・コードを厳格化し、顧客や受益者のために責任ある資本の配分、管理、監督を行い、経済、環境、社会に持続可能な恩恵をもたらすことについて、世界的に先駆けた基準を設定しました。そのコードの署名機関となるために、志願する資産運用会社は、過去1年間に同コードの原則をどのように適用してきたかを示す報告書を提出しなければなりません。報告書がFRCの期待に沿うものであれば、その会社は同コードの署名機関としてリストに掲載されますが、署名機関は、その後も継続して年次報告を行い、スチュワードシップ活動の継続的な向上と成果を示し続けることが求められます。
当社は経営基本方針に「投資先や資本市場、社会・経済全体の持続的発展に寄与する責任投資に取り組み、機関投資家としてのスチュワードシップ責任を果たします。」「ESG(環境・社会・ガバナンス)要素を考慮した中長期視点の投資を通じて投資リターンの拡大を図り、投資先や社会の課題解決に貢献します。」と掲げており、責任投資に積極的に取り組んでいます。
<当社が運用するESGにフォーカスした責任投資ファンド>
【損保ジャパン・グリーン・オープン(愛称:ぶなの森)】
Eに関するポジティブ・スクリーニングと割安度分析を組み合わせて運用するファンドです。1999年9月に運用を開始(環境ファンドとしては国内で2番目)、2022年9月末時点の純資産残高は約291億円と、責任投資ファンドの公募投信(日本株式)では国内最大級の運用資産規模になっています。また、2022年度から、当ファンドでも後述する「インパクトレポート」の開示を開始しました。
【損保ジャパンSRIオープン(愛称:未来のちから)】
E・S・Gの3つの視点から企業の社会的責任を評価しつつ、割安度にも優れた日本の企業に投資するファンドです。社会とのコミュニケーションや社会的課題の解決に積極的に取り組む企業への投資機会を提供します。欧州のパートナーを通じ、2020年3月から欧州でも販売しております。また、2023年3月よりポートフォリオが有するインパクト(企業組織や社会全体に対して生み出されたポジティブな変化)の計測を行い、「インパクトレポート」として開示しています。 https://www.sompo-am.co.jp/fund/0893/
【好循環社会促進日本株ファンド(愛称:みんなのチカラ)】
わが国の経済における長期的な課題である「人的資本の活用力」に優れた企業への厳選投資を行うファンドです。そのような企業の株式を長期的に保有することを通じて、好循環経済の実現に貢献するとともに、信託財産の安定的な成長を目指します。また、2021年度からポートフォリオが有するインパクト(企業組織や社会全体に対して生み出されたポジティブな変化)の計測を行い、「インパクトレポート」として開示しています。
https://www.sompo-am.co.jp/fund/0978/
【SNAM日本ESG投資ファンド(適格機関投資家専用)】
ESG評価の高い企業に幅広く分散投資する適格機関投資家に向けたファンドです。長期保有を基本スタンスとして長期的に安定した収益の獲得を目指しており、ESG評価と株式価値評価を組み合わせた独自のアクティブ・インデックスに追随するスマートベータ戦略を採用しています。
その他、【損保ジャパン・エコ・オープン(配当利回り重視型)】等、お客さまのニーズに合わせた運用の受託をすることが可能な態勢を整えています。
当社は経営理念に 「多様性の尊重」 を掲げ、障がいや性別、国籍、性的指向や価値観などの別なく、すべての社員がお互いを尊重し、生き生きと活躍できる職場環境の構築に取り組んでいます。
2015年度より、雇用を通じた障がい者アスリートの方々の支援を開始し、2023年3月時点で17名の世界トップレベルの障がい者アスリートを採用しています。
また、2015年には障がい者の方々の雇用促進を目的とした特例子会社「日興みらん株式会社」を設立しました。それぞれの障がいの特性にあった働き方を実現し、障がい者の方々が「持続的に生き生きと働ける企業」「働く喜びを実感できる企業」の実現を目指しています。
【特徴】
当社の障がい者雇用を通じた「人にやさしい社会の実現に向けた取組み」が、第四回:グットプラクティス(運用・証券・投資銀行部門)、2019年9月に東京都の表彰制度である「障害者雇用エクセレントカンパニー賞 産業労働局長賞」に選定されました。
SMBC グループでは、グループの重点課題の一つとして環境を認識し、継続的な取り組みを行うために、「グループ環境方針」を策定しています。当社は、SMBCグループの一員として、「グループ環境方針」に則り、気候変動問題を含めた環境課題の解決に取り組んでいます。
当社における環境マネジメントは、「グループ環境方針」、ISO14001を基盤としています。環境目標として、温室効果ガス排出削減に関する長期目標を設定し、PDCAサイクルにしたがって、温暖化対策への取り組みを推進しています。
また、年に一度、全役社員を対象とした勉強会を実施し、役社員一人ひとりの環境をはじめとするサステナビリティの実現に向けた意識醸成に取り組んでいます。
当社では、環境負荷軽減策の一つとして、全社を挙げて「ペーパーレス」の推進に取り組んでいます。2022年度実績では、2019年度対比65%削減を実現しました。
【特徴】
ノートPCやiPadなどのツールの積極的な活用を推進することで、社内向け説明資料の印刷を原則禁止としています。また、やむを得ず印刷する場合も、「モノクロ」「両面」「2in1(1ページに2枚分を印刷)」の設定としています。
当社では、店舗やオフィスにおいて使用する電力について照明のLED化などによる使用電力の削減や、再生可能エネルギー由来電力への切り替えを積極的に進めています。
使用電力の削減に向けては、自社所有ビル照明のLED化を進めており、2023年9月時点で自社ビル11棟はすでにLED化が完了しています。
また、オフィスビルで使用する電力の再生可能エネルギーへの切り替えを順次進めており、2023年9月時点で、本店・本社入居ビル5拠点、支店入居ビル12拠点は既に切り替え済み、その他オフィスも順次切り替えを検討しています。
【責任投資原則(PRI)への署名】
2012 年1 月に責任投資原則(PRI)の考え方に賛同し署名を行いました。2021年提出のアセスメント評価では責任投資へのアプローチで星4つ評価、上場株式における責任投資への統合状況では星5つ評価を受けております。
当社は1993 年から日本株の責任投資を行っています。エコファンドのパイオニアとして、環境・社会・ガバナンスに配慮した責任投資に積極的に取り組むことにより、資産運用会社としての社会的責任を果たし、持続可能な社会の実現に貢献します。
【TCFDへの署名】
当社は2019年4月に「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース、Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」への賛同を表明しました。
TCFDが提唱する「財務的インパクトをもたらす気候変動リスクと機会の開示促進」は、「良質なアクティブ運用を提供する」ことを取り組みに掲げている当社の責任投資ポリシーに合致するものです。また、2019年5月に日本で設立されたTCFDコンソーシアムにも参加しており、同年10月に同コンソーシアムによりグリーン投資ガイダンス(GIG)が発表され、当社は同ガイダンスのサポーターとして「GIGの活用事例紹介」に寄稿しています。
気候関連のさまざまなファクターがリスクと機会という二つの経路から企業の財務にインパクトを及ぼすというTCFDの概念は、当社の投資哲学に基づく投資価値に対する考え方と合致しています。TCFDの提言が求めている情報は当社が自らの投資戦略を実践するうえで必要とする情報そのものであり、TCFDの提言による開示が普及することはアセット・マネージャーとしての当社と当社に資金を委託するお客さまのみならず、資本市場が健全な価格発見機能を維持するうえで、大きな意味を持っていると認識しています。当社は自らの投資スタイルによる運用プロセスの実践を通じて、気候関連の取り組みを促進していきます。企業とのエンゲージメントにおいては、TCFDは極めて長期の時間軸を扱う開示であることから、形式やデジタルな数字には拘泥することなく、その背景にある考え方、ビジョンや意志等を重視した対話を行っていく方針です。
2022年度スチュワードシップ活動報告(第6章)では、MSCI社が提供するサービスを活用し、カーボンフットプリントの算出および気候変動シナリオ分析を実施いたしました。
(ご参考)https://www.sompo-am.co.jp/img/institutional/stewardship2022.pdf
【Climate Action 100+への参画】
Climate Action100+は、2017年のPRI総会にて発表された、温室効果ガス排出削減に向けた、5年間の協働エンゲージメントです。パリ協定以降、気候変動問題はグローバルに早急な対策が求められる社会課題として認識されています。ESG投資を推進する当社として同協働エンゲージメントに参加することは意義深いと考え、2017年12月に署名しました。
その後、当社は日本企業1社(ENEOSホールディングス)に対して海外投資家と共同リードインベスターを、また、別の日本企業1社に対してサポートインベスターを務めています。ENEOSホールディングスは2020年5月に2040年までに自社排出分のカーボンニュートラルを志向するビジョンを打ち出した後、2022年5月にカーボンニュートラル計画を見直し、2050年に向けて自社排出分に加えScope3を含むカーボンニュートラルを目指す旨を表明しています。2022年度はその戦略の進捗や新たな取り組みについて対話しました。また、2021年度に引き続き水素事業に関する多方面からの確認を行うとともに、今後のScope3を含めた取り組みおよび情報開示に関して情報交換を行いました。また、特に米国でロビー活動が注目されていることを受け、気候変動に関する渉外活動についても情報開示を依頼し、同社の「統合レポート2022」に記載いただきました。
【NZAMへの署名】
2022年1月にネットゼロ・アセットマネージャーズ・イニシアティブ(Net Zero Asset Managers initiative、以下「NZAM」)への参画を表明しました。
当社は、「中?期の本源的投資価値を投資判断基準とするアクティブ・バリューマネージャー」として、ESG情報などの未財務情報についても的確に把握し投資先企業の投資価値を評価するESGインテグレーションに?年取り組み、1999年9月に運用を開始した「損保ジャパン・グリーン・オープン(愛称 : ぶなの森)」をはじめとして、ESGの観点をより強調した運用商品も積極的に展開してきました。
NZAMが目指す2050年温室効果ガスネットゼロというコミットメントは、「良質なアクティブ運用を提供する」ことを通じて「投資先や社会、経済全体の持続的発展に寄与する責任投資に努める」とする当社の責任ある投資家としてのポリシーにも合致するものです。NZAMへの参画を機に、スチュワードシップ活動の一層の取り組み推進、運??の強化に努めることで、持続可能な社会形成に貢献し、お客さまの中?期的なリターンの向上を?指していきます。また、国内の損害保険グループとして初めて、国際的な投資機関のイニシアティブであるネットゼロ・アセットオーナー・アライアンス(Net-Zero Asset Owner Alliance、以下「NZAOA」)に加盟したSOMPOホールディングスと連携しながら活動を進めていく所存です。
なお、2022年11月には運用資産の40%に相当する株式および社債をネットゼロ目標の対象とする中間目標を公表し、企業にGHG排出削減目標の策定を働きかけるエンゲージメント活動を実施しています。
日本版スチュワードシップ・コードは2014年5月に公表され、2017年5月に改訂されております。当社はこれまでも本コードの趣旨に全面的に賛同し、受け入れを表明してまいりました。2020年3月に本コードは再び改訂されましたが、当社は引き続き全面的に受け入れることを2020年9月に表明するとともに、当社としての対応方針を更新しております。
https://www.sompo-am.co.jp/institutional/stewardship.html
当社は、スチュワードシップ責任を果たすため、投資先企業のコーポレートガバナンスに関する前向きな対話を通じ、投資先企業に対して株主利益を尊重し、資本を有効に活用する経営姿勢を求めていきます。
また、当社の行っているスチュワードシップ活動を「スチュワードシップ活動報告」としてまとめ、HP上で報告しています。
https://www.sompo-am.co.jp/institutional/stewardship_report.html
三菱UFJ信託銀行では、「多様な生物が共存する豊かな自然を次世代につなぎたい」というお客さまの想いを、金融商品「野鳥と緑の信託」を通じてお手伝いをしています。
この商品はお客さまからお預かりした金銭信託の収益金を、自然保護団体「公益財団法人日本野鳥の会」に寄附するとともに、決算収益金と同額を三菱UFJ信託銀行が拠出(半年で下限50万円・上限250万円)し、お客さまの環境保護への想いをサポートしています。
【特徴】
「野鳥と緑の信託」に合計で100万円以上のお預け入れをいただき、「自然保護への想いを記念として残したい」とお考えのお客さまには、北海道根室市の野鳥保護区を一望できる場所に設置の石碑に、ネームプレートを掲示するサービスもご提供しています。
三菱UFJ信託銀行は、2022年3月、山梨県富士河口湖町、小立財産区管理会、富士北麓森林組合と森林整備協定を締結、山梨県南都留郡富士河口湖町小立にある1.67 haの山林を「ピーターラビットTM 未来へつなぐ森」と名付け、新たに森林・水源保全を通じた生物多様性保全に向けた取組みを開始しました。
これまで、2009年5月に同様の協定を結び埼玉県長瀞町で森林保全活動を実施して参りましたが、新たな森林を育む活動に取り組みます。
森林は国土の保全、生態系の保全、地球温暖化の防止など様々な働きを持っています。とりわけ水源地域の森林は水資源の貯留、水質の浄化などいわゆる水源かん養機能を発揮することにより、安全で良質な水の安定的な供給に重要な役割を果たしています。
これからも役職員一同、森を慈しみ健全な森林を整備していくことが大切だと考えています。