「21世紀金融行動原則」に署名している金融機関は、7つの原則にのっとりさまざまな取組を展開しています。このような取組の裾野を広げ、先進的な取組の向上を図るため、2014年度から最優良取組事例を選定、環境大臣賞として表彰しています。また、2017年度より従来の大臣賞を「総合部門」とし、新たに「地域部門」を設置。大臣賞に準ずる優れた取組を選定し、「特別賞」として21世紀金融行動原則運営委員長賞として表彰しています。
2021年度最優秀取組事例の募集に際し、2020年度特別賞 運営委員長賞を受賞された株式会社北洋銀行様に、受賞対象となった事例とその後の取組についてお話を伺いました。
ほっくー基金北海道生物多様性保全助成制度
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最優良取組事例の2020年度の授賞式の模様はこちら
聞き手:事務局
担当者:株式会社北洋銀行
経営企画部広報室兼サステナビリティ推進室室長
岸波光弘様
─ 今回受賞された「ほっくー基金北海道生物多様性保全助成制度」は、2010年に設立された歴史ある取組とのこと。応募された決め手はどのような理由があったのでしょうか?
こちらの制度は、北海道の生物多様性保全を目的とした基金で、助成を受ける団体からの評判も高く、過去にも応募した実績がございます。今回は直近の活動を含めて助成額の実績など、より具体的に数字で示し、再応募に至りました。
――「ほっくー基金北海道生物多様性保全助成制度」の拠出原資のひとつが、「ほっくー定期預金」の預金残高とのこと。預金者はお金を預けながら、生物多様性保護に関与でき、預入期間1年という点もハードルが低く、参加しやすいですね。
やはり、特有の自然環境が背景にある道民の方々は、自然環境への関心が非常に高いのでしょうか?
残念ながらそうではないかもしれません。私も北海道で生まれ育ちましたが、幼い頃から豊かな自然が身近にあるがために、逆にあまり意識していない人が多いように感じます。だからこそ、こういった取組が重要だと感じています。
実は拠出原資としてきた「ほっくー定期預金」は、今年の9月30日で取り扱いが終了しました。今後はお客さまが紙ベースの通帳からペーパーレスのスマートフォン通帳に切り替えた場合、紙通帳発行分のコスト削減分が、ほっくー基金の新たな拠出原資となります。また、10月から北洋銀行のマスコットキャラクターである「ほっくー」のLINEスタンプを発売し、その収益分も新たな拠出原資になる、という仕組みに変わります。
――今回の受賞に関し、最優良取組事例としては道内金融機関初の受賞となりましたが、ホームページでの発表以外、どのような周知活動をされましたか?
コロナウイルスの影響で行動が制限され、積極的なアピールは難しい状況でした。そういったこともあり、お客様からの問い合わせが劇的に増えたということはありません。一方で、今回の受賞は銀行の取組みが認められたことで、行員全体の自信に繋がり、これまで以上に前向きな気持ちにつながりました。
――御行WEBサイトコーポレートページにて、「SDGs宣言」策定支援の記事が2021年以降、非常に増えていますね。これは、担当者からSDGsというテーマでの顧客への働きかけがコミュニケーションとして定着しているからでしょうか?
例えば建設会社が小学校のグラウンドを無償で整備するなど、地域の事業者はこれまでも長い間、地域貢献のための活動を行ってきました。しかし、自社のみで「これはSDGsにつながる活動ですよ」と世間にPRするだけでは自己満足で終わってしまう可能性が高い。そこで、お客さまの取組みを私たち銀行も協力して当行のWEBサイトに掲載し、それが新聞記事で取り上げられるなどすれば、地域貢献の大きなアピールにつながります。今は、学生もSDGsを学ぶ時代ですので、良い人材を確保するという意味でもプラスになります。
── 具体的には営業店の担当者が顧客をサポートするのでしょうか?
SDGsに関する取組はどの企業でも対象になり得ますので、ニーズを顕在化するお手伝いとして、営業店の担当者が提案し、サポートしています。興味を持たれたお客様には、簡易的な無料アンケート診断を実施し、さらにSDGs宣言書の作成を希望されるお客様に関しては、有償で本部がサポートしています。
こういった営業活動は、お客様をより深く知るきっかけになりますし、信頼関係を築く機会づくりにつながっています。
――ありがとうございました。
(2021年10月オンラインにてインタビュー)