森林由来クレジットに関するプラットフォームの構築

森林由来クレジットに関するプラットフォームの構築

JForestグループと共同で、森林・林業のグリーン成長化、カーボンニュートラル社会への貢献を目的として、2023年3月末に森林由来クレジットにかかるプラットフォームを立ち上げました。全国の森林組合による円滑な森林クレジット創出支援からプラットフォーム上でのクレジット売買にかかる森林組合と購入希望企業の引き合わせ支援を一気通貫で行っていきます。

【特徴】
森林由来クレジットの創出から販売までを一気通貫でサポートしていること。

日本農業経営大学校

当金庫は、(一社)アグリフューチャージャパンのメインスポンサーとして、同社団が運営する日本農業経営大学校等への運営サポートを通じて、次世代の農業経営者育成を後押ししています。日本農業経営大学校では、2013年4月に開校して以来119名が卒業し、全国で就農しています。
2023年4月に開校10周年の節目を迎え、農業経営教育のすそ野の拡大に向けて、新たにオンラインスクールの展開を開始しました。2024年4月には、品川本校での教育をアグリビジネス領域におけるイノベーター育成を目指すカリキュラムへ転換するなど、更なる農業界への価値提供に挑戦していきます。

【特徴】
社会の期待に応え、日本農業の明日を切り拓く人材を輩出する取組みであること。

気候変動対策に関連するサービス

気候変動によってどのような事業リスクが考えられるか分析し、中長期的な気候変動の緩和・適応戦略の策定をサポートする気候変動リスク分析や、企業の国内外拠点について、気候変動や人口増加を踏まえた将来の
水リスクを定量評価する『水リスク簡易診断』といったサービスを提供しています。

https://www.irric.co.jp/risksolution/sustainability/index.php#sustainability_04Cont

農林水産業みらい基金

当金庫は、農林水産業の更なる成長に向け、農林水産業者・事業体の主体的な取組みを後押しするとともに、
これらの情報発信を推し進めることを目的として「農林水産業みらいプロジェクト」を創設し、その実施主体
として2014年に「農林水産業みらい基金」を設立し、当金庫から200億円を拠出しました。
「農林水産業みらい基金」においては、これまで累計66件に対して助成を行っており、2023年度も同様に
5月から募集を開始しています。

【特徴】
農林水産業、ひいては地域の「未来」をサポートする取組みであること。

農中森力基金

荒廃の危機にある民有林の再生を通じて、森林の多面的機能の持続的発揮を目指す活動に対する助成を行うため、2005年に「公益信託農林中金80周年森林再生基金」(FRONT80)を設定しました(2013年度最終募集)。2005~2013年までの9年間で全国から319件の応募をいただき、このなかから52の事業を選定して942百万円の助成を行いました。
2014年度からは、行政の施策などJForestグループを取り巻く環境の変化も踏まえ、施業集約化等の取組みを促進し、森林組合の態勢強化を後押しするため、FRONT80の後継基金として「農中 森もりぢから力基金」の募集を開始しました。2014~2022年度の9年間において265件の応募をいただき、このなかから71件の事業を選定して、1,576百万円の助成を決定しました。これまでの助成を通じて、先進的な取組みが全国に広がっています。

【特徴】
地域の中核を担う林業事業体をサポートし、地域内外への波及効果を期待していること。

国産材利用拡大にかかるサポート

JForestグループは、国産材の利用促進を通じ、森林資材を活用した持続可能な社会の実現を目指し取り組んでおり、当金庫も、JForestグループの取組みに対する支援を行っています。
国産材利用の拡大に資する取組みへのサポートとして、地域材を利用した木製品の製作~寄贈・販売、植樹イベント協賛、木育活動等について、2022年度は43県域で52件の森林系統と連携した活動に対し費用の助成を行いました。
2016年10月に東京大学に木材利用システム学寄付研究部門を設置し、森林・林業・木材産業の発展を願う川上・川中・川下の関連企業・団体が参画したウッドソリューション・ネットワーク(WSN)を立ち上げました。現在、第2クールでは、時流に沿ったテーマ(森林環境譲与税やESG投資・SDGs)等について、会員企業・団体と連携し、木材利用効果発信による木材利用拡大に向けた各種取組みを推進しています。
また、2021年12月に、森林・林業の成長産業化および地方創生を推進し、脱炭素化等、持続可能な社会の実現を図り、広く社会に貢献することを目的に設立された「一般社団法人 日本ウッドデザイン協会」に参画しています。

【特徴】
次世代に森林を残していくための取組みであること。

SDGs取組評価支援

地域金融機関向けに、お客様企業のSDGs 取組状況を評価するためのフレームワークの開発など、企業の
SDGs 取組を促進するサービスの開発を支援しています。具体的な評価項目には、環境に関する事項をはじめとして、人権・労働、組織体制などの項目を含んでいます。

https://www.irric.co.jp/risksolution/sustainability/index.php#sustainability_02Cont

再生可能エネルギーに関するコンサルティングの提供

太陽光発電事業の企画・設計段階において、計画の妥当性、災害リスクに関する各種評価サービスを提供し
てします。風力発電設備に関しても、事故リスク評価の支援などのサービスを行っています。また、金融機関の職
員や顧客に対する再生可能エネルギーセミナーの講師派遣も行っています。
上記サービスの提供により、再生可能エネルギー市場への資金供給の円滑化に貢献しています。

https://www.irric.co.jp/risksolution/sustainability/index.php#sustainability_07Cont

生物多様性総合コンサルティングの提供

原材料調達や事業所の土地利用をはじめとする生物多様性リスクに関するマネジメント体制の構築、リスク評
価、ソリューションのサービス提供を実施しています。
また、企業が自らの事業所等を活用して、自治体や地域のステークホルダーと協働しながら生物多様性保全
に取り組むための、緑地保全・活用コンサルティングを提供しています。

https://www.irric.co.jp/risksolution/sustainability/index.php#sustainability_06Cont

ESG 投資対応パッケージの提供

ESG 投資への適切な対応は、企業の経営層にとって喫緊の課題となっており、当社では2017 年にESG 投資対応のためのサービス提案パッケージを開発しました。この中で、企業の現状でのESG 対応度を簡単に診断するESG 診断、ESG 戦略策定支援などのサービスを提供しています。
また、”153-FY2022-03”で紹介した生物多様性総合コンサルティングなど、お客様のニーズに応じて個別
の環境テーマに関するサービスなどと合わせて提供することが可能です。

https://www.irric.co.jp/risksolution/sustainability/index.php#sustainability_01Cont

個人向けローンの取扱い

個人のお客さまを対象として住宅用太陽光発電システム、定置型リチウムイオン蓄電池の購入および設置工事等にご利用いただける『ソーラーローン』を提供しております。

障がいをお持ちのお客さまやご高齢のお客さまのための取組み

すべてのお客さまに安心してご利用いただけるよう、障がいのあるお客さまやご高齢のお客さまに配慮した取組みを推進しております。

1.相続相談(遺言信託・遺産整理)紹介サービス※1
イオン銀行では、お客さまのさまざまな相続関連のお悩みに寄り添いお応えするため、2022年5月より個人のお客さま向けに『相続相談(遺言信託・遺産整理)紹介サービス』を開始しました。
本サービスは、当社が株式会社山田エスクロー信託の業務提携店として、店舗にご来店のお客さまに対し、遺言信託・遺産整理を365日ご案内し、相続の専門家をご紹介します。お客さまはイオン銀行店舗の個室で専門家と対面もしくはWEBでご相談いただけます。※2
※1ご相談内容により株式会社山田エスクロー信託担当者がご案内します
※2ご契約はお客さまと株式会社山田エスクロー信託が当事者となります

2.イオン銀行店舗における取組み
イオン銀行店舗では、お体の不自由な方や高齢者の方、すべてのお客さまに快適にご利用いただけるよう、「耳マーク・筆談マーク」のプレートや、多言語や筆談に対応したコミュニケーションツール、シニアグラス等を設置しております。
また、全国店舗に認知症サポーターを配置し、認知症に関する正しい知識を身に付け理解を深めることで、安全・安心にご来店いただけることを目指すとともに、地域社会と連携し、すべてのお客さまが安心して暮らせる環境づくりや、特殊詐欺等の金融犯罪から守る取組を推進してまいります。

3.イオン銀行ATMにおける取組み
イオン銀行ATMでは、視覚障害をお持ちのお客さまにもご利用いただけるハンドセットや、杖ホルダーを設置しております。また、操作いただく画面表示においては、さまざまな色覚特性をお持ちのお客さまの視認性向上のため、カラーユニバーサルデザインに沿った画面設計としております。

金融ウェルビーイングの実現を支援するための取組み

持続可能な社会の実現をめざすべく、公正で質の高い金融教育、生涯学習の機会を積極的に提供しております。

1.金融リテラシー講座の提供
持続可能な社会の実現のため、公正で質の高い金融教育、生涯学習の機会を積極的に提供するため、金融リテラシー講座の提供を行ってまいりました。2021年度からは、より幅広い金融教育の機会を提供すべく、実施主体を親会社のイオンフィナンシャルサービス株式会社へ移しグループ一体での総合的な金融リテラシー教育推進の取組みを実施しております。

2.オウンドメディアを通じた金融教育機会の提供
イオン銀行の運営するWEBサイト『タマルWeb』および動画配信メディア『タマルTV』にて、節約や家計の見直しから税制改正など、日々のくらしに役立つお金の知恵を学べるコンテンツを提供しております。

各種募金受付活動

事業活動を通じさまざまな社会課題を解決することで「持続可能な社会の実現」と「グループの成長」を両立すべく、多種多様な募金・寄付活動を行っております。

1.難民支援
難民支援を目的とし活動する国連UNHCR協会への募金受付窓口として口座を開設するほか、WAONPOINTによる寄付、全国のイオン銀行ATMでの専用募金ボタンなど、さまざまなチャネルで受付しております。

2.環境保全
森林保全を目的とし活動する一般財団法人C.W. ニコル・アファンの森財団への募金受付窓口として口座を開設するほか、イオン銀行ATM募金メニューに専用ボタンを設置しております。

甚大な災害に対する継続的な支援活動

甚大な災害に対する復興支援にあたり、イオングループの一員として、イオン銀行労使一体で継続的な支援活動を実施しております。

1.募金活動
東日本大震災復興支援を目的とし活動する特定非営利活動法人「ジャパン・プラットフォーム」への募金受付窓口として、銀行口座を開設するほか、イオン銀行ATM募金メニューに専用ボタンを設置しております。

2.東日本大震災被災地でのボランティア活動
福島県いわき市で農業放棄地を活用し、農業の再生と地域の雇用を生み出すことを目的とする「コットン・プロジェクト」に参加しております。特定非営利活動法人「ザ・ピープル」の協力のもと、当社を含むイオンフィナンシャルサービスのグループ各社が綿花収穫のボランティアを実施しおります。

健康経営・ダイバーシティ経営の取組み

1.健康経営の取組み
イオン銀行の経営理念の実現には、「働く従業員が何よりも大切」であると認識しており、従業員全員が活き活きと働くこと、幸せであることがお客さまにとって”親しみやすく、便利で、わかりやすい”銀行の実現に寄与すると確信し、その実現のため従業員の心身の健康維持・増進をはかっております。
定期健康診断の推進、毎月のコンディション(パルス)サーベイの実施・振り返り等、本人、職場と、経営、健康保険組合や産業医等の専門家との連携した取組みが評価され、2020年より4年連続で「健康経営優良法人(大規模法人部門)」の認定を取得しております。

2.ダイバーシティ経営の取組み
国籍・年齢・性別・障がい・社員区分等に関わらず、「多様な人材が能力発揮できる組織」を目指し、さまざまな取組を実施し、お客さまサービスの向上および企業価値向上へつなげてまいります。
「働き方改革」、「多様な価値観の理解」を促進する等により、女性活躍推進法における「えるぼし」、次世代育成支援対策推進法における「くるみん」の認定を2018年度に取得しております。

環境負荷低減への取組み

イオングループでは、2018年に「イオン 脱炭素ビジョン50」を策定し、脱炭素社会および資源循環型社会の実現に向けて、持続可能なプラスチック利用、廃棄物削減による省資源化に取り組んでおります。

1.環境配慮型素材を使用したカードへの切替え
脱炭素社会実現における課題解決の取組みとして、当社が発行する「イオンカードセレクト」※に、環境配慮型素材である「リサイクルプラスチック素材」を採用しております。同素材に変更することで製造過程において発生するCO2排出量の削減につながります。
※一部対象外

2.イオンカードの磁気ストライプ復元
磁気不良となったイオンカードを、イオン銀行ATMにて復元するサービスを提供しております。お客さまの利便性を向上させるとともに、カード再発行にかかる環境負荷を低減しております。

3.廃棄物削減の取組み
銀行口座やイオンカードのお取引明細をご確認いただける「イオン銀行通帳アプリ」「WEB明細」を推進しているほか、全国の店舗や事業所において、タブレット受付やデジタルサイネージ等を積極的に活用し、廃棄物の削減による省資源化を推進しております。

4. 省電力の取組み
本部事務所ならびに店舗において、スポット照明および基本照明をLEDに交換するなど、電力量の削減に取り組んでおります。

社会貢献型カードの発行

商品・サービス提供と地域社会への取組みを通じて持続可能な社会への貢献を目指しております。

1.東北電力カード
東北電力株式会社様との提携クレジットカード『より、そう、ちから。東北電力カード』を発行しております。クレジットカードご利用金額の一部(0.1%)を、東北6県および新潟県の復興支援や地域活性化を目的とした基金へ寄付されます。

2.日本点字図書館カード
社会福祉法人日本点字図書館様との提携カード『日本点字図書館カード』を発行しております。ご入会後、イオンフィナンシャルサービス株式会社から日本点字図書館に1,000円の助成金が支払われるとともに、直営加盟店でのご利用により、お買い物金額1,000円につき4.5円が日本点字図書館に寄付されます。

3.コスモ・ザ・カード・オーパス・「エコ」
コスモ石油マーケティング株式会社様との提携クレジットカード『「コスモ・ザ・カード・オーパス・「エコ」』を発行しております。お客さまから毎年お預かりする500円とコスモ石油からの寄付金を、環境保全活動を行うNPOや公益法人などに寄付し、活動をサポートしていきます。

インパクトビジネスの展開

当社は2003年に日本で初めて企業年金向けのSRIファンドを開発、2006年にはスタートと同時にPRIに署名し、サステナブルファイナンス分野では一貫してリーディングカンパニーの地位を維持してきました。金銭的なリターンと合わせ社会的リターンを追求するインパクトファイナンスが注目を集め、世界では市場は100兆円を突破しました。パーパスを打ち出した当社にとって、能動的に社会的リターンを追求するインパクトファイナンスを幅広く展開していくことは、いわば必然だと考えています。
そのきっかけとなったのは、2018年にパリで開催されたUNEPFIのラウンドテーブルで発表されたポジティブ・インパクト金融原則です。当社はその趣旨に賛同し、2019年3月には資金使途を特定しない融資商品「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の商品化に先駆的に取り組み、その後も株式投資ファンドの開発やさまざまなプレーヤーへの各種アドバイザリー業務の受託など、広範な商品・サービスのラインアップをそろえ、総合的なインパクトファイナンス事業を展開しています。

これまでの取り組み(カッコ内は投融資・アドバイザリー業務の対象、あるいは取り組みの視点)
2019年 3月 三井住友信託銀行が、不二製油グループ本社に対し資金使途を特定しない融資としてポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施。(コーポレートファイナンス)
2019年10月 三井住友トラスト・アセットマネジメントが、日本株式インパクト投資ファンドを設定し運用開始。(株式投資)
2021年 3月 三井住友信託銀行が、アンカー・シップ・パートナーズ社に対しリアルアセット(船舶)を対象としたインパクト分析サービスの提供を開始。(リアルアセット投資へのアドバイザリー業務)
2021年 4月 三井住友信託銀行が、リアルテック社が運営するVCの投資先を対象とした科学的根拠に基づいたインパクト分析サービスの提供を開始。(ベンチャーキャピタルへのアドバイザリー業務)
2011年11月 三井住友信託銀行が、将来のインパクトファイナンス導入の観点から参画を開始した金沢大学がリーダーを務めるプロジェクト「再生可能多糖類植物由来プラスチックによる資源循環社会共創拠点」がJST共創の場形成支援プログラム・共創分野本格型に採択される。(アカデミアとの協働、知見の提供)
2022年4月 三井住友信託銀行が、現在削減を進めている政策保有株式の売却資金を活用し、インパクト評価を踏まえ2030年までに5,000億円のリスクマネーの投入するインパクト・エクイティの取り組みを本格的に開始。(自己勘定投資)
2022年 7月 三井住友信託銀行が、小田原市のエネルギー地産地消事業の社会に対するインパクト評価を科学的知見を踏まえて実施し、同市ホームページにレポート(横浜銀行、浜銀総研と協働)が掲載される。(自治体へのサービス提供)
2022年11月 三井住友信託銀行がインパクト評価を行い、地域金融機関がその評価に基づく融資を行うスキームが2022 年度環境省「グリーンファイナンスモデル事例創出事業」に係るモデル事例に選定される。これにより、個別融資単位ではなく企業単位で、融資期間に捉われない長期的なインパクト目標の設定・測定・管理が可能となる。(地域金融機関との協働)
2022年11月 三井住友信託銀行が、アミタホールディングス株式会社と、互助共助コミュニティ型の資源回収ステーション「MEGURU STATION?」を対象に、インパクト評価を共同で実施することについて合意。(企業へのアドバイザリー業務)

京都府独自のサステナブルファイナンスフレームワークの構築支援
直近の取り組みとしては、三井住友信託銀行は京都府の委託を受け、2023年1月に京都府下の中小企業な
どが地域金融機関の支援を受け脱炭素化を推進するフレームワーク「京都ゼロカーボン・フレームワーク」の構築
支援を行いました。
京都府の定める野心的な温暖化ガス排出削減を掲げる中小企業を地域金融機関がサステナビリティリンク
ローンで支援するスキームで、自治体主導の政策を金融機関が連携して支援する枠組みとなっています。本フレ
ームワークでは、地域脱炭素化とともに地域経済の成長・活性化を図ることを目指しています。

社会課題に対して技術観点からアプローチするTechnology Based Financeの取り...

三井住友信託銀行では、エネルギー、環境、資源などのさまざまな課題解決に対して、技術の観点からアプローチする組織として2021年4月にテクノロジー・ベースド・ファイナンス(TBF)チームを創設し、水素、蓄電池、電力、有機化学、無機化学、機械、農学、都市等のさまざまな分野の研究者や専門家でチームを構成しています。 TBFチームは、技術的な知見をインパクト評価のプロセスに組み込み、革新的技術の社会実装を促進することによって、ポジティブインパクトの増大とネガティブインパクトの抑制に努め、社会課題の解決に貢献することを目指しています。気候変動、資源循環、生物多様性などの課題解決のためには、既存の技術を最大限に活用しつつ、研究開発によって革新的技術の社会実装を目指す必要があります。そのためには最新の技術を理解し、お客さまとの対話を深め、科学的な見地からファイナンスに取り組む必要があると考えたことがTBFチーム設立の背景です。技術の社会実装のためには技術、政策、金融の融合が重要であり、TBFチームでは、技術起点のインパクト投融資の取り組みやインパクトビジネスの創出以外にも、さまざまなステークホルダーとの連携を進めており、大学や企業との共同研究、アカデミアとの交流をはじめ、省庁への政策提言、各省庁の政策と連携した実証事業やモデル事業の立ち上げ、ESG地域金融による地域支援、自治体や地方銀行との金融スキームの開発などTBFチームの関与する範囲は拡大しています。 技術革新や技術の社会実装によって社会的な課題の解決に資するとともに、新規ビジネスの創出やビジネス機会の拡大などを通じて、「資金・資産・資本の好循環」を促進していきたいと考えています。

国交省インフラ運営官民連携モデリング
三井住友信託銀行と三井住友トラスト基礎研究所は、国土交通省の委託事業である「インフラ運営等に係る民間提案型「官民連携モデリング」業務(その4:ファイナンスや予算の最適配分等スキーム)」において、自治体のインフラメンテナンスによるライフサイクルコスト軽減を目的とした「予防保全ファイナンススキーム」を提案し、令和5年度の委託事業として採択されました。
「予防保全ファイナンススキーム」は、TBFチームが2022年 12 月から東京工業大学環境・社会理工学院の岩波光保教授と実施している「橋梁インフラの予防保全スキームに関する共同研究」から生まれたアイデアです。採択を受けて、今後国土交通省・地方公共団体と連携して「予防保全ファイナンススキーム」の実現に向けた検討を実施していきます。
本スキームは、インフラの維持管理において、予防保全の実施によって低減するライフサイクルコストを原資として、地方公共団体が民間金融機関等から資金調達する手法です。現在実施されている早期措置段階・緊急措置段階の橋梁への補修・修繕事業(事後保全)と並行して、地方公共団体が民間資金を調達して予防保全を実施することにより、将来にわたる財務負担の軽減を目指しています。

東京大学未来ビジョン研究センターとの共同研究
三井住友信託銀行は、2023年6月から東京大学未来ビジョン研究センターと協働で「技術の自律的な開発・社会実装を支える金融基盤に関する研究会」を運営しています。本研究会では、多様な金融業界の主体とともに、技術の自律的な開発・社会実装を支える金融基盤を構築するために必要な要素を技術開発・運用、資金提供・マネージメント、制度設計の視点から抽出し、実装するための手法や指針を作成、社会に向けて発信することを目的としています。その背景には、技術の開発・実証段階では、自己資本・公的資金・エンジェル投資家・VCなどからの資金供給が多く、一般的な金融機関は技術成熟度が十分に高まってからの供給であることがあります。社会変革のスピードを上げるためには、開発・実証段階への資金供給を増やす必要があるため、リスクテイク領域の拡大手法の検討、整理、開発に取り組んでいます。
今年度は資金提供主体への個別ヒアリングを含めながら、各主体や関係者の役割と手法の整理まで到達することを目標としており、当社はTBFチームの活動を通じた実務経験と知見を提供し、本研究会に貢献してまいります。

<研究会のイメージ>