活動内容

2019年度環境大臣賞(総合部門)野村不動産投資顧問株式会社

「21世紀金融行動原則」に署名している金融機関は、7つの原則にのっとりさまざまな取組を展開しています。このような取組の裾野を広げ、先進的な取組の向上を図るため、2014年度から最優良取組事例を選定、環境大臣賞として表彰しています。また、2017年度より従来の大臣賞を「総合部門」とし、新たに「地域部門」を設置。大臣賞に準ずる優れた取組を選定し、「特別賞」として21世紀金融行動原則運営委員長賞として表彰しています。

 

2020年度最優秀取組事例の募集に先立ち、2019年度環境大臣賞 総合部門を受賞された野村不動産投資顧問株式会社様に、受賞対象となった事例とその後の取組についてお話を伺いました。

 

エコアクション21認証取得による、REIT業界のさらなる発展に寄与
~ 環境マネジメントシステムの第三者認証取得と開示の充実が、持続可能な社会へつなげていく ~

取組の概要についてはこちら

最優良取組事例の2019年度の授賞式の模様はこちら

 

野村不動産投資顧問下道様、斎藤様

齋藤様(左)と下道様(右)

2015年にサステナビリティ推進方針を掲げ、約4年間のサステナビリティ推進活動をとおして、運用する野村不動産マスターファンド投資法人(以下、「NMF」という)と野村不動産プライベート投資法人の環境負荷低減に関するPDCAサイクルを定着させることにより、2019年度までのNMFの取組では、2016年度比でGHG排出量25%削減という目標を達成した。

 

聞き手:事務局
担当者:運用企画部 下道衛様、齋藤裕之様

 

── 御社は、野村不動産ホールディングスが100%出資している不動産に関する資産運用会社と伺っております。日本独自の環境マネジメントシステムである「エコアクション21」(以下、「EA21 」という)に関し、REIT業界で初めて運用資産を対象に認証を取得されました。取得されるまでの経緯を教えてください。

世界では、多くのファンドが投資家から評価されるために、第三者による環境マネジメントシステム(EMS)の認証取得を推進し、開示を進めております。しかし、日本市場においては、遅れている印象がありました。認証取得を検討するにあたり、多数の不動産で同時に取得する前例もなく、すべてがゼロからのスタートでしたね。

 

例えば、町工場がEA21の認証取得をする場合、自らが入居し使用している1つの建物で省エネ対策や廃棄物削減などについて取り組みを行い、認証を取得します。一方、REIT業界における投資法人で認証を取得する場合、今回はポートフォリオの216物件を一斉に認証取得することとなりましたので、どうやってそれを実現出来るのか、先ずは最初の大きな課題でした。

 

── それは想定出来ないですよね。事業主体が実体を持たない投資法人が対象になるので、難易度が高かったということですね。

その通りです。環境省及びエコアクション21中央事務局と何度も協議を行いました。途中、無理ではないかと挫折しそうなときもありましたが、この業界では前例がないため、逆にチャンスとも感じておりました。一方、約30兆円ともいわれる不動産証券化市場に対して、私たちが道を開くことで市場の活性化にもつながり、国が期待する経済成長へも貢献できるのではないかとも考えていました。

 

また、エコアクション21中央事務局とは約1年半にわたり協議を重ねました。GRESB(グレスビー)や省エネに関しての届け出など、会社の従業員にはかなりの業務負荷が生じている中で、その負荷を極力増やさずに認証取得するためにはどうすればいいのか、検討を重ねました。それでも諦めなかったのは、EA21の取組は、2015年にサステナビリティ推進方針を掲げて業務を推進してきた、私たちの通常業務の延長線上で取組むことが出来ると考えていたためです。

 

── 環境認証を取得すると、御社にはどういった付加価値をもたらしますか?

「ESG」や「SDGs」という言葉は最近よく耳にするようになってきましたね。「これらに配慮してない企業には投資しない」というような風潮が、ここ2年ほどさらに強くなってきたように感じます。ESGに関する認証は、その適用範囲が異なりEA21やGRESB、DBJグリーンビル認証、CASBEEなどさまざまな認証があります。それらの環境認証を取得していくことは、言葉だけでなく「ESG」や「SDGs」に対して真摯に取組んでいる証明書になり、投資家が私たちのファンドを選定する際の目安ともなっています。

 
── 新型コロナウイルスの影響で、リモートワークが一般的になりつつありますが、ビル管理や運営など、御社自体のビジネスに影響は出ていますか?

私たちのビジネスの根幹部分ですので、大いに影響があります。オフィスビルや賃貸マンション、物流施設、そしてホテル、商業飲食ビルなど、不動産のテナントから賃料をいただき不動産を運営し、その利益を投資家に還元するというのが私たちのビジネスですので、新型コロナウイルスの影響は大きいですね。

 

── コロナと共存するこれからの時代、今後のオフィスのあり方はどうなるとお考えですか?

ここ数ヶ月でリモート会議など、当たり前になってきました。ある企業では、「今後、オフィス面積を減らしていく」という報道や、アメリカの巨大IT系企業に代表されるように、「人が同じ空間で直接会話してコミュニケーションを図ることで、よりクリエイティブな良いアイディアが浮かんでくる」という考えの企業もあります。今後は、テレワークと出社しての勤務を、目的と手段を考え、上手に使い分けるような世の中に変化するのではないでしょうか。

 

── 環境大臣賞取得後の社内の変化や、今後の課題をお聞かせください。

環境大臣賞を受賞したことは、非常に大きなインパクトがあり、ESGへ取組むことの意義や大切さが、社内やグループ企業、ステークホルダーにもあらためて認識されたと感じています。

 

また、今年7月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明いたしました。気候関連のリスクを機会に変えて、将来的には定量的な開示につなげていきたいです。

 

一方、新型コロナウイルスの影響で露呈したのは、人の大切さです。オンライン会議によるテレワークが多くなりましたが、人が直接会うことで創出されるものがあり、人の大切さや会って話をすることの重要さをあらためて認識しました。ESG(環境・社会・企業統治)投資の「S」(社会)の部分は数字で測ることは難しいですが、非常に大切で重要なことと捉えております。

 

── ありがとうございました。

(2020年9月オンラインにてインタビュー)