活動内容

2019年度 環境大臣賞 総合部門

エコアクション21認証取得による、REIT業界のさらなる発展に寄与
~ 環境マネジメントシステムの第三者認証取得と開示の充実が、持続可能な社会へつなげていく ~
─野村不動産投資顧問株式会社─

概要

  •     野村不動産投資顧問株式会社は、UNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)やPRI(責任投資原則)に署名するなど、ESG投資の普及に積極的に取組んできた。IR活動の中で、環境マネジメントシステム(EMS)の第三者認証を取得するよう求められたことを受け、環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステム「エコアクション21(EA21)」の認証取得に向け、2018年4月より本格的に検討を開始した。
  •     REIT(不動産投資信託)ビジネスは、所有者(投資法人等)がアセットマネジメント業務(AM業務)、プロパティマネジメント業務(PM会社)、ビルマネジメント業務(BM会社)といった業務を委託し、他にも様々な関係会社が多数関わり組成されるビジネスである。
  •     EA21は、通常、自社組織における環境負荷削減の取組を対象とするのに対し、本取組は、事業主体が実態を持たない投資法人という特有の事業者を対象としているため、業界の先例となり他社へ取組が広がることを想定して、環境省やEA21中央事務局とREITが認証登録するための道筋とフレームワークを協議し、それに基づきEMSを構築した。
  •     対象不動産は、他社がテナントとして入居する野村不動産マスターファンド投資法人のオフィス65物件、賃貸住宅151物件(2019年6月時点)のポートフォリオである。そのため、数多くの関係者を巻き込むため、継続して実施しているサステナビリティ推進活動の実績やGRESB(ファンド単位でESG推進活動の取組を測るベンチマークツール)への参加を通じて取得したノウハウを活用し、REIT業界初の取組を実施した。
  •     認証取得にあたり、社内の限られた人員で取組が継続できることを重点に考え、社内に定着してきたサステナビリティ推進活動の延長線上で、EA21を取り込めるように検証と検討を重ねた。当社では、サステナビリティ推進方針に基づくESGへの取組を推進していくためにサステナビリティ推進規程を設け、適切な推進体制を確保してきた。
  •  EA21に取組むにあたり、2019年3月から6月までの期間を対象として、環境経営報告書の発行などEA21の要求事項を加えたサステナビリティ推進活動のPDCAを展開し、2020年1月30日にEA21認証を取得した。

    <サステナビリティ推進体制>
    <年間スケジュール>
    <エコアクション21ロゴマーク>

 

実績

2015年より約4年間、サステナビリティ推進活動として、サステナビリティ推進会議を4回/年開催し、目標の立案、予実管理、対策の決定、プロセス全体の見直しを通じたPDCAサイクルを実施することにより、2016年比でGHG排出量25%削減という目標を達成した。

 

「21世紀金融行動原則」の7つの原則への対応とアピールポイント

原則(1)
  • 2019年GRESBリアルエステイト評価において、当社が運用する上場REITの野村不動産マスターファンド投資法人と非上場の野村不動産プライベート投資法人が、3年連続しての5スターの最高位の評価を受け、日本の総合型では、業界をけん引する立場を継続することとなり、その責任と役割は大きなものであると認識している。
  • REIT業界では初めてEA21の認証を取得し、PDCAサイクルを確実に実行し開示することで、我が国の不動産投資市場、まずは証券化された不動産資産約30兆円の成長に寄与し、その上で日本のREIT業界発展のために貢献していきたい。
原則(5)
  • GHG排出量25%削減(2016年比)という目標を早々に達成したNMF運用グループが、EA21認証を取得することで、法令遵守のさらなる強化と環境負荷の低減をPDCA サイクルを通して組織に定着させていくことができる。
  • テナント、PM会社、BM会社等のステークホルダーの協力の積み重ねによってGHG排出量削減目標を達成したことは、日本全体の環境負荷削減に向けても貢献できるものと考える。
原則(6)
  • 2015年より約4年間、サステナビリティ推進活動のPDCAサイクルを展開してきた経験から、EA21の認証取得が、REIT業界における持続可能性分野の目標値を高めることにつなげることができると認識している。EA21ガイドラインに沿った環境経営報告書を継続的に毎年更新し、ESG投資情報の開示のさらなる充実(「透明性と信頼性」の確保)を図っていく。

原則についての説明はこちら

 

選定理由
  • 我が国の不動産運用業界における初の取組として、環境マネジメントシステム(EMS)の第三者認証を取得し、運用対象に関する不動産物件の所有者やテナントを巻き込み、ボトムアップの形で既存の不動産ストックにおける省資源や省エネなどのグリーン化に取組んでいる点を大きく評価する。
  • 中小事業者向けの環境マネジメントシステム「エコアクション21(EA21)」を活用しており、他のREIT(不動産投資信託)に関しても同様な取組の広がる可能性が期待できる。
  • 温室効果ガス排出ゼロという世界共通の目標達成に向けて、不動産業界からの貢献を考えると、省エネ・省資源の目標値をより高くすることを期待したい。
  • 以上から、不動産業界全体のグリーン化を推し進めることを期待して、環境大臣賞として選定する。

 

受賞機関によるリリースは以下からご覧ください。

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