事務局からのお知らせ

海外への発信 「第8回OECD グリーンファイナンス・投資フォーラム」にて金井司氏(三井住友トラスト・ホールディングス:運営委員/地域支援WG座長機関)が21世紀金融行動原則の取組を海外に向け発信

21世紀金融行動原則(PFA21)10周年を記念し、OECD (経済協力開発機構)が開催する「第8回グリーンファイナンス・投資フォーラム(OECD 8th Forum on Green Finance and Investment)」にて、PFA21を代表して地域支援WG座長機関であり、運営委員機関でもある三井住友トラスト・ホールディングス チーフ・サステナビリティ・オフィサー 金井司氏に登壇いただき、海外に向けてPFA21の取組を発信しました。イギリス・グラスゴーの気候変動枠組条約締約国会議COP26の直前に開催されたフォーラムでは、官民の関係者が集まり、気候変動との戦いで最も重要な10年を迎えるにあたり、パリ協定に掲げられた世界共通の目標を達成するために求められるグリーン投資のあり方について意見交換が行われました。

 

第8回OECD グリーンファイナンス・投資フォーラム

開催期間:2021年10月11日(月)~14日(木)

開催方法:オンライン

主催:OECD Centre on Green Finance and Investment

イベント概要:https://oecd-events.org/green-finance/

 

登壇日時:2021年 10月12日(火)14:45-15:45(現地時間)、21:45~22:45(日本時間)

登壇プログラム:Financing SMEs to accelerate the green transition in countries, regions and cities(国・地域・都市レベルでのグリーン・トランジション促進のための中小企業へのファイナンス) 

登壇者:

<モデレーター>

Nadim Ahmad氏/Deputy Director, Centre for Entrepreneurship, SMEs, Region and Cities, OECD

<パネリスト>

Shanika Amarasekara氏/Chief Impact Officer, British Business Bank

金井司氏/三井住友トラスト・ホールディングス チーフ・サステナビリティ・オフィサー

Craig Ryan氏/Sustainability and ESG Director, Business Development Bank of Canada

Stéphane Villecroze氏/Managing Partner, Demeter (France)

セッション録画:https://oecd-events.org/green-finance/session/b014afa1-0df5-eb11-b563-a085fc3e7f45

 

各国の視聴者がオンライン参加する中、OECDのNadim Ahmad氏のモデレートにより、イギリス・カナダの政府系金融機関、フランスに本社を構える投資家のパネリストとともに、中小企業がトランジションを行う際の資金調達における課題についてディスカッションが行われました。セッションの趣旨について、「パリ協定の目標を達成するために、中小企業は重要な役割を担っている。例えばEUにおいては産業汚染の60~70%は中小企業によるものだが、一方でGDPと雇用の50~60%を生み出している。中小企業がトランジションするための資金調達には融資する側の認識も含めて課題があるのではないか。当セッションでは、国・地域・都市レベルでのグリーン・トラジションのための中小企業の資金調達に関する機会と障壁等を明らかにすることを目的に行う」とNadim Ahmad氏より説明がありました。

金井氏は、PFA21の活動の中でも特に、地域・中小企業のサステナビリティを支援する役割を担う地域金融機関に関する取組について説明しました。発表の概要は以下の通りです。

 

  • 日本は全企業の99.7%が中小企業であり、これ自体はOECD諸国の中で大きな違いはないが、「従業員20人未満の企業で働く人の割合」が20%強と相対的に高く、生産性が低いことが問題になっている。サステナビリティにまで配慮する余裕がないなかで、メインバンクである地域金融機関の果たす役割は大きい。
  • PFA21は、持続可能な社会の形成のために必要な責任と役割を果たしたいと考える金融機関の行動指針として2011年に策定された。現在293の組織が加盟し、セミナーやシンポジウム開催等を中心に活動をしている。会員の多くが地域に活動基盤を置く地域の金融機関であり、中小企業をカバー率は高い。
  • 日本の環境省は地域金融機関から事例を募り、有識者との情報交換会を踏まえサステナビリティの取組についてのガイダンスを発表した。PFA21は、このガイダンスをもとに中小企業の地域の経済、社会、環境に配慮した取組を促す地域金融機関の活動を解説しするセミナーを開催するなど、普及啓発に努めている。
  • 例えば、日本は2050年までのカーボンニュートラルを発表したが、これは地域の産業構造を激変させる可能性がある。サステナビリティに配慮する余裕がない中小企業のビジネスモデルの変革を地域金融機関が支援する必要がある。その際、自治体、金融、企業の3者連携が重要であり、PFA21ではそうした取り組みの模範例をセミナーで紹介している。
  • 一方で、中小企業を巻き込んで、地域に眠っている資源を有効活用し、地域経済を活性化する取組も重要だ。上記のセミナーでは地域金融機関がステークホルダー連携のためのプラットフォームを作り、新たなビジネスモデルの構築などに主体的な役割を果たしている事例を紹介している。

 

金井氏の発表について、Nadim Ahmad氏は「PFA21は持続可能性に関わる重要なステークホルダーが集結し、地方自治体・金融機関・中小企業の協力を促進するイニシアチブと聞いており、このモデルは他国でも興味深いものになるにちがいない」とコメント、PFA21の取組が海外の金融機関などの関係者にとって参考になる可能性が示されました。セッションでは、中小企業による行動変容に向けた能力を高めていくために、地方レベルの政府との連携や実践的ツール、国際協力を増やしていくことの重要性が登壇者間で確認されました。

 

登壇いただいた金井氏、ならびにプログラム参加に向けて尽力いただいた、OECD及び環境省の皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。

(文責:PFA21事務局)

Print Friendly, PDF & Email

 

 

事務局からのお知らせ一覧へ

全てのお知らせ・イベント一覧へ