活動内容

2020年度選定委員長賞(総合部門)りそなアセットマネジメント株式会社

「21世紀金融行動原則」に署名している金融機関は、7つの原則にのっとりさまざまな取組を展開しています。このような取組の裾野を広げ、先進的な取組の向上を図るため、2014年度から最優良取組事例を選定、環境大臣賞として表彰しています。また、2017年度より従来の大臣賞を「総合部門」とし、新たに「地域部門」を設置。大臣賞に準ずる優れた取組を選定し、「特別賞」として21世紀金融行動原則運営委員長賞として表彰しています。

 

2021年度最優秀取組事例の募集に際し、2020年度選定委員長賞 総合部門を受賞されたりそなアセットマネジメント株式会社様に、受賞対象となった事例とその後の取組についてお話を伺いました。

 

りそなのスチュワードシップ活動の深化|2020-2021スチュワードシップレポートより

取組の概要についてはこちら

最優良取組事例2020年度の授賞式の模様はこちら

 

松原様

 

 

 

 

 

聞き手:事務局
担当者:

りそなアセットマネジメント株式会社

執行役員 責任投資部長 松原稔様

 

――受賞となった取組の経緯を教えてください。

当社は2015年8月にりそなグループの資産運用会社として設立され、スチュワードシップレポートの開示は『SSR2018/2019』が初回ですが、りそなグループの責任投資の歴史は2008年のPRI(責任投資原則)署名に遡ります。これまで積み重ねてきたスチュワードシップ活動(以下SS活動)が評価され、大変嬉しく思っています。わたしはこの道30年なので、嬉しさもひとしおでした。

 

――今回の受賞による内外の反応はいかがでしたか?

21世紀行動金融原則(以下、PFA21)の署名機関の皆様には認識されていたのかもしれませんが、当事者であったこともあり、反応を認識することはできませんでした。しかし、社内の表彰制度である社長賞を受賞できたことで、責任投資部のこれまでの活動が周知されました。社長賞の受賞は、ブランド力(知名度)向上への貢献と、外部から高い評価を得た事例として贈られたものであったと認識しています。また、受賞をきっかけに、お客様向けプレゼンテーションなどにスチュワードシップレポートがさらに幅広く利用されることとなりました。

 

――応募される際、ご苦労された点がありましたら教えてください。

個別具体的な取組ではなく、「SS活動の深化」という責任投資活動の広範囲に渡る内容であったため、審査委員の方々に理解していただけるようにまとめることに苦労しました。ただ、応募書類の作成を通して改めて当社のSS活動の特色を整理し、認識することができました。受賞できたことはもちろん光栄ですが、応募に向けた作業は、今後の取組を考える上でもとても役立ちました。

 

――受賞後、SS活動はどのように進められていますか。また、今後の課題などあれば教えてください。

当社のパーパスである「将来世代に対しても豊かさ・幸せを提供できる運用機関」を実現するため、引き続きマテリアリティ(自社の重要課題)の見直し作業を行っております。

2020/2021期のマテリアリティのひとつである気候変動に関しては、現状の運用ポートフォリオはパリ協定で定められた目標と整合的ではありません。企業に対しより良い開示を求めるとともに、シナリオ分析等からリスクの高い業種・企業には、協働・個別のエンゲージメントを通じてサポートしていきますが、中長期の目標設定については悩んでおります。

 

――選定委員長賞の選定理由にもあるように、積極的なSS活動を続けていらっしゃる御社には、「運用機関だけでなくすべての業態の金融機関に影響を与え、日本における脱炭素社会に向けた取組が加速することが期待」されています。他の金融機関への影響や関わり合いにおいて意識されていることはありますか。

運用機関同士、また金融機関の皆様とのネットワーク・協働を大事にしています。これは当社の特徴といえるかもしれません。ライバルでもありますが、持続可能な社会の形成に向けて、また金融市場・証券市場を発展させていく仲間でもあります。PFA21では運用機関だけでなく、様々な業態の金融機関等の皆様とネットワーク構築・協働させていただいています。

 

――PFA21においては運営委員機関をはじめ、運用・証券・投資銀行業務ワーキンググループ座長機関、周年記念企画タスクフォース座長を務めていただき、大変ご尽力いただいています。松原様は入社されてから責任投資一筋と伺いました。この領域で取組を続けられるにあたり、大事にされていることや核となるお考えをお聞かせください。

人の痛みが分かる人でありたいと思っています。若手職員にも、誰かが悲しむ姿を見て、その人に思いを寄せられる、自分ごとにできることは運用のプロフェッショナルに必要だと伝えています。また、当社には「ヒポクラテスの誓い」と呼ばれる古代ギリシアの医師の職業倫理についての宣誓文の考え方をなぞらえた「運用者としての職業倫理」が規定されていて、私的利益の排除や金融・証券市場発展への貢献などについても謳われていますが、PFA21での活動はまさに金融・証券市場発展への貢献につながる重要な活動ですね。

 

――これからも精力的な活動を期待しております。ありがとうございました。

 

(2021年10月オンラインにてインタビュー)