「企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)」の活動

「企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)」の活動

生物多様性の保全と生物資源の持続的な利用について、企業が集まり共同研究する「一般社団法人 企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)」の設立(2008年4月)以来、会長会社として活動をサポートしています(2018年6月からは、MS&ADホールディングスが会長会社を引継ぎ)。JBIBは、国内企業の環境に関する取組の参考となるよう、生物多様性に配慮した土地利用のためのガイドラインや生物多様性に配慮した原材料調達のガイド等を作成し、その研究成果を公表しています。JBIBの活動は、「生物多様性国家戦略2012-2020」の中でも取り上げられ、国が今後連携・協力を進める団体の一つとして、高く評価されています。

○企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)
http://www.ms-ins.com/company/csr/environment/maintenance/

地域に開かれた環境コミュニケーションスペース「ECOM駿河台」の運営

2012年5月にオープンした「ECOM駿河台」は、環境や自然に関するさまざまな情報を発信する環境コミュニケーションスペースです。吉野のヒノキのムク材を壁面に使うなど、木にこだわった内装と家具に囲まれながら、目の前に広がる緑地を楽しむ空間となっています。周辺の緑地や近隣に関する情報の発信をベースに、1~2ヵ月ごとに自然や生きもの等に関連する写真展やイベントを行っています。また、駿河台緑地を研究フィールドに、都市における生物多様性や緑地によるヒートアイランド現象の緩和効果等を調査する大学の研究もサポートするなど、大学との連携に積極的に取り組んでいます。

○ECOM駿河台
http://www.ms-ins.com/company/csr/ecom/index.html

社員による環境・社会貢献活動の推進と社会課題への気づき

■ 「部支店で年に1つは環境・貢献活動」
ステークホルダーである地域社会、国際社会、環境への貢献を目的とし、環境保全や省エネ・省資源につながる事業・業務戦略を立てる本社部門と、その事業を広く普及・実行する営業・ 損害サポート部門が両輪となって環境経営を推進すべく、全役職員はもちろんのこと、ビジネスパートナーや取引先企業向けに多様な環境教育を実施し、バリューチェーン全体で商品・サービスや事業活動を通じた環境取組を展開しています。
また、全国の部支店ごとに選任された「環境・社会活動サポーター」が推進役となり、地域に密着した社会貢献活動として「部支店で年に1つは環境・貢献活動」に取り組み、地元のNPO等とともに環境保全活動に参加しています。
当社はMS&ADグループの一員として、環境省「環境人づくり企業大賞」において、2014年度および2015年度の優秀賞獲得に続き、2016年度に最高評価となる環境大臣賞(大賞)を受賞しました。今後も幅広いステークホルダーを対象にした取組をグループ全体で行っていきます。

○社員・代理店による地域貢献活動
http://www.ms-ins.com/company/csr/social/member/

■ SX気づきセミナー
中期経営計画(2022-2025年)において成長ビジョンとして掲げている「サステナビリティ・トランスフォーメーション:SX」の実現に向けては、全社員が社会のサステナビリティを内発的に「当社の持続的成長に欠かせない重要課題」であると理解した上で、一人ひとりが社会課題に向き合い「気づき」を得ることが重要です。
「SX気づきセミナー」では「当社のサステナビリティ」と「社会のサステナビリティ」の同時実現に資する幅広い領域・テーマにフォーカスし、セミナーをシリーズ開催しています。多様な社会課題に向き合い、社員一人ひとりが新たな気づき(社会課題の発見、着眼点や発想など)を得ることで、「SXカルチャー」の浸透を図っています。

〇開催済みのセミナーテーマ一覧
領域
テーマ

当社のサステナビリティ
商品開発(着眼点から商品作成までのプロセス)、損保会計、CXマーケティング、ヒューマンスキル

社会のサステナビリティ
地球環境との共生
(Planetary Health)
生物多様性の喪失等の自然資本の持続、再生可能エネルギー、気候変動リスク、カーボンニュートラル・炭素会計

革新的テクノロジー
(Innovative Technology)
宇宙開発、位置情報データの活用、ソフトロボティクス、量子コンピュータ、暗号資産、Fintech、ChatGPT

強靭性・回復力
(Resilience)
グローバルマインド醸成、地方創生、気候変動リスクと保険料率算出の仕組み、災害対策、流域治水、都市インフラ管理

包摂的社会
(Social Inclusion)
ビジネスと人権、国際情勢への理解、人権と腐敗防止

■ 若年層の金融リテラシー向上に関する出張授業
   2023年1月から、若年層の金融リテラシー向上のための出張授業プログラム「金融リテラシー講座(損害保険編)」を提供しています。2022年4月の民法改正により成年年齢が18歳に引き下げとなり、若年層により自立的で安心かつ豊かな生活を実現するために金融リテラシーを身に付けることの重要性が高まっています。今後も、グループワークや社員による講義を通じて、身近なリスクを正しく認識し、リスクに備える方法の一つとして損害保険の仕組みや重要性を伝えていきます。

■ 湿地の生物多様性に関する出張授業
環境教育を推進するため、2014年に、6編の動画教材とQ&Aからなる環境教育プログラムを作成し、出張授業を開始しました。子どもたち一人ひとりに配布する副教材の下敷き・ハンドブックや渡り鳥の実寸大のぬいぐるみなどを用意し、体験して楽しめる学習の工夫を取り入れています。今後も、ラムサール条約で謳われている湿地の生物多様性保全に関する啓発活動(CEPA:Community Education Public Awareness)に取り組んでいきます。

○出張授業 「いきものを育む豊かな湿地~生物多様性を守ろう~」
https://www.ms-ad-hd.com/ja/ramsar/school.html

■ 社員食堂での「サステナブル・シーフード」の提供
2019年10月より駿河台ビル、2020年8月より千葉ニュータウンセンターの社員食堂において、サステナブル・シーフードを提供しています。サステナブル・シーフードとは、持続可能な生産(漁獲・養殖)に加え、加工・流通・販売過程における管理やトレーサビリティの確保について認証を取得しているシーフードを指します。毎月の「サステナブル・シーフードデー」では、食堂利用者にサステナブル・シーフードを使ったメニューを提供し、社員自らが「食する」ことで当社のサステナビリティ取組を実感するとともに、自ら消費行動を変革することで、持続可能な社会の実現にも貢献しています。

Nature-based Solutions(自然の機能を活かして社会課題を解決する)としての「...

豊かな生態系を構成し、水資源を育み、防災にも貢献している阿蘇の草原維持に欠かせない「野焼き」に関わる事故を補償する賠償責任保険を2023年2月に国内で初めて創設しました。近年は延焼の懸念から「野焼き」をやめる事業者が多く、草原維持ができなくなりつつあることが地域課題となっていましたが、保険を創出したことで持続可能な取組とすることに貢献します。

■ 熊本県の地方創生と地域資源である阿蘇の草原
当社は全国各地に拠点を有しており、自治体をはじめ地域金融機関や地域に根差した中小企業、保険を販売する保険代理店は重要なビジネスパートナーです。そのため、地域特性に応じた産業振興策や自然資本を活かした災害に強いまちづくりのためのリスクマネジメント支援等、地域自治体や地域を取り巻くさまざまなステークホルダーとともに取り組み「レジリエントで包摂的な地域社会づくり」を目指しています。
災害への対応力を持ったコミュニティづくりには地域社会の活性化が重要であり、地域社会の活力の低下は、過疎化、社会サービスの不足を招くなど、さまざまな課題にもつながっていきます。

■ 地方創生の観点からアプローチ、さまざまなステークホルダーとの共創
当社は熊本県・熊本市と地方創生に関する連携協定やSDGs未来都市(水俣市、菊池市、小国町)との連携協定を締結しており、MS&ADインターリスク総研と当社が主導して、熊本県SDGs登録制度の創設を支援していました。行政以外にも、肥後銀行様とは生物多様性の保全を盛り込んだSDGsに関する包括連携協定を締結するなど関係を構築してきました。加えて、熊本県立大学とは流域治水に関する実践のフィールドとして、MS&ADグリーンアースプロジェクトを展開しています。 

■ Nature-based Solutions(自然の機能を活かして社会課題を解決する)について
「野焼き保険」は地域を限定した保険にはなりますが、自然やNature-based Solutionsを考慮する際、特定の地域における自然環境とその自然環境が地域に提供する生態系サービス条件をもとに対応を考える必要があります。地球全体の自然環境を改善していくためには、本事例にある熊本県での取組のような、地域での活動の積み重ねが極めて重要になると考えています。

生物多様性の保全活動 ~生物多様性と防災に配慮したグリーンレジリエンスな駿河台緑地(駿河台ビル)...

私たちの暮らしや経済活動は、生物多様性から提供される自然の恵み(生態系サービス)によって成り立っています。生物多様性に配慮したビジネスモデルは、企業を含む社会全体の持続可能性を支えます。MS&ADインシュアランスグループでは、環境方針(MS&ADインシュアランス グループ環境基本方針)の主要課題の一つ に「生物多様性の保全」を掲げ、取組を推進しています。

■生物多様性の国際目標「30by30」を後押しする駿河台緑地
三井住友海上の駿河台緑地(駿河台ビル・駿河台新館周辺の緑地)は、2017年、公益財団法人都市緑化機構が運営する「社会・環境貢献緑地評価システム(SEGES)」で最高ランクとなる「緑の殿堂」に都心のビル緑地として初めて認定されました。駿河台ビルと駿河台新館が一体となり、緑の拠点として皇居と上野公園をつなぐ「エコロジカル・ネットワーク」を形成し、都会における野鳥の生息域拡大に努めています。
これらの生物多様性に配慮した緑化や活動は、2017年9月に全国の模範となる緑地を表彰する「第5回緑の社会貢献賞」(主催:公益財団法人 都市緑化機構)を受賞しました。
また、2023年には環境省の「自然共生サイト」に認定されました。「自然共生サイト」は、「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を国が認定する制度で、2022年の試行事業を経て2023年4月に始まりました。駿河台緑地は、試行事業において「認定相当」との評価を得ておりましたが、正式認定を受けてOECM※として国際データベースに登録されます。引続き本緑地の適切な管理に取り組み30by30実現へ貢献していきます。
※ Other Effective area-based Conservation Measures の略で、公的な保護地域以外で生物多様性保全に貢献する場所を指します。

■自然環境が持つ多様な機能や恵みを、防災・減災に活かす「グリーンインフラ」としての駿河台ビル
樹木の階層構造を備えた緑地は蓄雨効果にも優れており、都市水害の減災効果があります。計算上は屋上庭園だけでおよそ750トンの雨水を貯めることができ、これは100 mm/時の豪雨3時間分に相当します。駿河台ビルの地下には3500トンの雨水貯留槽があり、緑地の蓄雨効果と合わせ、減災機能を果たしています。今後も気候変動の緩和と適応に貢献し、レジリエントなまちづくりにもつながる緑地の運営を続けていきます。

○駿河台の緑地
https://www.ms-ins.com/company/csr/nature_positive/

高齢社会のリスクに向き合い健康で豊かな生活を支える取組

今後ますます進展する高齢社会に向け、高齢のお客さまに、より一層の安心をお届けするため、新たな保険商品の提供や各種サービスの充実に努めています。

■ 企業の健康経営を支援
超高齢社会で持続的成長を目指し、企業の健康経営を支援する付加価値型の保険商品を提供します。従業員の健康増進取組において、健康診断の結果データの活用に着目し、AIによる健康リスク予測モデルを搭載した「健康管理アプリ」、万が一健康を損ねたことに伴う「休業による所得の減少を補償する保険」、さらにMS&ADインターリスク総研によるコンサルティングを組み合わせた商品を開発・提供し、企業の健康経営を支援します。「健康管理アプリ」では、入力された健康診断結果から、将来の生活習慣病リスクを「健康度」として見える化するとともに、リスクが放置された場合の自分の顔の将来予測画像を表示し、自分ごと化します。また、毎日の「健康活動目標(チャレンジ)」と実践をサポートするアドバイスを提供し、健康増進に向けた行動変容をサポートします。さらに「休業による所得の減少を補償する保険」によって、従業員が安心して治療に専念できる環境を提供し、治療と仕事の両立を支援します。

■ ココロとカラダの健康づくりを支援する「ココカラダイアリー」
ココロとカラダの健康づくりをサポートするスマートフォン向けアプリ「ココカラダイアリー」を提供しています。本サービスは、お客さまのストレス状態の測定や自動測定される歩数から計算した消費カロリーの表示、食事写真の撮影による摂取カロリーの計算、睡眠時間の記録、医療情報の確認等ができ、お客さまご自身での健康管理にご活用いただけます。
また、法人のお客さま向けに、「ココカラダイアリー」をご利用いただいている従業員のデータ(歩数、消費カロリー、体重、体脂肪率、BMI値、血圧、体温、睡眠時間)を集計・表示できる専用Webサイトをご提供しています。生活習慣病の予防をはじめとする従業員への保健指導にお役立ていただけるとともに、社内の歩数ランキング表示機能を利用し、健康経営を目的とするウォーキングラリー等のイベント開催にも活用いただけます。三井住友海上では、個人のお客さまの健康増進および企業の健康経営に貢献していきます。

■ 高齢社会に対応した保険商品
高齢社会に対応した保険商品を販売しています。昨今の高齢化の進展に伴い、賃貸住宅内での高齢者の孤独死や、高齢者の日常生活におけるサポートサービスのニーズが年々増加しています。これらの環境変化へ対応すべく、火災保険の特約(家主費用特約の新設、受託物賠償特約の拡充)・付帯サービス(家具移動・電球交換サービス)を開発し提供しています。
傷害保険では、認知症等への備えとして70才以上の方が加入できる商品に、被保険者が行方不明となった場合の捜索費用を補償する特約・付帯サービス(認知症に関する電話相談サービス)を提供しています。また、近年、患者数が増加している認知症は、発症すると徘徊等で事故に巻き込まれたり、誤って線路に立ち入るなどしたりして電車を止めてしまい、多額の損害賠償請求を受けるケースも想定されるため、万一の事故への備えとして保険加入のニーズが高まっています。そのため、従来の個人賠償特約では補償されなかった“財物損壊を伴わない、電車の運行不能等による賠償責任”をカバーする特約も提供しています。

海外での「誰一人取り残さない」を支える取組

保険に加入できる地域・人を増やすための保険技術の移転取組や、保険商品・サービスではカバーできない分野への社会貢献活動を行っています。

フィリピン 零細企業家向け小口ローンへの保険の提供
零細企業家向け小口ローンの提供を行うBPI Direct BanKoと連携し、ローンに付帯したマイクロインシュアランスの提供を2019年秋より開始しています。事故や災害といった不測の事態にも保険で零細企業家の経営を支援します。

マレーシア 先住民向け住宅専用火災保険の提供
社会的企業EPIC Homesが取り組む、先住民の居住環境改善を目的とした支援スキームに関わる補償をパッケージ化し、住宅に補償を備えることで、居住する先住民に安心を提供するとともに、支援スキームドナーの参画を後押しします。

インド 保険普及取組、低所得・貧困層の保険インクルージョン
大都市圏と比較し保険の浸透が遅れている中小都市、農村部に、保険契約と証券発行がその場で可能な小型店舗(スマートオフィス)を展開し、保険普及に貢献しています。
マイクロファイナンス機関と提携し、マイクロ家財保険(パラメトリック保険組込型)を提供、罹災による財物損害からの復旧支援、二重ローンリスクの低減を通じ、低所得・貧困層の所得格差の拡大防止に貢献します。

MS&ADグループ一体で取り組む「MS&ADグリーンアースプロジェクト」

MS&ADグループでは、2022年度から自然環境の保全・再生を通じた防災減災・地方創生や環境負荷低減などの環境取組を「MS&ADグリーンアースプロジェクト」と総称して取り組んでいます。本取組を通じ、グループ中期経営計画のサステナビリティの重点課題である「地球環境との共生~Planetary Health」、「安心・安全な社会~Resilience」に対する理解を深め、地域社会と一体となりレジリエントでサステナブルな社会を目指します。

■ 自然環境の保全・再生による防災・減災と地方創生
MS&ADグループは、早くから生物多様性保全の研究や官民連携プラットフォーム等に参画してきました。それらに加えて、2022年度からは、新たに東北・関東・九州地方の国内3ヶ所を自然環境の保全・再生のための活動場所に定め、当社グループの社員とその家族等によるボランティア活動や資金支援を通じて、生物多様性の保全と防災・減災機能の回復を目指します。
九州地方では、熊本県 球磨川流域にて熊本県立大学と連携し、生物多様性と防災・減災機能の回復を目指す湿地の再生活動に取り組んでいます。関東地方では、千葉県 印旛沼流域において、健全な水循環の維持・創出のための谷津の管理を行い、地域に根差したNbS(Nature-based Solutions:自然を基盤とした解決策)のモデルケースの確立を目指しています。東北地方では、宮城県 南三陸町にて、東日本大震災による被災や、全国的に進む「磯焼け」により減った藻場の再生を行い、町が進める森里海の自然の循環を活かしたまちづくりを支援します。

■ ペーパーレス等による環境負荷低減取組とその進捗に応じた寄付
紙の使用量を削減する「eco保険証券」「Web約款」「Web満期案内」などのペーパーレス取組の進捗や、自動車事故の修理時に環境にやさしい自動車修理を行う「リサイクル部品活用」などの商品・サービスの提供数に応じた金額を、脱炭素化や生物多様性保全を目的とした活動に寄付しています。

<寄付対象となる環境負荷低減取組>
eco保険証券・Web約款
Web満期案内

e貨物証券
スマホ決済

かんたんモード・ネット
ダイレクト払

e-G1
ネット口振

リサイクル部品活用
BrainVideo

■ 電力やガソリン利用の抑制による環境負荷低減
全社員が紙、電力、ガソリンの削減に取り組んでいます。ペーパーレス会議の推進、過度な冷暖房の回避、上下数階の移動の際の階段利用、エコ安全ドライブの実行等、身近な活動を通じて環境負荷低減に取り組むとともに、社員の理解促進につなげています。

○MS&ADグリーンアースプロジェクト
https://www.ms-ad-hd.com/ja/csr/green-earth_project.html

途上国の環境保護と経済的自立の支援 ~MS&ADグリーンアースプロジェクトが支えるイ...

保険業は、募集ツールや証券等をはじめ、紙を使用することが多い事業です。三井住友海上では、事業における紙使用量の削減を進め、それにより削減されたコストを紙の原材料を生産する地域(インドネシア)の熱帯林再生に役立てています。2005年から開始した熱帯林再生においては、再生後の熱帯林の持続可能性も重視し、地域住民の経済的自立を支援する取組をあわせて行っています。紙の原材料となる木材生産国であるインドネシアでは、違法伐採が社会的課題となっており、植林を行っても違法伐採により森はまた失われてしまいます。地域住民は生計を維持するために違法伐採を行ってしまうため、伐採以外に収入を得る手段を地域住民が習得することから支援を開始しました。現在では、農業により収入を得るのみならず、2015年に新たに設立した農業協同組合による農業振興も始まり、熱帯林の再生とともに、地域住民の経済的自立が進んでいます。

■ 環境負荷低減に応じた寄付を実施
本プロジェクトの原資には、MS&ADグループ一体で取り組んでいる、自然環境の保全・再生を通じた防災減災・地方創生や環境負荷低減などの環境取組を総称した「MS&ADグリーンアースプロジェクト」の仕組みを活用しています。
お客さまにご選択いただく「eco証券」や「Web約款」などのペーパーレス施策による環境負荷低減取組状況に応じて寄付を行っています。

○MS&ADグリーンアースプロジェクト
http://www.ms-ins.com/company/csr/gps/

■ インドネシア熱帯林再生プロジェクトの実施
MS&ADグリーンアースプロジェクトのペーパーレス等による環境負荷低減活動から得られた寄付等をもとに、インドネシア・ジャワ島のジョグジャカルタ特別州において熱帯林再生プロジェクトを推進しています。
1990年代後半の経済危機時に地元住民の不法伐採により劣化した野生動物保護林の修復と再生を期すため、2005年よりインドネシア政府と連携し、在来樹種を中心に約30万本の植樹を行ってきました。

■ インドネシア植林対象周辺地域の経済的自立の支援
再生した熱帯林を維持するには、地元住民の経済的自立を進め、不法伐採をせずとも安定した生活が継続できるよう環境を整えることが不可欠です。三井住友海上では、収入を得るための農産物を作るための技術指導を地元住民に行い、農業や養殖業の振興を進めるとともに、この森林と地域コミュニティを統合したエコシステムの中長期計画について、現地有識者とのステークホルダーミーティングを実施しました。
ミーティングで得られた意見をもとに、安定した農業振興を目的に、地元住民による農業協同組合を設立し、植林と農作物栽培の支援、地元住民の経済的自立の後押しを継続しています。

■ 森林と周辺地域の未来をつくる取組
持続可能な森林と地域社会の活性化の実現を進めるべく、小学校教師への環境教育で森林との共存についての知識の普及や、農業協同組合の自立に必要な支援を継続していきます。

○インドネシア熱帯林再生プロジェクト
http://www.ms-ins.com/company/csr/environment/rainforest/

DX(デジタルトランスフォーメーション)によるレジリエントでサステナブルな社会への貢献

■ RisTech(リステック)リスクを様々なテクノロジーでコントロールし、新たな価値を提供
三井住友海上はリスクソリューションのプラットフォーマーとして、代理店はリスクソリューションのプロバイダーとして、お客さまに提供する価値を変革することを目指します。具体的には、保険本来の機能に加えて、「補償前後の価値」を創造し、提供していくことです。既に2023年4月から代理店による補償前後ソリューションとして販売を開始しており、防災グッズサービスなど15のソリューションをラインアップしています。その補償前後の価値を創造し、提供していくことのひとつが「RisTech」です。RisTechという単語は、「Risk」と「Technology」を組み合わせた造語です。RisTechは以下の3つを軸として取組を行っています。
1つ目は、自社や取引先企業が保有するデータを活用して「取引先企業」の課題解決を支援する取組です。
2つ目は、新しい保険商品やサービスの開発を支援する取組です。
3つ目は、自然災害への備えや公共交通機関への貢献などの社会的課題の解決に向けた取組です。

■ 官民連携DXで道路点検をサポートする「ドラレコ・ロードマネージャー」
当社のドライブレコーダーが撮影した日本全国の道路損傷個所をAIが検知・分析の上、その路面の画像を自動でアップロード・クラウド上で一元管理し、道路の点検・管理業務を効率化するサービス「ドラレコ・ロードマネージャー」を2021年12月より提供しています。自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、事故につながる危険な道路損傷の早期発見を支援することで、SDGsの達成・安全なまちづくりへの貢献を目指します。

■ ビッグデータとAIを活用したサステナブルな代理店活動の支援
お客さまに関するあらゆる情報を収集・分析・活用する機能を有しており、お客さまと代理店および当社をビッグデータとAIで結ぶことで、お客さまニーズを的確に把握し、最適な商品・サービスの提供を実現する「MS1 Brain」を2020年2月にリリースしています。加えて、コロナ禍をきっかけに、より高まったお客さまの非対面での契約手続きニーズ等に応えるため、お客さまと代理店をつなぐコミュニケーションツールとして「MS1 Brainリモート」をリリースすることで、お客さまの体験価値向上を実現しています。

■ デジタライゼーションを活用した「新しい生活様式」への対応
「Salesforceを活用したBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)取組」を通じ、従来の紙やファックス、メール等で対応していた各種申請・報告業務をシステム化する「ワークフローシステム」を開発するなど、押印レス、ペーパーレス、タッチレスの推進を通じて、コロナ禍以降のニューノーマルな働き方を支える取組を推進しています。

防災・減災への取組

気候変動の進展により世界的に自然災害が増加・大型化しています。自然災害リスクモデルを活用した詳細なリスク分析や調査にもとづいたリスク低減のための対策提案やリスクの発現を防ぐ各種のサービス提供を通じ、気候変動への適応を進める支援をしています。

■ 損害保険データと機械学習を活用した自然災害被害推定システムを開発
MS&ADインターリスク総研および国立研究開発法人防災科学技術研究所と共同で、損害保険データと機械学習を活用し、災害発生時に被害を精度高く推定する自然災害被害推定システムを開発しました。地震の被害推定では、地震観測データと高解像度の保険データ、およびAI技術の一つである機械学習を活用した被害関数(地震の強さを表す複数の指標と被害の関係式)を用いて、保険金の支払件数や支払額を精度高く推定することが可能です。洪水被害推定システムも開発し、地震や洪水の発生時には自動で被害推定を実施して保険金支払いの迅速化・効率化等に活用しています。また、自治体における災害対応を支援するため、被害推定結果の提供も開始しました。

■ 気候変動への適応を支援する商品・サービスの提供
気候変動による異常気象は、企業等の活動にさまざまな被害や損失を与えますが、その被害や損失を軽減する方策の提供により、気候変動下におけるビジネスの持続可能な発展を支援することができます。気候変動の進行が避けられない今、気候変動への適応策がビジネス成功への大きなカギとなります。

■ 災害に強いまちづくりに向けて自治体と協業

天候デリバティブ
異常気象や天候不順により企業が被る「売上減少」や「費用増加」といった損失を軽減するための、気象庁が公表する天候データを指標としたリスクソリューションを提供しています。
○天候デリバティブ
https://www.ms-ins.com/business/solution/derivative/

また、海外においては、お客さまが天候インデックス保険の見積りをオンラインでリアルタイムに実施できる専用プラットフォームを、MSI Guaranteed Weather及び豪州InsurTech企業等と協働で開発し、オーストラリアの農家向けに同保険商品を販売しています。
従来型の作物保険では、??事や雹だけに限定されることが多いのに対し、当商品は、?ばつや?温・低温、収穫直前の降?などの気象条件をカバーし、?然災害多発国で農家の経営安定化に貢献しています。

気象情報アラートサービス
国内最大手の気象情報会社である株式会社ウェザーニューズと提携し、企業向け火災保険(プロパティ・マスター、ビジネスキーパー)、工事保険(ビジネス工事ガード)、賠償責任保険(ビジネスプロテクター)及び運送保険(フルライン、サポートワン)をご契約のお客さまに、以下のサービスを無料で提供しています。
・お客さまが専用サイト上で設定した最大5地点の気象情報や気象予報を専用サイトで随時確認可能
・お客さまが業務に合わせて任意に設定した監視地点において、「降水量」「風速」及び「降雪量」の予報が基準値を超える場合や、監視地点から基準値以内の地点で「落雷」を観測した場合に、お客さま指定のアドレスにアラートメールを配信

○気象情報アラートサービス
https://www.ms-ins.com/business/weather/

■ 災害に強いまちづくりに向けて自治体と協業
自然災害の備えとして、災害による被害への補償を提供するという保険本来の機能に加え、事故・災害を“未然に防ぐ”機能、“回復”を支援する機能を合わせるなど、付加価値の高いサービスを提供しています。

防災ダッシュ
ボード
 防災ダッシュボードは、「損保データ×AIによる新たな防災減災支援サービス」をコンセプトに、災害リスクのリアルタイム可視化、発災後の被害推定、事前災害予測を分かりやすくダッシュボード上に可視化することで、住民の生命や財産を守る防災減災アクションを支援する自治体防災担当者向けWEBサービスです。
自然災害が多発する近年、地域社会の防災・減災をテーマに、自治体と一体となってDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、SDGsの達成・安全なまちづくりへの貢献を目指しています。

○防災ダッシュボード
https://www.ms-ins.com/business/bosai-dash/

水災時の罹災証明書の早期交付を支援
自然災害の激甚化・頻発化により、自治体による被災者生活再建支援への対応が逼迫しています。特に罹災証明書の発行は、自治体で被災状況を調査する必要があり、発行までに時間を要します。こうした課題を解決するため、お客さま同意のもと、当社の損害調査情報を自治体に提供し、水災時に迅速かつ効率的に罹災証明書が発行できるように支援する「被災者生活再建支援サポート」を2021年8月に開始しました。自然災害時の社会課題の解決に向けて全国の自治体へ提案を行っています。

■ 海外における公的自然災害補償制度への参画
世界の自然災害による経済損失額のうち、民間保険により補償されているのは約3分の1に過ぎず、この経済損失額と保険による補償額の差はプロテクションギャップと呼ばれています。特に発展途上国においては、被災者の自己負担や公的補償でプロテクションギャップをカバーするのは困難であり、大きな課題の一つです。当社は、各国の政府機関や世界銀行・財務省などと連携し、官民連携でこの課題解決に取り組んでいます。その一つが、世界銀行が主導して設立した保険制度「太平洋自然災害リスク評価及び資金援助イニシアチブ(PCRAFI)」です。これは、まだ保険制度が確立していない太平洋島嶼国で、一定規模の自然災害が発生した場合に、被災した国・地域へ、迅速に復興資金を提供することを目的としています。当社は、2013年の制度設立以来、継続して参画している唯一の保険会社です。今後も、当社のグローバルなネットワークを通じて、官民連携プロジェクトを推進し、各国・各地域が抱える社会課題の解決に尽力していきます。

○気候変動の適応~気候・気象に対するレジリエンス(強靱性・回復力)の強化~
https://www.ms-ins.com/company/csr/climate_change/adaptation.html

脱炭素社会への移行を支える商品・サービス(グリーン商品)の提供

深刻化する気候変動の問題解決に向けた新しいビジネスが数多く生まれています。保険やコンサルティングの提供を通じて、こうしたビジネスの成長を積極的にサポートすることにより、経済の活性化と気候変動の緩和に貢献します。

■ 脱炭素社会への移行を支える商品・サービスの提供
エネルギー利用の革新的な効率化、再生可能なエネルギーの利用、温室効果ガス吸収の拡大など、温室効果ガスの排出増を伴わない経済発展へと社会の転換が求められています。当社は、脱炭素社会への移行に貢献する技術の開発や実装を支える保険商品やサービスを「グリーン商品」として定義し、新商品等の開発を進めています。
なかでも、再生可能エネルギー事業者を取り巻くさまざまなリスク(財物損害、利益損失、賠償責任等)については総合的に補償する各種保険商品を販売すると同時に、リスク評価・コンサルニーズに対応した各種サービス・情報提供により、再生可能エネルギーの普及を側面から支援しています。

太陽光発電
・メガソーラー総合補償プラン
・太陽光発電事業 事故リスクハンドブック、メガソーラー施設 地震・津波リスク分析・日照評価、メガソーラー施設 ハザード情報調査、太陽光発電 総合リスクマネジメント、太陽光発電設備メンテナンスリスク診断サービス、太陽光発電設備・メンテナンスにハンドブック

風力発電
・小形風力発電総合補償プラン
・風力発電設備 事故リスク評価のためのハンドブック、風力発電施設のリスク調査報告書作成サービス、小形風力発電設備に関するハンドブック、風力発電 総合リスクマネジメント

【グリーン商品一覧】(2023年6月末現在)
メガソーラー総合補償プラン、小形風力発電総合補償プラン、洋上風力発電パッケージ保険、地熱発電総合補償プラン、グリーン電力証書安定供給支援保険、EV充電設備損害特約、カーボンニュートラルサポート特約、災害時電動車貸与時のレンタカー特約、PPA事業者向け近隣被災者への見舞金保険、水素ステーション総合補償プラン、中小水力発電総合補償プラン、バイオマス発電総合補償プラン、自治体新電力サポート保険、インバランスリスク補償保険、海洋汚染対応追加費用補償特約、汚染損害拡張補償特約、再造林等費用補償特約、災害対策支援保険、水素ステーション稼働停止時のレンタカー費用特約、CCS事業者向け環境汚染賠償責任保険、企業緑地保険、電気自動車等買替費用特約

○MS&ADホールディングスサステナビリティレポート2023
https://www.ms-ad-hd.com/ja/csr/community/climate_change.html

○気候変動の緩和~脱炭素社会への移行に向けて~
https://www.ms-ins.com/company/csr/climate_change/mitigation.html

○気候変動リスクに向き合う「MS Green Index」~グリーン商品・サービス~
https://www.ms-ins.com/company/csr/climate_change/#greenindex

自然資本・生物多様性をテーマとした商品・サービスの提供

私たちの暮らしや経済活動は、生物多様性から提供される自然の恵み(生態系サービス)によって成り立っています。生物多様性に配慮したビジネスモデルは、企業を含む社会全体の持続可能性を支えます。2015年9月の「持続可能な開発サミット」で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の17の目標は、自然資本や安定した気候システムに関わる4つの目標がベースとして成立して初めて達成する目標と言えるため、自然資本と事業活動との持続可能な関係構築を目指し、その保全や活用に向けて取り組んでいます。

■ 自然資本・生物多様性の保全・回復に貢献する商品・サービスの提供
生物多様性条約 第15回締約国会議(COP15)において、国際的な生物多様性枠組の採択に向けた論議が行われるなど、自然資本・生物多様性の保全・回復に関する論議が進んでいます。気候変動と自然資本・生物多様性は相互に影響し合う関係にあるため、一体的に取り組んでいく必要があります。当社は以下4つの自然資本の領域ごとに「ネイチャーポジティブの実現に資する商品・サービス」を開発し、提供しています。

ロードキルの削減支援
イリオモテヤマネコ等の希少種の死亡原因として上位にあげられる自動車事故(ロードキル)を防ぐため、自動車保険の専用ドライブレコーダーにアラート機能を搭載しています。また2022年度から自動車保険の専用ドライブレコーダーの販売実績に応じ、希少動物保護やロードキル削減に取り組む団体等に寄付を行います。
https://www.ms-ins.com/news/fy2022/pdf/0614_1.pdf

海洋汚染対応追加費用を補償
船舶事故により自然環境に損害が発生した際に、従来の保険では補償対象外であった船舶運航者が自主的に行う自然環境への損害に対する保全・回復活動等の費用を補償します。
https://www.ms-ins.com/news/fy2022/pdf/0617_1.pdf

汚染損害に関わる費用を幅広く補償
汚染物質が工場等の施設から公共水域へ不測かつ突発的に流出したこと等に起因する損害賠償責任や、汚染の浄化費用等を幅広く補償します。
https://www.ms-ins.com/news/fy2022/pdf/0622_1.pdf

再造林等の費用を補償
従来の森林火災保険では補償対象外であった、火災等によって罹災した森林を再造林するために要した費用を補償します。
https://www.ms-ins.com/news/fy2022/pdf/0627_1.pdf

生物多様性に配慮した企業緑地を支援
当社の駿河台緑地の視察案内と企業緑地コンサルティング、生物多様性に配慮した企業緑地の認証制度「ABINC認証」の取得支援や企業緑地保険をパッケージでご提供します。
https://www.ms-ins.com/news/fy2022/pdf/1117_1.pdf

■ 自然資本・生物多様性の保全および活用に向けたリスクマネジメント
気候変動がもたらす自然環境への影響や、生態系を活用した緩和・適応策の可能性を踏まえ、事業を展開する国内外の拠点やプロジェクト開発における自然資本への影響を定量評価するさまざまなリスクソリューションを提供しています。
また、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の開示提言では、企業がバリューチェーンを通じた自然への依存・インパクトを踏まえ、自然関連リスク・機会を特定することを推奨しています。MS&ADインターリスク総研では、これまで提供してきた生物多様性関連コンサルティングに加えて、TNFDに沿った企業の情報開示に向けた取組も支援します。

TNFDに沿った
自然関連リスク対応支援サービス
TNFDの枠組みやLEAPアプローチに沿って、分析対象のスコーピング、バリューチェーンを含めて優先地域や依存とインパクトの分析、それらを踏まえた事業リスク・機会の検討や情報開示を支援しています。

水リスク簡易評価サービスの提供
気候変動、途上国の人口増、発展等により水資源が枯渇する地域が世界的に増えており、企業の操業まで脅かす事例もあります。それを背景に、企業が自らの水リスクを把握し、開示するよう要求する社会的圧力が強まっています。日本企業でも大手メーカーが自社のサプライヤーに水リスクの把握と開示を求めたり、投資家が水リスク情報の開示を求めるなどの動きが広まっています。MS&ADインターリスク総研では、企業の国内外の拠点について水リスク(水枯渇、水災その他)を評価するサービスを行っています。

○水リスク簡易評価
https://www.irric.co.jp/risksolution/climate/index.php#climate_05Cont

生物多様性取組支援サービスの提供

人間の活動が原因で動植物が絶滅するスピードが増しています。この流れを断ち切り、豊かな自然環境を回復させるための枠組みが、国内外で強化されています。日本では、陸地や海域の30%を2030年までに保全地域とする目標(“30by30”)や、その手段となるOECMなどの制度化が進んでいます。企業はその推進において、中心的役割を期待されています。
 本サービスでは、生物多様性をめぐるステークホルダーの要請に応え、企業が保有する土地・施設や地域の生態系回復への貢献と、製品・サービスの付加価値や企業ブランドの向上に資する取組を支援します。

○生物多様性 総合コンサルティング
https://www.irric.co.jp/risksolution/sustainability/index.php#sustainability_02Cont

○MS&ADホールディングスサステナビリティレポート2023
https://www.ms-ad-hd.com/ja/csr/community/creature.html

○自然資本の持続可能性向上~生物多様性の保全・生態系を活用した緩和・適応~
https://www.ms-ins.com/company/csr/climate_change/natural_capital.html

地方創生への取組

■ 自治体との協定を起点とした地域課題解決に向けた支援 
三井住友海上は、全国すべての都道府県と、200を超える市区町村と連携協定を締結しています(2023年10月時点)。
当社はリスクソリューションのプラットフォーマーとして地域と一体となり、従来の保険サービスの枠にとらわれない新たな価値を創造する商品・サービスの提供を通じて、地方創生への貢献を目指しています。
中でも、発災後速やかに公共サービスや事業活動を再開し、地域復興を担う役割が期待されている自治体にとっては、災害に強く安心・安全な社会づくりは非常に重要です。当社では、激甚化・頻発化する自然災害への備えとして、災害による被害への補償を提供するという保険本来の機能に加え、事故・災害を“未然に防ぐ”機能、“回復”を支援する機能を合わせるなど、付加価値の高いサービスを提供しています。
2021年8月に開始した「被災者生活再建支援サポート」は、被災者の早期生活再建や地域社会の復興を下支えするとともに自治体の業務効率化にもつながる意義のある取組であるとの評価を得るなど、全国の自治体で導入の動きが広がっています。
当社は地域課題の解決に向け様々な支援取組を展開し、地域とともに成長を続ける企業であり続けます。

■ 災害に強いまちづくりに向けて自治体と協業
自然災害の備えとして、災害による被害への補償を提供するという保険本来の機能に加え、事故・災害を“未然に防ぐ”機能、“回復”を支援する機能を合わせるなど、付加価値の高いサービスを提供しています。

防災ダッシュ
ボード
 防災ダッシュボードは、「損保データ×AIによる新たな防災減災支援サービス」をコンセプトに、災害リスクのリアルタイム可視化、発災後の被害推定、事前災害予測を分かりやすくダッシュボード上に可視化することで、住民の生命や財産を守る防災減災アクションを支援する自治体防災担当者向けWEBサービスです。
自然災害が多発する近年、地域社会の防災・減災をテーマに、自治体と一体となってDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、SDGsの達成・安全なまちづくりへの貢献を目指しています。

○防災ダッシュボード
https://www.ms-ins.com/business/bosai-dash/

水災時の罹災証明書の早期交付を支援
自然災害の激甚化・頻発化により、自治体による被災者生活再建支援への対応が逼迫しています。特に罹災証明書の発行は、自治体で被災状況を調査する必要があり、発行までに時間を要します。こうした課題を解決するため、お客さま同意のもと、当社の損害調査情報を自治体に提供し、水災時に迅速かつ効率的に罹災証明書が発行できるように支援する「被災者生活再建支援サポート」を2021年8月に開始しました。自然災害時の社会課題の解決に向けて全国の自治体へ提案を行っています。

■ 中小企業のSDGs取組を支援
中堅・中小企業向けにSDGs(持続可能な開発目標)への取組支援を行っています。中堅・中小企業がSDGsを経営に取り入れ、業績の向上につながる取組を支援することにより、地域経済の活性化や地域課題の解決を図り、地方創生に貢献します。自治体、商工団体、金融機関等と連携し、経営者向けに「SDGs経営セミナー」を開催するとともに、個別企業の実践支援として「SDGs取組支援メニュー」を展開しています。
大企業を中心にSDGs達成の貢献を宣言する企業が増加する一方、多くの中堅・中小企業では「概要が理解出来ていない」「自社の事業活動に落とし込めない」「ビジネスチャンスへの道筋が描けない」等の理由で、具体的な取組イメージを描けていない状況です。今後、グローバル企業を中心に、環境に配慮し活動する企業を調達先・取引先として選ぶ傾向にある中、SDGsへの取組が企業のビジネス機会獲得に一層重要となっています。また、地域経済の活性化に取り組む自治体・商工団体・金融機関等にとっても、企業が経営にSDGsの考えを取り入れ、持続的な成長に つながる取組を支援することが重要課題であることから、本取組を行っています。
地方創生に取り組む自治体、商工団体、金融機関等と連携し、地域の中堅・中小企業向けに以下のSDGs取組支援策を提供しています。

SDGs経営セミナー
SDGsの考えに基づいた経営を企業が実践し、レジリエントでサステナブルな社会の実現に貢献することで、自社の健全な発展につながることを経営者の皆さまにお伝えし、その取組の参考としていただくことを目的としたセミナーを開催しています。
[主な内容]
・SDGsの概要や考え方、取組の意義(取り組むことがビジネス機会獲得につながること、取り組まないことが経営リスクとなり得ること)について
・経営方針・戦略の策定方法、SDGsに貢献する取組 や企業活動事例について

SDGs取組支援メニュー
企業の役職員がSDGsを理解するための勉強会、SDGsに取組む社内風土・体制づくり(働き方改革・BCP等)、将来ビジョン策定のアドバイス、当社のソリューションメニューを活用して実践を支援しています。

オンラインSDGsプラットフォーム
「Platform Clover」
自治体・企業等がSDGsの取組を検索・発信し、交流できるオンライン・プラットフォームです。運営団体(一般社団法人サステナブルトランジション)に中核的に参画し、SDGs実践の場として、活用を推進しています。

■ 経営リスク・経営課題の解決の支援メニュー(経営革新等支援機関の認定)
地域経済の活性化を目的に、中小企業経営者や起業家・事業後継者を育成・支援する「支援メニュー」を自治体等と連携して展開しています。
同メニューは、三井住友海上経営サポートセンターがこれまでに培ってきた「働き方改革支援(人事労務)」「事業承継支援」や「SDGs経営・脱炭素経営支援」「起業家育成」「後継者育成」等のノウハウを、地域単位に展開が可能なプログラムとしてパッケージ化したものです。中小企業経営者や起業家・事業後継者が自立して持続的成長を続けることを目的に、各地の自治体等と連携してセミナーや個別支援活動を行っています。

■ 自治体との連携協定等
地域経済の活性化と安心・安全なまちづくりに向けて行政施策を推進している自治体と連携協定を結び、地域特性を踏まえながら地域社会や企業の課題・リスクの解決に貢献する商品やサービスを「課題解決メニュー」として提供することで、安心・安全で持続可能な社会の実現に貢献しています。官民連携し、レジリエントな社会づくりに力を注いでいきます。

多発する事故等から人々や企業を守る取組

事故の防止には、事故につながるリスクをあらかじめ回避することが重要です。事故・災害を“未然に防ぐ”機能や事故・災害の“影響を減らし回復を支援する”機能を持つサービス一体型商品や、保険引受により保有する契約や事故のデータに取引先企業から提供されたデータを含む統計データを掛け合わせ、企業の抱える課題を解決するサービスを通じ、地域の安全と発展に貢献しています。

■ ~DXを活用したサービス一体型商品~ 「DX valueシリーズ」の提供
2021年4月より、“デジタルトランスフォーメーション(DX)を活用した保険の新たな価値提供”を実現する商品として、事故・災害を“未然に防ぐ”機能や事故・災害の“影響を減らし回復を支援する”機能を備えた新たな商品シリーズを、自動車事故、企業の健康経営、サイバーリスクの3つの領域で提供しています。

見守るクルマの保険(ドラレコ型、プレミアム ドラレコ型)、F-ドラ
・ 自動車保険に専用ドライブレコーダーを活用したサービスを組み合わせた商品。専用ドライブレコーダーの「安全運転支援アラート」が前方衝突・車線逸脱・高速道路逆走等の場合にアラートでお知らせし、事故を“未然に防ぐ”
・ 専用ドライブレコーダーが一定以上の衝撃を検知した場合、専用安否確認デスクのオペレータにつながる「事故緊急自動通報サービス」や専用ドライブレコーダーの録画映像およびその映像から、契約車両と相手方車両の挙動(進行方向やスピードなど)をAIが分析するドラレコ型AI事故状況説明システム「Ai’s(アイズ)」によりスムーズな事故対応を実現し、事故の“影響を減らし回復を支援”

健康経営支援保険
・ ケガや病気により働けなくなった場合の所得補償に、健康管理アプリ「Myからだ予想」を活用したサービスを組み合わせた商品
・ 「Myからだ予想」は 将来の健康リスクを見える化し、行動変容を促すとともに、健康活動チャレンジ機能によって生活習慣の改善をサポートすることで、生活習慣病を“未然に防ぐ”機能を発揮し、生活習慣病の“影響を減らし回復を目指すための活動を支援”

見守るサイバー保険
・ サイバー事故による損害を補償する事業者向け保険「サイバープロテクター」に、セキュリティソフトを活用したサービスを一体化した商品
・ サイバー攻撃を検知して事故を“未然に防ぐ”機能を発揮するほか、ウイルス感染した場合も速やかな防御対応により、事故の“影響を減らし回復を支援”
・ サイバー攻撃の脅威からお客さまを守り、事故防止のためのサービスと被害を最小化する保険を一体化

○DX valueシリーズ
https://www.ms-ins.com/dxvalue/

社員による環境・社会貢献活動の推進と社会課題への気づき

■ 「部支店で年に1つは環境・貢献活動」
ステークホルダーである地域社会、国際社会、環境への貢献を目的とし、環境保全や省エネ・省資源につながる事業・業務戦略を立てる本社部門と、その事業を広く普及・実行する営業・ 損害サポート部門が両輪となって環境経営を推進すべく、全役職員はもちろんのこと、ビジネスパートナーや取引先企業向けに多様な環境教育を実施し、バリューチェーン全体で商品・サービスや事業活動を通じた環境取組みを展開しています。また、全国の部支店ごとに選任された「環境・社会活動サポーター」が推進役となり、地域に密着した社会貢献活動として「部支店で年に1つは環境・貢献活動」に取り組み、地元のNPOとともに環境保全活動に参加しています。
当社はMS&ADグループの一員として、環境省「環境人づくり企業大賞」において、2014年度および2015年度の優秀賞獲得に続き、2016年度に最高評価となる環境大臣賞(大賞)を受賞しました。今後も幅広いステークホルダーを対象にした取組みをグループ全体で行っていきます。

○社員・代理店による地域貢献活動
http://www.ms-ins.com/company/csr/social/member/

■ SX気づきセミナー
中期経営計画(2022-2025年)において成長ビジョンとして掲げている「サステナビリティ・トランスフォーメーション:SX」の実現に向けては、全社員が社会のサステナビリティを内発的に「当社の持続的成長に欠かせない重要課題」であると理解した上で、一人ひとりが社会課題に向き合い「気づき」を得ることが重要です。
「SX気づきセミナー」では以下の「4つの社会課題」をテーマにセミナーをシリーズ開催し、多様な社会課題に向き合い、社員一人ひとりが新たな気づき(社会課題の発見、着眼点や発想など)を得ることで、「SXカルチャー」の浸透を図ることを目指しています。
地球環境との共生
(Planetary Health)
気候変動、生物多様性の喪失等の自然資本の持続、自然関連リスクとESG、グリーンインフラ 等

革新的テクノロジー
(Innovative Technology)
AI、IoT、量子コンピューター、再生可能エネルギー、ロボティクス、位置情報データ、バイオ、再生医療、拡張・仮想現実、暗号資産、宇宙開発 等

強靭性・回復力
(Resilience)
社会インフラ(公共施設や道路等)や企業の工場・設備等の老朽化に対するメンテナンス、多発・激甚化する自然災害に対する早期復旧および防災・減災 等

包摂的社会
(Social Inclusion)
ビジネスと人権、少子高齢化・ 人口減少、地域間格差・過疎化、人権侵害・社会的不平等、国家間格差、社員のメンタルヘルス不調、 医療費の増加、アフターコロナ社会への対処 等

※網掛け部分は2022年度のセミナーで取り上げたテーマ

海外での「誰一人取り残さない」を支える取組み

保険に加入できる地域・人を増やすための保険技術の移転取組や、保険商品・サービスではカバーできない分野への社会貢献活動を行っています。

フィリピン 零細企業家向け小口ローンへの保険の提供
零細企業家向け小口ローンの提供を行うBPI Direct BanKoと連携し、ローンに付帯したマイクロインシュアランスの提供を2019年秋より開始。事故や災害といった不測の事態にも保険で零細企業家の経営を支援

マレーシア 先住民向け住宅専用火災保険の提供
社会的企業EPIC Homesが取り組む、先住民の居住環境改善を目的とした支援スキームに関わる補償をパッケージ化。住宅に補償を備えることで、居住する先住民に安心を提供するとともに、支援スキームドナーの参画を後押し

インド 保険普及取組み、低所得・貧困層の保険インクルージョン
大都市圏と比較し保険の浸透が遅れている中小都市、農村部に、保険契約と証券発行がその場で可能な小型店舗(スマートオフィス)を展開し、保険普及に貢献。
マイクロファイナンス機関と提携し、マイクロ家財保険(パラメトリック保険組込型)を提供、罹災による財物損害からの復旧支援、二重ローンリスクの低減を通じ、低所得・貧困層の所得格差の拡大防止に貢献。

MS&ADグループ一体で取り組む「MS&ADグリーンアースプロジェクト」

MS&ADグループでは、2022年度から自然環境の保全・再生を通じた防災減災・地方創生や環境負荷低減などの環境取組を「MS&ADグリーンアースプロジェクト」と総称して取り組んでいます。本取組を通じ、グループ中期経営計画のサステナビリティの重点課題である「地球環境との共生~Planetary Health」、「安心・安全な社会~Resilience」に対する理解を深め、地域社会と一体となりレジリエントでサステナブルな社会を目指します。

■ 自然環境の保全・再生による防災・減災と地方創生
MS&ADグループは、早くから生物多様性保全の研究や官民連携プラットフォーム等に参画してきました。それらに加えて、2022年度からは、新たに東北・関東・九州地方の国内3ヶ所を自然環境の保全・再生のための活動場所に定め、当社グループの社員とその家族等によるボランティア活動や資金支援を通じて、生物多様性の保全と防災・減災機能の回復を目指します。
九州地方では、熊本県 球磨川流域にて熊本県立大学と連携し、生物多様性と防災・減災機能の回復を目指す湿地の再生活動を開始します。東北地方では、宮城県 南三陸町にて、東日本大震災による被災や、全国的に進む「磯焼け」により減った藻場の再生を行い、町が進める森里海の自然の循環を活かしたまちづくりを支援します。

■ ペーパーレス等による環境負荷低減取組とその進捗に応じた寄付
紙の使用量を削減する「eco保険証券」「Web約款」「Web満期案内」などのペーパーレス取組の進捗や、自動車事故の修理時に環境にやさしい自動車修理を行う「リサイクル部品活用」などの商品・サービスの提供数に応じた金額を、脱炭素化や生物多様性保全を目的とした活動に寄付しています。

<寄付対象となる環境負荷低減取組>
eco保険証券・Web約款
Web満期案内

e貨物証券
スマホ決済

かんたんモード・ネット
ダイレクト払

e-G1
ネット口振

リサイクル部品活用
BrainVideo

■ 電力やガソリン利用の抑制による環境負荷低減
全社員が紙、電力、ガソリンの削減に取り組んでいます。ペーパーレス会議の推進、過度な冷暖房の回避、上下数階の移動の際の階段利用、エコ安全ドライブの実行等、身近な活動を通じて環境負荷低減に取り組むとともに、社員の理解促進につなげています

○MS&ADグリーンアースプロジェクト
https://www.ms-ad-hd.com/ja/csr/green-earth_project.html

途上国の環境保護と経済的自立の支援 ~MS&ADグリーンアースプロジェクトが支えるイ...

保険業は、募集ツールや証券等をはじめ、紙を使用することが多い事業です。三井住友海上では、事業における紙使用量の削減を進め、それにより削減されたコストを紙の原材料を生産する地域(インドネシア)の熱帯林再生に役立てています。2005年から開始した熱帯林再生においては、再生後の熱帯林の持続可能性も重視し、地域住民の経済的自立を支援する取り組みをあわせて行っています。紙の原材料となる木材生産国であるインドネシアでは、違法伐採が社会的課題となっており、植林を行っても違法伐採により森はまた失われてしまいます。地域住民は生計を維持するために違法伐採を行ってしまうため、伐採以外に収入を得る手段を地域住民が習得することから支援を開始しました。現在では、農業により収入を得るのみならず、2015年に新たに設立した農業協同組合による農業振興も始まり、熱帯林の再生とともに、地域住民の経済的自立が進んでいます。

■ 環境負荷低減に応じた寄付を実施
本プロジェクトの原資には、MS&ADグループ一体で取り組んでいる、自然環境の保全・再生を通じた防災減災・地方創生や環境負荷低減などの環境取組を総称した「MS&ADグリーンアースプロジェクト」の仕組みを活用しています。
お客さまにご選択いただく「eco証券」や「Web約款」などのペーパーレス施策による環境負荷低減取組状況に応じて寄付を行っています。
○MS&ADグリーンアースプロジェクト
http://www.ms-ins.com/company/csr/gps/

■ インドネシア熱帯林再生プロジェクトの実施
MS&ADグリーンアースプロジェクトのペーパーレス等による環境負荷低減活動から得られた寄付等をもとに、インドネシア・ジャワ島のジョグジャカルタ特別州において熱帯林再生プロジェクトを推進しています。1990年代後半の経済危機時に地元住民の不法伐採により劣化した野生動物保護林の修復と再生を期すため、2005年よりインドネシア政府と連携し、約30万本の植樹を行ってきました。

■ インドネシア植林対象周辺地域の経済的自立の支援
再生した熱帯林を維持するには、地元住民の経済的自立を進め、不法伐採をせずとも安定した生活が継続できるよう環境を整えることが不可欠です。三井住友海上では、収入を得るための農産物を作るための技術指導を地元住民に行い、農業や養殖業の振興を進めるとともに、この森林と地域コミュニティを統合したエコシステムの中長期計画についての現地有識者とのステークホルダーミーティングを実施しました。
ミーティングで得られた意見をもとに、安定した農業振興を目的に、地元住民による農業協同組合を設立し、植林と農作物栽培の支援、地元住民の経済的自立の後押しを継続しています。

■ 森林と周辺地域の未来をつくる取り組み
持続可能な森林と地域社会の活性化の実現を進めるべく、小学校教師への環境教育で森林との共存についての知識の普及や、農業協同組合の自立に必要な支援を継続していきます。

○インドネシア熱帯林再生プロジェクト
http://www.ms-ins.com/company/csr/environment/rainforest/

生物多様性の保全活動

私たちの暮らしや経済活動は、生物多様性から提供される自然の恵み(生態系サービス)によって成り立っています。生物多様性に配慮したビジネスモデルは、企業を含む社会全体の持続可能性を支えます。MS&ADインシュアランスグループでは、環境方針(MS&ADインシュアランス グループ環境基本方針)の主要課題の一つ に「生物多様性の保全」を掲げ、取り組みを推進しています。

<主な取組み>
■ 「企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)」の活動
生物多様性の保全と生物資源の持続的な利用について、企業が集まり共同研究する「一般社団法人 企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)」の設立(2008年4月)以来、会長会社として活動をサポートしています(2018年6月からは、MS&ADホールディングスが会長会社を引継ぎ)。JBIBは、国内企業の環境に関する取り組みの参考となるよう、生物多様性に配慮した土地利用のためのガイドラインや生物多様性に配慮した原材料調達のガイド等を作成し、その研究成果を公表しています。JBIBの活動は、「生物多様性国家戦略2012-2020」の中でも取り上げられ、国が今後連携・協力を進める団体の一つとして、高く評価されています。

○企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)
http://www.ms-ins.com/company/csr/environment/maintenance/

■ 生物多様性と防災に配慮したグリーンレジリエンスな駿河台緑地
三井住友海上の駿河台緑地(駿河台ビル・駿河台新館周辺の緑地)は、2017年、公益財団法人都市緑化機構が運営する「社会・環境貢献緑地評価システム(SEGES)」で最高ランクとなる「緑の殿堂」に都心のビル緑地として初めて認定されました。駿河台ビルと駿河台新館が一体となり、緑の拠点として皇居と上野公園をつなぐ「エコロジカル・ネットワーク」を形成し、都会における野鳥の生息域拡大に努めています。
これらの生物多様性に配慮した緑化や活動は、2017年9月に全国の模範となる緑地を表彰する「第5回緑の社会貢献賞」(主催:公益財団法人 都市緑化機構)を受賞しました。
また、2022年には、環境省が2023年から制度の開始を予定している「自然共生サイト認定」に係る実証事業において、三井住友海上駿河台ビル・駿河台新館の周辺緑地が、屋上緑化のモデル的取組みとして「認定に相当」との評価を得ました。駿河台緑地を対象サイトとして本実証事業前期に参画し、今後は2023年度に自然共生サイト認定の獲得及び国内第1号群として国際OECMデータベースに登録し、30by30実現へ貢献するよう本緑地の適切な管理に取り組みます。
また、樹木の階層構造を備えた緑地は蓄雨効果にも優れており、都市水害の減災効果があります。計算上は屋上庭園だけでおよそ750トンの雨水を貯めることができ、これは100 mm/時の豪雨3時間分に相当します。駿河台ビルの地下には3500トンの雨水貯留槽があり、緑地の蓄雨効果と合わせ、減災機能を果たしています。今後も気候変動の緩和と適応に貢献し、レジリエントなまちづくりにもつながる緑地の運営を続けていきます。

○駿河台の緑地
http://www.ms-ins.com/company/csr/environment/afforestation/

■ 湿地の生物多様性に関する出張授業
環境教育を推進するため、2014年に、6編の動画教材とQ&Aからなる環境教育プログラムを作成し、出張授業を開始しました。子どもたち一人ひとりに配布する副教材の下敷き・ハンドブックや渡り鳥の実寸大のぬいぐるみなどを用意し、体験して楽しめる学習の工夫を取り入れています。今後も、ラムサール条約で謳われている湿地の生物多様性保全に関する啓発活動(CEPA:Community Education Public Awareness)に取り組んでいきます。

○出張授業 「いきものを育む豊かな湿地~生物多様性を守ろう~」
https://www.ms-ad-hd.com/ja/ramsar/school.html