活動内容

平成29年度(2017年度)環境大臣賞 総合部門

資産運用におけるESG投資
─第一生命保険株式会社─

概要

資産運用における責任投資の位置づけ

第一生命保険株式会社は、資産運用高度化に向けた重点取組の1 つとして、機関投資家としての社会的責任を踏まえた投資(責任投資)を従前より推進。責任投資は、収益性の向上と社会課題解決の同時追求を目指すESG 投資と、投資先企業の企業価値向上を目指すスチュワードシップ活動から構成され、それぞれ「ESG 投資方針」および「スチュワードシップ活動方針」を策定し、体系的な取組を実施されている。また、2015 年に国連責任投資原則(PRI)にも署名している。PRI による年次アセスメントを通じて継続的なプロセス改善を目指す。

 

ESG 投資方針

ESG 投資を、収益性を前提に社会課題解決に繋がるテーマを持った資産等への投資を行う「ESG テーマ型投資」と、投資プロセスにESG 要素を体系的に組み込む「ESG インテグレーション」に分類・定義。ESG 投資方針に基づき、①収益性を前提に、第一生命グループの社会貢献テーマに即したESG テーマ型投資案件の発掘に注力しつつ、②リスク抑制や中長期的な収益力向上を図るESG インテグレーションの態勢整備に取り組む。

 

ESG 投資の推進態勢

年度毎にESG 投資方針を策定し、アセット横断的な取組を実施。2017 年度には、ESG 投資の進捗を確認するとともに、ESG 投資に係る資産運用部門内の理解促進を図るため、資産運用部門各部が参加する「責任投資会議」を設置し、推進態勢を強化した。

 

 

 

取組のアピール点

国際開発金融機関が発行する社会貢献型債券への投資(【グローバルな広がりを持つ】【継続性がある】)

2014年度から取組を開始した「国際開発金融機関が発行する社会貢献型債券への投資」は、これまで7件(合計約660億円)投資を実行しており、7件とも、発行された債券の全額を当社が単独で購入しています。当該債券の取組地域はアジア・欧州・アフリカ・ラテンアメリカとグローバルに広がっており、取組テーマも貧困・教育・農業・健康・電力・女性活躍と様々なテーマに取り組んでいます。

 

インパクト投資(【先進性がある】【社会へ与える影響が大きい】)

2017年度、運用収益獲得と社会的インパクトの創出(社会の構造変化等)の両立を意図したインパクト投資を開始しました。第一号案件として、途上国でマイクロファイナンス事業を展開し、途上国における金融アクセスの改善を目指す五常・アンド・カンパニー株式会社に対し4億円の投資を行いました。

 

国内でのESG投資普及を見据えた取組(【先進性がある】【ステークホルダーへの意識改革を促す】)
  • 国内でのESG投資の普及を見据え、ESGインテグレーションの態勢整備に取り組んでいます。2017年度には、株式リサーチおよびクレジットリサーチにおけるESG考慮を体系化しており、今後もリスク抑制や中長期的な収益力向上に有効な手法の導入を検討していく方針です。
  • また2017年11月には、日本におけるESG投資の拡大に寄与すべく、GPIFが選定したESG指数への連動を目指す日本初の私募投信を運用会社と共同開発し、投資を行いました。

 

 

ESGテーマ型投資の取組み事例とSDGsへの貢献

 

 

該当原則

原則1 原則3 原則5 原則6 原則7(原則についての説明はこちら

 

 

選定理由
  • 欧州で始まったESG投資の機運が日本でも昨今高まる中、機関投資家としての社会的責任を踏まえた投資を従前より推進してきた生命保険会社が、第一生命保険株式会社である。
  • 国民の生命保険を預かっている生命保険会社として、積極的にESG投資に取組んでいることは、金融の社会性が問われる時代において高く評価できる。インパクト投資や国際開発金融機関が発行する社会貢献型債券などの「ESGテーマ型投資」に加えて、投資プロセスにESG要素を組み込む「ESGインテグレーション」も2017年度より体系化し進めている。
  • ESG投資を一過性のものとするのではなく、年度毎に「ESG投資方針」を見直し、また2017年度には「責任投資会議」及び「責任投資委員会」を新設し、ESG投資の推進体制を整備していることは、先進的な取組であり、社内外のステークホルダーの意識改革も促している点が評価できる。
  • 以上の理由に加え、我が国における更なる同種の取組への期待を込めて、本事例を第6回最優良取組事例に選定した。

 

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